会津藩校日新館を歩く

福島県会津若松市郊外河東町

例年より積雪が少ないという会津若松を目指し、郡山市から国道49号をドライブ
した。磐梯熱海から中山峠を越えると一面の銀世界で、雪化粧の磐梯山、白鳥
が飛来している猪苗代湖の景色を楽しみながら、ノーマル・タイヤで快適に走行。
それでも天気がいいにもかかわらず気温は2℃で、山道や日陰でのアイスバーン
には注意しながらアクセルを踏み込んだ。

久しぶりに会津若松郊外の日新館を歩きたくなった。会津観光の人気スポットで、
会津武士道のメッカである藩校日新館を復元したものだ。孔子廟を中心とした「キャン
パス」は広く、初等から大学までの校舎、講堂、道場などが整然と並んでいる。武士道
の学校であるため簡素な建物群のなかにも緊張感があり、雪化粧した風景はとても
美しかった。

江戸時代の会津藩28万石は、徳川御三家に次ぐ名門会津松平家として繁栄した。
特に教育レベルと武道は全国トップクラスで「会津士魂」の養成施設が日新館だった。
幕末京都での治安維持や、その後の戊辰戦争で中心的な存在となった会津武士道の
源流は日新館にある。

観光シーズンには大型観光バスが乗り付け、団体や修学旅行生でいつも混んでいる
日新館も冬は閑散としている。雪国らしい雰囲気と会津武士道を身近に感じるには
雪の日新館散策がいい。
静寂に包まれた中で、日新館に学んだ白虎隊の等身大人形やスピーカーから流れる
解説の声がとても違和感があった。それでも久しぶりに時間をかけて展示物、解説文
に眼を通した。

水練の訓練をした池(プール)は一面に氷が張っていた。
現代の日新館は観光施設であるとともに研修所施設もあって、剣道、弓道部
の学生が頻繁に合宿するらしい。そういえば、どことなく禅寺の空気も感じられ
る場所だ。

日本テレビの名作「白虎隊」の撮影に使わ
れた傷ついた鶴ケ城天守閣の模型が、幕末
コーナーに展示してある。ドラマ「白虎隊」
大晦日紅白歌合戦の裏番組として、現在(H
15年)でも最高視聴率をマークした名作。
二夜に渡り泣きながらドラマを見て会津への
想いを新たにしました。

天文学も学んだ日新館教育の象徴である
天文台。
日新館があった鶴ケ城近く謹教小学校前
に遺構として現存している。会津戦争の折
には物見、砲台として利用されたらしい。


会津日新館は復元とはいえ、水戸、鶴岡
などに残る藩校以上に見ごたえがあり、
歴史、ドラマ、そして明治の世に政治家、
学者、軍人・・・・と英才を送り出した「会津
士魂」を垣間見る。是非多くの人に
足を運んでもらいたい。

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幕末には長州の吉田松陰が日新館を
見学している。彼は優れた教育機関を
訪れ、地方の大学者に面会して見聞を
広げた。
後の松下村塾での教育に、日新館も影
響を与えているのかもしれない。