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第153号 動名詞を使った重要表現−4 busy doing something


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.153    20100521   Chick Tack
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             ● 第153号 ●

………………
 Contents      動名詞を使った重要表現−5
………………
       (1)busy doing something

       (2)接尾辞 -ship

          補足記事あり


………………………………………………………………………………………………
(1)busy doing something
……………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・busy doing something「何かをすることで忙しい」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) Jack Maldon will never be very busy in getting either, I expect.
   (“David Copperfield”by Charles Dickens)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#copper
   「ジャック・モールドンは、どちらかを手にいれる事にそれほど忙しくな
    ることは決してないだろうと私は思います」
   (ここには記されていないが、前述されている内容を考慮して)
   →「ジャック・モールドンはお金を手に入れることにも、権力を手に入れ
     ることにも、血まなこになることは決してないと思います」

  “busy in 動名詞”で「動名詞することで忙しい」という意味になる。

  in が付くのはまれで、省略される。

 (b) I am busy studying my lines for the play.
  (“The AMERICAN HERITAGE Children's Dictionary”Houghton Mifflin)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/dicchild.html#heri
   「私は劇の自分のせりふを勉強するのに忙しい」
   「私は劇のせりふの練習で忙しい」

  in が使われないため、studying を〔現在分詞〕のように感じることがある。
  実際に〔分詞〕と考えたほうがよいと主張する人もいる。
  “A Practical English Grammar”A. J. Thomson & A. V. Martinet なども
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peg
  〔現在分詞〕として紹介している。(275項のC)


 (c) I was busy with the housework.「私は家事で忙しかった」
 (×)I was busy with doing the housework.
 (d) I was busy doing the housework.「私は家事をしていて忙しかった」
  (“Longman Dictionary of Common Errors New Edition”Turton, Heaton)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dce

  〔名詞〕が続く場合、〔前置詞〕は with が使われるが、上掲書などでは
  “busy with 動名詞”は間違いであるとしている。

  しかし、安藤貞雄著『現代英文法講義』開拓社では、37.3.7[A]の見出しを
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lmeg
  「busy (with) doing のタイプ」としており、例文(1)として
  Mary is busy (with) writing letters.「メアリーは手紙を書くのに忙しい」
  を載せている。

  with も in も使わずに、この記事の見出しのように“busy 動詞ing”を使
  っておけば問題ない。with のタイプを少し探してみたので、ウェブ上に置
  いておく。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/141-160/egu153.html#supplement


  (d)の例文で、忙しくなっている〔原因〕の〔動作〕を〔to不定詞〕にする
  ことはない。(×)I was busy to do the housework.


 (e) He was too busy talking to notice us come in.
  (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
   「彼は話すのに忙しくて、私たちが入ってくるのに気がつかなかった」

  (e)の例文で talking というのを言わない場合もある。その場合、
  He was too busy to notice.... と〔to不定詞〕が続く。しかし、「気付く
  ことで忙しい」という意味ではない。

  notice は〔知覚動詞〕と考えられる。“notice+目的語+原形不定詞”の
  形が可能。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/obcom/rootinf.html#perception


 (f) I'll be too busy to come to the meeting.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
   「私は忙しすぎて、会議には来られないでしょう」
   ←「私はその会議に来るためには忙しすぎるでしょう」

  やはり「来ることで忙しい」わけではない。

  状況により come は「行く」と訳してもよい。


………………………………………………………………………………………………
(2)接尾辞 -ship
…………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・接尾辞 -ship・・・主に名詞に付いて状態や性質・職・技能
              を表す名詞をつくる
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (A) friendship「友情」「友人関係」「友好関係」
                          ← friend「友人」

  (a) The ties of friendship between us will never be broken.
 (“Oxford Collocations Dictionary for Students of English”Diana Lea)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ocdse
   「私たちの間の友情のきずなは、決して切れることはないだろう」


 (B) relationship「関係」「結びつき」
                         ← relation「関係」

  (b) She didn't seem particularly keen to acknowledge the      
   relationship.
   (“The Mysterious Affair at Styles” by Agatha Christie)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#styles
  「彼女はその関係を積極的に認めたいと思っているようには見えなかった」

  relation と relationship との違いはあまり明確ではなく、その使い分け
  も人により差異があるようだ。relation は14世紀からあり、relation に
  ship がついて relationship ができたのは18世紀であることは確か。

  (b2) My relations began to despair of my life.
    ( THE STORY TOLD BY THE TAILOR from“The Arabian Nights        
      Entertainments Complete”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#arabian
   「私の親戚たちは、私の命に絶望し始めた」
   →「私の親戚たちは私の命がそう長くないと思い始めた」

  relation は「親戚(の人)」「親類」という意味でも使われる。
  relationship には「親戚関係」という意味もある。


 (C) membership「会員であること」「会員数」「体の一部」

                      ← member「一員」「会員」

  (c) Mr. Hunt lost his membership.「ハント氏は会員の資格を失った」
  (研究社『ルミナス英和辞典第2版』竹林滋;小島義郎;東信行;赤須薫編)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lej


  (c2) The Rodeo Cowboys Association, Inc., is an organization with a 
   large membership of professional cowboys who participate in     
   rodeos throughout the country.
 http://bulk.resource.org/courts.gov/c/F2/417/417.F2d.881.201-68_1.html
  「ロデオ・カウボーイ協会は、国中のロデオに参加している多数の会員数を
   持つプロのカウボーイの団体です」

  -ship が付いたのは17世紀中ごろ。


 (D) partnership「提携」「共同」「共同経営」

                    ← partner「パートナー」「仲間」

  (d) Neighborhood groups formed a partnership to fight crime.
  (“The American Heritage Dictionary of the English Language 4th”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ahdel
   「ご近所のグループ[町内会]同士は、犯罪と戦うために協力関係をつく
    った」

  -ship が付いたのは16世紀後半。


 (E) craftsmanship「職人芸」「職人技」「名人の作品」

                      ← craftsman「職人」「名人」

  (e) We admired the superb craftsmanship of the furniture. 
 (“Oxford Collocations Dictionary for Students of English”Diana Lea)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ocdse
   「私たちは、その家具のすばらしい職人技に感心した」


 (F) sportsmanship「スポーツマン精神」「正々堂々とした行為」

                      ← sportsman「スポーツマン」

  (f) He is very highly regarded for his sportsmanship.
  (“Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版”トムソンコーポレーション)
  (イギリス書き言葉例)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild
   「彼は、彼の示すスポーツマン・シップによって、とても高く評価されて
    いる」

   -ship が付いたのは18世紀前半。

  craftsman, sportsman の代わりに craftsperson, sportsperson が使われ
  るようになって来ているが、まだ craftspersonship, sportspersonship の
  使用例は少ない。グーグル検索では結構かかってくるので、使用例は増えて
  きているのか。


 (G) internship「病院[教育]実習期間」「研修期間」「研修をすること」

                  ← intern「医学研修生」「教育実習生」

  (g) She had a long internship before starting her own recording   
   studio.
   (“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud
    「彼女は自分のレコーディング・スタジオを始める前に、長い修業期間
     を経験した」

  主にアメリカ英語で使われる。

  -ship が付いたのは20世紀初め。


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 (H) hardship「苦難」「困難」「苦境」「辛苦」

                 ← hard〔形容詞〕「困難な」「苦しい」

  (h) Samurai's sons were let down the steep valleys of hardship, and 
   spurred to Sisyphus-like tasks.
   (“Bushido, the Soul of Japan” by Inazo Nitobe)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#bushido
   「サムライの息子たちは苦難の険しい谷に落とされ、シジフォスのような
    苦行に駆り立てられた」

  “let+O+C”で「OをCの状態にさせる」。(h)は受動態の形でOが主語
  となって前に出ている。down the steep valleys of hardship がCの部分。

  -like は〔名詞〕の後ろについて「〜のような」という意味の〔形容詞〕を
  つくる。Sisyphus-like は「シジフォスのような」。

  「シジフォス」は Wikipedia では「シーシュポス」の表題で出ている。 
  『広辞苑』では「シシュフォス(Sisyphos)」。

  シジフォスはギリシャ神話に出てくる人物で、巨大な岩を山頂まで上げるよ
  う命じられる。もう少しで山頂に届くというところまで来ると、岩はその重
  みで底まで転がり落ちてしまう。この行為を永遠に繰り返すという。

  -ship は〔形容詞〕の後ろに付き、抽象名詞をつくっているものもある。
  -ship の古英語期の形 -scipe は、〔形容詞〕〔過去分詞〕にもよく付いた。
  -scipe や -ship は現代英語の shape と関係が深いようだ。


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
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● あとがき

 高校時代に歴史の学習で習った方もいると思うが、明治14年に〔開拓使官有物
 払下げ事件〕が起こっている。北海道開拓使長官の黒田清隆は、開拓使所属の
 官有物を、政商の五代友厚の関係する関西貿易社に、不当な安値で払い下げよ
 うとした。黒田と五代は同じ薩摩の出身であった。このことが問題になり、払
 い下げは中止になった。

 五代は、NHK『竜馬伝』によく出てくる岩崎弥太郎(三菱)や三井家・小野
 組などと共に〔政商〕と呼ばれた。政府と結び、多額の利益を得たという。

 五代友厚の次女に、アイ(本名は藍子?)という人がいる。この人物が昭和  
 40年くらいまで、隣村(旧行政区分で)に住んでいた。父の遺志を継ぎ鉱山開
 発をしていたのだ。

 江戸時代を中心に銀や銅を採っていた鉱山が近くにある。30年ぶりにそのあた
 りを歩いてきた。

 数年前に起きた集中豪雨のために、谷筋には土砂や石が流れ込み、川床も数 
 メートルは上がっているところがあった。支谷に入った人の話によると、十 
 メートル以上も川床が上がっている個所もあるという。

 アイさんが私費を投じて掘らせた手掘りのトンネル(隧道)も、以前何度かく
 ぐったのだが、今は川の水が流れ込み、手前の道も切れ落ち、滝の落とし口に
 なっていた。
 http://www4.cty-net.ne.jp/~dem09ri/photos/aizuido.jpg

 以前に比べ、体力もバランスも半減している。何度も転び、数度の素足徒渉で
 体力も消耗した。思う場所までは行けなかったが、まぶしい新緑と自分で結ん
 だおにぎりを、目と舌でおいしく味わった。
 http://www4.cty-net.ne.jp/~dem09ri/photos/shiromoji.jpg
 (新緑のシロモジ林)


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2010
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
      

    

 busy with doing something の例

“busy doing something”の正式表現は多くの辞書・文法書では“busy in doing something”であると解説している。しかし、“busy with doing something”の例を挙げているものもある。少し例を探してみた。

Mark Twain の“The Adventures of Tom Sawyer”
His hands were busy with distracting recreations.

「彼の両手は気を紛らわせるためにぶらぶらさせるのに忙しかった」

with の目的語は recreation で distracting は recreatiions を修飾する〔動名詞〕の用法であると考えられる。a sleeping car の sleeping と同じ使い方と考える。「〜用の」という意味だ。

したがってこれは“busy with 名詞”の例で“busy with 動名詞”の例ではない。

Sinclair Lewis の“Main Street”には、
Personally, I am terribly busy with dressmaking and having the seamstress in the house and all, but it would be splendid to have the other members of the Thanatopsis take up the question.

「個人的に、私は婦人服を仕立てるのや縫い子を雇うなど、いろんなことで、ひどく忙しいの。しかし、サナタプシスの他のメンバーにその問題を取り上げさせるのも素敵ね」
 (注:the Thanatopsis は、その地域の婦人の勉強会のようなものの名称)

dressmaking は〔名詞〕として辞書にも出ているので当てはまらないが、having the seamstress in the house は〔動名詞句〕。“busy with 動名詞”の例と言える。

Lucy Maud Montgomery の“Anne Of Avonlea”にも次の例がある。
I'm so busy with teaching and studying and helping Marilla with the twins that I haven't another moment for imagining things.

「私は教えること、勉強すること、双子を抱えたマリラの手伝いで、あまりに忙しくて、想像にふける時間はないの」

teaching, studying は〔名詞化〕している単語なので、〔名詞〕と考えることは可能であろう。しかし、helping Marilla with the twins は〔動名詞句〕である。これと対等な関係の teaching, studying も〔動名詞〕と考えるのが自然であろう。

これも“busy with 動名詞”の例と考えることができる。

ただし、記事本文でも述べているように、前置詞を使わない“busy 動名詞”の利用を薦める。


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