移動と彷徨のための斜面

Slope 1Slope 2
Male Immigrant

渓流(水温=8.2℃、水のpH=6.1〜7.0)の斜面で、長野県北安曇郡白馬村北城の林床部に生息するヒダサンショウウオの冬眠と、それに続く繁殖のために利用されている(2005年11月4日撮影)。調査時に、この渓流には多数の成体と幼体のカエル(ヤマアカガエルとタゴガエル)が見られ、またアズマヒキガエルの幼体もいた。これは、水中越冬の証拠である。

(A) 渓流の左岸にある、角度が50度〜70度の斜面。この写真の左側に立っていて、スケールの役割りを担っている人は、懸川さん。

(B) 右岸と左岸の斜面の概観(下流に向かって見たもの)。ヒダサンショウウオの雌雄の移動個体は、最初に水に入った後、これらの斜面を使って何度も水の出入りを繰り返す。この行動は「彷徨」と呼ばれていて(Pimentel, 1960)、トウホクサンショウウオの移動個体にも見られた。

(C) 渓流に向かっているオスの移動個体で、林床部の縁の近くにある地面の倒木の下に隠れていたもの。このオスの左右の後肢は4趾であった。

同行した調査者(敬称略): 懸川雅市(東京都立小松川高等学校)、岸冨士夫(しろうま自然の会)。

Pimentel, R. A. 1960. Inter- and intrahabitat movements of the rough-skinned newt, Taricha torosa granulosa (Skilton). American Midland Naturalist 63: 470-496.


Copyright 2006 Masato Hasumi, Dr. Sci. All rights reserved.
| Top Page | | English |