旅日記 三日目(11/7)

  アンコール・ワットの朝日鑑賞

     0420起床、0520出発。アンコールワットの背後から上る朝日を見に行く。懐中電灯は持っていったけれども

     結局要らなかった。第一回廊の外側にある池の周りには、すでに大勢の観光客が、思い思いの場所に三脚を立てたり、

     折りたたみ椅子を置いてる人もいる。ツアーによっては、プラスティックのいすを用意しているグループもある。そ

     れでも、そんなに混み込みということはなくて、ある程度余裕を持って撮影ポイントを探すことができた。

     しかし、少し厚い雲に覆われた空は、肝心の旭日を見せてはくれなかった。ちょっと粘っていたけれども、結局朝日

     は断念し、池の中の蓮の花を撮る。日本の蓮より濃いピンクで情熱的な色だ。何枚かの写真は撮ったものの、三脚を

     持っていなかったので、すこし光不足(60分の1〜90分の1)で、あんまりきれいには撮れなかった。

  アンコール・トム(Angkor Thom)

     昨日からの歩行量は、かなりの距離になるに違いない。ツアーの同行者の1人Hさんは、そろそろ「足にきた」とい

     って音を上げている。考えてみれば歩きづめである。結構駈け足で歩き回り、つぎつぎ現れる世界遺産。立ち止まっ

     て、もっとゆっくり見たい。じっくり対象と向き合って撮りたい。しかしフィルムは足りるかな。もうあと10本く

     らい持ってきとけばよかったかな。時間もない。ここではなんといっても、バイヨン(Bayon)の巨大な仏頭が

     圧巻だ。

  プリア・カン(Preah Khan)

     アンコール・ワットやアンコール・トムとくらべると、いささか地味な感じもしないでもないが、観光客も少なく、

     ちょっと落ち着いて遺跡鑑賞ができた。石の壁や天井が崩落したり、美しい石像も剥落したりして、「廃墟」とも

     いうべき雰囲気である。ときおり名前もわからない美しい鳥の声がするほかは、喧騒もあまり聞こえてはこない。

  ニャック・ポアン(Neak Pean)

     プリア・カンからさらに東へ3キロくらいのところにある。ちょっとした林のなかを歩く。きれいな蝶が、ときおり

     目の前を横切って行く。沼地の横をあるいてゆくと、突然視界が開けて、プリア・カンよりもっとひっそりした遺跡

     にたどりついた。有り得ないことだが、わたしはこの場所に前に来たことがあるような気がした。デジャブ(既体験

     感)という、そういう感覚だ。石段の上り下り、小道のついた芝生、円墳のような祠堂、どこで見たんだろう。

  タ・ソム(Ta Som)

     ここは巨木に覆い尽くされた塔が有名なところである。遺跡の前で、スレンダーな白人女性から、シャッターを押して

     くれと頼まれ、二つ返事で引き受けたものの、横から満面の笑みを浮かべた彼氏がファインダー越しに現れたのにはチ

     ョットがっかりだった…。ここでも物売りの子供たちが集まってくる。売ってる物はたいがい絵ハガキか、中国製の団

     扇とか扇子、布(スカーフ)の類が多い。遺跡の写真集を押しつけてくるのもいる。おんなじ物でも、売りに来る場所

     によって全然言い値が違うのだ。こういう物売りの仕入原価はどうなってるんだろう。大概子供が売りに来るが、後ろ

     のほうでその子の親が、商品を枕にうたた寝をしている。最初のうちは気前よく結構買ったりしていたのだが、だんだ

     んカラクリが分かってきた。きりがないので途中から、そういう物売りの子供には日本から持ってきた飴玉をやること

     にした。それにしても、彼らにとってはたとえ1ドルでも、大事な売上に違いない。電気も不充分、もちろんガスも水

     道もない。学校のない時間はそうやってはだしで歩き回って、いつ来るとも分からない観光客相手に10枚で1ドルに

     しかならないエハガキを売って暮らしているのだ。「オニサン、オネサン、エハガキ、ジュマイ、イチダル…」

     私はいまだに彼らの声が忘れられない。

  オールドマーケットとアプサラダンス

     一番有名なタ・プロームとバンテアイ・スレイを明日にして、ちょっと休憩、という感じで、昼からはシェムリアップ

     のオールドマーケットでみやげ物を買い、夕食はアプサラダンス鑑賞、ということになった。あまりにも歩いたので、

     ガイドのサンボーさんが、ちょっと旅程を変更してくれたのだ。

     みやげ物の値段、なんていうのはそれこそあってないような感じで、値切ればどんどん負けてくれる。最初の6割くら

     いの値段で、そのかわり2個買ってくれ、という具合だ。カンボジアのコインも売っていたが、額面にして1ドルちょ

     っとのセットを8ドルとかいうのでやめた。あとでもう一回聞いたら、4ドルにするという。結局買わなかったけど、

     あれは買っておくべきだったかと、今思うと少し悔やまれる。

     夕食は中華バイキングだったが、カンボジアが誇る伝統舞踊「アプサラダンス」をみるのにそれどころではない。世界

     遺産のレリーフに彫りこまれた女官や天女の衣装そのままの踊子が、はなやかな踊りを披露する。哀しいかな、フィル

     ムの余裕がない。カメラはホテルに置いたままである。デジカメも落としたり盗られたりしてもいけないので、今回は

     持参していない。踊りは素朴というか純朴といおうか、女の子だけではなく、男の踊り手でも笑顔は美しい。若さと華

     やかさのあふれた舞台だった。ホテルに帰ってからインターネットでブログに書き込みをする。その経緯は、この日の

     ブログに書き込んだとおりである。

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   19.12.24