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第198号 名詞の複数形−9


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.198    20121123   Chick Tack
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             ● 第198号 ●

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 Contents         名詞の複数形−9
………………
       (1)外来語の複数形

       (2)sis → ses

       (3)make allowance for something


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(1)外来語の複数形
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    ・ギリシャ・ラテン語などの複数形がそのまま英語に取り入
     れられたものがある。学術論文などに多く見られるが、
     単数形に -(e)s を付けた複数形が用いられる場合も増え
     てきた。
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 (A) agenda「審議事項」「議事日程」「議題一覧」

  日本では、「みんなの党(Your Party)」が「アジェンダ」という言葉で「政
  策課題」「選挙公約」をまとめたことで注目を浴びた語。

  『三省堂のワードワイズ・ウェブ』では、次のようにまとめられている。
  http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/10minnw/050agenda.html

     アジェンダ(agenda)は、「予定表」を意味する英語から
     来ています。日本語でこの語が用いられる場合の多くは、
     国際的に取り組むべき「検討課題」や、政府や官公庁など
     で公式に実施すべき「行動計画」などをさしています。
     また、会議の「議題」や「協議事項」、「議事日程」をさ
     すこともあります。ほかに、英語では「スケジュール帳」
     や「備忘録」の意味もあり、カタカナ語でもそれらをさす
     ことがあります。コンピューター分野などでは、「現在進
     行中の活動を優先順位で並べたリスト」の意味で用いられ
     ます。(「もう少し詳しく教えて」より)

  “Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 8th edition”と
  “Oxford ADVANCED AMERICAN Dictionary: For Learners of English”には
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald


     a list of items to be discussed at a meeting

  とある。「会議で話し合われる項目のリスト」と読める。

  ラテン語の agendum「しなければならないこと」の〔複数形〕が agenda だ
  が、現在の英語では agenda は〔単数扱い〕。〔複数形〕を agendas と
  することも多くなった。agendum, agendums の形もあるが、めったに使われ
  ない。

  複数の辞書に当たると、議題一つは an agendum、議題複数は agendums、議
  題が記載されているリストや表が (an) agenda というのが妥当か。少なく
  とも、論文などではそう扱われることが多いのではないか。

 (a1) The government set an agenda for constitutional reform.
  (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English 4th edition”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#ldoce
   「政府は憲法改正の議事日程を調整した」
   「政府は憲法改正の審議事項をまとめた」

  an agenda となっていて、〔可算名詞〕の〔単数〕として扱っている。「日
  程表」や「審議予定事項のリスト」と思われる。


 (a2) The agendas of both meetings are exceptionally varied.
  (“The American Heritage Dictionary of the English Language 4th”)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ahdel
    「両方の会議の議事項目は、例外的に変化に富んでいる」
    「2つの会議の議事項目は、どちらも非常に多岐にわたっている」

  会議が2つあるので「議事目録」も2つあると考えられる。agendas を使っ
  ている。〔可算名詞〕〔複数〕。

 (a3) The next item on the agenda is the publicity budget.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 8th edition”)
  (“Oxford ADVANCED AMERICAN Dictionary: For Learners of English”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
    「検討課題の次の項目は広告予算です」

  個々の議題は an item on an agenda。an agendum の利用は少ない。


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 (B) stamina「持久力」「体力」「根気」「精力」「スタミナ」

  本来はラテン語 stamen の〔複数形〕。〔不可算名詞扱い〕をする。

 (b) Long-distance runners require plenty of stamina.
   「長距離ランナーは多くのスタミナを要する」
  (三省堂『英語語義語源辞典』小島義郎・岸曉・増田秀夫・高野嘉明他編)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dewme

  planty of のあとには〔不可算名詞〕・〔可算名詞〕どちらも置ける。

  stamina は〔不可算名詞〕。


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 (C) media「メディア」

  the media で「マスメディア」「マスコミ」〔単複両扱い〕あり。

  ラテン語 medium「媒介物」「媒体」「手段」「中間」の〔複数形〕。〔単 
  数形〕medium は、現在英語でも使われている。意味により medias という
  〔複数形〕が利用される。

 (c1) The media is wrong about this.
 (c2) All the medias are wrong about this.
  (“A COMPREHENSIVE GRAMMAR OF THE ENGLISH LANGUAGE”Longman)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#quirk
  (c1)「これについて報道機関は間違っている」
  (c2)「これについて、全ての報道機関は間違っている」

  (c1)は〔集合名詞〕のように扱われている。

  (c2)は〔可算名詞〕として扱われている。

 (c3) He feels that the media is ignoring this important issue. 
  (Merriam-Webster's English Learner's Online Dictionary)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/onlineeed.html#mwl
   「メディアがこの重要な問題を無視していると彼は感じている」

  (c3)の the media も(c1)と同じ扱いを受けている。

  the media が、特定の一報道機関である可能性も捨てきれない。その場合、
  「その報道機関は、この重要な問題を無視していると彼は感じている」
  とできる。


 (c4) The T-shirt has become a medium of advertising.
  (“Macmillan English Dictionary: For Advanced Learners of American
    English”Palgrave Macmillan)
   「Tシャツは広告の1つの手段となっている」

  「媒介」「手段」で〔可算名詞〕。

 (c5) All children like to express themselves through the mediums of  
  form and color.《文語》「子供はみな形と色を使って自己表現したがる」
  (研究社『新編英和活用大辞典初版』編集代表市川繁治郎)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#kdec
   ←「全ての子供は、形と色の手段を通して自分自身を表現するのが好きだ」

  〔複数形〕mediums の例。


  〔外来語〕については、〔複数形〕の決まりは単語ごとに異なっているので、
  辞書や周りの利用状況などで確かめながら使うようにしたい。


  必要に応じ、次の単語の使用状況も調べられたし。

    phenomenon「現象」・・・〔複数形〕phenomena
                「驚くべき人」では phenomenons

    radius、 radii 

    memorandum、 memoranda, memorandums 

    dogma、 dogmas, dogmata

    gymnasium、 gymnasiums, gymnasia

    formula、 formulas, formulae

    index、 indexes, indices 

    focus、 focuses, foci[fo'UsaI]

    syllabus、 syllabuses, syllabi


   data についての検討資料
   The Economist "Data are? Revisited" July 6th 2012 New York
   http://www.economist.com/blogs/johnson/2012/07/plurals-0


………………………………………………………………………………………………
(2)sis → ses
………………………

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    ・-sis[sIs] の複数形語尾 -ses は[si:z]の発音
     になる。
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 (A) crisis[kra'IsIs]「危機」「重大局面」

       →(複数形)crises[kra'Isi:z]

  (a) And how does the bourgeoisie get over these crises?
   (“The Communist Manifesto”by Karl Marx and Friedrich Engels,
    transcribed by Allen Lutins with assistance from Jim Tarzia)
    「そして、有産者階級はどうやってこれらの危機を克服するのか」

 (B) analysis[∂nae'l∂sIs][∂nae'lIsIs]「分析」

  →(複数形)analyses[∂nae'l∂si:z][∂nae'lIsi:z]

  (b1) The analyses have been corrected, and innumerable alterations 
    have been made in the Text.
  (“Charmides”by Plato, translated into English by Benjamin Jowett)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/charmide/index.html
    「それらの分析は訂正され、本文に無数の変更がなされた」

  analyses が複数のため have の形を採っている。

  Text の T は大文字となっていた。

  (b2) He analyses the results which follow inevitably from certain  
   antecedents, in order that on a recurrence of the same crisis men 
   may know how to act.
   (“Essays and Lectures”by Oscar Wilde)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#wilde
   「人が同じ危機に陥った時にどのように行動したら良いかが分かるように
    彼は先行する出来事から必然的に起こる結果を分析する」

  〔動詞〕analyse[ae'n∂laIz]「分析する」の〔三人称単数現在形〕
  analyses は[ae'n∂laIzIz]と発音する。

  アメリカ英語では analyze「分析する」だが、イギリス英語では analyse。


 (C) emphasis[e'mf∂sIs][e'mfsIs]「強調」「重点」

     →(複数形)emphases[e'mf∂si:z][e'mfsi:z]

  (c) The examples we will look at have quite different emphases.
  (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 8th edition”)
  (“Oxford ADVANCED AMERICAN Dictionary: For Learners of English”)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald
    「私たちが見ようとしている例はまったく異なった強調を(複数)持って
   いる」
   →「私たちがこれから見る例は、まったく異なった重点がある」
    「私たちがこれから見る例は、主眼点がまったく異なっている」

  辞書によれば〔可算名詞〕〔不可算名詞〕の両扱いがあるようだ。複数の辞
  書に当たったが、emphases の例はこれくらいだった。ほとんどが emphasis
  の形で使われる例文であった。〔抽象名詞〕ということもあるので〔複数〕
  で使われることは少ないのであろう。これは(A), (B) にも言えることなの
  だが。

  emphasize[e'mf∂saIz]「強調する」という〔動詞〕形がある。イ
  ギリス英語では emphasise とつづられる。

  (c2) He emphasized his instructions with a generous tip.
    (“Jokes For All Occasions”Anonymous)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#jokes
     「彼は莫大なチップを使って彼の命令を強調した」
     →「彼は気前よくチップをはずんで、彼の依頼が大切であることを知
       らせた」


  次の語も調べてみると、新たな発見が……。

     oasis、 oases


………………………………………………………………………………………………
(3)make allowance for something
………………………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・make allowance(s) for something「何かを考慮に入れる」
     =allow for something
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 (a) When a small boy is helping you, you must make allowances for his 
  age.
  (“A DICTIONARY OF AMERICAN IDIOMS Fourth Edition”Barron's)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dai
   「小さな男の子があなたを手伝っているときは、彼の年齢を考慮に入れな
    ければいけません」
   「幼い男の子がお手伝いをしてくれているときには、その子の年齢のこと
    を考えなければいけません」

  “allow someone to do something”「誰かが何かをするのを許す」「認め
  る」「させてやる」という重要な構文がある。allow は「許す」という意味
  だが、原義は「割り当てる」というものだったらしい。

  allowance は allow の〔名詞〕形で、「手当」や「割り当て」という意味
  だ。私は最初に「こづかい」という意味をおぼえた。

  make allowance(s) for something で「何かのために(脳の一部分の)割り
  当てを作る」ということなのだろう。

  「大目に見る」という意味にもなるようなので「何かのために許容部分を作
  る」ということなのかもしれない。

 (b) But I will make allowance for your natural anger.
  (THE ADVENTURE OF CHARLES AUGUSTUS MILVERTON from “The Return of 
   Sherlock Holmes, by Arthur Conan Doyle)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#holmes2
   「しかし、私はあなたがカッとなって怒ったことを大目に見てやろう」


 (c) But the candid critic will make allowance for the zeal of a young 
  Bachelor of Queen's,....
  (“The Anglo-Saxon Chronicle”Produced by Douglas B. Killings)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer04.html#anglo
   「しかし、その素直な評論家は、クイーンズカレッジの一人の若き学士の
    熱意を考慮に入れてくれるだろう」
   「しかし、ずけずけものを言う批評家でも、クイーンズカレッジの一人の
    若き学士の熱意をくみ取ってくれるだろう」


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html


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● あとがき

 昨日の朝、夢を見た。

 門徒となっている末寺が、どういうわけか争いに巻き込まれている。相手は他
 宗派の信者か信長かは不明である。囲まれ、今まさに火を放たれんとしている。

 私はお金や財産関係の書類をまとめて持ち出し、最期に逃げる係である。他の
 者はあらかた逃げた、秘密の隠し穴から。

 その穴は書院の床の間の壁に造られている。私もそこに逃げ込もうとしたとき、
 坊守さんとその嫁[または娘]と孫(男の子)の3人が、台所の方からやって
 くる。逃げ遅れていたのだ。

 その3人を無事に穴に逃がしたところで目覚ましが鳴った。
 (-_-).。oOO グゥグゥ・。・。・。 (゜゜; ハッ!


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2012
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
      



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