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第133号 S+使役動詞+O+原形不定詞


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.133    20090820   Chick Tack
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             ● 第133号 ●

………………
 Contents      S+使役動詞+O+原形不定詞
………………
       (1)make

       (2)let

       (3)make a comparison


   〔原形不定詞〕が使われるのは、助動詞が使われた時、知覚動詞が使われ
   た時、そして、使役動詞が使われた時である。この他、前(第132)号
   の(3)例文(f)のように help が使われる場合などがある。

   今号は〔使役動詞〕と〔原形不定詞(toなし不定詞)〕がセットになる例
   を見ていきたい。編集の都合上、今回は make, let を取り上げる。have
   については後日。


………………………………………………………………………………………………
(1)make
………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・S+make+O+原形不定詞・・・SはOに〜させる
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) They made us work for 12 hours a day.
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
    English”Palgrave Macmillan)
   「彼らは、私たちを1日12時間働かせた」
   (×)They made us to work for 12 hours a day.

  「人に〜させる」という意味を出す動詞を〔使役動詞〕という。ここでは 
  make が〔使役動詞〕として使われている。

  「Oが動詞の原形をする状態を作り出す」という意味。「無理やり」「強制
  的に」というイメージがある。

  S(主語)が「人」の場合、〔原形不定詞〕はO(目的語)の意志でできる
  動詞に限られるという(ジーニアス英和第4版P1183)。they に強制されて
  いるにしても us は自分の意志で work することができる。

  a day は「1日につき」という意味で、a は per という意味を出している。


 (b) Hot weather makes me feel tired.
 (c) Hot weather causes me to feel tired.
  (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu
    「暑い天候が、私に疲れを感じさせる」
    「天候が暑いので、私は疲れる」
    「暑い気候に、私はうんざりしている」

  S(主語)が無生物の場合もある。その場合、Oは自分の意志で〔原形不定
  詞〕するとは限らない。

  “cause+O+to不定詞”に書き換えられている。〔強制〕よりも〔原因〕
  に近いのか。(b)は考えようによっては〔強制〕とも考えられるが、人が強
  制しているのではない。


 (d) He makes me laugh.
  (“CAMBRIDGE GRAMMAR OF ENGLISH”Ronald Carter & Michael McCarthy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#cge
    「彼は私を笑わせてくれる」

  (d)の文も〔強制〕よりも〔原因〕と考えた方が素直か。


  (a)の英文は〔強制〕なので、

 (e) They forced us to work for 12 hours a day.
   (日本語訳は(a)と同じ)

  と書き換えた方が、意味が近い。

 (f) They got us to work for 12 hours a day.

  と“get+O+to不定詞”でも〔使役〕を表現できる。「説得」などして
  〔努力〕してやらせる場合に好まれる。


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 (g) I was made to wait four hours before I was examined by a doctor.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「私は医者に診てもらう前に、4時間待たされた」

  “S+make+O+原形不定詞”の受動態は“S'+be動詞+made+to不定詞”
  の形になる。〔受動態〕になると〔to不定詞〕が使われることに注目してほ
  しい。

 (h) They made me wait four hours before....

  (g)の能動態の1例が(h)である。

  安井稔著『英文法総覧(改訂版)』開拓社(P305)には、次のように記されて
  いる。http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#betterguide

  「能動態と受動態との間には、微妙な意味の違いが認められる。知覚動詞の
   場合も使役動詞の場合も、能動態では to がなく受動態では to が入って
   くるが、to がないと、知覚と使役は、それぞれ直接的であるのに対し、
   to がある受動態の形は、いわば、間接報告的な色彩を帯びるということ
   がある」

  (g)(h)の four hours の前には for が省略されているが、「否定文や文頭
  にくるとき以外は, この意味の for は省略できる」(ルミナス英和辞典)
  という。
  (研究社『ルミナス英和辞典第2版』竹林滋;小島義郎;東信行;赤須薫編)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lej


………………………………………………………………………………………………
(2)let
……………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・S+let+O+原形不定詞・・・SはOに〜させてやる
                    SはOが〜することを許す
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) She lets her children stay up very late.
  (×)She lets her children to stay up very late.
  (×)She lets her children staying up very late.
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu
    「彼女は、自分の子供がかなり夜更かしをするのを容認している」

  let も〔使役動詞〕の仲間に入り、make と同じように〔原形不定詞〕とセ
  ットで使われる。どちらも〔原形不定詞〕するのはOである。

  しかし、let は「Oの望むことをさせてやる」「Oがやりたいようにやらせ
  ておく」というイメージで、make の「Oのやりたくないことをやらせる」
  感覚とは異なる。

  (a)では、子供たちは「夜遅くまで起きていたい」と望んでいて、彼女は好
  きなようにさせている。

 (b) She makes her children stay up very late.
   「彼女は、自分の子供たちをかなり夜遅くまで寝かせない」

  make の場合は、子供たちは「起きていたくない」のに、彼女は無理に起き
  ているように強制している。


 (c) She allows her children to stay up very late.
   ((a)の日本語訳と同じ)

  “let+O+原形不定詞”は“allow+O+to不定詞”や“permit+O+to不
  定詞”と書き換えられることがある。


 (d) Let me introduce myself.「私が自己紹介するのを認めなさい」
               →「自己紹介させてください」
                「自己紹介します」

  よく使う会話表現にもこの構文が使われている。Let me know.「知らせてね」
  も、そう。


 (e) Her parents wouldn't let her go out alone.
  =Her parents wouldn't allow her to go out alone.
  (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu
    「彼女の両親は、彼女が一人で外出するのを頑として許さなかった」

  否定文である。wouldn't は「どうしても〜しようとしなかった」という意
  味になることがある。


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 (f) She was allowed to go out alone.「彼女は一人での外出を許された」

  “let+O+原形不定詞”は〔受動態〕にせず、“be動詞+allowed+to不定
  詞”“be動詞+permitted+to不定詞”が使われる。


………………………………………………………………………………………………
(3)make a comparison
………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・make a comparison「比較する」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) They made a comparison of different countries' eating habits.
  (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
   「彼らは異なった国々の食習慣の比較をした」

  make a comparison や draw a comparison で「比較する」という意味にな
  る。

 (b) I used to draw a comparison between him and Hindley Earnshaw.
   (“Wuthering Heights”by Emily Bronte)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#wuther
     「私はかつて彼とヒンドリー・アーンショーをよく比較した」

  重点の置き方によって、
  I used to compare him with Hindley Earnshaw.
  か
  I used to compare Hindley Earnshaw with him.
  の意味を表す。ただし、話の流れから 先に出てきた人物の him を先に出す
  方が自然か。

  “compare O with A”で「OをAと比較する」。

  used to do については、第20号(1)をごらんください。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/011-020/egu020.html#1


 (c) It's difficult to make a direct comparison―the two things are so 
  different. 
 (“Oxford Collocations Dictionary for Students of English”Diana Lea)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ocdse
   「直接比較することは困難です。2つのことはかなり異なっています」

 (d) It is difficult to make a comparison with her previous book―they 
  are completely different.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「彼女の前作本と比較することは困難です。両者は完全に異なっています」

  (c)(d)は似通った文である。

  comparison (of A and/to/with B)
  や
  comparison (between A and B)
  の形が可能であるという。

  (c)はカッコ内の完全省略。(d)は of A を省略して with B を選択。
  (b)は下の between型。


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
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       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
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● あとがき

 私が高校の時、徒歩で越えた峠にアスファルト舗装の林道が通ったという話を
 耳にしました。岐阜県と滋賀県の県境上にある峠です。

 関ヶ原の戦いのとき、敵中突破した島津義弘が薩摩へ帰るときに使ったという
 その峠へ、元生徒の一人と車で偵察に出かけました。

 高校時代には、岐阜県側から峠の手前約1kmまで未舗装林道がありました。 
 当時、自転車で林道終点まで行き、そこからの山道は徒歩で歩きました。その
 峠には以前村があったのですが、高校時代には廃村となっていました。

 峠手前2kmほどの所にも集落があります。今回訪れてみると、現在でも民家は
 残っていて、生活が行われています。しかし、小学校は廃校となっていました。

 この集落内に、一部車道の狭いところがありましたが、なんとか通り抜け、村
 の外れまで来ました。すると峠に向かう舗装林道にバリケードが置かれ、通行
 止めの表示がありました。

 私の車の幅とちょうど同じくらいの幅が、開けられているので、軽トラックな
 らば通れるでしょう。

 少し戻って路肩に駐車し、徒歩で偵察に出かけようとしました。

 すると、どこからともなく中型犬が現れ、1mほどの間隔を空け付かず離れず
 付いてきます。精悍できれいな毛並みをしています。猟犬のようですが、首輪
 はしていません。素人目ですが、アメリカン・フォックスハウンドに似ている
 かなと思います。

 離れそうにもなかったので、一度車に戻りました。犬はしばらく車の周りをう
 ろついていましたが、やがてバリケードの横を通り過ぎ、林道に消えて行きま
 した。

 元生徒を車に残し、バリケード辺りまで歩いてみました。向こう側を見ると、
 問題なく通れそうな路面状況です。しかし、台風が接近中で、谷には雲が立ち
 込めていました。

 1時間も歩けば峠に着く計算で、進むことも考えたのですが、また犬に遭遇し
 そうだし、今回は自重することにしました。引き返し、車の所まで来ると、案
 の定、例の犬が走って追いついてきました。

 誰かが捨てて行ったのか、それとも、猿よけに住民が放し飼いにしているのか。
 いずれにしても、気持ちのいいものではありません。

 今回目的は達成できませんでしたが、紅葉の時期にもう一度行ってみようかと
 思っています。


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2009
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・

  中学生の英文法メール講座、9月生若干名募集中です。
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