苺) |
みなさん、これからホームルームを始めます。始めますったら始めます。 |
みずほ) |
みんな静かにして、委員長の森野さんが困ってるじゃない。みんな静かに! |
苺) |
みんな、静かにしないとすごいことするわよ。いいコね、うふふ。 |
みずほ) |
も、森野さん。一つ質問してもいい? |
苺) |
なんですか先生? |
みずほ) |
すごいことって、何? |
苺) |
すごいことは、すごいことです。それ以上でもそれ以下でもありません。 |
みずほ) |
そ、そう・・・・。 |
苺) |
ホームルーム始めてもいいですか? |
みずほ) |
え、ええ。 |
苺) |
みなさん、今日のホームルームの議題は、間雲漂介くんから提案があるそうなのでそれを採り上げたいと思います。間雲くん、どうぞ。 |
漂介) |
はーい。間雲漂介提案しまーす。それは、制服の自由化でーす。 |
苺) |
却下ね。 |
漂介) |
なんだよ〜、森野。早すぎっだろ! |
苺) |
1クラスのホームルームで論じる問題ではないわ。 |
楓) |
た、確かに・・・・ |
桂) |
でも、制服を自由化するかどうかみんなの意見をまとめておいてもいいんじゃないかな? |
漂介) |
いいこと言った、桂。 |
みずほ) |
そうね、生徒総会で議題にしてくれるかもしれないし。 |
漂介) |
先生、ピンポン。俺もそうするために提案したんだ。 |
小石) |
後付けくっさ〜。 |
漂介) |
なんだと〜。 |
小石) |
漂介の提案って、楓とペアルックしたいだけなんじゃないの? |
漂介) |
バ、バ、バカヤロ・・・・みんなのことを考えてんだよ。クソ暑い夏の日にわさ〜、薄着になりたいって誰でも思うだろ? |
苺) |
そして、女子の透けるブラジャーをつぶさに観察。 |
漂介) |
そ、そ、そのビニョーなこのチラリズムを堪能しまくるワケよ。チラ、チラ、チラっと・・・・ちがーう!俺は学校側の不当な管理システムに対してだ、反旗を翻す覚悟を決めたんです。そんな男らしい間雲漂介に清き一票をお願いしまーす。 |
桂) |
政治家かよ? |
苺) |
では、決を採ります。制服の自由化に賛成の人は手を上げて下さい。 |
漂介) |
ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハーイ!!って、なんだよ、賛成してんの俺と水澄だけかよ?何で、分かんね、全然、分かんなぜに、Why?だよ。 |
桂) |
だって、毎日同じ洋服着てくるわけにいかないし・・・・ |
跨) |
着る服毎日替えるほど持ってないよ。 |
小石) |
女子はかっこうに気にしすぎて授業に集中できないかも。 |
みずほ) |
そうね、おしゃれに時間をかけ過ぎて、遅刻者が増えたりしたら困るわ。 |
楓) |
あ、そういうことなら、あたしも・・・・ |
漂介) |
なんだよ・・・水澄、この裏切り者。 |
楓) |
ごめんなさい、漂介くん。 |
苺) |
反対者が圧倒的多数を占めたので、この議題は採り下げます。 |
漂介) |
森野、森野!大衆の力で、個人の意見を無視していいのかよ? |
苺) |
ええ。 |
跨) |
民主主義に反してるしね。 |
漂介) |
んなー、てめーら、この薄情者どもが!は、みずほ先生、先生は違いますよね?俺の気持ち分かってくれますよね? |
みずほ) |
間雲くん。 |
漂介) |
ハイ。 |
みずほ) |
一人の犠牲で・・・・ |
漂介) |
ハイ。 |
みずほ) |
大勢の人たちが助かるのなら・・・・ |
漂介) |
ハイ。 |
みずほ) |
その犠牲は尊いものよ。 |
漂介) |
ハイ〜?って、ハイじゃない。ハイじゃない。そんな、そんな、先生まで・・・・ |
みずほ) |
分かって、間雲くん。 |
漂介) |
わかりません! |
みずほ) |
お願い、分かって! |
漂介) |
いやだー。犠牲者なんて、やだーーー。 |
桂) |
漂介、この場合しかたがないって。 |
小石) |
っていうか、漂介が犠牲になるなら、別にいっかな〜。 |
苺) |
ええ、私も。 |
楓) |
みんな、ちょっとひどいかも・・・・ |
漂介) |
う、う、グズッ・・・ズー、チキショー!なんでだよ。どうせ、どうせ・・・口裏合わせだよ・・・俺は、俺は・・・グレてやるよ、グレにグレまくって、社会のドンになってお前ら、復讐の刃、向けてやっかんな!憶えてやがれコンチクショーっていうか、憶えてて下さいコンチクショー様だ、バーロー。 |
・・・・・・・・・ |
(教室を飛び出す漂介) |
みずほ) |
ちょっと間雲くん、間雲くん。あ・・・・みんな、あんなこと言っていいの? |
苺) |
平気です。 |
みずほ) |
どうして? |
小石) |
だって、このホームルームが終わればお昼休みですから。 |
桂) |
そうだな。 |
みずほ) |
それって、どういう・・・・ |
・・・・・・・・・ |
(ホームルームの終わりを告げるチャイム) |
漂介) |
おー、みんな、元気してる?さあ、メシだメシ。じゃーん、今日はのり弁でーす。跨、羨ましいだろ?ほらほらほら、羨ましいって言えよ。 |
跨) |
羨ましくないよ! |
桂) |
俺はお前の性格が羨ましいよ。 |
漂介) |
そっか。うははははは。 |
桂) |
というより、おめでたいんだ。 |
漂介) |
そっか。うははははは。 |
みずほ) |
森野さん。 |
苺) |
なんですか? |
みずほ) |
今後、間雲くんの提案は、ホームルームで採り上げないように。 |
苺) |
分かりました、先生。 |