なぜ戦争が起こったのか |
「テロ事件ではっきりしたのは我々の脅威は今や核大国ではなく、テロ組織や大量破壊兵器の開発をもくろむ国だということだ」
これは、アメリカのブッシュ大統領の言葉です。
つまり、アメリカがイラクを攻撃したのは、イラクがテロ組織を支援し、大量破壊兵器を開発していて、そのことにより、アメリカに脅威をあたえているからということになります。
2001年にアメリカで起こった9.11事件では、たくさんの罪のない人々がなくなりました。このような行為を許せないのは、当然です。
しかし、アメリカが言うことを理由にイラクを攻撃するならば、アメリカは
○ イラクがテロ組織を支援していること
○ イラクが大量破壊兵器を開発していること
を証明しなくてはなりませんでした。しかし、イラクが世界貿易センターの事件に関係していたという証拠はありませんし、国連の査察団は、イラクが大量破壊兵器を持っていることを確認できませんでした。 |
それどころか、つごうのいいように事実をねじまげて報道していたことが、示されるようになってきました。 |
では、ブッシュ大統領は、なぜ事実をねじまげてまでイラク攻撃を始めたのでしょう。これについては、様々なことが言われています。 |
ブッシュ政権を動かすネオコン |
ブッシュ政権は、「ネオコン」とよばれる人々によって動かされていたと言われています。ネオコンは、アメリカ型の民主主義を世界に広めることを国の目標にすべきで、そのためにはアメリカの強い軍事力を使うべきだと考える人たちです。つまり、違った文化をもつ人々と互いに認め合いながら共に生きていこうとは考えない人たちです。アメリカの外国に対する政策が強硬になっていったのは、ネオコンが政権の中で力をもったからです。それから、ネオコンの人たちには、イスラエルとつながりのある人たちが多いようです。 |
当時のアメリカの政治には、これらの人たちが大きくかかわっていました。 |
イスラエルという国がつくられたときに、もともとそこにくらしていた多くのパレスチナ人は、土地や家を奪われ、難民となりました。イスラエル軍により命を失う人も、後を絶ちません。イスラエルのまわりには、そんなイスラエルに敵意をもつ国がいくつもあります。そのひとつであるフセイン政権を倒し、イスラエルに敵対しない政権をつくることは、イスラエルにとってつごうのいいことです。そのために、ネオコンの人たちがイラクにアメリカが攻め込むように仕向けていったという説があります。 |
イラクの石油がめあて |
アメリカは、世界でいちばん石油を使っている国で、イラクは多くの石油を持っている国です。アメリカにとって、イラクでの石油の利権(石油を手に入れたり値段を決めたりできる力)を確保できることは非常に有利になることです。そこで、イラク戦争のめあては、石油だという説もあります。
ここで、ブッシュ政権の閣僚たち(アメリカ政府の重要な位置にいる人たち)と関係のある企業をみてみましょう。下のHPをクリックしてみましょう。 |
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ブッシュ政権の閣僚(かくりょう)と財界とのつながり(青山貞一さんHPより) |
「石油」や「軍需」の文字がたくさんあるのに気づくでしょう。ブッシュ政権の政策と閣僚の利益には関係がないはずがありません。
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石油の取り引きをユーロで行うようにしたから |
世界の取り引きの多くは、アメリカの通貨であるドルで行われ、イラクの石油の取り引きもドルで行われていました。ところが、フセインは、2000年に石油の取り引きをヨーロッパの通貨であるユーロで行うようにしました。どんどんそのような国が増えれば、世界の取り引きの中心の通貨であるドルの価値を下げ、アメリカの経済にとっては不利となることです。
そこで、フセイン政権を倒し、イラクの石油の取り引きをドルにもどすために、イラク戦争を始めたという説もあります。 |
世界の経済構造を変えるため |
世界の経済は、アメリカ・イギリスを中心とした国々によって動いてきました。しかし、これらの国では、もはやこれ以上経済的な発展は望めず、投資家たち(お金を企業に投資してもうけている人たち)にとっては、新たな経済構造が必要となってきました。
そこで、イラク戦争を起こし、アメリカを泥沼に追い込むことにより、アメリカの経済力を弱め、中国・インド・ブラジルなどの新しい経済活動の拠点を発展させるために、イラク戦争を起こしたという説もあります。 |
戦争の裏表 |
世界の大きなできごとには、表向きの理由と裏の理由があることはよくあることです。今回の戦争も、表向きの理由の陰に様々な思惑があったことでしょう。その思惑は、その人のおかれた立場で違います。だから、イラク戦争にふみこみたいと考えた人たちの思惑は様々だったことでしょう。だから、上のどの理由もはずれてはいないのでしょう。
しかし、結果はどのようになっているか、つまり、だれが得をしたかを見ておくことも大切なことです。
時代の流れとともに、新しい事実が浮上してくることでしょう。
それらの事実を照らし合わせながら、イラク戦争とはいったいなんであったのか、あなた自身が考えてください。
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(2003.4) (2010.1.11更新) |