レーザ技術
レーザ光技術とその安全性
レーザ光安全の基本概念
IEC60825
JIS C 6802
レーザのクラス分け

 

レーザ光安全の基本概念
 ある強さ以上のレーザが人体に当たると、目と皮膚に障害が出ます。レーザはもはや実験室や生産現場のみで使用されるものではなく、家庭の中にまで入り込んでいます。たとえば、CDプレイアーは各家庭に1台以上が入っているだろうし、パソコンに組み込まれるCD-RやDVD-R, -RWには目に照射されれば失明の危険性があるレーザが使用されています。近い将来のブロードバンドネットワークでは光ファイバーによって、部屋の中にレーザ光が持ち込まれます。また講演等の際の指示器であるレーザポインターは目に向けて照射すれば障害が出てもおかしくない強さのレーザが使われています。
 このようなレーザの普及に対して、IECで安全性国際規格IEC 60825(最新版は2001年の1.2版)が作られ、これをベースにして、日本においても日本工業規格JIS C 6802(最新版は2005年1月制定。)が制定されました。もともとレーザの安全規格でしたが、1997年版からのJISにはLEDも規格対象として取り込まれ、業界に大きな波乱を起こしてきました。2004年秋にIECにおいて、LEDを対象からはずすこととなりました。ただし、IEC 60825やJIS C 6802が実際に改定されるまでにはまだしばらくの時間を要するようです。
 元々このIEC、JISはレーザ加工機やレーザライトショーの主催者に向けて、レーザの管理をいかに行うべきかを定めたものでですが、最近はおもちゃ屋で売られていたレーザポインターによって子供の目の事故が報告され、野球場においてピッチャーに向けて照射されるなどの事態が発生し、2001年1月に経済産業省がレーザポインターを消費者保護の目的で、消費生活用製品安全法施行令の規制対象に加えています。
 JISそのものは安全の基準であり、法的強制力を伴うものではありませんが、レーザポインター(および、その他の携帯用レーザ応用装置)は、法規制の対象となった訳です。
 従来、レーザポインターはJISで定めている出力規格のクラス2(1mW以下)とすることが業界の常識でした。これは通常の使用法のもとでは目に対して安全であるという出力規模です。しかし、ポインターの視認性のみを追求して5mW近い製品が販売されるなど、安全性を無視する行動が法規制を招いてしまったことは残念です。

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