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第152号 have difficulty doing something


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.152    20100511   Chick Tack
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             ● 第152号 ●

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 Contents      動名詞を使った重要表現−4
………………
       (1)Someone has difficulty doing something

       (2)with difficulty


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(1)Someone has difficulty doing something
……………………………………………………………

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    ・Someone has difficulty doing something
                「誰かが何かをするのは困難だ」
                「誰かは何かをするのに苦労する」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) She had difficulty (in) obtaining a visa.
  (×)She had a difficulty in obtaining a visa.
  (“LONGMAN Dictionary of Common Errors New Edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dce
   「彼女はビザを取るのに苦労した」
   ←「彼女は査証を取ることの中で、困難さを持った」

  “have difficulty (in) 動名詞”で「動名詞するのに苦労する」「動名詞
  するのが難しい」という意味になる。

  “Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版”トムソンコーポレーション
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild
  の difficulty の語義説明2には、“If you have difficulty doing   
  something, you are not able to do it easily.”とあった。

  本来は in があって、〔前置詞〕+〔動名詞〕で、文法的には分かりやすい
  形であった。現在では in が省略されることが多い。

  difficulty の前に a は置かない。(×)a difficulty。

 (b) Six months after the accident, he still has difficulty walking.
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American 
    English”Palgrave Macmillan)
   「その事故から6か月経つが、彼はまだ歩行が困難だ」

  in が省略されている例。

 (c) Peter had difficulty in overtaking her.
   (“Heidi” by Johanna Spyri)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#heidi
    「ピーター[ペーター]は彼女を追い越すことに苦労した」
    「ピーターはやっとのことで彼女を追い抜いた」

  in が省略されていない例。


 (d) He had no difficulty in getting all he wanted.
   (“The Beginner's American History” by D. H. Montgomery)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#bah
    「彼は全く苦労しないで、欲しいものをすべて手に入れた」
    ←「彼は彼の欲している全てを手に入れることの中に困難は全く持たな
      かった」

  difficulty の前には、no, any, (a) little, a lot of, great などの語句
  が置かれることも多い。

  He は Captain Gray という人物。

 (e) She had great difficulty finding a job.
  (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
    「彼女は仕事を見つけるのに、とても苦労した」

  (×)She had great difficulty to find a job.

  〔動名詞〕の代わりに〔to不定詞〕を置くことはできない。


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 (f) I had no trouble finding a place to live.
  (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu
    「私は住む場所を見つけるのに、全く問題はなかった」

  difficulty の位置に trouble を置く構文も使われる。

  have no trouble at all in doing の形の他には、in が使われている例は 
  見つけられなかった。

  to live は a place を〔限定修飾〕する〔to不定詞〕なので、to live in
  と in が必要のようにも思われるが、place を修飾する場合、in は置かな
  いようだ。コウビルドのワードバンク検索でも、place to live は15例あ
  ったが、place to live in は1例もなかった。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild

  (安井稔著『英文法総覧(改訂版)』開拓社)では、17.2.2.3 のところで、
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#betterguide
  「to不定詞が、権利・理由・意図・欲望・性向・場所などを表す名詞の後に
   置かれ、それらの名詞の中身を補足的に指定する働きをしている」と言っ
  ている。place の例文として、“I must find a place to hide this.”を
  挙げている。

  (小西友七・南出康世編集『ジーニアス英和辞典第4版』大修館)では、
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej
  「There is no place to sleep. 寝る所がない《◆ place は副詞と解せら
   れ、sleep の後には in を入れないのがふつうだが、There is no bed  
   to sleep in. では in が必要》」とある。


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(2)with difficulty
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    ・with difficulty「苦労して」「困難を伴って」
    ・without difficulty「簡単に」「難なく」
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 (a) He saw her poor wasted throat moving as she drank with difficulty.
   (“Sons and Lovers”by David Herbert Lawrence)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#sons
   「彼女が苦労して飲むのにつれて、貧弱にしぼんでしまったのどが動いて
    いるのを彼は見た」

  “with difficulty”は「苦労して」という意味になる。

  difficultly という〔副詞〕の形を使えば同じ意味が表せそうだが、多くの
  辞書ではこの語を載せていない。difficulty の使用例は極めて少なく、間
  違いだと言う人もいる。

  “知覚動詞+目的語+現在分詞”については、下記のページをご覧いただき
  たい。http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/obcom/prpoc.html
  He が主語、saw が知覚動詞、her poor wasted throat が目的語、moving
  が目的格補語。


 (b) The changes were made with surprisingly little difficulty.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「変化は驚くほどほとんどない困難さと共になされました」
   →「変化は驚くほど簡単に起こりました」

  difficulty の前に surprisingly little が置かれている。ここでニュアン
  スを出している。


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 (c) So the birds won the battle without difficulty.
   (THE WREN AND THE BEAR from “Childhood's Favorites and Fairy    
    Stories”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#cffs
    「それで、鳥たちは難なくその争いに勝ちました」

  “without difficulty”は「困難さなしに」→「簡単に」という意味になる。


 (d) He managed to do so without much difficulty during the three   
  years that I was away in Tokyo.
  (“Kokoro”by Natsume Soseki, translated by Edwin McClellan)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#kokoro
   「私が離れていて東京にいる3年間に、彼は大した困難もなく、そのこと
    をうまくやり遂げました」

  difficulty の前に much が置かれている。

  years と I の間の that は〔関係副詞〕when の代わり。関係副詞について
  は、このメルマガでまだ取り上げていない。

  夏目漱石『こころ』原文では次のようになっていた。

  「(一口でいうと、叔父は私の財産を胡魔化したのです。)事は私が東京へ
   出ている三年の間に容易く行われたのです」


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
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● あとがき

 京都の大原にお越しの際は「京美茶屋(きょうびぢゃや)」にお寄りください。
 三千院の門前で50年以上続いている茶店です。お昼のコースもお値打ちに用
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 家族でやっている店なので、忙しい時は愛想のないことになってしまいます。
 暇そうな時にお寄りいただけるとありがたい(シ_ _)シ

 ぐるなびのページ:http://r.gnavi.co.jp/k720000/
 店のホームページ:http://www.geocities.jp/kyoubijaya/

 お問い合わせの際は、「三重の兄さんの英語のホームページ見たよ」とお伝え
 いただくとスムーズです。いや、かえって怪訝な声色になるかも。


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        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2010
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