旅日記 一日目(11/5)

   出発

     600、MKジャンボタクシーにて関空へ向かう。朝焼けの朱色が、空いっぱいに広がったウロコ雲に照り映える、

     とても印象深い朝だった。途中で何人かの同乗者を拾って、タクシーは動き始めた街をあとに関空へと向かった。

     今回の旅行は、ツアーとは言っても同行者は私を含めて3人である。どんな人達と一緒なのかも分からない。しかも

     添乗員はなしで、カンボジアに着いてから現地係員が付くことになっている。

     800まえには関西空港に到着。少し早かったが、空港の旅行会社の窓口で、航空券と保険証券を受け取り、簡単な

     説明を受ける。ツアー同行者はまだ来ていなかったが、手荷物検査が順番待ちが長蛇の列になっていたので、搭乗券

     の引き換えと手荷物の検査を先に受けることにする。

     手荷物検査は、長い行列の割には、次々と流れているようだ。液体物の持ちこみについてはかなり細かく規制されて

     いるが、本人の自己申告に拠るところが大きいような気がする。カメラのフィルムは念のため「目検」をお願いした。

     ちなみに荷物はすべて機内持ちこみとした。X線検査も、身体の金属検査もクリア、出国ゲートでパスポートにスタン

     プを押されると、ある種の感慨を禁じえなかった。急かされるようにして搭乗口へ向かう。

     出発まではかなり時間があった。同じようなツアーの団体客が一団また一団、集まってきてはどこかへ消えて行く。

     添乗員もいない私は、ツアーの同行者とも落ち合うことができないまま、ひとり個人旅行のような感覚で搭乗手続を

     済ませた。この時間の、ナンとも心細いこと…。 

     ベトナム航空941便は、ほぼ定刻通りに離陸。5〜6時間でベトナムのホーチミンに着き、そこからカンボジア行

     きに乗りかえるのだ。初めての空港で、ちゃんと乗換できるかなと、少し緊張する。機内では窓際の席は取れなかっ

     たので、景色を見ることもできず、いきなり眠る訳にも行かないので、文庫本「香港領事 佐々淳行」(文春文庫)

     が早速役に立った。(偶然だがこの本には佐々さんのカンボジア旅行のことも書かれているのだ)

   ホーチミン空港

     日本時間とベトナム・カンボジア時間は、2時間の時差がある。日本の1600はベトナムではまだ1400である。

     旅程表を繰ってみると、「ホーチミン着 1435」とある。腕時計を見る。1600に近い。「乗る飛行機を間違

     えたのではないか」と思った。しかもカンボジア行きの乗換便の出発は1630と旅程表にはある。「乗換も間に合

     わないじゃないか…」とも思った。腕時計が1630をすぎて、ようやく飛行機は高度を下げ始めた。

     ホーチミンのタンソンニャット国際空港は、巨大な空港である。大勢の人が乗り降りしている割には、ターミナルは

     むしろ閑散とした印象を受ける。内心心配顔の私は、すぐにターミナルビルの時計を探し出すと、その文字盤が「1

     440」を指していることを確認した。ここでようやく旅程表の謎に気づいた次第である。すなわち旅程表記載の「

     ホーチミン着時間」以降は、現地時間で記されているだけのことであった。

     この空港ではしかし、もう一つ難儀したことがある。ベトナムに入国するわけではないので、ベトナムの入国申請は

     要らないし、入国審査も受けないで、「乗り継ぎカウンターにてチェックインをしてください」と、旅程表には書か

     れているのだが、これが全然分かりにくかった。「カウンター・チェックイン」というからには、パスポートや搭乗

     券を見せなければならないのかと思って、それらしい窓口を探して、大勢の人が並んでいるところへ行ってみるのだ

     が、どうも様子が変である。空港のガードマンに訊いてみたら、ここではないと身振りで教えてくれる。揚句に、小

     さな控え室みたいなところで、簡単なボディチェックと、かばんのX線検査があったばかりで、何だか拍子抜けした。

     それも、出発ロビーで、ようやく全然関係ないツアーの日本人添乗員を見つけて訊いてから納得したのだった。知ら

     ない場所でなれない手続をするのは大変だ。 

   到着

     ホーチミン空港でも、かなりの待ち時間があった。そのうちかなり強い雨が降り出した。カンボジアに向かうのもベ

     トナム航空(829便)だが、今度はエアバスで、関空からのジェットよりも乗り心地はよかった。乗客の半分以上

     は外国人になった。機内食ではないが、クリームパンみたいな菓子パンが配られ、これはなかなか美味かった。

     約1時間で、カンボジアシェムリアップ空港に到着。空港かなり広い空港だが、飛行機からターミナルビルまでは歩

     いて渡らねばならない。タラップを降りて行くと、雨が降っていたのか、すこしムッとしたなまぬるい風は、稲のに

     おいが混ざっていて、さながら梅雨どきの日本の田園の空気を思わせた。

     入国ビザとパスポートを見せた後、荷物は全部機内持ちこみなので、かばん待ちの時間をとられることもなく、すん

     なりと空港を出る。ここで、ツアー同行者と、現地係員が待っているはずである。しかし、それらしい人はなかなか

     見つからなかった。暮れて行く空、プラカードを持った全然知らない現地人ばかりはいるが、日本人の姿自体少ない。

     しばらく待って、ようやく見覚えのあるツアーの札をつけた2人組を発見。ほぼ同時に現地ガイドも現れた。

     同行の二人は元気な「大阪のおばちゃん」であり、ガイドはサンボーさんという青年、運転手はポンブーさんという

     おじさんである。ようやくちょっと人心地ついた感じで、ホッとした。

   ホテルにて

     3日間お世話になるのは「EMPRESS ANGKOR HOTEL」である。清潔感のある、落ち着いたホテル

     である。到着したこの夜は、ホテルで夕食を摂る。初めてのカンボジア料理だが、なかなかにおいしい。うどんとか

     鍋料理みたいに、あつあつをふうふういって食べるでもなく、激辛スパイスを使ってるわけでもない。どちらかとい

     えば生ぬるい感じで、半分冷めかけかと思いきや、食べているうちにじんわりと香辛料が効いて来る。私にとっては

     むしろ食欲をそそられるものであった。ツアー同行の二人も気さくな人柄で、楽しい食事になった。なにか飲み物と

     いわれてアンコールビールという缶ビールを注文したら2.5ドルで、おつりは現地通貨で2,000リエルだった。

     自分の部屋から国際電話をかけたら、1分3.5ドルということで、これには清算のとき閉口した。

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   19.12.23