『千と千尋』のある風景 −物語の舞台のモデル−


■ 一家が引っ越して来た町

物語の冒頭で、山を切り拓いて作った住宅地に荻野一家は引っ越して来ますが、描かれている風景で一部実在の場所があります。


車中での会話のシーンの風景


自転車屋 【 自転車屋 (東京都内某所) 】

 ログハウス風の素敵な自転車屋さんです。 車中から新しい学校を見た千尋が舌をベーっとする時に、車の向こう側にこの自転車屋が見えます。 ただし、実在の自転車屋の付近の風景は、映画とは一致しません。


また、背景に見える広告看板等には、 前述の自転車屋さんと程近いところに実在するホームセンターやお店の名前を見ることができます。


国道を右折し、新居のある住宅地への坂を登っていくシーン

 国道の案内標識によれば、国道21号線を走っていることになっており、 「中岡」「とちの木」という表示がありますが、絵コンテを見ると、 国道20号のイメージでという指示があります。 地名等は架空のもので、あくまで国道20号線(甲州街道)沿線がモデルになっていると推測されます。

 宮崎監督は、当初は別のストーリーで新しい家に引っ越してからのシーンも考えていて、 国道20号線沿線の猿橋(山梨県大月市)の付近に山を切り拓いて作った住宅地があり、 そこににロケハンに行ったと言っています。 ただ、その当初考えていたストーリーは、2時間で映画が終わらなくなるということで、無くなりました。 また、美術監督の武重洋二氏は、国道20号線沿線にある四方津(山梨県北都留郡上野原町) 付近にロケハンに行き、冒頭の場面の参考にしたと言っています。

 猿橋と四方津はあまり離れていないのですが、 どちらにも実際に山を切り拓いて作った新興住宅地があります。 猿橋には「パストラルびゅう桂台」があり、四方津には「コモアしおつ」がありますが、 映画のシーンと一致する風景は存在しません。


■ 湯屋と不思議の町

東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」では、不思議の町のモデルとなった建築を見ることができます。



不思議の町

 不思議の町を描く為のロケハンは「江戸東京たてもの園」にて行われました。 また、製作報告会(2001年3月26日)もここで行われました。 擬洋風の雰囲気や看板建築等が不思議の町の建物を思い起こさせます。


湯屋のモデル

子宝湯 【 子宝湯 (「江戸東京たてもの園」東ゾーン) 】

 湯屋のモデルの一つとされています。昭和4年築の建物を移築したものです。



ボイラー室にある棚のモデル

棚 【 武居三省堂 (「江戸東京たてもの園」東ゾーン) 】

 三省堂の店舗にある棚は、釜爺がいるボイラー室の薬草の入っている棚のモデルです。






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2002/08/11