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第194号 名詞の複数形−5


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┛┛   英語の文法と語法    No.194    20120630   Chick Tack
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             ● 第194号 ●

………………
 Contents         名詞の複数形−5
………………
       (1)-(r)en 複数形

       (2)have some bearing on something


………………………………………………………………………………………………
(1)-(r)en 複数形
………………………………

  今回は -ren, -en を付けて〔複数形〕を作る〔名詞〕について。覚えてし
  まえば良いだけのことだが……。

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    ・child「子供」→(複数形)children
    ・ox「雄牛」→(複数形)oxen
    ・brother「同信者」「仲間」→(複数形)brethren
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 (a) We may love our parents, our children, our country, the truth;    
  and we may like roast turkey and cranberry sauce. “I love cherries,”
  “I adore strawberries,” are school-girl expressions that should be 
  avoided.  Love is an emotion of the heart, and not of the palate.   
  (“Slips of Speech” by John H. Bechtel)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/181-200/egu194.html#slips
   「私たちは自分の両親や子供たち・国・真実を love してもよい。そして、
    ロースト・ターキーやクランベリー・ソースを like してもよい。『チ
    ェリーを love している』『ストロベリーを adore している』は使用
    を避けた方が良い女子生徒の表現である。love は心から出てくる感情
    であり、味覚の好みを表すものではない」

  parents は -s を付けた〔複数形〕。children は -ren が付いている。

  cherries, strawberries については、第190号(3)。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/181-200/egu190.html#3


 (b) The tallest horses and oxen are between four and five inches in  
  height.(“Gulliver's Travels into several remote nations of the  
  world”by Jonathan Swift)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#gulliver
   「最も背が高い馬と雄牛は、背の高さが4インチと5インチの間である」

  1インチは、2.54cmなので、4〜5inches は10.16〜12.7cm。

  oxen は -en を付けて〔複数形〕になっている。


 (c) Do you say that I am deserting my enslaved brethren?
  (“Uncle Tom's Cabin”by Harriet Beecher Stowe)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#
   リンク切れにつき削除 2012/09/22
   「奴隷にされた同胞たちを、私が見捨てているとあなたは言うのかね?」
   「奴隷にされた同胞たちを、私が見捨てようとしているとあなたは言って
    いるのかね?」

  brethren は brother の〔複数形〕の1つ。同じ宗教を信じる「同信者」や
  同じ民族の「同胞」、固いきずなで結ばれた「仲間」の意味の場合に用いら
  れる古風な単語。brother の〔複数形〕としては、通常 brothers が使われ
  る。

 (d) Look here upon this picture, and on this, ― The counterfeit   
  presentment of two brothers.
  (“HAMLET, PRINCE OF DENMARK”by William Shakespeare”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#hamlet
   「ちょっと見てごらん、この絵とこの絵を。2人の兄弟の肖像画だ」

  brother の〔古英語期〕の語形の〔複数形〕は2系列あった。古英語期の遅
  くから中英語期の初期にかけ、brethren の祖先の語形が使われ始め、16
  世紀末まで標準となる。brothers は、シェークスピアのころからよく使わ
  れるようになり、「兄弟」という意味では17世紀以降標準になっていく。


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  補足記事あり。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/181-200/egu194.html#supple1


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(2)have some bearing on something
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    ・have some bearing on something「何かに関係がある」
                    「何かに影響を及ぼす」
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 (a) It has some bearing on the problem.
  (“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud
    「それは、その問題と多少関係がある」

  bear の英語以前の祖先語には「運ぶ」「生む」という2つの意味があった
  ようだ。「赤ん坊をコウノトリ[シュバシコウ]が運んでくる」という発想
  が、そんな時代からあったのかは想像の域を出ないが「運ぶ」→「産む」 
  「生む」という流れは理解できる。「運ぶ」には「物を支える」ことも必須
  となる。

  「重い物を運ぶ」「重い物を支える」には「耐える」「我慢する」ことも必
  要になる。「我慢する」が意味に加わることも自然なことなのだろう。

  bearing は bear の〔動名詞〕が〔名詞〕に昇格してできた語であろう。
  「体を支える」には正しい「姿勢」が必要である。また、人が身を運ぶとそ
  れが「ふるまい」「態度」になる。

  「物ごとをある方向に運ぼうとする」と「影響」が出たり「何かが実を結 
  ぶ」。「方向」や「関係」も生まれる。

  「軸受け」「ベアリング」は「支える」という意味からできてきた。

  例文(a)では bearing は「関係」「影響」という意味で使われている。

  have some bearing on something は「何かに(いくらかの)関係がある」 
  という意味になる。


 (b) Your question has no bearing on the subject.
  (“The AMERICAN HERITAGE Children's Dictionary”Houghton Mifflin)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/dicchild.html#heri
   「あなたの質問は、この議題と全く関係がない」

  have no bearing on... で「……と全然関係がない」という意味になる。

  some の位置には much や little, a, no などが入ることもある。

 (c) Much of the struggle between William and the Archbishop turned on 
  questions such as the right of investiture, which have little    
  bearing on our history,....
  (“History of the English People, Volume I” by John Richard Green)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/181-200/egu194.html#hep
   「ウイリアムと大司教の間の争いの多くは、任命権のような問題に向けら
    れた。しかし、それらの問題は、私たちの歴史にはほとんど影響がない」

  William は、ウイリアム2世。the Archbishop は、カンタベリー大司教ア 
  ンセルムスのこと。


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 (d) This decision bears directly on our everyday lives.
  (“Oxford PHRASAL VERBS Dictionary for learners of English”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#opvdl
    「この決定は、我々の毎日の生活に直接かかわってくる[いる]」

  “bear on something”でも「何かに関係する」という意味を表すことがで
  きる。


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html


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● あとがき

 (∪。∪)。。。紙や本を持ちながら眠り、それを取り落として起きる動作をた
 びたびするようになりました。( - _ -;)/ )) 明らかに睡眠不足です。

 さすがに耐えきれなくなり、昨日と一昨日は、お昼前に1時間ずつ昼寝をしま
 した。


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2012
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
      



補足記事

● Slips of Speech

Slips of Speech by John H. Bechtel
初版が1901年と古い本ながら、2012年の5月にも刷られている。いろんな出版社が2000年以降も出版していることから、いまだに需要があるのだろう。現在では使われていない古風な表現も多数掲載されているのに不思議なことだ。研究者が読んでいるだけでは、これほど刷られないのでは……。

● History of the English People, Volume I

History of the English People, Volume I by John Richard Green
Early England 449-1071; Foreign Kings 1071-1204; The Charter 1204-1216
ペーパーバック: 266ページ、Biblio Bazaar (2007/3/28)
英国民の歴史。

● -(r)en 複数

☆ 古英語期の弱変化複数形 → 中英語期の -en 複数形

古英語期に使われた弱変化の複数形 -an が、中英語期に -en となり、今日までわずかに残っているのが oxen, children である。

例えば eye「目」は、古英語期の主格・直接目的格の単数形は eage で、複数形は eagan である。中英語期には単数形が eie で、複数形が eyen となった。現在では eye が単数形で、eyes が複数形である。実際には異なったつづりが多数あり、かなり複雑な事情があるので把握しきれていない。

☆ children

child は、古英語期に cild の形で使われ、複数形も cild であった。やがて複数形に cildru が用いられるようになる。中英語期に childre が複数形として現れ、13世紀から children が一般化した。

children は childre の複数形に、さらに複数語尾 -(e)n が付いた二重複数であると説明されることが多い。日本語の「子どもたち」というのも二重複数である。本来は「子」だけで意味が通る。「ども」というのは「複数化の接尾語。体言に添えてその語の表す物事が多くある意を表す。謙譲、あるいは見下した意が加わることが多い(広辞苑)」と定義されている。「ども」も本来は複数形の接尾辞なのである。それにさらに複数を表す「たち」を付けているのである。現代では「子供(こども)」は、複数にも単数にも用いられる。単数に使われても違和感がなくなったため「達(たち)」を付けても成り立つことになった。日本語も英語も二重複数からできあがっているのは、興味深いことである。

☆ oxen

oxen も古英語期の弱変化の複数形 -an の生き残りである。ox の古英語期の形は oxa だったので、oxan が複数形だったのだろう。これは中英語期に oxen に変わることになる(単数形が oxe に変わったため)。実は14世紀から16世紀にかけて oxes という形が使われることがあったが、定着しなかったのだ。

☆ brethren

brethren「同信者たち」も二重複数である。brother は古英語期には brothor(th は本当は p のような文字)で、3文字目の o がウムラウト複数で e に変わったのだ。それにさらに複数の接尾辞 (r)en が付いているのである。

sister も中英語期までは -en 複数で、sustren という複数形であった。しかし、こちらは残らずに sisters と -s 複数形だけが用いられるようになった。

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