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第196号 名詞の複数形−7


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.196    20120901   Chick Tack
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             ● 第196号 ●

………………
 Contents         名詞の複数形−7
………………      単複同形[不変化複数]−2

       (1)数量・単位

       (2)the number of...

       (3)第194号(1)例文(d)の日本語訳について


………………………………………………………………………………………………
(1)数量・単位
………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     数量・単位を表す語は、数詞のあとで使うとき -(e)s など
    を付けずに用いるのが普通。

    ・hundred「百」, thousand「千」, million「百万」
     dozen「ダース」「12」, score「20」など
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) Ten times twenty is two hundred.「10×20=200」
 (b) Divide three hundred by fifty.
  「50で300を分割しなさい」→「300÷50の計算をしなさい」

  two hundreds, three hundreds とはしない。

  times は〔前置詞〕と考えると良いらしい。Ten times twenty が〔主語〕
  で、「twenty の ten 倍(は)」と考えられる。その通りならば「20×1
  0=200」の方が理屈に合っているように思うが、式が書かれている順に
  読むはずだから「10×20=200」の方が自然なのだろう。1988年初版
  の中学生用英和辞典で「20×10=200」の順を見た他は、すべて  
  (5・6冊)「10×20=200」の順(数字は別のもの)になっていた。

  石黒昭博監修『総合英語 Forest 第4版』桐原書店
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#forest
  では、(a)の is は are, make, makes のいずれにも代替可能のように記載
  されている。

  なお、〔正式〕として多くの書籍が示している「10×20=200」の掛
  け算の読みは、Ten multiplied by twenty equals two hundred.。

 (c) The palace was built a thousand years ago.
 (d) I am one hundred percent against the idea.
  (“Longman Dictionary of Common Errors New Edition”
   ND Turton, JB Heaton)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#bbi
   「その宮殿は1000年前に建てられた」
   「私はその考えに100%反対だ」「その考えに対し私は全面的に反対だ」

  (c)(d)の thousand, hundred は years, percent という〔名詞〕または
  〔名詞起源〕の語の前で〔形容詞〕の性質を持った使い方がなされている。
  percent も〔単複同形〕である。

  a, one は、それぞれ thousand, hundred が〔単数〕であることを示してい
  る。a thousand of years とはしない。

  1,000 や 100 と言いたいとき、a thousand, a hundred とする。強調した
  いときには one thousand, one hundred が使われる。

  (d)の one hundred percent は against the idea の程度を表す〔副詞句〕
  と考えられる。(c)の a thousand years ago も〔副詞句〕として働いてい
  る。

 (e) Of course I'm glad to begin paying you--I owe you over two    
  thousand more. (“Daddy-Long-Legs” by Jean Webster)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#longlegs
   「もちろん、私はあなたに支払いを開始できてうれしいわ。私にはまだ、
    あなたに2千(ドル)を超す借りがある(から)」

  two thousands more とは、なっていない。

  thousand の後ろには dollars が省略されている。

  more は〔数詞〕や any の後ろで「それ以上」「さらに」という意味を表す
  〔副詞〕の用法。


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 (f) From“Old Ireland”came thousands of native Irish, Celtic in race 
  and Catholic in religion.
  (“History of the United States”by Charles A. Beard and Mary R.  
    Beard)http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#hus
   「旧アイルランドからは、人種はケルト族、宗教はカトリックの生粋のア
    イルランド人が何千人もやってきた」
   「旧アイルランドからは、生粋のアイルランド人が何千人もやってきた。
    彼らの人種はケルト族、宗教はカトリックを信仰していた」

  〔主語〕は thousands of native Irish。〔倒置〕になっている。

  thousands of...「何千もの……」、hundreds of...「何百の……」という
  利用方法では -s をつける。

 (g) And hundreds of voices joined in the chorus.
  (“Through the Looking-Glass”by Lewis Carroll)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#alice
   「そして、何百もの声がその合唱に加わった」

  どちらの例文も〔動詞〕が〔過去形〕なのでわからないが、〔主語〕は〔複
  数〕扱いする。


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 (h) We need half a dozen eggs for the cake.
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American
    English”Palgrave Macmillan)
   「私たちは、そのケーキのために半ダースの卵が必要だ」
   「そのケーキ用に卵が6個要ります」

  例文は half a dozen「半ダース」だが、数詞や a few, several の後ろで
  も dozens とはしない。

 (i) This recipe makes three dozen cookies.
 (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”)
  「このレシピは3ダースのクッキーをつくる」
  「この作り方では(約)36個のクッキーができる」

  はっきりとした数[定数]を示す場合、-s は付かない。漠然とした数[不
  定数]の場合、次のように -s が付く。

 (j) I've kissed dozens of men.
  (“This Side of Paradise”by F. Scott Fitzgerald)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#thisside
   「私は何ダースもの男の人とキスをしたわ」

  hundreds of... と同様に dozens of... という表現もある。「何ダースの
  〜」とは訳さず「何十の〜」と訳してあることが多い。

 (i) Scores of people were at the dance.
  (“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud
    「たくさんの人が、そのダンス会にいた」

  「得点」という意味の score には「20」という意味もある。この場合も
  〔単複同形〕だが、やはり scores of...「たくさんの」という形があり、
  その場合は〔複数形〕は -s が付く。不自然なので「何二十人もの」とは訳
  せない。


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  ・Three hundred foot については下記で
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/181-200/egu192.html#2


………………………………………………………………………………………………
(2)the number of...
………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・the number of...「……の数」 は〔単数〕扱い。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 (a) The number of homeless people has increased dramatically.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 8th edition”)
  (“Oxford ADVANCED AMERICAN Dictionary: For Learners of English)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
    「ホームレスの人の数は劇的に増加した」

  〔主語〕の中心語は people ではなく number なので〔三人称単数〕とみな
  す。従って〔(助)動詞〕が has になっている。

 (b) A number of people were present.
  (“The BBI Combinatory Dictionary of English 3rd”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#bbi
   「たくさんの人々が出席していた」

  (b)の a number of people は、a number of が many や a lot of の働き
  をしていて、中心語が people と考えられる。〔主語〕を〔三人称複数〕と
  みて were が採用されている。

  小西友七・南出康世編集『ジーニアス英和辞典第4版』大修館
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej
  の a number of のところに〔単数扱い〕が《正式》と記述されていたが、
  例文は〔複数扱い〕のみ掲載していた。
  “English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu
  にも、「単数扱いより複数扱いの方が自然」と読みとれる記述あり。

 (c) She gave me a number of (=several) suggestions.
 (HEINLE'S Newbury House Dictionary of American English)
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/onlineeed.html#hnhdae
  「彼女は私にいくつかの提案をしてくれた」

  a number of... は「たくさんの」「多数の」という意味の他に「いくつか
  の……」「ある数の……」という意味になることがある。


………………………………………………………………………………………………
(3)第194号(1)例文(d)の日本語訳について
………………………………………………………………

  第194号(2012年6月30日発行)の記事中で、(1)の例文(d)と日本語訳
  を次のように紹介した。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    (d) Look here upon this picture, and on this, ― The      
    counterfeit presentment of two brothers.
   (“HAMLET, PRINCE OF DENMARK”by William Shakespeare”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#hamlet
    「ちょっと見てごらん、この絵とこの絵を。2人の兄弟の
     肖像画だ」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  ダッシュ[―]のあとの部分の The counterfeit presentment を「肖像画」
  と訳している。

  counterfeit は「偽造の」「模造の」。presentment は「絵画」「似顔」 
  「描写」。The counterfeit presentment で「模造絵画」「贋作の絵」とも
  解釈可能。

  前後を読むと、美しい姿をただ称賛しているだけ。「模造絵画」「贋作」と
  は考えにくい。編集時点では、ダッシュ以後を「2人の兄弟の模造の絵画」
  →「2人の兄弟に似せて描いた絵」→「2人の兄弟の肖像画」と考えた。


  以降は、発行後に調べた内容。

  研究社『英語語源辞典』(編集主幹 寺澤芳雄)には、presentment の
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#kdee
  語義3に「《1600-1 Shak. Ham 3.4.54》描写;姿」とある。引用部分のこ
  とのようだ。

  そのため、The counterfeit presentment は「その模造の描写」「その偽造
  の姿」と考え、「肖像画」とできる。肖像画自体が、本物の人物をまねて描
  かれたものである。

  『英語語源辞典』の counterfeit の〔形容詞〕語義4には「《1589   
  Puttenham》《古》絵に描かれた」とある。3語で「絵に描かれた似顔」と
  解釈し「肖像画」とできるかもしれない。


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html


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● あとがき

 イソップの英訳を読んでいて出てきた yoke「くびき」「2頭」や、通貨単位
 の yen, yuan, won も取り上げるつもりであったが、この時期は毎年雑事が多
 く果たせなかった。猛暑もこたえた。( - _ -;)/ )) 


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 8月の初めに、新しいスーパー・マーケットが近くにできた。そこにはセル 
 フ・レジがある。自分でバーコードを機械にかざし、表示された金額を機械に
 入れるのだ。

 昨日、初めてそれを使ってみた。時間節約となるかは疑問だが、なかなか楽し
 かった。ヘ(^∇^ヘ)


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        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2012
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