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第132号 S+V+O+to不定詞


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.132    20090807   Chick Tack
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             ● 第132号 ●

………………
 Contents        S+V+O+to不定詞
………………
       (1)tell+O+to不定詞

       (2)ask+O+to不定詞

       (3)allow+O+to不定詞

       (4)want+O+to不定詞


  “S+V+O+to不定詞”は性質によって、さまざまな型に分類できるらし
  い。ここでは『英文法解説』『ロイヤル英文法』の分類を参考にまとめてみ
  た。完全に分類できるということではないし、納得しかねる部分もあるが、
  それは今後の課題としたい。


………………………………………………………………………………………………
(1)tell+O+to不定詞
…………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     tell, advise, persuade, remind, teach
        ・・・“V+O+that節”に書き換えることができる
      warn, promise
       ・・・“V+O+that節”の型もあるが上段とは異なる
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) The teacher told the children to sit down quietly.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「先生は子供たちに静かに座るように言った」

  =The teacher told the children that they should sit down quietly.

  that節に書き換えた。the children と they は同一人物。(a)の to sit の
  〔意味上の主語〕は、told の目的語 the children である。


 (b) Her doctor advised her to rest.
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
    English”Palgrave Macmillan)
   「彼女の医者は、彼女に休養するよう勧めた」

  =Her doctor advised her that she should rest.
  =Her doctor advised her that she rest.

  that節中の動詞は、should を置くか〔原形〕を使う。(×)rests,    
  (×)rested。


 (c) I persuaded him to give up the plan.
   「私は彼を説き伏せてその計画を思いとどまらせた」
   (安井稔著『英文法総覧(改訂版)』開拓社)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#betterguide

  =I persuaded him that he (should) give up the plan.

  should を使うのはイギリス英語の正式表現。


 (d) Remind me to phone my sister.
  (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu
    「私に(私の)妹[姉]に電話することを気付かせなさい」
    →「妹[姉]に電話するのを忘れてたら、教えてね」

 (e) Parents ought to teach their children to behave well.
   「親は子供に行儀よくするように教えるべきだ」
   →Parents ought to teach their children that they should behave  
   well.
  (『徹底例解ロイヤル英文法』宮川幸久、綿貫陽、須貝猛敏、高松尚弘著)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#royal

  ought to については、第48号(1)で触れている。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/041-050/egu048.html#1


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 (f) He warned Billy to keep away from his daughter.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「彼は娘に近づくなとビリーに警告した」

 (g) She was warned that if she did it again she would lose her job. 
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「彼女は、もしもう一度それをやったら職を失うと言い渡された」

  (g)は受動態だが、S warned her that.... が受動態になり by S が消え
  ているかたち。

  OALDでは、(f)(g)は意味の異なった項目に分類されている。to不定詞は「危
  険や罰を避けるため『〜しなさい』『〜するな』と誰かに強力に忠告する」
  という意味で、that節の方は「何か危険なことや不愉快なことが起こりそう
  なので、それを避けるために誰かに何かを言う」とある。


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 (h) He promised me to come.「彼は私に来ると約束した」

 (i) He promised me that he would come.
   (“David Copperfield”by Charles Dickens)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#copper
    (日本語訳は(h)と同じ)

  “promose O to不定詞”のto不定詞の〔主語〕は、me ではなく he となる。
  この欄で掲げた他の動詞については、動詞の〔目的語〕が〔to不定詞〕の意
  味上の主語となるが、promise については、動詞の〔主語〕が〔to不定詞〕
  の意味上の主語となる。


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(2)ask+O+to不定詞
………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     ask, beg, command, desire, direct, intend, order, mean,   
     recommend, request, require, urge
             ・・・“V+that節”の型も可能である
     expect
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) I asked her to go into the ladies' waiting room.
  (“Anne of Green Gables”by Lucy Maud Montgomery)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#green
    「私は彼女に、女性用の待合室に入るように頼んだ」

  ask については前(第131)号の(2)例文(c)(d)のところでも紹介して
  いる。

  この欄に掲げた動詞に続く“O+to不定詞”は、that節に書き換えた時、
  “O+that節”とはならず、“that節”のみとなる。

   I asked that she (should) go into the ladies' waiting room.

  名詞の複数形が s で終わっている場合、所有格をつくるには注意が必要だ。
  ladies's と 's をつけずに、ladies' とアポストロフィーだけつける。


 (b) I begged Helen to stay, but she wouldn't listen.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「私はヘレンに留(とど)まってくれるように頼んだ。しかし、彼女は聞
    こうとしなかった」

  beg については、“beg+O+that節”も可能のようだ。『ジーニアス英和 
  辞典第4版』に「I 〜 (of) you that... も可」と記されている。

  request, require も“of+O+that節”の型が可能だという。


 (c) He commanded the troops to cross the water.
   「彼は軍隊に川を渡るように命令した」

 (d) He commanded that the troops (should) cross the water.
  (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
   「彼は軍隊が川を渡るように命令した」

  that の前にOがないためか、(d)のような場合、彼が軍隊に直接命令を下し
  ている場合もあるが、間接的に誰かに伝えてもらっている場合もある。

  (c)では直接 the troops に命令を下している。


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 (e) I expect the bus to come on time.
  =I expect (that) the bus will come on time.
   「私はバスが時間通りに来ると思う」
      《◆to不定詞を用いると期待が強くなる》
   (小西友七・南出康世編集『ジーニアス英和辞典第4版』大修館)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej

  expect に that節が続いている文では、that節中は will が使われることが
  多い。

  ジーニアスでは、the bus to come の the bus は、that the bus will の
  the bus が主節の目的語として繰り上がったとしている。


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(3)allow+O+to不定詞
…………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     allow, assist, cause, challenge, compel, defy, drive
     enable, encourege, forbid, force, get, help, invite
     lead, leave, oblige, permit, tempt
      ・・・不定詞部分をthat節に書き換えることはできない
     teach, warn
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) The Government will allow them to advertise on radio and     
  television...
  (“Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版”トムソンコーポレーション)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild
   「政府は、彼らがラジオやテレビで宣伝することを認めるだろう」

  この欄の動詞を使った文では、to不定詞の内容をthat節で書き換えることは
  できない。

  allow O{do, doing, done, to do}などの四択問題は、よく見かける。


 (b) This causes the children to look for affection elsewhere.
  (×)This causes that the children look for affection elsewhere.
  (“LONGMAN Dictionary of Common Errors New Edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dce
   「このことが、その子供たちにどこか他の場所で愛情を探させる」
   「このことが原因で、子供たちはどこか他の場所に愛情を求めることにな
    る」

  cause も四択問題に出される。

  “make[have]+O+原形不定詞”は意図的に「〜させる」が、“cause+O
  +to不定詞”は、意図せずにそういう結果になってしまう。そういう方向に
  向かわせてしまう。


 (c) Space flight enables us to explore the moon.
  (“The AMERICAN HERITAGE Children's Dictionary”Houghton Mifflin)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/dicchild.html#heri
   「宇宙飛行は、私たちが月を探検することを可能にする」
   「宇宙飛行によって、私たちの月探検が可能になっている」

  enable は「…が〜できるようにする」。

 (d) You can't force her to make a decision.
  (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
   「あなたは彼女に決定を強いることはできない」

  force は「強制して〜させる」。


 (e) I can't get her to talk at all.
   「彼女に口をきかせることは全くできない」
  (安藤貞雄著『現代英文法講義』開拓社)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lmeg

  get は〔使役動詞〕と考えられるが、make, have, let とは異なり、原形不
  定詞は使わない。cause 同様〔to不定詞〕が続く。

  get は「〜させる」「〜してもらう」際に「努力」が必要な場合に好んで使
  われるようだ。


 (f) He helped her carry the parcels. 
  =He helped her to carry the parcels. 
   「彼は彼女が小包を運ぶのを手伝った」
  (研究社『ルミナス英和辞典第2版』竹林滋;小島義郎;東信行;赤須薫編)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lej

  “help+O+原形不定詞”の方がよく使われる。

  受動態では、〔to不定詞〕が使われる。

 (g) She was helped to carry the parcels.
   「彼女は小包を運ぶのを手伝ってもらった」


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 (h) My father taught me to swim.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「私の父は私に泳ぎを教えてくれた」

  to swim は how to swim の内容を伝えている。この場合は that節に書き換
  えることはできないという(英文法解説§221-3)。
   (江川泰一郎著『英文法解説(改訂三版)』金子書房)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#newguide


………………………………………………………………………………………………
(4)want+O+to不定詞
…………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     like, love, hate, prefer, want, wish
             ・・・Oを主語にした受動態はできない
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) I'd like you to come here.「私はあなたに、ここに来てもらいたい」

  この欄の動詞の後の“O+to不定詞”は、“O+to不定詞”全体を〔目的語
  (O)〕と考えると良いらしい。あなたを like するのではなく、あなたが
  ここに来ることを like しているのだ。


 (b) I'd love her to come and live with us. 
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「私はぜひ彼女に来てもらい、一緒に暮らしたいと思っている」

  “O+to不定詞”の部分には、〔主語〕〔動詞〕に似た関係が認められるが、
  that節に書き換えることはできない。これは(3)と同様である。

  しかし(3)では受動態が可能であるものの、この(4)欄の動詞は、この
  構文では受動態ができない。Oが目的語ではなく“O+to不定詞”全体が目
  的語として働く証拠としている。


 (c) I hate you to be fidgeting in my presence.
   (“Wuthering Heights” by Emily Bronte 一部改変)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#wuther
    「私は、あなたが私の目の前でソワソワしているのが嫌いです」
    「私は目の前で、あなたにソワソワされるのが気に入りません」

  アメリカ英語では、for you to be... と for を入れることもある。you が
  〔to不定詞〕の意味上の主語であることがよくわかる事実である。

  to be fidgeting は、〔to不定詞〕が〔進行形〕となっている。


 (d) We'd prefer you to have a hamster than a Tamagochi.
   [a Tamagochi is a kind of electronic‘pet’]
  (“CAMBRIDGE GRAMMAR OF ENGLISH”Ronald Carter & Michael McCarthy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#cge
    「私たちはあなたに、たまごっちよりもハムスターを飼ってもらいたい」
      [※たまごっちとは、一種の電子ペットです]

 (e) They wanted him to make a fine figure in the world in some
  manner or other.
   (“Sense and Sensibility” by Jane Austen)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#sense
    「彼女たちは、何らかの方法で彼に世界中で名の知られる立派な人  
     物になってもらいたいと思った」

  make a figure で「姿をつくる」→「目立つ」→「有名になる」。


 (f) I wish you to pass the exam.
   「私はあなたにその試験に合格してもらうことを願っている」

  wish もこの構文が可能であると、多くの参考書に書かれているが、would  
  like や want が好まれるようだ。
   I would like you to pass the exam.

  また、I wish (that)... の構文は〔仮定法〕で、本当に起こってほしいこ
  とには使えない。I hope (that)... を使う。
   I hope (that) you will pass the exam.

  I wish (that)... については第67号や69・70号などで触れている。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/061-070/egu067.html#1


………………………………………………………………………………………………
 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
………………
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
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● あとがき

 NHK教育テレビで『山で元気に! 田部井淳子の登山入門』という番組が始ま
 りました。http://www.nhk.or.jp/syumiyuuyuu/tozan_introductory.html

 第2回は、登山用具(登山靴・ザック・雨具)を選ぶのが主な番組内容でした。
 見ているだけでは値段はわかりませんでしたが、タレントがそろえた3点セッ
 トを合計すると、とても5万円では足りないと思います。10万円はしないと
 は思いますが……。

 もっとお金のかかる趣味もたくさんありますが、登山も贅沢な趣味ですね。

 番組に出演しているタレントとは、ルー・大柴氏なのだが、この人のブログは
 http://ameblo.jp/lou-oshiba/
 例のごとく、やたらとカタカナが出てきて読みにくい。それに、絵文字がこれ
 でもか! と使われている。このブログを読みにくいと言っている私が、時代
 遅れなのでしょうが……。

 ルーさん、谷川岳や燕岳・富士山に登られるとのこと。無事に下山されること
 を願っています。


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2009
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
      

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