十和田市サッカー協会 第3種委員会

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カシオ プロトレック「 PWR-35」の最新モデルは、機能や魅力はそのままにコンパクトかつ軽量化!

今回は、登山愛好家から厚く支持されるカシオ プロトレックの中でも、幅広い層にフィットするコンパクトなサイズ感を実現したRef.PRW-35TLD-7JFをインプレッションする。本作は、ケース径39.7mmとコンパクトでありながら、プロトレックの多機能さを継承しているモデルだ。また、カシオとして初となる蓄光LCDを採用しており、暗所でぼんやりと光る本作は視認性に優れ、使用感が良好であった。

カシオ「プロトレック」Ref.PRW-35TLD-7JF
クォーツ(光発電)。フル充電時22カ月稼働(パワーセーブ作動時)。バイオマスプラスチックケース(直径44.6mm、厚さ13.0mm)。10気圧防水。8万8000円(税込み)。

インプレッションの前に「プロトレック」をおさらい
今回は、カシオによるアウトドア用ウォッチブランドの「プロトレック」から、最新作のRef.PRW-35TLD-7JFをインプレッションする。スーパーコピー代引き 優良サイト1995年にスタートしたプロトレックは、初作Ref.DPX-500に「トリプルセンサー」を搭載して、登山愛好家から支持された歴史を持つ。このトリプルセンサーとは、方位センサー、気圧(高度)センサー、温度センサーの3つを指しており、これらは現在にも受け継がれ、プロトレックのアイコンとなっている。

スマートウォッチの無かった時代にこれらの機能を有し、タフなツールウォッチを得意とするカシオによるアウトドア用モデルとして独自の魅力を持っていたプロトレックは、登山愛好家やアウトドアを趣味とするユーザーから厚く支持され、そのイメージを確固たるものとしていった。これは、アウトドア用品店にもプロトレックが並んでいることがひとつの証拠と言えるだろう。

さらにプロトレックは、ホビーユースだけでなくプロのアルピニストからも支持され、それを反映して8000m峰のひとつ「マナスル」の名を冠して信頼性や機能性を高めたフラッグシップモデル「マナスル」をラインナップしている。

インプレッションするRef.PRW-35TLD-7JFの特徴
プロトレックはこのような出自から、一般的な腕時計には搭載されない3つのセンサーを備えると同時に、信頼性を高めるために大柄で頑強なデザインとなってきた。これはアウトドアに適するツールウォッチらしさにあふれ、タフさを象徴するスタイリングであり、人気の理由のひとつでもあったのだが、手首にジャストフィットしないユーザーを生んでいたことも事実である。特に、近年増加した女性の登山愛好家やキャンパーにはマッチしづらいサイズ感であったと言えるだろう。

このような背景の下リリースされたのが、本作のベースとなる「PRW-35」のラインナップである。PRW-35は、従来よりもコンパクトなケース径44.6mm、厚さ13mmのモデルで、幅広いユーザーにフィットするスタイリングが与えられている。軽量化も図られており、ラバーストラップ仕様で比較すると、従来のRef.PRW-30-1AJFは66gであったのに対して、Ref.PRW-35-7JFでは約30%減となる45gを実現している。

プロトレック クライマーライン

ラグ部にくびれがあり、メリハリのあるシルエットがコンパクトな印象を生む。上部のグラフは気圧の推移である。この日は、午前中が小雨で午後から晴れたので、それに伴って気圧が上昇しているのが分かる。
そして、今回インプレッションするRef.PRW-35TLD-7JFは、ラバーストラップに代わってチタン製ブレスレットが組み合わされており、ラバーやファブリック製ストラップの組み合わせの多いプロトレックに新たな魅力を加えているのが注目点だ。重量も76gと、ラバーストラップよりは重くなったものの、その着用感は軽快である。

なお、本作のケースや裏蓋といった樹脂パーツには、環境負荷低減への貢献が期待されるバイオマスプラスチックを使用している。チタン製ブレスレットにプラスチック製ケースというのは珍しい組み合わせとなるが、ベゼルが金属製でメタリックな質感であることとケース全体がシルバーに塗装されていることが効いているのか、デザインには一体感がある。

数値よりもコンパクトに感じるパッケージングの良さ
筆者はカシオ G-SHOCKのオリジンである「DW-5600」やアナログモデルの「GA-2100」を愛用している。これら2本はG-SHOCKの中でも比較的コンパクトなモデルで、本作のケース径44.6mm、厚さ13.mmという数値は、この2本に比べて明らかに小さいとは言えない。一方で、本作を着用した時には比較した2本よりもコンパクトさを感じる。これは、ケースシェイプに凹凸があってメリハリがあることが効いている。

プロトレック クライマーライン

手首周長約18cmの筆者によるリストショット。ラグ部の浮きが無くフィットしている。ブレスレット取り付け部の可動範囲が広いので、多くのユーザーにフィットするはずだ。また、袖への収まりも良好である。
また、ラグ部が短く、ブレスレット取り付け部の可動域が広いことから、ラグ裏付近で時計が浮いてしまうことが無く、フィット感が良好である。このことは時計全体をコンパクトに見せることにも大きく寄与しているはずだ。ラグ部のブレスレットの可動域には余裕があり、手首回りが周長約18cmの筆者よりも手首の細い方であっても、このフィット感の良さは維持されることだろう。

コンパクトで軽量な仕立てに加えて、フィット感の良さにより重量が分散されて、着用感は軽快である。インプレッション期間中、着用数分で手首になじんでくるのを感じ、数時間経てばその存在をほとんど意識しないようになっていた。袖への収まりも良く、その点も着用感の良さにつながっている。このような特性は、アウトドアで周囲の絶景を堪能しリラックスすること、あるいは目の前の険しい自然に集中することにつながってゆくだろう。

トリプルセンサーによる主要な機能を紹介
普段は存在感控えめな本作であるが、必要となれば豊富な機能があなたをサポートしてくれる。基本機能として、マルチバンド6の電波受信による自動時刻修正を備えて正確な時刻を指し示し、ストップウォッチ、タイマー、アラーム、ワールドタイム表示や日の出と日の入り時刻の表示を備える。これらを活用すれば、測時に関する要求は満たされることだろう。

2時位置に方位、3時位置に気圧と温度、4時位置には高度のそれぞれの機能を呼び出すプッシュボタンが配される。各機能はボタンを押せば直ちに呼び出され、ストレスは感じない。簡単であるが、各機能について順に述べてゆこう。

方位は、機能を有効にすると角度表示で方位角を直ちに指し示してくれる。いろいろなシーンで試してみたが、PCやテレビに囲まれた環境でも数値が大きく暴れることはなかった。いじわる試験として、磁石(アルニコ3)が埋め込まれたギター用ピックアップに近付いたところ、30cm程度の距離があれば正しい表示が維持された。多くの場合、異常なく方位を指し示してくれるのではないだろうか。

プロトレック クライマーライン

方位計測モードの表示。2時位置の3つのドットが北で、12時方向が西南西(WNW)を指していることを示す。中央の角度は方位角で、時計12時方向が北に対して293°の方向であることを示す。下部には時刻が表示され、“H”は充電状況の“High”を意味する。
気圧も表示が早く、継続して観測していると1日の中で予想以上に変動していることを確認できる。インプレッション期間中に小雨から晴れに移り変わる日があり、その際には気圧が上昇してゆく様子が見て取れた。天候が大きく変動し、その変化をいち早く察知する必要がある登山では、この気圧表示がサポートしてくれることだろう。また、気圧の変化が体調に影響を与えやすい方にはありがたい機能かもしれない。さらに、気圧の急変を知らせてくれる機能も搭載されているので、注視しなくても本作の恩恵にあずかることができる。

高度も、ビル内の移動や、坂道のある道路での移動で変化していた。追加操作を行えば、最高高度や積算の上昇高度などを保存可能で、登山のログを取ることが可能となっている。

カシオが用意するマニュアルを読むと、各機能が指し示す数値やインジケーターの意味、それぞれの補正方法、活用方法が詳しく述べられている。今回のインプレッションでは、それら多くの機能を網羅してテストするには至らなかったし、アウトドアでの評価もできなかったので、その実力値は実際に手にして確認いただきたい。

数多くの機能を無理なく表示するディスプレイ
多機能となると、複雑な表示が見にくくなったり、現在の表示が何を意味しているのか分かりにくくなったりする。この点に関しては全く問題を感じなかった。面積の広いLCDが採用され、メインとなる中央の表示は大きくて明確である。コントラストも高い。

プロトレック クライマーライン

アウトドア向けということでマウンテンパーカーと合わせた。カジュアルに限れば、幅広いファッションにマッチすると感じたし、ブルゾンを羽織った“現場スタイル”にも完璧にフィットする。個人的な感想として、本作のメリハリの効いたデザインがメカメカしくて好みだった。
機能が多いためそれらの全体像を把握していることが前提であるが、中央の表示とインジケーター(例えば気圧ならhPaの単位表示)の組み合わせによって表示の意味を読み取りやすい。また、外周部のドットを方位表示に用いたり、気圧の上昇下降傾向を表示したり、タイムゾーンを表示したりと使い分けが上手く、直感的に分かりやすかった。カシオによる液晶画面の扱いの上手さはトップクラスだと筆者は感じているので、カシオの使用経験があるユーザーは全く心配をしなくてよいだろう。

その他の使い勝手も良好で完成度の高さを感じる
その他、使っていて面白かったのが下部に蓄光シートを配したLCDである蓄光LCDだ。蓄光された状態で暗所に移動すると、ぼんやりとグリーンに光って視認性を助けるもので、カシオとしては初の採用となる。カシオによると、200ルーメンの登山用ヘッドライトを5cmの位置まで近づけて光を照射すると、最大約1時間発光を持続するとのことだ。

プロトレック クライマーライン
蓄光LCDが発光している様子。意識的に光を照射しなければこのようにくっきりとは発光しないが、わずかな発光量であっても視認性に大きく貢献する。
そこまで積極的に照射しなくても、明るいオフィスで蓄光されていれば薄暗い夜道でも薄っすらと光ってくれて視認性を助けてくれた。LCDは暗い環境ではほとんど見えないので、仄かな光ではあるが有ると無いでは大違いだ。なお、6時位置にはLEDバックライト用のスイッチを備え、腕の動きに反応する自動点灯機能も有しているので、それらを使い分ければ視認性の心配はなさそうだ。

裏技的な使い方だが、LEDバックライトを何度も点灯させることでわずかに蓄光されて視認性を助けてくれた。光発電で得たエネルギーを光に変換し、蓄光シートに蓄積させることで視認性を助けるのだ。なんともエコである。

使い勝手に関わる操作系は、各ボタンが大きく、滑り止めも施されていて押しやすい。また、各ボタンには下半分にだけガードが配されてボタンへのダメージを防ぎつつ、誤作動を防止している。このあたりの匙加減にカシオの上手さを感じ取ることができる。

プロトレック クライマーライン

ロレックススーパーコピー代引き 優良サイトケースはバイオマスプラスチック製で、ブレスレットはチタン製である。写真では素材感の違いが明確になっているが、肉眼ではもう少しなじんだ印象を受ける。一方、成型時のパーティングラインがラグ部に出ていて目につきやすいのは惜しい点。

本作は、フル充電状態からソーラー発電無し、かつパワーセービング状態で約22カ月間稼働する。また、晴れた日の窓際に置いておけば約24分で1日分の充電が可能である。一方、多機能を支えるために電池容量が大きいのか、充電ゼロ状態からだとフル充電まで最低でも18時間必要となる。とはいえ、電池残量のインジケーターを備えるため、充電量の管理は容易そうである。

多機能を実現しながらコンパクトにまとめた完成度の高さ
多機能を見やすく表示すること、多機能のためのセンサー類を搭載することを考えると、大柄な設計の方が有利である。一方、アクティビティーの最中や日常使いにはコンパクトな方が利点は多い。本作は、視認性の良さと多機能を実現しつつコンパクトにまとめたバランスの良さが魅力であった。マニュアルを熟読しなくても各機能の呼び出しはスムーズであったし、各機能を深く理解すればそれらがユーザーを手厚くサポートしてくれる。このあたりの熟成された操作感と機能性には、さすがプロトレック、さすがカシオと感心するものがあった。蓄光LCDの採用も地道な熟成の賜物であろう。

これらを総合して、プロトレック愛用者は安心して本作を選んで良いと言える完成度の高さを備える。また、プロトレック特有の大きさに躊躇していた方にも、その魅力を備えながらコンパクトにまとめられたものとして本作をお勧めできる。

ブライトリングに興味はあるけれど、どのモデルが自分に合うのか迷ってしまうことはないだろうか。

見た目も機能も多彩で、ざっと比較しただけでは違いを理解しにくいという声も多い。そこで、ブライトリングが展開する主要コレクションを一挙に紹介。それぞれの特徴や個性を把握することで、自分にぴったりの1本が見つかるはずだ。

ライトリングってどんな時計ブランド?
ブライトリングは、1884年にスイスで創業された時計ブランドだ。航空業界との深い結びつきを持つことが特徴で、精密なクロノグラフとプロフェッショナル向けの機能を追求し続けてきた。特に1930年代以降は航空機の計器を手掛けた実績を持ち、1952年に誕生した「ナビタイマー」は、航空計算尺を搭載した唯一無二の存在として今も多くのパイロットやファンを魅了している。

ブライトリングスーパーコピー代引き 優良サイトの時計は、すべてがスイス公式クロノメーター検定協会(COSC)の認定を受けた高精度ムーブメントを搭載している。視認性の高いダイアル、大型のリュウズ、堅牢なケース構造など、過酷な環境でも確実に機能する設計が徹底されている。さらに、防水性能や耐衝撃性なども優れており、海・空・陸すべてのシーンで信頼できる相棒となる。

近年はデザイン面でも進化を遂げており、クラシックとモダンを融合させたモデルが人気を集めている。高級感のある外装仕上げやスリムなフォルム、サステナブルな素材の活用など、時代に即した価値観も取り入れている。スポーティーでありながら、スーツにも馴染むスタイリッシュなルックスは、20代〜40代の幅広い層に支持されている。

ブライトリングは単なる高級時計ではなく、機能性と信頼性、そして洗練されたデザインのすべてを兼ね備えた“プロフェッショナルのための計器”としての哲学を貫いている。その精神は現代のモデルにも受け継がれており、時計を道具として使いこなしたい人にとって、これ以上ない選択肢となる。

ナビタイマー ファーストモデル
1940年代に誕生した「クロノマット」の対数回転計算尺を航空用にアレンジし、高度な機能を持つフライトコンピュータ(タイプ52)を回転ベゼルに搭載したのが、1952年発表の「ナビタイマー」。航行(Navigation)と計時(Timer)を組み合わせたモデル名は、本作の性能を明確に表している。

ブライトリングのコレクション一覧
ブライトリングに興味はあっても、種類が多くてどれを選べばいいか分からないと感じたことはないだろうか。中には機能もさることながら、ルックスが似たモデルもあるため、個々の違いが見えにくいという声も多い。

ここでは、主要なコレクションの特徴をひとつずつ紹介する。コレクションごとの個性を知れば、目的やスタイルに合った1本が見つけやすいはずだ。選びやすさと理解が深まる内容になっているので、購入前の判断材料として役立ててほしい。

「クロノマット」
「クロノマット」は、力強さとエレガンスを兼ね備えたコレクションだ。1984年にイタリア空軍アクロバットチームの要請を受けて開発されたモデルであり、視認性、操作性、耐久性において、プロフェッショナル仕様を貫いている。こういった出自からパイロットウォッチのイメージが強いが、現在では「AIR、LAND、SEAそれぞれのフィールドに対応できるエレガントな万能ウォッチ」と位置付けられている。

クロノマットでとりわけアイコニックなのが、ライダータブ付きの逆回転防止ベゼルと、独自のルーローブレスレットだ。るーろーブレスレットはしなやかで装着感に優れ、洗練された見た目と高い実用性を両立している。

代表的なモデルは、自社製クロノグラフムーブメントCal.01を搭載したモデルで、約70時間のパワーリザーブ、COSC認定の精度といったスペックを備えている。。デザイン面では、重厚なケースに端正なインダイアルを備え、特に現行のモデルではスポーティーでありながらスーツスタイルにも調和する、落ち着いたルックスにまとめている。クロノグラフというカテゴリーを、プロのための機器からライフスタイルの一部へと昇華させた存在が、このクロノマットだ。

近年はサイズ展開やカラーバリエーションも充実しており、41mm〜44mmの幅広いケース径、シルバー、ブルー、グリーンなどの多彩な文字盤カラーがラインナップされている。ユニセックスな着用も視野に入れたデザイン展開で、ファッションと機能の両方を求める層からも注目を集めている。重厚感がありながらも手首にしっかりと馴染み、シーンを問わず活躍する万能モデルとして高い評価を得ている。

クロノマット B01 42 ジャパン リミテッド
ブライトリング「クロノマット B01 42 ジャパン リミテッド」Ref.RB01346A1C1S1
自動巻き(Cal.B01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KRGケース(直径42mm、厚さ15.1mm)。200m防水。351万4500円(税込み)。
「ナビタイマー」
「ナビタイマー」は、航空時計の枠を超えて、精密機器とデザインの融合を体現するアイコンだ。初登場から70年以上が経った今も、進化を続けながら世界中のファンを魅了し続けている。航空計算尺付きの回転ベゼルという独自機能を持ちながらも、スタイルとして完成されたデザインは、パイロットだけでなくビジネスマンや時計愛好家にも選ばれている理由のひとつだ。

ナビタイマーの魅力は、複雑さの中にある調和にある。複数のスケールやインダイアルが並ぶフェイスは、機能を詰め込みながらも洗練されている。丁寧に仕上げられたディテールとクラシカルなケースフォルムが融合し、唯一無二の存在感を放つ。デジタル全盛の今だからこそ、アナログでしか出せない情報量が、手にしたときの充足感を高める。

現在は自社開発のムーブメントを搭載したモデルが主流となっており、信頼性と耐久性を両立。機能面だけでなく、パーツひとつひとつの精度が高く、長く愛用できる作りになっている。操作性もよく、クロノグラフのスタート・ストップがスムーズに行える感覚は、メカ好きにとってたまらない魅力だ。

また、ナビタイマーはスタイルの幅も広く、現行ではレザーストラップやメタルブレスレットなど、シーンに合わせた選択肢が用意されている。ダイアルカラーやインデックスのデザインにもバリエーションがあり、個性を演出しながらもひと目で“ナビタイマー”とわかる統一感を保っている。

歴史あるパイロットウォッチとしての誇りを継承しながら、現代のスタイルに寄り添うナビタイマーは、単なる機械ではなく、時間との付き合い方を変える1本だ。伝統と革新、その両方を手元に宿したい人にこそふさわしいコレクションである。

ナビタイマー B01 クロノグラフ 41
ブライトリング「ナビタイマー B01 クロノグラフ 41」Ref.RB01346A1C1S1
自動巻き(Cal.B01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.6mm)。3気圧防水。132万円(税込み)。
「アベンジャー」
「アベンジャー」は、デザイン面でも機能面でもミリタリーテイストを色濃く残すパイロットウォッチだ。空軍や特殊部隊の使用を想定し、過酷な状況下での視認性や操作性、耐久性を追求した構造は、見た目の迫力以上に実用性を重視している。大型のリュウズとグローブ着用時でも操作しやすいプッシャー、重厚感のあるケースに刻まれたディテールのひとつひとつが、機能に根ざしたデザインとして存在している。

アベンジャーは、その名が示す通り、挑戦的なスピリットを持つ人に向けて作られたシリーズだ。ブライトリングの中でも特に力強さを前面に押し出したコレクションでありながら、どのモデルも計算されたバランス感覚を備えている。無骨で男らしい印象を与える一方で、ダイアルの色使いやインデックスの処理には洗練が感じられ、日常のスタイルにも溶け込む。44mmを超えるビッグケースながら、装着感に配慮された設計と素材の選定により、意外なほど快適な着け心地が得られるのも特徴だ。

搭載するのは自動巻きクロノグラフを中心とした高精度ムーブメントで、衝撃や磁気にも強い設計が施されている。さらに、ねじ込み式のリュウズや厚みのあるサファイアクリスタルによって、高い防水性と耐久性を実現。あらゆる環境に対応するプロ仕様の機能を内包しながら、高級時計らしい美観を持った完成度の高さは、他に類を見ない。

アベンジャーは、スタイルと機能の両方に妥協しない姿勢を持つ人にこそふさわしいコレクションだ。日常でその性能すべてを発揮することはないかもしれない。しかし、あらゆる場面で信頼できるという安心感が、腕に着けた瞬間から確かな自信につながる。ブライトリングが誇る本格ツールウォッチとして、その存在は揺るぎない。

アベンジャー B01 クロノグラフ 44
ブライトリング「アベンジャー B01 クロノグラフ 44」Ref.AB0147101B1A1
自動巻き(Cal.B01)。45石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径44mm、厚さ15.2mm)。300m防水。101万2000円(税込み)
「スーパーオーシャン」「スーパーオーシャン ヘリテージ」
「スーパーオーシャン」は、ダイバーズウォッチとしての実用性を追求したプロフェッショナル仕様のコレクションだ。1957年の誕生以来、圧倒的な防水性能と高い視認性を武器に、海という過酷な環境に挑み続けてきた。現行モデルでは300mの防水性能を備え、太めのインデックスと発光性の高い針によって、暗所や見通しの悪い水中でも時刻の確認が容易にできる。力強いケースと大胆なデザインは、ダイバーズという枠を超えて、ストリートでも存在感を放つ仕上がりになっている。

一方、「スーパーオーシャン ヘリテージ」は、初代モデルのデザインをベースに、現代的な機能と洗練を融合させたクラシックラインだ。ヴィンテージ調のベゼルやドーム型サファイアガラス、編み込み調のラバーストラップなど、当時の意匠を巧みに再解釈し、時計全体に上質なレトロ感を漂わせている。ヘリテージとはいえ、防水性能やムーブメントの信頼性は妥協がなく、日常使いからアウトドアアクティビティーまで対応する。上品なルックスを保ちながら、現代の基準に見合うスペックを隠し持つ点が最大の強みだ。

このふたつのシリーズは、アプローチこそ異なるが、どちらも「海」というテーマを軸に据えたブライトリングらしい哲学を反映している。スーパーオーシャンは現場での実用を重視し、瞬時の判断を求められる状況でも確実に機能することを前提に作られている。一方のスーパーオーシャン ヘリテージは、時計としての造形美や装着感を重視しつつ、必要な性能を備えている。

スーパーオーシャン オートマチック 42 ジャパン エディション
ブライトリング「スーパーオーシャン オートマチック 42 ジャパン エディション」Ref.A17375A71A1S1
自動巻き(Cal.Breitling 17)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(直径42mm、厚さ12.56mm)。300m防水。72万6000円(税込み)。
スーパーオーシャン ヘリテージ B20 オートマチック 42
ブライトリング「スーパーオーシャン ヘリテージ B20 オートマチック 42」Ref.AB2030161C1A1
自動巻き(Cal.B20)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径42mm、厚さ14.35mm)。200m防水。75万9000円(税込み)。
「トップタイム」
「トップタイム」は、1960年代に登場したオリジナルモデルの自由で遊び心ある精神を、現代に再解釈してよみがえらせたクロノグラフコレクションだ。機能重視のラインナップが多いブライトリングにおいて、トップタイムは異色の存在ともいえる。過剰な主張を避けながらも、独創的な文字盤デザインや色使いで個性を際立たせ、クラシックとポップの絶妙なバランスを成立させている。

近年は名車や映画とコラボしたモデルが多く、マッスルカーのスピード感を落とし込んだ「シボレー コルベット」や、レトロな雰囲気が漂う「フォード マスタング」など、モータースポーツへの敬意がデザインに込められている。クロノグラフのインダイアルやタキメータースケールといった要素も、視認性を確保しつつ、視覚的なリズムを生み出している。

トップタイムには、COSC認定の高精度な自動巻きムーブメントが搭載されており、デザインだけでなく中身も確かだ。ケースサイズは42mm前後が中心で、現代にふさわしい装着感を保ちながら、ヴィンテージモデルのディテールも随所に残されている。薄すぎず厚すぎない絶妙なプロポーションはシャツの袖口にも自然に馴染み、オンオフ問わず活躍する。

トップタイムは、かつて若者に自由な時間と表現を託した時計として登場し、今もその精神を継承している。視線を惹きつけるグラフィック、モチーフのあるデザイン、そしてブライトリングの技術力が融合し、他のコレクションにはない軽快さとエネルギーを放つ。

クラシックなだけでは物足りないが、奇抜すぎるのも避けたいという人にとって、トップタイムはまさに絶妙なポジションにある。形式に縛られず、自分らしさを表現したい人にこそふさわしいモデルだ。

トップタイム B31
ブライトリング「トップタイム B31」Ref.AB3113171L1X1
自動巻き(Cal.Breitling 31)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約78時間。SSケース(直径38mm)。10気圧防水。81万9500円(税込み)。
「プレミエ」
「プレミエ」は、1940年代のエレガンスを現代に引き継ぐクラシカルなコレクションだ。航空やダイビングといった過酷な環境を想定したモデルが多い同ブランドの中で、プレミエは街や日常を舞台に活躍する“洗練された大人のための時計”という明確な立ち位置を築いている。端正なケースラインと抑制の効いたダイアルデザインは、派手さを避けながらも確かな存在感を放ち、スーツスタイルにも自然に溶け込む。

プレミエは、機能美と造形美が共存する稀有なモデルとして高く評価されている。クロノグラフやスモールセコンドにおけるダイアルレイアウトは、視認性とバランスに優れ、実用性をしっかりと確保しながらも視覚的な整然さを失わない。インダイアルの配置や針の造形には、当時の意匠を感じさせる繊細さがあり、ノスタルジックでありながら新鮮さを感じさせる。

搭載されているのは、自社製ムーブメントやCOSC認定の高精度ムーブメントが中心であり、性能面でも妥協がない。サファイアクリスタル風防や防水構造、上質なレザーストラップとの組み合わせが、日常使いに必要な耐久性と快適な装着感を提供している。

プレミエは、主張しすぎず、それでいて確かな趣を持つ時計を求める人にとって理想的な選択肢だ。過去への敬意と、現代の技術、そしてブライトリングの美意識が融合し、日々の装いを品よく引き締めながら、タイムピースとしての誇りもしっかりと宿している。機能一辺倒ではなく、美しく時間を刻みたいという思いを満たしてくれる、数少ない存在である。

プレミエ B25 ダトラ 42
ブライトリング「プレミエ B25 ダトラ 42」Ref.AB2510201K1P1
自動巻き(Cal.B25)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SSケース(直径42mm、厚さ15.35mm)。10気圧防水。190万3000円(税込み)。
「エンデュランス」
「エンデュランス」は、アスリートやアウトドア志向のユーザーに向けた高機能スポーツウォッチとして設計された。プロフェッショナル向けライン「プロフェッショナル」コレクションに属し、極限の環境における使用を前提に開発されたモデルでありながら、アクセントカラーを取り入れて軽快なデザインに仕上げている。スポーツシーンに自然と溶け込むアクティブな外観と、日常でも扱いやすい機能性が共存しているのがこのモデルの魅力だ。

最大の特徴は、ケース素材に採用された「ブライトライト」と呼ばれる独自の軽量素材。チタンよりも軽く、非金属でありながら高い耐衝撃性と耐腐食性を誇り、汗や海水にさらされるようなシーンでも劣化しにくい。見た目のボリュームに反して装着感は驚くほど軽く、長時間の運動やトレーニング中でも負担が少ないのが特徴だ。カラフルなラバーストラップとの組み合わせにより、視覚的にもエネルギーを感じさせる仕上がりとなっている。

ムーブメントには、温度変化にも強く、抜群の精度を誇るスーパークォーツを搭載。一般的なクォーツの約10倍の精度を持ち、ストップウォッチやカウントダウンタイマーといった機能も備えている。直感的な操作性と高い視認性を両立しており、動きの中でも時間を正確に把握できる設計となっている。軽さと強さ、そして精度を追求したこのモデルは、単なるスポーツウォッチにとどまらず、パフォーマンスを求める人のためのギアとして完成されている。

エンデュランスは、ファッション性はもちろんのこと、より機能と実用性を重視したいユーザーに最適だ。アウトドアからトレーニングまで幅広く活躍し、時計に求められる信頼性を軽快なスタイルで体現している。アクティブに動く時間にこそ、最高のパフォーマンスを発揮する1本として支持されている。

エンデュランス プロ 38
ブライトリング「エンデュランス プロ 38」Ref.X83310A71B1S1
スーパークォーツ(Cal.Breitling 83)。ブライトライトケース(直径38mm、厚さ12.1mm)。10気圧防水。46万2000円(税込み)。
「クラシック アヴィ」
「クラシック アヴィ」は、1950年代の航空時計「リファレンス765 アヴィ」の精神を受け継ぎながら、現代的な解釈を加えたネオ・ヴィンテージ系のコレクションだ。戦闘機のコックピットで使われた計器を思わせる視認性の高いダイアルや、グローブを着けたままでも操作しやすい大型のリュウズとプッシャーが、当時の機能美を忠実に再現している。クラシックでありながら現代の精度と信頼性を備え、道具としての本質を保ちつつ、スタイルにも個性を宿している。

このシリーズの特徴は、実在するヴィンテージ戦闘機にインスピレーションを受けた各モデルの世界観だ。P-51マスタング、F4Uコルセア、モスキートなど、機体ごとの美学をデザインに落とし込み、カラーリングや素材に独自性を持たせている。それぞれのモデルにはストーリーを設定し、ただの時計ではなく、空への憧れや技術の進化を手元で感じられるようになっている。ケース径は42mm前後で構成され、視認性を高めたアラビア数字のインデックスと力強い針の組み合わせにより、時間の読み取りもスムーズだ。

搭載するのはCOSC認定の高精度な自動巻きムーブメントで、クロノグラフ機能も備えている。ケースバックには航空機のシルエットが刻印され、視覚的にも航空のテーマが徹底されている。ストラップにはヴィンテージ調のレザーやステンレススティール製のブレスレットが用意されており、着用シーンに応じて選べるのも魅力だ。全体として、現代的な時計が持つ利便性や完成度を保ちながら、過去の名作に敬意を表した作りとなっている。

クラシック アヴィは、空をテーマにした時計のロマンを味わいたい人に向けたコレクションだ。視認性、耐久性、デザイン、すべてにおいてバランスが取れており、歴史と革新を同時に楽しめる1本として、ブライトリングのラインナップにしっかりとした存在感を放っている。

カシオウォッチ50周年記念カシオトロンの第3弾

カシオ計算機株式会社が時計製造の分野に進出してから、今年は50周年にあたる記念すべきタイミングだ。年の初めにカシオとして初の腕時計、カシオトロンが復刻したことを皮切りに、6月にはカシオの6ブランド(カシオトロン、G-SHOCK、オシアナス、エディフィス、プロトレック、Baby-G)を横串にした記念コレクションも発表された。普遍的でありながら常に変化する海と空、未来を照らす光をそれぞれブルーとゴールドで表した“SKY AND SEA”コレクションは高い人気を博し、発表から間もなく全モデルが完売。ますます勢いを増すカシオのアニバーサリーイヤーを後押しするように、10月8日(火)に新たな周年記念コレクションがリリースされる。前回同様にカシオ6ブランドの合同企画であり、“ZERO TO ONE”のコンセプトのもとに暗闇(0)とそのなかに光る灯火(1)をブラックとゴールドの掛け合わせで表現した。このコンセプトは、時代のニーズを的確に捉えながら独自の発想と革新的な技術で実現してきたカシオのものカルティエスーパーコピー代引き激安づくり精神を表しており、カシオのこれからの50年を想起させるものとなっている。

そして、先の2回のカシオトロンを購入できなかったあなた(僕もだが)に朗報だ。今回のZERO TO ONEコレクションには、黒金カラーのカシオトロンがラインナップされた。ケースとブレスレットの全面にブラックIPを施し、フロントビューではベゼルとダイヤル上のロゴにのみあしらわれたゴールドカラーがアクセントとなっている。また、前回のSKY AND SEAコレクションでは3つ折れ式プッシュバックルの中留めに“50th Anniversary”の刻印を施したゴールドのパーツを採用していた。その際、表面から見えない中留めパーツをゴールドとしたのは目立たせたくなかったからだとカシオから聞いたが、本作では12時側のブレスレットの途中のコマにゴールドを落とし込んでいる。これは暗闇(ブラックIP)のなかの灯火をイメージしたとのことで、装着した手首を回すと地平から朝日が昇ってくるようにゴールドのコマが現れるのがおもしろい。

スペックはそのほかのカシオトロンと変わらない。タフソーラーや標準電波受信機能(マルチバンド6)に加え、ストップウォッチやタイマー、ワールドタイムも備える。アプリ上で各種設定を行えるスマートフォンリンク機能も健在だ。防水性能は5気圧で、7万7000円(税込)で販売される。前コレクションのTRN-50SSから7000円ほどのプレミアムが発生しているが、ケースとブレス全体にIP処理を施していることを考えれば納得だ。

ケースバックには、0から1を生み出し続けてきたカシオのものづくり精神になぞらえて、周年記念ロゴを囲むように0と1が配されている。

ファースト・インプレッション
過去2作のカシオトロンも素晴らしかったが、個人的には今回のリリースを待ってましたと大いに歓迎したい。TRN-50の色調も初期のカシオトロンにオマージュを捧げた復刻の第1弾にふさわしいものだったが、黒金の配色をまとうことでブレス一体型ケースのスタイリッシュさがより強調されているように感じる。ネガ液晶という選択も、ブラックダイヤルに馴染んでおり素晴らしい(その視認性については実機で確認したい)。過去のモデルで主張が強かったフルーテッドパターンのフランジも、ブラックになることでやや控えめになっている。

僕が特に気に入ったのは、ブラックに対するゴールドの配分だ。黒金は過去にも主にG-SHOCKで多く見られた配色だが、ストリートをターゲットとしていたそれらのモデルに対して、ZERO TO ONEコレクションではあえてポイントを絞ってゴールドを使用。結果としてギラついた印象はなく、高級感が生まれている。

カシオトロンは間違いなく、カシオ時計製造50周年において象徴的な存在であった。来年以降、カシオトロンが何らかの形でリリースされ続けるかは現段階でまったくの不明だ。過去2モデルがすでに完売状態であることから、このTRN-50ZEがカシオトロンを手にいれる最後のチャンスとなるかもしれない。僕はすでに1度サンプルを試す機会を得ているのだが、ブラックが主体で少々重厚感のあるTRN-50ZEは秋冬のレザーブルゾンやダークトーンのコートなどとも相性がよさそうだし、2月の復刻時からプライス以上の質感を持つと評されていたブレスは着用感もいい。

なおZERO TO ONEコレクションにおいては、通常ラインでの発表と同時の公開となったG-SHOCK 2100シリーズのフルメタルクロノグラフモデルや、先のコンセプトモデルの技術を引用したオシアナスなど取り上げるべきモデルが揃っている。特にオシアナスについては(完売前に)Hands-Onをしたいと思っているので、期待していて欲しい。

基本情報
ブランド: カシオ
モデル名: カシオトロン カシオウオッチ50周年記念モデル
型番: TRN-50ZE-1AJR

直径: 39.1mm
厚さ: 12.3mm
ケース素材: SS(ブラックIP)
文字盤色: ブラック
インデックス: STN液晶
夜光: LEDバックライト
防水性能: 5気圧防水
ストラップ/ブレスレット: SS(ブラックIP)
追加情報: モバイルリンク(自動時刻修正、簡単時計設定、ワールドタイム約300都市+オリジナルポイント、タイム&プレイス、リマインダー、携帯電話探索)、ワールドタイム、タフソーラー、電波受信機能、タイマー、ストップウォッチ、アラーム、フルオートカレンダー

価格 & 発売時期
価格: 7万7000円(税込)
限定: 限定あり(本数非公開)

日本のパテック フィリップ カラトラバの帝王、

時計愛好趣味にのめり込むほど、細部までこだわるコレクターの素晴らしさを理解できるようになるものだ。コレクションを構築する方法は人それぞれではあるが、注目を浴びるようなレアピースへの愛情はさておき、自分が見ているものが何なのかを理解しているときこそ、そのように“意図”を感じるコレクションのなかでもっとも静かで控えめなピースこそが印象に残ることが多い。このような時計コレクターのことを知りたい思っている人なら、東京を拠点とする時計コレクターであり時計ディーラーでもあるジョン・ナガヤマ(永山寿一)氏のことはすでにご存じのことだろう。

John Nagayama
彼の時計がヴィンテージウォッチ愛好家たちのInstagramのストーリーでシェアされるのを以前から目にしていたが、正直、自分が見ているものの実体を理解するのに時間がかかった。永山氏はパテック フィリップに的を絞り、シェアする時計は厳密に定義されたカラトラバから奇妙な形状のモデル、さらには定番のノーチラスまでほぼすべてがタイムオンリー(時刻表示のみ)のシンプルな時計のみで、そのほとんどが1980年以前(あるいはずっと前の時代)製のものだ。一般の時計愛好家にとって、彼が見せる時計の多くは美しくもシンプルに見えるかもしれない。しかし、やがて彼が言うところの最も“シンプル”な時計ですら、(平均して見ても)まったくもって狂気の逸品であることが理解できるようになるはずだ。

永山氏は彼が愛する時計が憑依したかのごとく、本当に届くパテックフィリップスーパーコピー 代引き物静かで控えめな性格だが、彼の情熱はその雰囲気とは裏腹に伝わってくる。オークションで彼に何度か会ったことがあり、いつも楽しい会話を交わしているが、その一部をみなさんと分かち合いたいと思っていた。もちろん、そのような情熱と知識は一朝一夕に身につくものではない。

「時計収集歴は35年です。この仕事を始めたのが2006年ですから、時計ディーラーになって18年になります。それ以前はアメリカやオーストラリアなどから商品を輸入する総合商社に勤めていました。時計コレクションを始めたころにRef.96を購入し、その後“トップハット(Ref.1450)”を入手。それからすぐにコンプリケーションに興味が移りました。たとえばワールドタイム Ref.1415やクロノグラフ Ref.130、そしてRef.2499ですね。Ref.2499を買える人は日本ではとても限られているので、商売としてはあまり成立しませんでした。その1、2年後、私はタイムオンリーのパテック専門で収集することに決めたのです」

「ほかと比べてヴィンテージのパテック フィリップはとてもよくデザインされていて、プロポーションもいいと思いますね。Ref.3796のようにリューズが小さく、フォントが大きくなった後期のリファレンスと比べても、ヴィンテージモデルは熟考のうえデザインされているんです。初期の作品はダイヤルがとても重要です。そして50年代、60年代になるとケースがより重要になってきます」

長年にわたって日本はヴィンテージ カラトラバのメッカとされてきた。とりわけRef.96やのちのRef.3796(市場の需要や嗜好のため限定モデルがいくつかリリースされた)のような小径モデルは顕著だった。2024年初めに永山氏は1932年から1973年まで製造された、この象徴的な時計に関する書籍を出版した。文中、このような小ぶりな(30-31mm)パテックが日本のコレクターに好まれたのは彼らの手首が細かったからだと分析している。しかしここ数年、Ref.96のマーケットは急成長した。永山氏は創業当初はほぼ日本市場のみを対象としていたが(つまり実店舗での販売のみ)、現在では販売の多くをオンラインが占め、日本と世界の顧客が半々といった構成になっている。

John Nagayama
プラチナ製のパテック Ref.96 ダイヤモンドインデックス。昨年、モナコ・レジェンド・グループの春のオークションで見かけた個体だ。永山氏に直接会うのは今回が初めてだったが、この時計は期待を裏切らなかった。

彼のInstagramをざっと眺めただけでもセクターダイヤル(および“ルーレット”ダイヤル)と彼の希少なコレクションの背後に控えている大量の“Not For Sale(非売品)”に向けられた情熱が見て取れる。多くのディーラーは道義上最高の時計を独り占めにはできないと言うだろう。ベスト・オブ・ベストを買えないとなれば、顧客は不満を募らせるかもしれない。しかし永山氏ははっきり言い切る。クライアントのために本当にいいものを探すことはできるが、自分のためにも欲しいものがあるのだ。「私は本質的に時計コレクターなんですよ」

「今でも見たことのない個体を見つけることがありますが、多くの場合は直感によるものですね」と彼は教えてくれた。「最近、見つけた30年代のRef.457は書籍にもインターネットにも載っていませんでした。でも、プライベート・アイズの遠藤さんがInstagramでシェアしていたので、彼に電話して“欲しい”と伝えたのです」

上記のことから、日本滞在中に永山氏と彼のホームグラウンドで会い、彼の膨大な、しかし厳選されたコレクションのなかで最も特別で貴重な時計は何なのかを確かめなければならないと思った。銀座の北側にある本石町という小さなエリアにある小さな店に彼は私を招き入れ、腰を下ろして彼が最も愛するコレクションを見せてくれた。

彼の4本
パテック フィリップ Ref.3417A “アンチマグネティック” ラジウムダイヤル
私たちはまず4本の時計のなかでおそらく最も目を引くであろう、アイコニックなパテック フィリップ Ref.3417を皮切りに会話を始めた。比較的モダンな35mm径のケースと美しい“Amagnetic(耐磁)”表記を持つRef.3417Aはコレクターに人気のリファレンスであり、標準的なRef.3417は日常的に着用できるヴィンテージパテックの候補となるだろう。しかしこの個体は標準仕様のRef.3417ではない。

Patek ref. 3417 Antimagnetic Luminous
「この時計のことは長いあいだ知っていましたが、見つけるのは不可能だと思っていました。確か6本しか知られていないはずです」と彼は言う。「しかしこの時計が10年ほど前に日本のヴィンテージオークションに出品されたので、私はすぐに手に入れました。この時計はもともと日本に納品されたもので、おそらく私が2人目のオーナーだと思います」

Patek ref. 3417
「ほかのヴィンテージパテックとはまったく違いますね。似ても似つかないから、どうやって思いついたのか、デザイナーが誰なのかすら分かりません。一方でこれほどつけやすいヴィンテージパテックはありません。夏でもつけられますしね」と34℃、湿度約70%の、うだるような熱気のなか彼は言った。「この特別仕様の存在を知ったら、これを手に入れるか、何も持たないかの二者択一だと思ったのです」

Patek ref. 3417
黄色く経年変化した夜光の組み合わせ、非常にエレガントなフォント、大胆でスタイリッシュなアラビア数字を見れば、その理由は容易に理解できる。この時計の6本のバリエーションのうちの1本を所有するだけでは十分でないと言うかもしれないが、彼が持っていたのはこれだけではない。彼の販売サイトでは少し前に別の個体が売りに出されていたからだ。

パテック フィリップ ホワイトゴールド製Ref.2555
見た目以上の時計がここにある。一見するとスタンダードな比較的小型の32mm径で、美しく経年変色したダイヤルを持つセンターセコンド仕様のカラトラバに見えるだろう。フラットベゼル、ファセットインデックス、ドーフィン針...すべてのデザインが1950年代のパテック然としている。まさしくそのとおりだ。しかし手に取ると少し重みがあり、スティール(SS)製のパテックではないことは確かだ。そして裏返すと、特別な作品を手にしていることに気づく。

Patek ref. 2555
「これは市場に2本しか存在しないホワイトゴールド(WG)製のRef.2555のうちの1本で、もう1本はブレスレット一体型仕様となっています。つまり、ストラップ仕様はこの1本だけなのです」と彼は言う。この時計がおそらく唯一無二の存在であることを文章で表すと膨大な量になる。私がジョンから連想する“知る人ぞ知る”という言葉を完璧に体現する個体であり、存在として別格かつ控えめであることを除けばこの時計についてそれ以上言うことはない。

「この時計は90年代の初めか半ばにサザビーズで販売された個体です。シェルマンが買い取ったのだと思います。彼らのウェブサイトのアーカイブにはまだこの時計が掲載されていますからね。やがてコレクターの手に渡り、最終的に私が手に入れるに至りました」

Patek 2555G
パテック フィリップ Ref.439 ピンク・オン・ピンク “エベラール・ミラノ”
カラトラバの帝王と呼ばれるにもかかわらず、私を驚かせたのは永山氏がここまでカラトラバの厳密な定義に当てはまるような時計を1本しか見せてくれなかったことである。というのも彼はあらゆる格別なタイムオンリーのパテックも喜んでコレクションしているからだ。たとえば1920年代後半に作られたピンク・オン・ピンクの“タンク”スタイルの時計はそのひとつである。

Patek ref. 439
この時計は永山氏が比較的最近手に入れたものだ。イタリアのディーラー、アンドレア・フォッフィ(Andrea Foffi)氏がInstagramに投稿しているのを見て、1年も前に購入したという。プライベート・アイズで購入した時計についても彼が言っていたように直感的に思い立ち、すぐに連絡を取ったという。私はジョン氏といえばWネームの時計を連想するが、これはその時代のスタンダードなものを別次元に引き上げるいい手法だ。このRef.439はピンクゴールド(PG)のケースにピンクダイヤルを組み合わせた少し風変わりな時計であり、エベラール・ミラノの文字が華を添える。

パテック フィリップ SS製Ref.96 “E. ボナール” オブザバトリーダイヤル
Wネームといえば、現存する最も伝説的なRef.96に触れねばならない。Ref.96は40年近く製造され、おそらく何百種類もの仕様違いが存在する。SSとプラチナ(Pt)ケースのRef.96はおそらく最も切望されているもののひとつだろう。ブレゲ数字やダイヤモンドインデックスが、その希少性をさらに高める。しかしRef.96の最も象徴的なバリエーションはセクターダイヤルだ。特に永山氏が好むところである。そのダイヤルスタイルさえも、いくつかのパターンが存在する。

Patek ref. 96 Observatory
“オブザバトリーダイヤル”を持つRef.96(9時位置にスモールセコンドを配する)は5本しかなく、すべてSS製で、ダイヤルに刻印があるのは2本だけである。2014年、アンティコルムで1本の“オブザバトリーダイヤル”が11万1750スイスフラン(当時の日本円で約1300万円)で落札された。その時計は夜光針、5分間隔の夜光トラックとインデックス、ドット、3時位置に円形に描かれた刻印を持つ奇妙な構成だった。ところで、“E. ボナール”とはどんな小売業者だったか疑問に思わないだろうか。実は、小売業者などではなかったのである。

ボナール氏はこのRef.96を特別注文したパテックの顧客であり、スイスに引退したフランス人医学教授、エミール・シャルル・ボナール(Emile-Charles Bonnard)という人物であった。もうひとつのオブザバトリーダイヤルを持つRef.96にも“M. Berphaudin”の刻印がある(タイプミスか、あるいはジュネーブ最大のワインディーラーのひとりであるマルセル・ベルトーダンのために作られた、過度にクリーニングされた時計かのどちらかだろう)。実際ベルトーダンとボナールは親戚関係にあり、この時計は1936年から1991年までボナール家に保管されていた。

Patek ref. 96 Observatory
「この時計は何年も前にサザビーズとアンティコルムによって何度も買い付けられてきて、長い年月を経ています。最後の所有者はイタリアのディーラーで、自分のために購入したそうです。でも、彼はFacebookにこの時計をシェアしてしまったんです」と永山氏は言う。今回わかったのは、SNSに投稿すれば彼がそれを見つけ、最終的には彼が見つけて“ゲームオーバー”になるということだ。

「先方は最初は売りたがらなかったのですが、私が説得しました」と彼は続ける。「まあ納得してくれたものの、当時でも大金でしたね。それが15年前のことです。今では年に1回つけるくらいです」

金額の問題ではないが、このような本当に希少で“シンプル”なヴィンテージパテックがどれほどの値段で取り引きされているのか、人々はあまり理解していないと思う。1991年でさえ、アンティコルムで1万4000スイスフラン以上という当時としてもかなりの金額で売られていたのだ。今日の価値に興味がある人のために私が大まかな金額を提示すると、永山はためらうことなく同意した。 その金額とは20万ドル(日本円で約2900万円)だ。そう、今オークションに出せばRef. 96がそれほどの金額になるということだ。

もうひとつ
川瀬巴水による浮世絵版画 「妙本寺」
20世紀の日本で最も重要かつ多作な版画家のひとりである、川瀬巴水の見事な浮世絵版画を何げなく撮っただけの写真で申し訳ない。反射しやすいガラスのオブジェを写真に撮るのはなかなか難しいものだが、実際に見るとこの版画は輝いている。

パテックフィリップコピー 代金引換優良サイト風景や自然にインスパイアされた浮世絵の伝統を受け継いで40年のキャリアを持つ川瀬巴水は日本文化への貢献が認められ、日本政府から人間国宝に選ばれた。彼の作品に少しでも触れれば、その理由が分かるだろう。このような木版画のディテール、コントラスト、色彩の深さは、なかなか出せるものではない。私はウィスコンシン州の木版画家のギャラリーを訪ねて育ったので、巴水の作品を実際に見ることは信じられないほど特別な機会だった。さらに特別だったのは、これが木版画家の作品のなかで最も切望されている初版であるという事実だ。

スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)は20世紀に浮世絵に革命を起こした新版画のコレクターとして知られ、巴水の作品を誰よりも愛していた。永山氏にとってもっと重要だったのは、彼の祖父も巴水の版画を収集していたという事実だった。それが永山氏の巴水作品への情熱の始まりだった。この版画は永山氏の鎌倉の自宅から歩いて10分のところにある妙本寺を表したもので、芸術が持つさまざまな側面を見事に表現している。

スピードマスター、ホイヤー カレラ、そしてオリンピッククラブ用のC.L.ギナーン

“ロレックス、パテック、カルティエばっかりだな”と心のなかで(もしかしたら、口に出して)思ったことがあるなら、今回はまさにあなたのための内容である。そしてもしヴィンテージのビッグ3がどうしても気になって仕方がない人のために、来週にはきっとそれぞれを取り上げることになるだろう。今週はちょっと、ほかの子たちに遊ばせてあげようじゃないか。

前回の記事を締めくくるために、結果を報告しておこう。口コミ第1位のスーパーコピー代引き専門店ある聡明なコレクターが1954年製のゼニス Cal.135に対して妥当なオファーを提示し、3999ドル(日本円で約60万円)以下というお手ごろ価格で買い取った。また、ギャレットが製造したと思われるルガンのクロノグラフは1029ドル(日本円で約15万円)で、ボックスと未記入の書類が付いたホイヤー モンツァは3250ドル(日本円で約48万円)で落札された。いずれもeBayの宝石と言えるほど素晴らしいものだった。最後に、数週間前に紹介したロレックス サブマリーナー Ref.6200は、サブダイアル(Subdial)で17万5000ポンド(日本円で約3390万円)でリストされている。

それではロレックス、パテック、カルティエ以外のピックに入っていこう!

オメガ 宇宙で使用されたスピードマスター プロフェッショナル Ref.145.022、1975年製
A Omega Speedmaster
NASAの宇宙飛行士エドガー・ミッチェル(Edgar Mitchell)が宇宙で使用したロレックス GMTマスターがRRオークションで話題となっている一方で(詳しくはトニーの記事を参照)、今回のオークションにはほかにも注目すべき時計が出品されている。フランスの宇宙飛行士ジャン=ルー・クレティエン(Jean-Loup Chrétien)氏も時計好きのようで、少なくとも1988年のフランス・ソ連共同のアラガッツ・ミッションではそうだったようだ。アラガッツは興味深いミッションで、すべての詳細は省略するが簡単に言うとクレティエン氏はこのミッションでソ連の宇宙ステーション、ミールに3週間滞在した。これはソ連が友好国ではない国の宇宙飛行士を、宇宙ステーションに迎え入れた初めての例であり、クレティエン氏の滞在は当時ソ連人でもアメリカ人でもない宇宙飛行士による最長の宇宙飛行であった。アラガッツで最もよく知られているのは、1988年12月9日にクレティエン氏が行った5時間57分(!)にもおよぶ宇宙遊泳で、これはソ連人でもアメリカ人でもない宇宙飛行士による初の宇宙遊泳としてよく知られている。

さて、クレティエン氏が時計好きだったと言ったのは、彼がミッション中ほとんどの写真で両腕に時計をつけているからだ! さらに証拠となるのが、この驚くべきミール船内での写真だ。そう、彼は左手にスピードマスター、右手にイエマ スパシオノート IIIをつけながら、さらに3本のスピードマスターを操っているのだ。この写真を今まで見たことなかったのが信じられない!

とくにスピードマスターについて言えば、そのシリアルナンバーから製造年が1975年と判明しており、これはアラガッツ・ミッションのはるか前につくられたことになる。この時計自体が真のヴィンテージスピードマスターの雰囲気を醸すのが興味深い。たとえば、もしこの時計がミッションのあった時期、つまり10年後に製造されたものであったなら、夜光のパティーナがここまで進んでいなかっただろう。というのもパティーナが進行する時間が短かっただけでなく、オメガの夜光塗料の配合はスピードマスターのモデルごとに常に変化していたからだ。一般的に、1970年代中頃のモデルは深く焼けた黄色のパティーナであることが多いのだが、1980年代中頃のものは白っぽいままか、緑がかった色に変化する傾向がある。

An Omega Speedmaster
このスピードマスターはミッションのはるか前に入手された、もしくは少なくとも製造されたものであるが、クレティエン氏が頻繁に着用していた様子は見受けられない。確かに、いくつかの打痕や傷(特にケースバックに)など目立つものがあるが、ケース側面にはオリジナルのサテン仕上げが残っており、裏蓋の縁には赤いワックスシールが少し残っている。このシールは製造時に施されたもので、破れていなければ時計は1度も開封されていないことを示す。ここではシールの大部分が失われているが、それでも赤いワックスの一部が残っているということは、あまり使用感がないことを物語っている。

このような由来を持つ時計は一般的に比較が難しい。結局のところ、これは数少ない宇宙飛行や宇宙で実際に使用されたオメガ スピードマスターのひとつであり、宇宙時計の代名詞ともいえるモデルを個人が所有できる貴重な機会である。よく知られているように、NASAで使用されたスピードマスターの大多数は米国政府の所有物であり、市場に出回ることは極めてまれだ。もし販売を持ちかけられたら慎重になるべきである。たとえば2015年のクリスティーズで、宇宙飛行士ロナルド・エヴァンス Jr.(Ronald Evans, Jr.)のスピードマスターが24万5000ドル(日本円で約3620万円)で落札された例や、2022年のフィリップスでさらに高額だった2件の落札例(こちらとこちら)を挙げることができる。いずれもNASAに納品されたが、宇宙で使用されたわけではない。一方クレティエン氏のスピードマスターはNASA以外の宇宙ミッションで使用されたものであり、まったく異なる存在だ。この時計の行方は、これからの動向を見守る必要があるだろう。

ジャン=ルー・クレティエン氏のオメガ スピードマスターは、RRオークション、Space auctionにてロット6514として出品。オークションは東部時間の10月24日(木)午後7時に終了する予定だ。事前の見積もり価格は3万ドル(日本円で約440万円)以上で、この記事の公開時点の入札額は1万3915ドル(日本円で約205万円)に達していた。

ホイヤー カレラ Ref.2447N セカンドエグゼキューション、1970年代製
A Heuer Carrera
文学の世界では、古典が古典と呼ばれるのには理由があるという有名な言葉がある。通常、文学作品が古典と呼ばれるのは、それが過去や現在のどの作品よりも優れている点があるからだ。ジャック・ホイヤーの初代カレラもまた、そのようなクラシックウォッチである。1960年代から1970年代初頭のカレラほど、シンプルで視認性の高いスポーツクロノグラフを見事に実現した時計はない。そしてそれは偶然ではない。ジャック・ホイヤーは視認性に強いこだわりを持っていた。彼はチューリッヒのスイス連邦工科大学で視認性に関する講義を受講したあと、時計のデザインにおいて何よりもダイヤルの読みやすさを最優先したのだ。この考えにより、ダイヤル上に複数の目盛りやレジスターを配置する必要はないという結論に至り、全体的にクリーンなデザインのほうが美しいと気づいた。この発想は今日では当たり前のように思えるかもしれないが、1960年以前のクロノグラフデザインを振り返ると、“スネイル”スケールや複数のアウタートラックが一般的であったため、これは非常に革新的なアイデアだった。

初代カレラはシルバーダイヤルかブラック(フランス語で“ノワール”)ダイヤルの2種類があり、シルバーダイヤルは2447S、ノワールダイヤルは2447Nとして知られている。本日紹介するのはノワールダイヤルのモデルで、コレクターのあいだでは第2世代モデルとして知られている。第1世代と比較すると、主な違いは針に黒いインサートが追加されている点や、わずかに幅広になったアワーインデックスなど、ダイヤルの細かな調整が見られる。

このカレラは、eBayで“storagefinds2u”というセラーによって出品されたもので、長年市場に出ることなく放置されていた新鮮な例のようだ。出品者名がそのヒントになっているが、私が注目したのはヴィンテージのシングルパスナイロンストラップだった。販売のために手入れや装飾されたりしていないことは明らかで、出品者は時計をまともに撮影することさえほとんど気にかけていないようだ。過去のBAL(Bring a Loupe)でもお分かりかと思うが、私はeBayの粗い写真にちょっとしたこだわりがある。どうか私を信じて欲しい。私はeBayで数多くの時計を購入・評価してきたので、下手に撮られた写真を見抜くコツは心得ている。最終的には手を加えられていない時計を好むし、こうして掘り出し物を見つけるのだ。

A Heuer Carrera
写真から確認できるのは、しっかりとしたラインの美しいケース、正しくホイヤーのサインが入ったリューズ、ダイヤル上の夜光プロットがすべて揃っているように見えること、そして見た目にクリーンなバルジューCal.72だ。それだけで十分だ。もしムーブメントにメンテナンスが必要ならそうすればいい。

オレゴン州クラマスフォールズのeBay出品者が、このホイヤー カレラ Ref.2447Nを10月8日(水)午前4時37分(東部標準時)に終了するオークションに出品した(アラームをセットして!)。この記事が投稿されたとき、入札は7199ドル(日本円で約105万円)に達していた。出品リストはこちらから。

おまけとして、カレラよりも少しあとのアイテムにはなるが、このヴィンテージタグ・ホイヤーとギュベリンのコラボレーションキャップもぜひチェックして欲しい!

ムルコ バックル カクテルウォッチ ホワイトゴールド製 サファイア付き(?)、1930年代製
A Mulco watch
今週気になったのは“バックル”風の隠しダイヤルを備えた一品、アール・デコ調のムルコ製カクテルウォッチだ。最近、カルティエやピアジェといったブランドの奇抜なシェイプのヴィンテージウォッチが注目を集めているが、この流行が“あまり知られていない”ブランドにも波及するかどうか、興味がある。同じ時代に多くの興味深い時計をつくっていたブランドは少なくない。このムルコはおそらく1930年代から1940年代につくられたもので、特に女性用腕時計で見られた当時の大きなトレンドを反映している。男性よりも先に女性が腕時計を身につけ始めたのは知られているが、初期のデザインには繊細さが重要視されていたことが見て取れる。今とは違い、当時の腕時計は実用的なものであり、時間を知るときにしか時計が目立たないようなデザインが求められていた。この時代に流行していた時計は、きわめて小さいかムルコのように隠しダイヤルを持っていた。時刻を知るときだけ、それを確認できるように設計されていたのだ。

この時代にはカルティエ、パテック フィリップ、ロレックスなど、ほぼすべてのブランドから隠しダイヤルの時計が登場している。カルティエはタンク オビュ サボネットでこのアイデアを男性用時計にも広げており、ジャガー・ルクルト レベルソのとくに小さなサイズに関しては、日常的に使える隠し時計といえるだろうという主張もある。

A Mulco watch
このムルコは、一見シンプルなブリックリンクブレスレットに見えるようにデザインされており、時計ケースの一端にはピンバックルのディテールが施されている。キーパー(遊環)の下に収納された“ストラップ”の“余分な”部分を持ち上げると、シンプルで無銘のアール・デコ調ダイヤルが現れる。この時代の時計でホワイトゴールド製のものはとても珍しく、それがこの時計をさらに興味深いものにしている。また出品者によると、“時計”の上部には3つの“青い石”が装飾されているとのことだ。私は宝石の専門家ではないため、これを読んでいる誰かがこれをサファイアかどうか識別できるかもしれない。

ミシガン州ドールのeBay出品者が、この隠しダイヤルのムルコを出品しており、オークションは10月6日(月)午前11時44分(東部時間)に終了した。この記事が掲載された時点では、開始価格の2799.99ドル(日本円で約40万円)に対して入札はまだなかった。

C.L.ギナーン スプリットセコンド クロノグラフ懐中時計 オリンピッククラブ用、1918年年製
A CL Guinand pocket watch
1860年に設立された、カリフォルニア州サンフランシスコにあるオリンピッククラブは、アメリカで最も古いスポーツクラブである。市内にあるクラブハウスはサンフランシスコのトップアスリートたちのトレーニング拠点として知られていた。クラブにはヘビー級ボクシングチャンピオンのジェームズ・J・コルベット(James J. Corbett)などの著名なメンバーが在籍しており、1909年にはクラブメンバーであるラルフ・ローズ(Ralph Rose)が砲丸投げで51フィート(約15cm)という世界記録を樹立した。今日、このクラブが最も有名なのはゴルフである。1924年にオープンしたウィリー・ワトソン(Willie Watson)設計のレイクコースは、ボビー・ジョーンズ(Bobby Jones)が“西部で最高”と称したコースであり、これまでに5回の全米オープンが開催された。

An olympic club athlete
オリー・スネディガー(Ollie Snedigar)

ロレックススーパーコピー代引き 口コミ第1位このC.L.ギナーンのポケットウォッチのカバーには、オリンピッククラブの“ウィング・オー”ロゴが描かれている。これはゴルフ界でもっとも象徴的なロゴのひとつである。ゴルフ愛好家の私はこのロゴがきっかけで商品をクリックしたが、調べていくうちにますます引き込まれた。この懐中時計のオリンピッククラブに関する部分を見ると、内側のケースバックに“O.F.”、つまりオリー・スネディガーの刻印がある。これは1918年5月1日に“同クラブの総合チャンピオンアスリート”として、この時計を授与されたと考えられる。スネディガーは非常に優れた人物で、そのスポーツ実績には1904年のオリンピック出場や、1914年の“カリフォルニア州総合アスリートチャンピオン”の称号を獲得するなど、かなりの実力者であった。スネディガーは私が調べた限りでは、デカスロン(十種競技)に似た陸上競技に出場していたようだ。

An olympic club pocket watch
さて、時計そのものについて話そう。まずはすでに触れた手彫りの美しさから始めたい。オリンピッククラブのロゴや刻印はきわめて精巧で、美しさに引かれてこの時計を買いたくなるほどだ。時計の製造元であるC.L.ギナーンは、1800年代後半にスイスのル・ロックルを拠点にクロノグラフの専門家として名を馳せたブランドだ。スネディガーのようなアスリートや、オリンピッククラブのような運動競技団体にとって、C.L.ギナーンはまさに理想的な組み合わせである。1918年の時点で、同ブランドは世界でも最高のスプリットセコンドクロノグラフメーカーのひとつとされていた。これは陸上競技選手にとってはこの上ないよろこびである。

A CL Guinand pocket watch
オレゴン州ローズバーグのeBay出品者が、このC.L.ギナーンを即決購入(Buy It Now)にて3950ドル(日本円で約60万円)で出品していた。私はこの商品を約1週間チェックしていたが、そのあいだに出品者から2950ドル(日本円で約45万円)という割引オファーを受け取った。これをどう活用するかはお任せする。