=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━ ┛┛ ┛┛ 英語の文法と語法 No.197 20120930 Chick Tack ┛┛ ………………………… …………… ……………… …………… ┛┛ http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html ┛┛┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 第197号 ● ……………… Contents 名詞の複数形−8 ……………… 単複同形[不変化複数]−3 (1)単複同形の貨幣単位 (2)日本の長さの単位 (3)接頭辞 arch- ……………………………………………………………………………………………… (1)単複同形の貨幣単位 ………………………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ドル・ポンドには、単数形に -s をつけた複数形 dollars, pounds があるが、東アジアの通貨などは単複同形になる。 ・yen「円」, yuan「元」, won「ウォン」, euro「ユーロ」 ・sen「銭」 ・ri「里」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (a) It costs 300 yen. (Merriam-Webster's English Learner's Online Dictionary) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/onlineeed.html#mwl 「それは300円の費用がかかります」「300円です」 three hundred yens ではない。 (b) One yen is equal to 100 sen or 1000 rin. (“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd”一部改) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud 「1円は、100銭または1000厘と等価です」 sen(銭)は流通していないが、為替レートをアナウンスするときに現在で も使っている。 (c) I paid twelve yuan for this book. 「私は、この本(を買うため)に12元支払った」 英語では〔外来語〕の〔複数〕は、元の言語の〔複数形〕を採用することが 多い。通常漢字文化圏の東アジアでは通貨単位に単複の区別はない。 したがって 「円」は one yen, two yen であり、「元」は one yuan, two yuan となる。-s は付けない。 18世紀、東アジアにメキシコのドル銀貨が流入した。これを「圓」と漢字 表記したそうである。「まるい」という意味だ。 中国の紙幣には現在も「圓」の簡体字が記されている。 日本では祝儀・不祝儀袋の裏に金額を記入するとき、「圓」の字を書く場合 がある。 (d) 20000 Korean Won is equivalent to 16.02 US dollars. http://wiki.answers.com/Q/How_much_is_20000_won_in_us_dollars 「2万韓国ウォンは16米ドル2セントと等価です」 「ウォン」は「圓」の朝鮮半島での発音。 正式ではないが〔複数形〕に wons という形を使う人もいる。 20000 Korean Won というのを一まとめとみているので〔単数扱い〕になっ ている。〔主語〕が 16.02 US dollars に替わっても動詞は is。 なお、文頭に数字がくるのは望ましくないとして(d)文を Twenty thousand... と表記する人もいる。 (e) Won is a cognate of the Chinese yuan and the Japanese yen. 「ウォンは中国元および日本円と同語源語です」 具体的な金額ではなく通貨単位全般を述べる場合も -s は付かない。もちろ ん〔単数扱い〕。 (f) The price of this hat is 20 euro 30 cent. 「この帽子の値段は20ユーロ30セントです」 EUでは euro, cent は〔単複同形〕としている。しかし、スペイン語・ポ ルトガル語やフィンランド語で、言語の特性に合わせ、単複が異なる形を使 っている。 公用語が英語のアイルランドでも公式の〔複数形〕は euro, cent である。 ただ、ユーロを導入していない国々の人の中には、複数形に euros, cents の英語を使う人がいる。 (g) For example, there are 100 cents in one dollar or in one EURO. (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce 「例えば、1ドルまたは1ユーロの中には100セントがあります」 →「例えば、1ドルや1ユーロは100セントです」 centimeter「センチメートル」は「メートルの百分の一」という意味。cent は「百分の一」。 dollar「ドル」の補助単位の cent は〔複数形〕cents がある。 ……………………………………………………………………………………………… (2)日本の長さの単位 ……………………………… 外来語の複数形は、元の言語の文法によることが多い。 ほとんどの人は使う必要はないと思うが、「里(り)」という長さ[距離] の単位なども -(e)s を付けない。 (a) The town is 800 li away from here. 「その町はここから800里離れた場所にあります」 中国の1里[市里]は 500m。li と表記するようだ。 800市里=500m×800=400000m=400km=400公里 (b) There are 36 cho in a ri. 「一里の中には36町があります」→「一里は36町(と同じ)です」 日本の1里は約 3927.273m。子供のころに 4km と習った。1時間[半時; 半刻(はんとき)]に歩く距離を基準に決められた。ri と表記する。 大宝律令制定のころは1里が 530m くらいと推定されている。歩く時間とは 関係がない。 日本の長さの単位では、丈(jo)、間(ken)、尺(shaku)、寸(sun)、分(bu)な ども -(e)s は付けない。 英語とは関係ないが「尺八(しゃくはち)」は「一尺八寸」のことで、この 楽器は 3.030cm×18=54.54cm の長さから名前がつけられた。現在では、さ まざまな長さのものがある。 ……………………………………………………………………………………………… (3)接頭辞 arch- ………………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・接頭辞 arch- ・・・「首位の〜」「第一の〜」「主要な〜」 =chief 名詞の前に付け名詞をつくる 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「指導者」という意味の古代ギリシャ語由来で、ラテン語を通して古英語期 に aerce-, erce- の形で使われた。中英語期に arche-, erche- になり、 現在では arch- の形になっている。 「人」や「人に似た者」の〔名詞〕をつくる。 (A) archbishop〔名詞〕「大司教」 ← bishop〔名詞〕「司教」 (a) At the opening of 958 Archbishop Odo parted the King from his wife by solemn sentence;.... (“History of the English People, Volume I” by John Richard Green) 「958年の初め、オド大司教は宗教上の理由により王と妃を離婚させた」 the King は Eadwig[Edwy] のこと。959年に19歳の若さで亡くなっている。 一族の女性と結婚したため、不道徳だとされ反乱も起こった。 (B) archenemy〔名詞〕「大敵」「宿敵」(「魔王」「サタン」) ← enemy〔名詞〕「敵」 (b) The two politicians were archenemies. (Merriam-Webster's English Learner's Online Dictionary) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/onlineeed.html#mwl 「その2人の政治家は宿敵だった」 arch-enemy の使用例が多い。 (C) archangel〔名詞〕「大天使」 ← angel〔名詞〕「天使」 (c) Blessed Michael, archangel, defend us in the hour of conflict. (“Ulysses” by James Joyce) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#ulysses 「祝福を受けた大天使ミカエルよ、対立のときにある我々を守りたまえ」 「聖なる大天使ミカエルよ、戦闘時に我々をお護りください」 archfiend「大悪魔」「サタン」← fiend「悪魔」。 (D) archrival「宿敵」「主な競争相手」「最大のライバル」 ← rival〔名詞〕「競争相手」「ライバル」 (d) Neither he nor his arch-rival, Giuseppe De Rita, won. (“Collins コウビルド英英辞典 改訂第5版”トムソンコーポレーション) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#cobuild 「彼も彼の最大のライバルのジュゼッペ=デ=リタも優勝しなかった」 “neither A nor B”は「AもBも両方とも〜ない」。 (E) archvillain「大悪党」 ← villain〔名詞〕「悪党」 (e) Another encounter, with an arch-villain named Kizaki― Nakamura paints with a broader brush here― pushes the pickpocket in the direction of his demise. (The Japan Times online “Portrait of a pickpocket”By DAVID COZY) http://www.japantimes.co.jp/text/fb20120603a2.html 「木崎という名の大悪党とのもう一つの出会いが、彼を破滅に向かわせる スリを実行させる様子を、中村はより大胆な筆致でここに描く」 載せていない辞書も多い。 paint with a broader brush「より広がったブラシを使って描く」→「太い 筆で描く」→「詳細を書かずに大まかに書く」。 ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ archi- にも「第一の〜」「大〜」という意味がある。 architect「建築家」は archi-「主な」「第一の」と tect「大工」から、 「大工の棟梁」→「建築家」ができた。 architecture「建築」「建築学」は architect から派生。 (f) And if you were to ask me, what is the result or effect of architecture, which is the science of building, I should say houses, and so of other arts, which all have their different results.(Charmides by Plato, translated by Benjamin Jowett.) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/charmide/index.html 「そしてもし君が私に建物の科学である建築学の結果や効果とはなんです かとたずねたら、それは家だと私は答えるだろう。他の芸術についても 同様のことが言えて、それらはすべて異なった結果を持っているのだ」 ……………………………………………………………………………………………… 参考文献 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html ……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html ──────────────────────────────────── □このメールマガジンは、以下のメルマガ・スタンドから配信されています。 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/ ・めろんぱん :http://www.melonpan.net ・メルマ! :http://melma.com/ 当メールマガジンは、無料でお読みいただけます。 □このメールマガジンの登録・解除は、下記のページからお願いします。 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/m/0000190027.html ・めろんぱん :http://www.melonpan.net/mag.php?009453 ・メルマ! :http://www.melma.com/backnumber_175104/ □バックナンバーは、下記のページのリンクからご覧ください。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html ∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋ <(` ) Chick Tack ( ) E-Mail Address : mit_desde1994@ hotmail.com / | 魔笛を観に行こう: http://tatsuku.web.fc2.com/ ∋ ∈ Chick Tack 英語5文型: http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/ 愛知哲仁 の ギリシア哲学への招待状:http://philos.fc2web.com/ ∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋ メール・アドレスは、コピーして、あて先欄に貼り付けてから、@ と hotmail の間の半角スペースを削除してください。面倒かけます。 ┛ Chick Tack のおすすめ英語教材・無料サービスなどの紹介ページ ┛ ┛ http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/recommend.html ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ● あとがき NHKの朝の連続テレビ小説『梅ちゃん先生』が終わった。 前回の『カーネーション』の主人公は、自己主張が強く、ぶれることなく自分 の思った通りに生きるストレートさが魅力であった。 梅ちゃん先生は、一見それとは対照的に周りの環境に流されやすいように描か れるが、何だかんだと言いながら、結局自分のやりたいことを認めさせてしま う。 カーネーションの小原糸子は、ほとんど引くことなく自分の主張を相手にぶつ けていくので、周囲との軋轢を生む。梅子はその点は柔らかいが、自分の考え を相手にじわじわと浸透させていくような感じで、むしろ凄味があった。 相手の話をよく聞くことも、相手を納得させるのに役立っているのだろう。糸 子の方も、対立する人の意見でも良いと思うことは積極的に取り入れていた。 この潔さや変わり身の早さは、私の苦手とするところである。 二作連続で良いものを観させてもらった。 ・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・ (c) Matsumiya Institute of Thinking 2012 ・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・ |
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