十和田市サッカー協会 第3種委員会

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カシオウォッチ50周年記念カシオトロンの第3弾

カシオ計算機株式会社が時計製造の分野に進出してから、今年は50周年にあたる記念すべきタイミングだ。年の初めにカシオとして初の腕時計、カシオトロンが復刻したことを皮切りに、6月にはカシオの6ブランド(カシオトロン、G-SHOCK、オシアナス、エディフィス、プロトレック、Baby-G)を横串にした記念コレクションも発表された。普遍的でありながら常に変化する海と空、未来を照らす光をそれぞれブルーとゴールドで表した“SKY AND SEA”コレクションは高い人気を博し、発表から間もなく全モデルが完売。ますます勢いを増すカシオのアニバーサリーイヤーを後押しするように、10月8日(火)に新たな周年記念コレクションがリリースされる。前回同様にカシオ6ブランドの合同企画であり、“ZERO TO ONE”のコンセプトのもとに暗闇(0)とそのなかに光る灯火(1)をブラックとゴールドの掛け合わせで表現した。このコンセプトは、時代のニーズを的確に捉えながら独自の発想と革新的な技術で実現してきたカシオのものカルティエスーパーコピー代引き激安づくり精神を表しており、カシオのこれからの50年を想起させるものとなっている。

そして、先の2回のカシオトロンを購入できなかったあなた(僕もだが)に朗報だ。今回のZERO TO ONEコレクションには、黒金カラーのカシオトロンがラインナップされた。ケースとブレスレットの全面にブラックIPを施し、フロントビューではベゼルとダイヤル上のロゴにのみあしらわれたゴールドカラーがアクセントとなっている。また、前回のSKY AND SEAコレクションでは3つ折れ式プッシュバックルの中留めに“50th Anniversary”の刻印を施したゴールドのパーツを採用していた。その際、表面から見えない中留めパーツをゴールドとしたのは目立たせたくなかったからだとカシオから聞いたが、本作では12時側のブレスレットの途中のコマにゴールドを落とし込んでいる。これは暗闇(ブラックIP)のなかの灯火をイメージしたとのことで、装着した手首を回すと地平から朝日が昇ってくるようにゴールドのコマが現れるのがおもしろい。

スペックはそのほかのカシオトロンと変わらない。タフソーラーや標準電波受信機能(マルチバンド6)に加え、ストップウォッチやタイマー、ワールドタイムも備える。アプリ上で各種設定を行えるスマートフォンリンク機能も健在だ。防水性能は5気圧で、7万7000円(税込)で販売される。前コレクションのTRN-50SSから7000円ほどのプレミアムが発生しているが、ケースとブレス全体にIP処理を施していることを考えれば納得だ。

ケースバックには、0から1を生み出し続けてきたカシオのものづくり精神になぞらえて、周年記念ロゴを囲むように0と1が配されている。

ファースト・インプレッション
過去2作のカシオトロンも素晴らしかったが、個人的には今回のリリースを待ってましたと大いに歓迎したい。TRN-50の色調も初期のカシオトロンにオマージュを捧げた復刻の第1弾にふさわしいものだったが、黒金の配色をまとうことでブレス一体型ケースのスタイリッシュさがより強調されているように感じる。ネガ液晶という選択も、ブラックダイヤルに馴染んでおり素晴らしい(その視認性については実機で確認したい)。過去のモデルで主張が強かったフルーテッドパターンのフランジも、ブラックになることでやや控えめになっている。

僕が特に気に入ったのは、ブラックに対するゴールドの配分だ。黒金は過去にも主にG-SHOCKで多く見られた配色だが、ストリートをターゲットとしていたそれらのモデルに対して、ZERO TO ONEコレクションではあえてポイントを絞ってゴールドを使用。結果としてギラついた印象はなく、高級感が生まれている。

カシオトロンは間違いなく、カシオ時計製造50周年において象徴的な存在であった。来年以降、カシオトロンが何らかの形でリリースされ続けるかは現段階でまったくの不明だ。過去2モデルがすでに完売状態であることから、このTRN-50ZEがカシオトロンを手にいれる最後のチャンスとなるかもしれない。僕はすでに1度サンプルを試す機会を得ているのだが、ブラックが主体で少々重厚感のあるTRN-50ZEは秋冬のレザーブルゾンやダークトーンのコートなどとも相性がよさそうだし、2月の復刻時からプライス以上の質感を持つと評されていたブレスは着用感もいい。

なおZERO TO ONEコレクションにおいては、通常ラインでの発表と同時の公開となったG-SHOCK 2100シリーズのフルメタルクロノグラフモデルや、先のコンセプトモデルの技術を引用したオシアナスなど取り上げるべきモデルが揃っている。特にオシアナスについては(完売前に)Hands-Onをしたいと思っているので、期待していて欲しい。

基本情報
ブランド: カシオ
モデル名: カシオトロン カシオウオッチ50周年記念モデル
型番: TRN-50ZE-1AJR

直径: 39.1mm
厚さ: 12.3mm
ケース素材: SS(ブラックIP)
文字盤色: ブラック
インデックス: STN液晶
夜光: LEDバックライト
防水性能: 5気圧防水
ストラップ/ブレスレット: SS(ブラックIP)
追加情報: モバイルリンク(自動時刻修正、簡単時計設定、ワールドタイム約300都市+オリジナルポイント、タイム&プレイス、リマインダー、携帯電話探索)、ワールドタイム、タフソーラー、電波受信機能、タイマー、ストップウォッチ、アラーム、フルオートカレンダー

価格 & 発売時期
価格: 7万7000円(税込)
限定: 限定あり(本数非公開)

日本のパテック フィリップ カラトラバの帝王、

時計愛好趣味にのめり込むほど、細部までこだわるコレクターの素晴らしさを理解できるようになるものだ。コレクションを構築する方法は人それぞれではあるが、注目を浴びるようなレアピースへの愛情はさておき、自分が見ているものが何なのかを理解しているときこそ、そのように“意図”を感じるコレクションのなかでもっとも静かで控えめなピースこそが印象に残ることが多い。このような時計コレクターのことを知りたい思っている人なら、東京を拠点とする時計コレクターであり時計ディーラーでもあるジョン・ナガヤマ(永山寿一)氏のことはすでにご存じのことだろう。

John Nagayama
彼の時計がヴィンテージウォッチ愛好家たちのInstagramのストーリーでシェアされるのを以前から目にしていたが、正直、自分が見ているものの実体を理解するのに時間がかかった。永山氏はパテック フィリップに的を絞り、シェアする時計は厳密に定義されたカラトラバから奇妙な形状のモデル、さらには定番のノーチラスまでほぼすべてがタイムオンリー(時刻表示のみ)のシンプルな時計のみで、そのほとんどが1980年以前(あるいはずっと前の時代)製のものだ。一般の時計愛好家にとって、彼が見せる時計の多くは美しくもシンプルに見えるかもしれない。しかし、やがて彼が言うところの最も“シンプル”な時計ですら、(平均して見ても)まったくもって狂気の逸品であることが理解できるようになるはずだ。

永山氏は彼が愛する時計が憑依したかのごとく、本当に届くパテックフィリップスーパーコピー 代引き物静かで控えめな性格だが、彼の情熱はその雰囲気とは裏腹に伝わってくる。オークションで彼に何度か会ったことがあり、いつも楽しい会話を交わしているが、その一部をみなさんと分かち合いたいと思っていた。もちろん、そのような情熱と知識は一朝一夕に身につくものではない。

「時計収集歴は35年です。この仕事を始めたのが2006年ですから、時計ディーラーになって18年になります。それ以前はアメリカやオーストラリアなどから商品を輸入する総合商社に勤めていました。時計コレクションを始めたころにRef.96を購入し、その後“トップハット(Ref.1450)”を入手。それからすぐにコンプリケーションに興味が移りました。たとえばワールドタイム Ref.1415やクロノグラフ Ref.130、そしてRef.2499ですね。Ref.2499を買える人は日本ではとても限られているので、商売としてはあまり成立しませんでした。その1、2年後、私はタイムオンリーのパテック専門で収集することに決めたのです」

「ほかと比べてヴィンテージのパテック フィリップはとてもよくデザインされていて、プロポーションもいいと思いますね。Ref.3796のようにリューズが小さく、フォントが大きくなった後期のリファレンスと比べても、ヴィンテージモデルは熟考のうえデザインされているんです。初期の作品はダイヤルがとても重要です。そして50年代、60年代になるとケースがより重要になってきます」

長年にわたって日本はヴィンテージ カラトラバのメッカとされてきた。とりわけRef.96やのちのRef.3796(市場の需要や嗜好のため限定モデルがいくつかリリースされた)のような小径モデルは顕著だった。2024年初めに永山氏は1932年から1973年まで製造された、この象徴的な時計に関する書籍を出版した。文中、このような小ぶりな(30-31mm)パテックが日本のコレクターに好まれたのは彼らの手首が細かったからだと分析している。しかしここ数年、Ref.96のマーケットは急成長した。永山氏は創業当初はほぼ日本市場のみを対象としていたが(つまり実店舗での販売のみ)、現在では販売の多くをオンラインが占め、日本と世界の顧客が半々といった構成になっている。

John Nagayama
プラチナ製のパテック Ref.96 ダイヤモンドインデックス。昨年、モナコ・レジェンド・グループの春のオークションで見かけた個体だ。永山氏に直接会うのは今回が初めてだったが、この時計は期待を裏切らなかった。

彼のInstagramをざっと眺めただけでもセクターダイヤル(および“ルーレット”ダイヤル)と彼の希少なコレクションの背後に控えている大量の“Not For Sale(非売品)”に向けられた情熱が見て取れる。多くのディーラーは道義上最高の時計を独り占めにはできないと言うだろう。ベスト・オブ・ベストを買えないとなれば、顧客は不満を募らせるかもしれない。しかし永山氏ははっきり言い切る。クライアントのために本当にいいものを探すことはできるが、自分のためにも欲しいものがあるのだ。「私は本質的に時計コレクターなんですよ」

「今でも見たことのない個体を見つけることがありますが、多くの場合は直感によるものですね」と彼は教えてくれた。「最近、見つけた30年代のRef.457は書籍にもインターネットにも載っていませんでした。でも、プライベート・アイズの遠藤さんがInstagramでシェアしていたので、彼に電話して“欲しい”と伝えたのです」

上記のことから、日本滞在中に永山氏と彼のホームグラウンドで会い、彼の膨大な、しかし厳選されたコレクションのなかで最も特別で貴重な時計は何なのかを確かめなければならないと思った。銀座の北側にある本石町という小さなエリアにある小さな店に彼は私を招き入れ、腰を下ろして彼が最も愛するコレクションを見せてくれた。

彼の4本
パテック フィリップ Ref.3417A “アンチマグネティック” ラジウムダイヤル
私たちはまず4本の時計のなかでおそらく最も目を引くであろう、アイコニックなパテック フィリップ Ref.3417を皮切りに会話を始めた。比較的モダンな35mm径のケースと美しい“Amagnetic(耐磁)”表記を持つRef.3417Aはコレクターに人気のリファレンスであり、標準的なRef.3417は日常的に着用できるヴィンテージパテックの候補となるだろう。しかしこの個体は標準仕様のRef.3417ではない。

Patek ref. 3417 Antimagnetic Luminous
「この時計のことは長いあいだ知っていましたが、見つけるのは不可能だと思っていました。確か6本しか知られていないはずです」と彼は言う。「しかしこの時計が10年ほど前に日本のヴィンテージオークションに出品されたので、私はすぐに手に入れました。この時計はもともと日本に納品されたもので、おそらく私が2人目のオーナーだと思います」

Patek ref. 3417
「ほかのヴィンテージパテックとはまったく違いますね。似ても似つかないから、どうやって思いついたのか、デザイナーが誰なのかすら分かりません。一方でこれほどつけやすいヴィンテージパテックはありません。夏でもつけられますしね」と34℃、湿度約70%の、うだるような熱気のなか彼は言った。「この特別仕様の存在を知ったら、これを手に入れるか、何も持たないかの二者択一だと思ったのです」

Patek ref. 3417
黄色く経年変化した夜光の組み合わせ、非常にエレガントなフォント、大胆でスタイリッシュなアラビア数字を見れば、その理由は容易に理解できる。この時計の6本のバリエーションのうちの1本を所有するだけでは十分でないと言うかもしれないが、彼が持っていたのはこれだけではない。彼の販売サイトでは少し前に別の個体が売りに出されていたからだ。

パテック フィリップ ホワイトゴールド製Ref.2555
見た目以上の時計がここにある。一見するとスタンダードな比較的小型の32mm径で、美しく経年変色したダイヤルを持つセンターセコンド仕様のカラトラバに見えるだろう。フラットベゼル、ファセットインデックス、ドーフィン針...すべてのデザインが1950年代のパテック然としている。まさしくそのとおりだ。しかし手に取ると少し重みがあり、スティール(SS)製のパテックではないことは確かだ。そして裏返すと、特別な作品を手にしていることに気づく。

Patek ref. 2555
「これは市場に2本しか存在しないホワイトゴールド(WG)製のRef.2555のうちの1本で、もう1本はブレスレット一体型仕様となっています。つまり、ストラップ仕様はこの1本だけなのです」と彼は言う。この時計がおそらく唯一無二の存在であることを文章で表すと膨大な量になる。私がジョンから連想する“知る人ぞ知る”という言葉を完璧に体現する個体であり、存在として別格かつ控えめであることを除けばこの時計についてそれ以上言うことはない。

「この時計は90年代の初めか半ばにサザビーズで販売された個体です。シェルマンが買い取ったのだと思います。彼らのウェブサイトのアーカイブにはまだこの時計が掲載されていますからね。やがてコレクターの手に渡り、最終的に私が手に入れるに至りました」

Patek 2555G
パテック フィリップ Ref.439 ピンク・オン・ピンク “エベラール・ミラノ”
カラトラバの帝王と呼ばれるにもかかわらず、私を驚かせたのは永山氏がここまでカラトラバの厳密な定義に当てはまるような時計を1本しか見せてくれなかったことである。というのも彼はあらゆる格別なタイムオンリーのパテックも喜んでコレクションしているからだ。たとえば1920年代後半に作られたピンク・オン・ピンクの“タンク”スタイルの時計はそのひとつである。

Patek ref. 439
この時計は永山氏が比較的最近手に入れたものだ。イタリアのディーラー、アンドレア・フォッフィ(Andrea Foffi)氏がInstagramに投稿しているのを見て、1年も前に購入したという。プライベート・アイズで購入した時計についても彼が言っていたように直感的に思い立ち、すぐに連絡を取ったという。私はジョン氏といえばWネームの時計を連想するが、これはその時代のスタンダードなものを別次元に引き上げるいい手法だ。このRef.439はピンクゴールド(PG)のケースにピンクダイヤルを組み合わせた少し風変わりな時計であり、エベラール・ミラノの文字が華を添える。

パテック フィリップ SS製Ref.96 “E. ボナール” オブザバトリーダイヤル
Wネームといえば、現存する最も伝説的なRef.96に触れねばならない。Ref.96は40年近く製造され、おそらく何百種類もの仕様違いが存在する。SSとプラチナ(Pt)ケースのRef.96はおそらく最も切望されているもののひとつだろう。ブレゲ数字やダイヤモンドインデックスが、その希少性をさらに高める。しかしRef.96の最も象徴的なバリエーションはセクターダイヤルだ。特に永山氏が好むところである。そのダイヤルスタイルさえも、いくつかのパターンが存在する。

Patek ref. 96 Observatory
“オブザバトリーダイヤル”を持つRef.96(9時位置にスモールセコンドを配する)は5本しかなく、すべてSS製で、ダイヤルに刻印があるのは2本だけである。2014年、アンティコルムで1本の“オブザバトリーダイヤル”が11万1750スイスフラン(当時の日本円で約1300万円)で落札された。その時計は夜光針、5分間隔の夜光トラックとインデックス、ドット、3時位置に円形に描かれた刻印を持つ奇妙な構成だった。ところで、“E. ボナール”とはどんな小売業者だったか疑問に思わないだろうか。実は、小売業者などではなかったのである。

ボナール氏はこのRef.96を特別注文したパテックの顧客であり、スイスに引退したフランス人医学教授、エミール・シャルル・ボナール(Emile-Charles Bonnard)という人物であった。もうひとつのオブザバトリーダイヤルを持つRef.96にも“M. Berphaudin”の刻印がある(タイプミスか、あるいはジュネーブ最大のワインディーラーのひとりであるマルセル・ベルトーダンのために作られた、過度にクリーニングされた時計かのどちらかだろう)。実際ベルトーダンとボナールは親戚関係にあり、この時計は1936年から1991年までボナール家に保管されていた。

Patek ref. 96 Observatory
「この時計は何年も前にサザビーズとアンティコルムによって何度も買い付けられてきて、長い年月を経ています。最後の所有者はイタリアのディーラーで、自分のために購入したそうです。でも、彼はFacebookにこの時計をシェアしてしまったんです」と永山氏は言う。今回わかったのは、SNSに投稿すれば彼がそれを見つけ、最終的には彼が見つけて“ゲームオーバー”になるということだ。

「先方は最初は売りたがらなかったのですが、私が説得しました」と彼は続ける。「まあ納得してくれたものの、当時でも大金でしたね。それが15年前のことです。今では年に1回つけるくらいです」

金額の問題ではないが、このような本当に希少で“シンプル”なヴィンテージパテックがどれほどの値段で取り引きされているのか、人々はあまり理解していないと思う。1991年でさえ、アンティコルムで1万4000スイスフラン以上という当時としてもかなりの金額で売られていたのだ。今日の価値に興味がある人のために私が大まかな金額を提示すると、永山はためらうことなく同意した。 その金額とは20万ドル(日本円で約2900万円)だ。そう、今オークションに出せばRef. 96がそれほどの金額になるということだ。

もうひとつ
川瀬巴水による浮世絵版画 「妙本寺」
20世紀の日本で最も重要かつ多作な版画家のひとりである、川瀬巴水の見事な浮世絵版画を何げなく撮っただけの写真で申し訳ない。反射しやすいガラスのオブジェを写真に撮るのはなかなか難しいものだが、実際に見るとこの版画は輝いている。

パテックフィリップコピー 代金引換優良サイト風景や自然にインスパイアされた浮世絵の伝統を受け継いで40年のキャリアを持つ川瀬巴水は日本文化への貢献が認められ、日本政府から人間国宝に選ばれた。彼の作品に少しでも触れれば、その理由が分かるだろう。このような木版画のディテール、コントラスト、色彩の深さは、なかなか出せるものではない。私はウィスコンシン州の木版画家のギャラリーを訪ねて育ったので、巴水の作品を実際に見ることは信じられないほど特別な機会だった。さらに特別だったのは、これが木版画家の作品のなかで最も切望されている初版であるという事実だ。

スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)は20世紀に浮世絵に革命を起こした新版画のコレクターとして知られ、巴水の作品を誰よりも愛していた。永山氏にとってもっと重要だったのは、彼の祖父も巴水の版画を収集していたという事実だった。それが永山氏の巴水作品への情熱の始まりだった。この版画は永山氏の鎌倉の自宅から歩いて10分のところにある妙本寺を表したもので、芸術が持つさまざまな側面を見事に表現している。

スピードマスター、ホイヤー カレラ、そしてオリンピッククラブ用のC.L.ギナーン

“ロレックス、パテック、カルティエばっかりだな”と心のなかで(もしかしたら、口に出して)思ったことがあるなら、今回はまさにあなたのための内容である。そしてもしヴィンテージのビッグ3がどうしても気になって仕方がない人のために、来週にはきっとそれぞれを取り上げることになるだろう。今週はちょっと、ほかの子たちに遊ばせてあげようじゃないか。

前回の記事を締めくくるために、結果を報告しておこう。口コミ第1位のスーパーコピー代引き専門店ある聡明なコレクターが1954年製のゼニス Cal.135に対して妥当なオファーを提示し、3999ドル(日本円で約60万円)以下というお手ごろ価格で買い取った。また、ギャレットが製造したと思われるルガンのクロノグラフは1029ドル(日本円で約15万円)で、ボックスと未記入の書類が付いたホイヤー モンツァは3250ドル(日本円で約48万円)で落札された。いずれもeBayの宝石と言えるほど素晴らしいものだった。最後に、数週間前に紹介したロレックス サブマリーナー Ref.6200は、サブダイアル(Subdial)で17万5000ポンド(日本円で約3390万円)でリストされている。

それではロレックス、パテック、カルティエ以外のピックに入っていこう!

オメガ 宇宙で使用されたスピードマスター プロフェッショナル Ref.145.022、1975年製
A Omega Speedmaster
NASAの宇宙飛行士エドガー・ミッチェル(Edgar Mitchell)が宇宙で使用したロレックス GMTマスターがRRオークションで話題となっている一方で(詳しくはトニーの記事を参照)、今回のオークションにはほかにも注目すべき時計が出品されている。フランスの宇宙飛行士ジャン=ルー・クレティエン(Jean-Loup Chrétien)氏も時計好きのようで、少なくとも1988年のフランス・ソ連共同のアラガッツ・ミッションではそうだったようだ。アラガッツは興味深いミッションで、すべての詳細は省略するが簡単に言うとクレティエン氏はこのミッションでソ連の宇宙ステーション、ミールに3週間滞在した。これはソ連が友好国ではない国の宇宙飛行士を、宇宙ステーションに迎え入れた初めての例であり、クレティエン氏の滞在は当時ソ連人でもアメリカ人でもない宇宙飛行士による最長の宇宙飛行であった。アラガッツで最もよく知られているのは、1988年12月9日にクレティエン氏が行った5時間57分(!)にもおよぶ宇宙遊泳で、これはソ連人でもアメリカ人でもない宇宙飛行士による初の宇宙遊泳としてよく知られている。

さて、クレティエン氏が時計好きだったと言ったのは、彼がミッション中ほとんどの写真で両腕に時計をつけているからだ! さらに証拠となるのが、この驚くべきミール船内での写真だ。そう、彼は左手にスピードマスター、右手にイエマ スパシオノート IIIをつけながら、さらに3本のスピードマスターを操っているのだ。この写真を今まで見たことなかったのが信じられない!

とくにスピードマスターについて言えば、そのシリアルナンバーから製造年が1975年と判明しており、これはアラガッツ・ミッションのはるか前につくられたことになる。この時計自体が真のヴィンテージスピードマスターの雰囲気を醸すのが興味深い。たとえば、もしこの時計がミッションのあった時期、つまり10年後に製造されたものであったなら、夜光のパティーナがここまで進んでいなかっただろう。というのもパティーナが進行する時間が短かっただけでなく、オメガの夜光塗料の配合はスピードマスターのモデルごとに常に変化していたからだ。一般的に、1970年代中頃のモデルは深く焼けた黄色のパティーナであることが多いのだが、1980年代中頃のものは白っぽいままか、緑がかった色に変化する傾向がある。

An Omega Speedmaster
このスピードマスターはミッションのはるか前に入手された、もしくは少なくとも製造されたものであるが、クレティエン氏が頻繁に着用していた様子は見受けられない。確かに、いくつかの打痕や傷(特にケースバックに)など目立つものがあるが、ケース側面にはオリジナルのサテン仕上げが残っており、裏蓋の縁には赤いワックスシールが少し残っている。このシールは製造時に施されたもので、破れていなければ時計は1度も開封されていないことを示す。ここではシールの大部分が失われているが、それでも赤いワックスの一部が残っているということは、あまり使用感がないことを物語っている。

このような由来を持つ時計は一般的に比較が難しい。結局のところ、これは数少ない宇宙飛行や宇宙で実際に使用されたオメガ スピードマスターのひとつであり、宇宙時計の代名詞ともいえるモデルを個人が所有できる貴重な機会である。よく知られているように、NASAで使用されたスピードマスターの大多数は米国政府の所有物であり、市場に出回ることは極めてまれだ。もし販売を持ちかけられたら慎重になるべきである。たとえば2015年のクリスティーズで、宇宙飛行士ロナルド・エヴァンス Jr.(Ronald Evans, Jr.)のスピードマスターが24万5000ドル(日本円で約3620万円)で落札された例や、2022年のフィリップスでさらに高額だった2件の落札例(こちらとこちら)を挙げることができる。いずれもNASAに納品されたが、宇宙で使用されたわけではない。一方クレティエン氏のスピードマスターはNASA以外の宇宙ミッションで使用されたものであり、まったく異なる存在だ。この時計の行方は、これからの動向を見守る必要があるだろう。

ジャン=ルー・クレティエン氏のオメガ スピードマスターは、RRオークション、Space auctionにてロット6514として出品。オークションは東部時間の10月24日(木)午後7時に終了する予定だ。事前の見積もり価格は3万ドル(日本円で約440万円)以上で、この記事の公開時点の入札額は1万3915ドル(日本円で約205万円)に達していた。

ホイヤー カレラ Ref.2447N セカンドエグゼキューション、1970年代製
A Heuer Carrera
文学の世界では、古典が古典と呼ばれるのには理由があるという有名な言葉がある。通常、文学作品が古典と呼ばれるのは、それが過去や現在のどの作品よりも優れている点があるからだ。ジャック・ホイヤーの初代カレラもまた、そのようなクラシックウォッチである。1960年代から1970年代初頭のカレラほど、シンプルで視認性の高いスポーツクロノグラフを見事に実現した時計はない。そしてそれは偶然ではない。ジャック・ホイヤーは視認性に強いこだわりを持っていた。彼はチューリッヒのスイス連邦工科大学で視認性に関する講義を受講したあと、時計のデザインにおいて何よりもダイヤルの読みやすさを最優先したのだ。この考えにより、ダイヤル上に複数の目盛りやレジスターを配置する必要はないという結論に至り、全体的にクリーンなデザインのほうが美しいと気づいた。この発想は今日では当たり前のように思えるかもしれないが、1960年以前のクロノグラフデザインを振り返ると、“スネイル”スケールや複数のアウタートラックが一般的であったため、これは非常に革新的なアイデアだった。

初代カレラはシルバーダイヤルかブラック(フランス語で“ノワール”)ダイヤルの2種類があり、シルバーダイヤルは2447S、ノワールダイヤルは2447Nとして知られている。本日紹介するのはノワールダイヤルのモデルで、コレクターのあいだでは第2世代モデルとして知られている。第1世代と比較すると、主な違いは針に黒いインサートが追加されている点や、わずかに幅広になったアワーインデックスなど、ダイヤルの細かな調整が見られる。

このカレラは、eBayで“storagefinds2u”というセラーによって出品されたもので、長年市場に出ることなく放置されていた新鮮な例のようだ。出品者名がそのヒントになっているが、私が注目したのはヴィンテージのシングルパスナイロンストラップだった。販売のために手入れや装飾されたりしていないことは明らかで、出品者は時計をまともに撮影することさえほとんど気にかけていないようだ。過去のBAL(Bring a Loupe)でもお分かりかと思うが、私はeBayの粗い写真にちょっとしたこだわりがある。どうか私を信じて欲しい。私はeBayで数多くの時計を購入・評価してきたので、下手に撮られた写真を見抜くコツは心得ている。最終的には手を加えられていない時計を好むし、こうして掘り出し物を見つけるのだ。

A Heuer Carrera
写真から確認できるのは、しっかりとしたラインの美しいケース、正しくホイヤーのサインが入ったリューズ、ダイヤル上の夜光プロットがすべて揃っているように見えること、そして見た目にクリーンなバルジューCal.72だ。それだけで十分だ。もしムーブメントにメンテナンスが必要ならそうすればいい。

オレゴン州クラマスフォールズのeBay出品者が、このホイヤー カレラ Ref.2447Nを10月8日(水)午前4時37分(東部標準時)に終了するオークションに出品した(アラームをセットして!)。この記事が投稿されたとき、入札は7199ドル(日本円で約105万円)に達していた。出品リストはこちらから。

おまけとして、カレラよりも少しあとのアイテムにはなるが、このヴィンテージタグ・ホイヤーとギュベリンのコラボレーションキャップもぜひチェックして欲しい!

ムルコ バックル カクテルウォッチ ホワイトゴールド製 サファイア付き(?)、1930年代製
A Mulco watch
今週気になったのは“バックル”風の隠しダイヤルを備えた一品、アール・デコ調のムルコ製カクテルウォッチだ。最近、カルティエやピアジェといったブランドの奇抜なシェイプのヴィンテージウォッチが注目を集めているが、この流行が“あまり知られていない”ブランドにも波及するかどうか、興味がある。同じ時代に多くの興味深い時計をつくっていたブランドは少なくない。このムルコはおそらく1930年代から1940年代につくられたもので、特に女性用腕時計で見られた当時の大きなトレンドを反映している。男性よりも先に女性が腕時計を身につけ始めたのは知られているが、初期のデザインには繊細さが重要視されていたことが見て取れる。今とは違い、当時の腕時計は実用的なものであり、時間を知るときにしか時計が目立たないようなデザインが求められていた。この時代に流行していた時計は、きわめて小さいかムルコのように隠しダイヤルを持っていた。時刻を知るときだけ、それを確認できるように設計されていたのだ。

この時代にはカルティエ、パテック フィリップ、ロレックスなど、ほぼすべてのブランドから隠しダイヤルの時計が登場している。カルティエはタンク オビュ サボネットでこのアイデアを男性用時計にも広げており、ジャガー・ルクルト レベルソのとくに小さなサイズに関しては、日常的に使える隠し時計といえるだろうという主張もある。

A Mulco watch
このムルコは、一見シンプルなブリックリンクブレスレットに見えるようにデザインされており、時計ケースの一端にはピンバックルのディテールが施されている。キーパー(遊環)の下に収納された“ストラップ”の“余分な”部分を持ち上げると、シンプルで無銘のアール・デコ調ダイヤルが現れる。この時代の時計でホワイトゴールド製のものはとても珍しく、それがこの時計をさらに興味深いものにしている。また出品者によると、“時計”の上部には3つの“青い石”が装飾されているとのことだ。私は宝石の専門家ではないため、これを読んでいる誰かがこれをサファイアかどうか識別できるかもしれない。

ミシガン州ドールのeBay出品者が、この隠しダイヤルのムルコを出品しており、オークションは10月6日(月)午前11時44分(東部時間)に終了した。この記事が掲載された時点では、開始価格の2799.99ドル(日本円で約40万円)に対して入札はまだなかった。

C.L.ギナーン スプリットセコンド クロノグラフ懐中時計 オリンピッククラブ用、1918年年製
A CL Guinand pocket watch
1860年に設立された、カリフォルニア州サンフランシスコにあるオリンピッククラブは、アメリカで最も古いスポーツクラブである。市内にあるクラブハウスはサンフランシスコのトップアスリートたちのトレーニング拠点として知られていた。クラブにはヘビー級ボクシングチャンピオンのジェームズ・J・コルベット(James J. Corbett)などの著名なメンバーが在籍しており、1909年にはクラブメンバーであるラルフ・ローズ(Ralph Rose)が砲丸投げで51フィート(約15cm)という世界記録を樹立した。今日、このクラブが最も有名なのはゴルフである。1924年にオープンしたウィリー・ワトソン(Willie Watson)設計のレイクコースは、ボビー・ジョーンズ(Bobby Jones)が“西部で最高”と称したコースであり、これまでに5回の全米オープンが開催された。

An olympic club athlete
オリー・スネディガー(Ollie Snedigar)

ロレックススーパーコピー代引き 口コミ第1位このC.L.ギナーンのポケットウォッチのカバーには、オリンピッククラブの“ウィング・オー”ロゴが描かれている。これはゴルフ界でもっとも象徴的なロゴのひとつである。ゴルフ愛好家の私はこのロゴがきっかけで商品をクリックしたが、調べていくうちにますます引き込まれた。この懐中時計のオリンピッククラブに関する部分を見ると、内側のケースバックに“O.F.”、つまりオリー・スネディガーの刻印がある。これは1918年5月1日に“同クラブの総合チャンピオンアスリート”として、この時計を授与されたと考えられる。スネディガーは非常に優れた人物で、そのスポーツ実績には1904年のオリンピック出場や、1914年の“カリフォルニア州総合アスリートチャンピオン”の称号を獲得するなど、かなりの実力者であった。スネディガーは私が調べた限りでは、デカスロン(十種競技)に似た陸上競技に出場していたようだ。

An olympic club pocket watch
さて、時計そのものについて話そう。まずはすでに触れた手彫りの美しさから始めたい。オリンピッククラブのロゴや刻印はきわめて精巧で、美しさに引かれてこの時計を買いたくなるほどだ。時計の製造元であるC.L.ギナーンは、1800年代後半にスイスのル・ロックルを拠点にクロノグラフの専門家として名を馳せたブランドだ。スネディガーのようなアスリートや、オリンピッククラブのような運動競技団体にとって、C.L.ギナーンはまさに理想的な組み合わせである。1918年の時点で、同ブランドは世界でも最高のスプリットセコンドクロノグラフメーカーのひとつとされていた。これは陸上競技選手にとってはこの上ないよろこびである。

A CL Guinand pocket watch
オレゴン州ローズバーグのeBay出品者が、このC.L.ギナーンを即決購入(Buy It Now)にて3950ドル(日本円で約60万円)で出品していた。私はこの商品を約1週間チェックしていたが、そのあいだに出品者から2950ドル(日本円で約45万円)という割引オファーを受け取った。これをどう活用するかはお任せする。

ツェッペリンの日本限定新作、「ジャパンブルー×オープンハート×三連ブレスレット」

ドイツ時計の「ツェッペリン」が「ZEPPELIN OPEN HEART AUTOMATIC - JAPAN BLUE-」を、全国販売に先駆けて公式オンラインショップサイトで2月22日より先行発売

1929年。「飛行船で世界一周」に挑戦した「グラーフ・ツェッペリン LZ127号」。
ドイツから約11,000㎞の距離を101時間49分かけて飛行し、「日本」に上陸。
長距離飛行の末に見えてきた陸地に高揚する期待感。その時、乗客や乗組員はどんな気持ちだったのでしょうか。
この時計は、当時の乗客と乗組員が飛行船から見下ろした「Japan Sea」(=日本海)の深く美しいブルーをイメージして企画されました。当時のドラマティックな情景を、腕元で感じる腕時計です。

駆動装置は、信頼性の高い日本製自動巻きムーブメント。7時位置が部分的にくり抜かれた「オープンハート」の穴から、時計の心臓部である「テンプ」の動きを堪能できます。 ブライトリング スーパーコピー代引き深く美しいブルーのダイヤルと、ヘアラインとポリッシュ仕上げの3連ブレスレットが織りなす、エレガンス。様々なシチュエーションに適合する、新しい日本限定機械式時計の誕生です。

【ポイント】
①ブルーの文字盤
文字盤のブルーは、飛行船グラーフ・ツェッペリン号日本一周旅の飛行船内から見た、広くて深い日本の海を​イメージ。​

➁三連ブレスレット
ZEPPELINの現在のLINE UP加わるマット&ポリッシュで仕上げのステンレススチール3連ブレスレット。​

③オープンハート
7時位置の小窓からは駆動装置の心臓部である「テンプ」の動きを堪能できます。​裏面もスケルトンバック。

【概要】
100周年記念シリーズ日本限定オープンハートオートマティック ‐ブルー‐
7662M-3
価格:​¥66,000(税込)​ ¥60,000(税抜)​

[スペック]
日本製自動巻ムーブメント(駆動装置)82S5
ステンレススチール
5気圧防水
W40㎜×H40㎜
一般発売日:2022年3月22日
先行発売日:2022年2月22日

【お問い合わせ】
株式会社ウエニ貿易
〒110-0008 東京都台東区池之端1-6-17
TEL:03-5815-3277 FAX:03-5815-5301

[ツェッペリン(ZEPPELIN)]
飛行船をモチーフにしたクオリティ第一主義のドイツ時計。1987年にドイツ・ミュンヘンで創業したウォッチブランド。ドイツが誇る飛行船 ツェッペリン号をイメージしたクラシカルなデザインと、ドイツ時計らしいクオリティ第一主義が融合したブランドです。ドイツをはじめヨーロッパやアメリカなど世界35か国で販売されています。

H.モーザー新モデル「エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメル」~

H.モーザーのパーペチュアルカレンダーは、市場で最も視認性に優れ、いつでも日時の早送りや巻戻しを行うことができ、時刻合わせをスムーズに行えるモデルとして広く知られています。そして 2023 年に、このアイコニックなモデルのタンタル製ケース モデルが登場することになりました。この希少なレアメタルが採用されたのはブランド史上初となります。アンスラサイトとブルーの色調を取り入れたこの独自の素材を、鮮やかな色合いと超現代的な鎚目模様を特徴とする、古くから受け継がれてきたエナメル加工技術を用いて際立たせたのが、新モデルのエンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメルです。

ロレックス コピータンタルは 1802 年にスウェーデン人のアンデシュ・グスタフ・エーケベリによって発見された、非常に密度が高くて硬質な金属です。空気に触れると、表面に母材を化学的攻撃から保護する非常に緻密な空気の層が形成されます。耐腐食性に優れ、ほとんどの化学物質に反応せず、酸に対しても耐性があります。また、展性や延性に長けており、高精度の加工を実現できます。ただ、融点が約 3000 °C と高いため、加工には冶金に関する高度な専門技術が必要になります。
変色しにくく、青みがかった反射が濃いダークグレーを引き立てるタンタルは非常に安定した金属で、美しさと耐久性を兼ね備えています。この金属を選択したのは、H.モーザーの CEO、Edouard Meylan(エドゥアルド・メイラン)が説明するとおり、興味深い特殊な性質を備えた金属であるだけでなく、エドゥアルドの個人的な思い入れも反映されています。「私は 18 歳のときに両親から初めて高級時計を贈られたのですが、それがタンタル製でした。以来、いろいろと課題のある素材であるものの、H.モーザーの時計に取り入れたいという思いをずっと抱き続けてきました。タンタル製ケースにポリッシュ仕上げを施せるようになるまで、実に 2 年以上試行錯誤を重ねました。タンタルの加工はサンドブラスト、つまりサテン仕上げがほとんどなので、ポリッシュ仕上げを実現できたのは特筆に値すべきことだと思います」

H.モーザーを象徴するパーペチュアルカレンダーは、極めて複雑ながら操作性に優れたムーブメントで知られています。サブダイヤルも日付ディスクもないため、非常に読み取りやすくなっています。エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメルでは、ブランドのロゴや 12 時位置と 6 時位置を除くインデックスさえも排して「グラン・フー」エナメル・ダイアルの美しさを余すことなく見せることで、H.モーザーのミニマリストスタイルをいっそう際立たせています。
ゴールドのベースに打痕模様を打ち出す作業から始まり、色の異なる 4 つの顔料を湿らせて細かく砕いてから塗布して濃淡を生み出しています。一つひとつの顔料を慎重に加え、炉で熱して酸化させ、むらなく溶融させるまでの工程は、熟練のエナメル加工職人であっても細心の注意と途方もない忍耐を要します。透明感のある「グラン・フー」(高温焼成)エナメルに仕上げるまでに計 12 回もの焼き入れを行い、ようやくH.モーザーを象徴するフュメダイアルが完成します。こうして生まれるダイアルにはひとつとして同じ物はありません。複雑な質感でアビスブルーと名付けられた鮮やかなカラーをまとった、極めてコンテンポラリーなモデルです。
中央には月を示す小さな針、3 時位置の超大型日付ウィンドウには深夜 0 時に瞬時に日付が切り替わる「フラッシュ・カレンダー」機能があり、9 時位置には 7 日間の残量を示すパワーリザーブ表示もあります。時刻と日付はリュウズで簡単に設定することができ、一日中いつでも調整できます。

H.モーザーは、目の肥えたコレクター向けのコンプリケーションを簡単に操作できる時計に設計し直し、パーペチュアルカレンダーを生まれ変わらせました。その美しさははっきりとした印などなくても瞬時に認識することができ、真のラグジュアリーはアイデンティティーに関わるということを体現するモデルとなっています。

まさに、疑う余地のない H. モーザースタイルの高級時計です。

【技術仕様】
エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメル
リファレンス 1800-2000
タンタル/ステンレススチールモデル、アビスブルー フュメダイアル、グレー クーズーレザーストラップ

[ケース]
タンタル
直径:42.0 mm
厚さ:13.1 mm
ドーム型サファイアクリスタル
ドーム型サファイアクリスタルを用いたスチールケースバック
「M」で装飾されたステンレススチール製リュウズ

[ダイアル]
槌目仕上げのアビスブルー フュメ「グラン・フー」エナメル
リーフ型針
月を示すセンターの小さな矢型針
ビッグデイト表示

[ムーブメント]
自社製手巻きキャリバー HMC 800
直径:34.0 mm または 15 リーニュ
厚さ:6.3 mm
振動数:18,000 振動/時
32 石
パワーリザーブ:約 7 日間
ハック機能
デュアル・バレル
独自のモジュール型脱進機
シュトラウマン® ヘアスプリング
ゴールドを用いたアンクルとガンギ車
手作業による仕上げと装飾が施されたムーブメントおよび部品

[機能]
時、分
パーペチュアルカレンダー
ビッグデイト表示
センター針による月表示
6 時位置のセコンド ダイアル
9 時位置のパワーリザーブ表示
ムーブメント側の閏年表示

[ストラップ]
手縫いのグレーのクーズーレザー
ステンレススチールのフォールディング・クラスプ、Moser ロゴのエングレービング

税込予価:1182万5千円(税別1075万円)
日本入荷予定:今春予定

[H. MOSER & CIE.(H. モーザー)]
H. モーザーは Heinrich Moser により 1828 年に創設されました。ノイハウゼン アム ラインファルを拠点とするこのブランドは現在約 70 名の従業員を擁し、16 個の自社製キャリバーを開発、年間に2,000 個以上の時計を製造しています。H.モーザーは、その姉妹会社であるPrecision Engineering AG (PEAG)を通じて、調速機構やヒゲゼンマイなどの部品を製造しており、これらは自社の生産に使用されるほか、パートナー企業にも供給されています。 Precision Engineering AGは、2012年にモーザーウォッチホールディングスに設立された独立企業であり、エスケープメント用の部品製造を専門としています。H. モーザーはモーザー家の人間を名誉会長とし、Heinrich and Henri Moser 基金の代表に迎えるという栄誉に浴しています。Heinrich Moser の子孫たちに設立された Moser 基金は、一族の歴史を維持するために機能しており、Heinrich Moser 家が住まうシャルロッテンフェル城に併設のMoser 博物館に収蔵すべき昔のモデルの収集といった役目も担っています。時計製造に関するノウハウとこの分野での専門技術に裏打ちされた MELB Holding はH. モーザー、Hautlence という企業を擁するに至っています。MELB Holding は伝説的なジュウ渓谷を拠点とする家族経営の独立系グループです。

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