桂) |
ただいま〜。先生、遅くなってすみません。漂介のバカがスイカの皮をばりばり食べてたら、喉に詰まらせて、病院に直行して、そりゃもう大変だったんですよ。あれ?先生、いないんですか? |
みずほ) |
桂、くん。 |
桂) |
あ、先生・・・・なんか、怒ってます? |
みずほ) |
桂くん。この手紙、何? |
桂) |
あ、あ・・・・それ・・・・ |
みずほ) |
何?? |
桂) |
あ、いや、それは、その・・・・ |
みずほ) |
宛先に書かれた『草薙 桂』の後に『ハートマーク』が書かれてるんだけど。 |
桂) |
あ・・・・だから、それは・・・・ |
みずほ) |
はっきり言って。 |
桂) |
あ、いや、だから・・・・昨日の放課後、帰り支度をしてたら、俺のカバンの中にに入ってて・・・・ |
みずほ) |
差出人は誰? |
桂) |
分かんないよ。直接手渡されたわけじゃないし・・・・ |
みずほ) |
かくしてない? |
桂) |
そんなことするわけ・・・・あっ、ちょっと待って。その前にどうして先生がこの手紙持ってるんですか? |
みずほ) |
え?それは、桂くんの部屋を掃除してたら・・・・偶然出てきて・・・・ |
桂) |
机の奥にしまってあったものが偶然出てくるわけないでしょ?俺の引出し、勝手に開けたんですね。しかも無断で! |
みずほ) |
い、いいじゃない。夫婦なんだから。 |
桂) |
いくら夫婦でもやって良いことと悪いことがあるでしょ? |
みずほ) |
やましい気持ちがあるから見られたくないと思うんでしょ?私はいいわよ。机だろうが引出しだろうが。 |
桂) |
そういう問題じゃないって! |
みずほ) |
そういう問題です!桂くんは大事なことを私に内緒にしてた・・・・桂くんにとっては大したことじゃないかもしれないけど、私にとっては大問題よ。そうでしょう? |
桂) |
う、あの・・・・ |
みずほ) |
どうして言ってくれなかったの?どうして?? |
桂) |
・・・・それは、余計な心配かけさせたくなかったから・・・・ |
みずほ) |
心配かけさせる様なことしたの? |
桂) |
してないよ、してません。 |
みずほ) |
だったら教えて、手紙にはなんて書いてあったの? |
桂) |
開けてないから分かんないよ。 |
みずほ) |
どうして開けないの? |
桂) |
中身を読んだら、返事しなくちゃいけないと思って・・・・。だから何もせずに・・・・ |
みずほ) |
ひ、どーい。ひっどーい!! |
桂) |
えええ??? |
みずほ) |
桂くんは女の子の気持ちを何だと思ってるの?きっとその女の子はせい一杯の想いをこめて手紙を書いたはずよ。それなのに読みもしないなんて。 |
桂) |
わ、わ、分かりましたよ。読みますよ。 |
みずほ) |
そう、手紙を読んで、ちゃんと返事をして。 |
桂) |
なんて? |
みずほ) |
そ、それは桂くんが考えることでしょ? |
桂) |
それが分かんないんです・・・・ |
みずほ) |
誠意を持ってちゃんと考えてあげて! |
桂) |
じゃあ、先生は俺がなんて返事をしたらいいと思いますか? |
みずほ) |
え?その・・・・ |
桂) |
先生でしょ?教えてください。 |
みずほ) |
だから、それは・・・・桂くんには、あの、その・・・・ |
桂) |
そのコに付き合うって言っていいですか? |
みずほ) |
だめ、だめ!! |
桂) |
なら、なんて書けばいいですか? |
みずほ) |
んもー、分かってるくせに・・・・ |
桂) |
ごめん、先生、ちゃんと言いますよ。俺には好きな人がいるって。とても大切な人がいるって言いますから。 |
みずほ) |
桂くん・・・・ |
桂) |
で、手紙を出したのはどこの誰だなんだ?えーと、なになに・・・・ |
・・・・・・・・・・・ |
・・・・・・・・・・・ |
<手紙> |
『いやん、桂くん、あたしと付き合って。Hして。何をなにして。I Love You 間雲 漂子』 |
・・・・・・・・・・・ |
・・・・・・・・・・・ |
みずほ) |
間雲 漂子? |
桂) |
も、もしかして、これ、もしかして? |
・・・・・・・・・・・ |
・・・・・・・・・・・ |
間雲 漂子) |
い〜〜〜や〜〜〜はあ〜〜〜ん、んんん。桂くん!あたしと付き合って!Hして!何をなにして! I Love Youビュビュビュビュビュっ 間雲 漂子。 |
・・・・・・・・・・・ |
・・・・・・・・・・・ |
みずほ) |
そ、そーいうことだったの。 |
桂) |
この手紙、確かに漂介の字で書かれている。あいつ、こんなガキみたいないたずらして・・・・明日憶えてろよ、漂介のヤツ! |
みずほ) |
待って、桂くん。 |
桂) |
え? |
みずほ) |
私は間雲くんの担任よ。担任教師を騙した罪はしっかり償って貰わないと、もちろん社会的に!ふっふっふっふっ・・・・どうしてあげようかしら?宿題を1年分出すとか、成績を全て1にするとか。ううん、それじゃ物足りないわ、あれをあーして、こーして・・・・ふふふふふふふふふ・・・・見てらっしゃい間雲くん・・・・ふふふふふふふふふふふ。(※注) |
桂) |
せ、せ、先生。ちょっとだけ、ううん、かなり怖いです。 |
みずほ) |
桂くん! |
桂) |
はい!? |
みずほ) |
浮気したらだめよ! |
桂) |
しません。しません。 |
みずほ) |
ほんとに? |
桂) |
ほんとですってば! |
みずほ) |
桂くん・・・・もし浮気したら、スーパー宇宙兵器で因果地平へひとっ跳びだからね!! |
桂) |
・・・・マヂかよ・・・・ |
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※注) |
文章にするとひらべったくなりますが、音声で聞くとほんとに怖いです。 |