2002年　映画感想文

2002年　映画感想文

2002年に劇場に足を運んで観た映画をまとめてアップしてみました。
全部で34タイトル (2001年末に観たのが混じってる気がするけどもうハッキリ覚えてないし)
やってみるとすごく大変、もう次はやらないかも・・・

バニラスカイ (2001/米)　Vanilla Sky
　　監督　キャメロン・クロウ
　　原案　アレハンドロ・アメナーバル
　　脚本　キャメロン・クロウ
　　出演　トム・クルーズ/ペネロペ・クルス/キャメロン・ディアス

トム・クルーズは本当にいい俳優になったなと最近の彼を見ていて思う。
彼が真に賢いところはハリウッドのトップスターである立場や、世界が認める男前である事実をしっかり自覚したうえでそれを最大限利用して演じるのみならず、いい作品を世に出すことにも利用しているところだろう。
とはいえ、この「バニラスカイ」は少々やりすぎかも。
"ハンサムでリッチなプレイボーイの男が事故で顔をつぶしたために狂っていく運命"という役所はあまりに俳優トム・クルーズのイメージに重なりすぎ。
後半ストーリーにそれ以上のひねりが用意してあるにしてもさすがにちょっと醒めてしまう。
作品にあとすこし真面目な気配があるべきだったのでは？観ていてすごくバカにされているように感じる。

ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃 (2001/日本)　Gojira, Mosura, Kingu Gidora: Daikaiju soukougeki
　　監督　金子修介
　　脚本　長谷川圭一/横谷昌弘/金子修介
　　特殊技術　神谷誠　　造形　品田冬樹　　出演　新山千春/宇崎竜堂/小林正寛/佐野史郎

ハム太郎目当ての子供の夢を平成シリーズ最凶最悪のゴジラが踏みつぶす！
「怪獣映画をバカにする奴等は皆殺し！」という黒い怨念こもった渋谷壊滅シーンで観客を引かせた「ガメラ３邪神<イリス>覚醒」の金子修介監督がついにゴジラのメガホンを！
快挙とか異端とか言われながらも46年ぶりにゴジラを完全な悪者に引き戻し、平成ゴジラシリーズのいつもの客層である親子連れをマジビビリさせる怖いゴジラを演出。
クリーンな破壊演出を拒否し、怪獣の足元で死んでいく人々を実感させる残虐描写 (笑)で怪獣による破壊をシリアスなシミュレーションとして描き、その対比として人間側のドラマのテンションを引き上げる手法はディザスタームービーのジャンルに含まれる怪獣映画として正当であり正解。
得意の伝奇ＳＦテイストでそれまでの設定を大胆に覆してモスラ、キングギドラ、バラゴンを五行でいうところの聖獣・四神に見立ててヤマトの守護神"護国聖獣"とし (一個足りんじゃないかって？それが"ガメラ"でしょ/笑) 一方ゴジラを太平洋戦争で死んだ日米兵士の怨念の塊と位置付けて科学考証を軽々と越えて見せた手口も鮮やかと言っていいでしょう。
演出・ビジュアル両面ではここしばらくのゴジラ映画の水準を質・量ともに圧倒し、毎年イベント映画としてのフォーマット=最終対決は作りきりのワンセットという制約に縛られて横浜決戦では少々もたつくもののトータルで見て怪獣・特撮ファンの鬱憤を晴らす傑作になった。
ひとそれぞれに思い入れのあるゴジラだけにコアなファンから「認めない！」の声も聞かれるが、明らかな完成度の違いは認めざるを得ないだろう。

アトランティス　失われた帝国 (2001/米)　Atlantis:The Lost Empire
　　監督　ゲイリー・トゥルースデイル/カーク・ワイズ
　　脚本　タブ・マーフィー
　　出演 (声)　マイケル・Ｊ・フォックス/ジェームズ・ガーナー/クリー・サマー

２０世紀初頭にも関わらず登場するハイテク潜水艦ユリシーズ、アトランティスの末裔である王女キーダ、究極のパワーを秘めた秘石といったガジェットから想像されるのは「不思議の海のナディア」だが、見終わったあとの印象はむしろ「天空の城ラピュタ」。
う～ん・・・だからどうした？
ＣＧも駆使したメカ描写で期待を盛り上げた潜水艦は活躍するまもなく撃沈、ついた先は海底と言うよりもむしろ地底世界、謎の古代アトランティス帝国はいまいちインパクトに欠け、クライマックスは古代の魚型メカVS熱気球という趣向はあっても所詮は空中戦。
様々な秘境冒険物語からの引用も90分ちょっとの尺に収められてはどれも中途半端で単なる寄せ集め以上のものになっているとは思えず。
ラスト、唐突に起動した巨大神像群が都を守るバリアを張り巡らせるのがやたらカッコよくて唯一気を吐くのだが、う～む・・・
ジャパニメーションのいいところを実に旨く取り込むディズニーの手腕には感心するものがあるが、ここのところの題材選びの意味不明さにアニメ帝国の没落の気配を感じるのは僕だけか？
いまさらディズニーブランドが変革する必然はないようにも思いながらも、自ら変革を目指す姿勢は買わないこともないのだが、いったい何に変わろうとしているのかがよくわからん。

修羅雪姫 (2001/日)
　　監督　佐藤信介
　　原作　小池一夫
　　特技監督　樋口真嗣
　　出演　釈由美子/伊藤英明/佐野史郎

天然ボケ系アイドルの釈由美子がハードなアクションヒロインを演じきったというのは、ここ最近の日本映画最大の発見にして収穫だったのではなかろうか(笑)
釈ちゃん、びっくりするほどカッコイイよ！
意外にもアクションの勘がすごくいいということの他にこのひと、声がいい。
戦いの最中に発する声の思い切りの良さが戦闘美少女の説得力をワンランク押し上げている。

メメント (2000/米)　Memento
　　監督　クリストファー・ノーラン
　　脚本　クリストファー・ノーラン
　　出演　ガイ・ピアース/キャリー・アン・モス

この映画って観る側の記憶の限界に挑戦するんだよ！
なんたって映画はストーリーの最後から始まって、数分置きに前に戻って行くんだ！
主人公が前向性健忘なる記憶障害で数分以上前の出来事を記憶できない設定だからなんだけど。
さっき観たシーンでああなっていたのは、コレがこうなっていたからなのか？じゃあひとつ前のアレは実はコレで・・・っていうかコレって何だったっけ？
みたいなことになるわけだ。
異常に集中して観ていたので劇場を出た途端に眩暈がして倒れそうになった。
全体のストーリーをあとから思い起こしてみると実はくだらない話、随所でつじつまも合ってない。
だがこれは体験する映画だ。
逆進する映画というアイデアは斬新で秀逸、その意味で一見の価値アリ！
あと、「容疑者の部屋に侵入したもののそこに何をしに来たのか忘れてしまい、とりあえずシャワー浴びてくつろぐ」等のトンマなシチュエーションがいろいろ。
これはけっこう笑えていいかんじ。

ハリー・ポッターと賢者の石 (2001/米)　Harry Potter and the Philosopher's Stone
　　監督　クリス・コロンバス
　　原作　Ｊ・Ｋ・ローリング
　　出演　ダニエル・ラドクリフ / ルパート・グリント / エマ・ワトソン

原作の各場面をひたすら映像に置き換えたというかんじの作品。
その各場面はどこかで見たことがあるようなモノばかりだが、映画的記憶というものはもちろん誰もが共有するものではないものな。
それなりに楽しく、フツーにつまらない。
この映画のストーリーのテーマは、自身の出自の秘密を知っていく過程でその宿命に対峙する「少年の成長」みたいなところだが、それはどうでもよかったようで極めて印象が弱い。
ストーリーテリングのベクトルを失った物語は風に漂う紙飛行機のようにフラフラとして着地点が見えないまま予定調和で終わる。
ただまあこの手の映画ではよくあることだ。

＞＞ ハリー・ポッターと賢者の石　2002 05/20

ヴィドック (2001/仏)　Vidocq
　　監督　ピトフ
　　脚本　ピトフ / ジャン・クリストフ・グランジェ
　　撮影　ジャン・ピエール・ソベール / ジャン・クロード・ティボー
　　出演　ジェラール・ドパルデュー / ギョーム・カネ

最近の映画はどれもこれも同じようなカンジでつまんないと思う人はこういうのを観るといいかもしれないぞ。
ギラギラと輝く眩暈がするような異常な映像とか、誰が何の目的で動いているのかわからなくなるストーリーテリングとかをアッパー気味の編集が強引に押し流す。
無理矢理なすりつけられるようなアート感覚、ミステリーのフリして謎解きは不可能。
フランス人にロジックなんてないものな。
好き嫌いで言えば圧倒的に嫌いな人が多そうだな。
オレは好き。

＞＞ ヴィドック　2002 06/05

地獄の黙示録　特別完全版 (2000年/米)　Apocalypse Now REDUX
　　製作　フランシス・フォード・コッポラ
　　監督　フランシス・フォード・コッポラ
　　脚本　ジョン・ミリアス/フランシス・フォード・コッポラ
　　出演　マーロン・ブランド/ロバート・デュバル/マーティン・シーン

コッポラは本当に命懸けでこの映画作ったんだよな。
長さに負けずにいっぺん観てくれ。

＞＞ 地獄の黙示録　特別完全版　2002 09/11

エネミー・ライン (2001/米)　Behind Enemy Lines
　　監督　ジョン・ムーア
　　撮影　ブレンダン・ガルビン
　　出演　オーウェン・ウィルソン/ジーン・ハックマン/ガブリエル・マクト

ＤＶＤのリリースって速いよなと思う今日この頃。
改めて観てこの作品、撮影と編集がすごくいいのを確認。
VFXのみならず全編通して、抑えた色調で撮られた映像が美しく、計算され尽くした編集がエンターテインメントのふりして巧妙にストーリーを語る。
面白い！
監督ジョン・ムーアは今後も要注目！

＞＞ エネミーライン　2002 03/22

ヒューマンネイチュア (2001/米)　Human Nature
　　製作　スパイク･ジョーンズ
　　監督　ミッシェル・ゴンドリー
　　脚本　チャーリー・カウフマン
　　出演　リス・エバンス/パトリシア・アークェット/ティム・ロビンス

全身が異常に毛深い女、ネズミにテーブルマナーを教える博士、自分を猿だと思い込んでいる男。
こんなキャラが絡んで一体どういう話になるの？
「マルコビッチの穴」のチャーリー・カウフマンの脚本はあいかわらずあっちへフラフラこっちへフラフラしながら進んでいく。
それでいて作品のテーマは常に物語られて無駄がないようにも見える奇跡。
哲学的なような、やっぱフザケてるだけのような、それでいてヒューマンネイチュア (人間性)の真実を深く見つめる物語。
監督のミシェル・ゴンドリーはビョークのPVとかを手掛けてた映像作家。ビョークってみんなあんまり知らないか？
難しい映画みたいに思うかも知れないけどすごく笑えて面白いよ。
「マルコビッチの穴」よりわかりやすいのでアッチに惑わされた人にもおすすめ。

ブラックホーク・ダウン (2001/米)　Black Hawk Down
　　製作ジェリー・ブラッカイマー / リドリー・スコット
　　監督リドリー・スコット
　　出演ジョシュ・ハートネット / ユアン・マクレガー / トム・サイズモア

現在のアメリカの戦術が誘導爆弾によるピンポイント攻撃になっているのはこの映画で描かれた作戦の失敗が大きな要因である。
兵士個人が携行できる対空兵器が第三世界にばらまかれた結果、地上近くを低速で飛ぶヘリは案外簡単に撃ち落とされてしまうという事実。
それまでのアメリカのお家芸だった少数精鋭の特殊部隊をヘリで作戦地域に投入するという戦術の重大な弱点がこの事件で露呈したからである。
しかしである、この事件での双方の死者数の差はどうだ？
アメリカ人は自らが正義の執行者であることを信じている、だから正義の執行者たる同胞が悪の凶弾に倒れることが許せないのだろう。
アメリカ人は「戦争では死者が出るものだ」というあたりまえの事実を受け入れられないのだ。

＞＞ ブラックホークダウン　2002 05/01

オテサーネク-妄想の子供- (2000年/チェコ)　OTESANEK
　　原案・脚本・監督　ヤン・シュワンクマイヤー
　　美術監督　エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー/ヤン・シュワンクマイヤー
　　アニメーション　ベドジフ・グラセル/ マルティン・クブラーク
　　出演　クリスティーナ・アダムツォヴァー/ヴェロニカ・ジルコヴァー/ヤン・ハルトゥル
　
チェコの奇才ヤン・シュワンクマイヤーの最新作。
子供に恵まれない夫婦がせめてもの慰みに掘り起こした木の根を赤ん坊に見立てて育て始める。
木の根の赤ん坊オティークはやがて命を得て動き始めるが、その果てしない食欲はどんどんエスカレートして・・・という物語を隣家の少女の視点から描く。
ミステリアスで不思議なストップモーションアニメ＝コマ撮り映像が魅惑的 (もちろん適性有り、合わない人には苦痛でしかないだろう)なシュワンクマイヤー作品だが、最近の作品ではかなり"普通の映画"に近づいており、本作ではデジタルも部分的に使用され、もう"一風変わったヨーロッパのアート系映画"くらいに見えないこともない (笑)
その点、僕は少々食い足りない感じはあるのだが、シュワンクマイヤーが一貫して描き続けるテーマとモチーフはここでも同じく存在している。
すなわち、シュワンクマイヤーが描き続けるものは不変であり、それを表現するためのアプローチが次第に変遷していっているのだと言える。
これを機にシュワンクマイヤー作品に興味を持ってくれるひとが増えるとうれしい。
ただ劇場には僕も含めて三人しかいなかったがね。

ロードオブザリング (2001/米)　The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring
　　監督　ピーター・ジャクソン
　　製作　バリー・M・オズボーン/ピーター・ジャクソン/フラン・ウォルシュ/ティム・サンダース
　　脚本　フラン・ウォルシュ/フィリパ・ボウエン/ピーター・ジャクソン
　　出演　イライジャ・ウッド/イアン・マッケラン/ヴィゴ・モーテンセン/リヴ・タイラー/イアン・ホルム

ファンタジーとはただ剣と魔法があればいいわけでなく「異世界の神話を新しく築くという膨大な作業」であるとか、「およそすべてのＲＰＧ (ロールプレイングゲーム)文化の原典もこの物語である」こと等々、「指輪物語」を知ってる人にはあたりまえの話だけれど映像になってあらためてそのことを思い知らされる。
本物の魔法使いやエルフがどういういきものなのかはこれを観ればわかる。
「もっとも小さきもの」でありながらもっとも過酷な運命を受けとめ、たったひとりでも使命を果たそうと決意してゆくフロドの姿は「勇気」とは何なのかを教えてくれて三部作のはじめの物語にして既に傑作。
未見の人は2003年2月公開予定の「二つの塔」に備えて観ておかなければならない！
しかも最低二回は観ないと全容を理解するのは難しいから心して望め！マジで！！

スパイダーマン (2002/米)　Spider-Man
　　製作総指揮　アビ・アラド/スタン・リー
　　監督　サム・ライミ
　　視覚効果　ジョン・ダイクストラ，A.S.C.
　　音楽　ダニー・エルフマン

最近のサム・ライミは無難にこなす職人監督になりつつある。
でも本当は本人も不本意なところはあるようで、ＴＶシリーズ等のプロデュースをしたり、ジャンル系作品以外に手を染めているのもそうした彼の可能性の模索だろうし、インタヴューでは「低予算の作品を自由に撮りたいナー」みたいなことも言っている。
ライミとしては"スパイディ"への思い入れは相当あり、またアイデアもいろいろあったのだろうが、製作開始までにいろいろ揉めた経緯もあり、あまり好き勝手にやれたわけではないのだろう。
だけども結果として作品が「ダークマン」でやったことをフルデジタルで繰り返しているに過ぎないというのはどうにも寂しい。
これだと「ダークマン」のほうが面白いし、僕はやっぱりティム・バートンの「バットマン」くらいのものを観たかったぞ。
(そういやバートンも「猿の惑星」を同じような経緯で同じような作品に作っちゃったよな)
しかしある意味"薄っぺらなマンガ風味"も彼の持ち味のひとつではあるので、極めてサム・ライミ的なスパイダーマンであったとも言える。
でもやっぱりつまんないけど。

パニックルーム (2002/米)　The Panic Room
　　監督　デビッド・フィンチャー
　　脚本　デビッド・コープ
　　撮影　コンラッド・W・ホール/ダリウス・コンディ
　　出演　ジョディ・フォスター/フォレスト・ウィテカー/ドワイト・ヨーカム/ジャレッド・レト

ディビッド・フィンチャーが映画撮影のスキルアップのつもりで作ったという本作は、撮影前にコンピュータで各シーンをシミュレートしたという。
それだけのことはあってなんだかまるで映画のお手本のように寸分の隙もないような構成。
撮影監督の交代や、怪我で降板したニコール・キッドマンに代わったジョディ・フォスターが妊娠してることが判明する(撮影中どんどんお腹が大きくなる！ジョディのおっぱいがいつになく大きいのもそのせいです)などなど、現場は結構大変だったことを考えるとよくやるよな。
今回はいつものスタイリッシュでトリッキーな映像スタイルも抑え (とはいえ、建物に侵入しようとする強盗達とジョディとのあいだを行ったり来たりする二分以上におよぶワンカットのシーンはかなりすごい)、物語も抑えたトーンのサスペンスで、まぁ言ってしまえば地味。
とても高度な要素が満載された作品なのだがそういうところに興味がなければとくにどうということもない映画なのかも？
劇場で観て、オープニングのスタッフクレジットが超絶にカッコイイ！と騒いだりしてみたが、テレビモニターではまったく再現不可。
たぶん僕がなにをギャーギャーと興奮していたのかわからないでしょう。
う～む・・・

スコーピオンキング (2002/米)　The Scorpion King
　　製作総指揮　ヴィンス・マクマホン
　　脚本・原案・製作　スティーブン・ソマーズ
　　監督　チャック・ラッセル
　　出演　ドウェィン・ジョンソン ("ザ・ロック")/ マイケル・クラーク・ダンカン/ケリー・ヒュー

「ハムナプトラ２」に出てきた悪役キャラ"スコーピオンキング"を主人公に据えたスピンオフ作品。
「ハムナプトラ」のVFXが気に入った人、本作品のデジタルVFXはあれほどではありません。
「ハムナプトラ」のストーリーが気に入った人、本作品はヒロイック・ファンタジーです。
「コナン・ザ・グレート」とかああいう、ガタイのいい男と半裸の女が暴れ回る、常に画面が肌色な感じの映画なのでお間違えなく。
まぁそういったかんじのあまり新味のない作品ではあるのですが、けっこう楽しめるのはやはり"スコーピオンキング"を演じたロック様の魅力なんだな。
正直、ロック様の活躍だけで最後まで観れてしまうのだな。

少林サッカー (2001/香港)　少林蹴球
　　監督・脚本　チャウ・シンチー
　　共同監督　リー・リクチー
　　アクション指導　チン・シウトン
　　出演　チャウ・シンチー/ウォン・ヤッフェイ/ン・マンタ

最高に笑えて最高に泣けて最高にかっこいい！
ネタ満載サービス過剰なノリで、基本的には力業ながら破綻なくバランスしているのが香港映画においては奇跡的？
少年マンガ風の荒唐無稽なイメージを映画に持ち込む香港デジタルVFXは他の追随を許さないくらいパワフルでびっくり！
日の当たらない人々が少林拳で逆襲していくストーリーもこぎみよい。
ワールドカップに合わせて公開されながらそっちとは全然関係なく盛り上がったのが象徴的(笑)
まじめにサッカーが好きな人は見なくていいです、たぶん。
これはこっち側の人のための映画だし。

ブレイド２ (2002/米)　Blade II
　　監督　ギレルモ・デル・トロ
　　脚本　デイヴィッド・S・ゴイヤー
　　製作　ピーター・フランクフルト/パトリック・バルマー
　　出演　ウエズリー・スナイプス/クリス・クリストファーソン/ドニー・イェン

人間と吸血鬼の混血、デイウォーカー"ブレイド"が吸血鬼族に戦いを挑む、ウエズリー・スナイプスのオレ様最高アクション第二弾！
今回の敵は吸血鬼ですら餌食にしてしまう凶暴な殺人生物リーパーズ。これが監督デル・トロ(ミミック等)の趣味炸裂でかなりエグイ！
ブレイド暗殺のために結成された吸血鬼の特殊部隊"ブラッドパック"とあえて手を組み、リーパーズ殲滅戦に挑むブレイド。
ここの戦いは「ドラゴンVS七人の吸血鬼」ばりの大殺戮！
なんですが今回ちょっとスナイプス節は控えめだったかな？
ブラッドパックのニッサ(レオノラ・ヴァレラ)やスノーマン(ドニー・イェン)等の脇キャラが結構光るのだけれど、そのぶん見せ場が分散しちゃったきらいはある。
残念。
「修羅雪姫」では釈ちゃんにも稽古つけたドニー・イェン先生のスノーマンは本当にカッコイイ！からそれだけで見てもイイかもしれない。

unloved (2001/日本)
　　製作　仙頭武則
　　監督・脚本　万田邦敏
　　脚本　万田珠実
　　出演　森口瑤子/仲村トオル/松岡俊介

極個人的に2002年最大の問題作。
自分に嘘をついたり、無理をしてまで欲しいものなんかない。他人と較べて羨むこともない。
ただ"あるがままの自分"を貫こうとする女性と、彼女との恋に翻弄される二人の対照的な男。
劇中「分相応」という言葉で語られる、この"あるがままの自分"　安全で静かな暮らしを維持し、上にも下にも何処にも行かない　「いま」「ここ」で充分であるという生きかた。
僕にはうまく説明できないけれど、映画はその生きかたについて静かに淡々と、けれど真摯に挑むように語りかける。
主人公光子の想いを僕は理解できると思った、でも同時に納得できないとも思った。
現実の自分にも重なるシチュエーションが多くて、そこに自分とは全く違う視点があって、でもその想いを理解はできる。けども支持はできない。
おそらく観るひとが男性か女性かで印象が変わってくると思うし、基本的には好き嫌いのはっきりわかれる映画だろう。
そして好きな人には深い共感を呼ぶだろう。

映画としてはこのいかにも他者に対して説明しにくい思想をうまくコントロールして演出した万田監督の手腕に感心。
主演の森口瑤子は魅力的で不思議な存在感を持ってこのおそらくは現実には存在しないキャラクターに確かな説得力を持たせている。
この人なしには成立しない映画だったろうと思う。

スターウォーズ　クローンの攻撃 (2002/米)　Star Wars Episode II: Attack of the Clones
　　製作総指揮　ジョージ・ルーカス
　　監督　ジョージ・ルーカス
　　出演　ユアン・マクレガー/ナタリー・ポートマン/ヘイデン・クリステンセン

これほど多くの人にそれぞれの想いを抱かせてしまった超大作シリーズが、いまさら万人の納得のいく形をとることなど不可能である！
いろいろ言いたいことはあるがそれもまた楽し！むしろみんなが見たいと思っていた場面をよくぞここまで造りあげたな！偉いよ！ルーカス！
とにかくちょっとでも観てみようかなと思ったひとは観ればよい、全然ダイジョウブ！
楽しいよ！

＞＞ エピソード２　クローンの攻撃　2002 08/10

タイムマシン (2002/米)　The Time Machine
　　監督　サイモン・ウェルズ
　　脚本　ジョン・ローガン
　　出演　ガイ・ピアース/サマンサ・マンバ/ジェレミー・アイアンズ

あんな雨ざらしのままでいつまでも作動する機械ってあるかな？(ＮＹ公立図書館のボックスね)
みんな結構平気で英語喋るしなぁ、80万年言うたら長いですよ！
そもそもタイムマシンの動力は何？無限に動いてるっぽいけど・・・
なんかそういうＳＦ考証的なアラが気になるのはやはりドラマが弱いからなわけで。
主人公ははじめ、愛する人を失った悲しい過去を変える手段を見つけるために未来へ向かうのだが、どこかの時点で過去と訣別し未来に生きることを決意する。
それがこの映画を貫く物語の軸のはずなんだけど、どこで気が変わったのかよくわかんないなぁ・・・
時間旅行シーケンスのビジュアルが楽しかったり、ひさびさにスタン・ウィンストンの良く動くプラクティカルスーツが見れたりとVFXはなかなか楽しいのですがね。

トータルフィアーズ (2002/米)　The Sum of All Fears
　　監督　フィル・アルデン・ロビンソン
　　製作　メイス・ニューフェルド
　　原作　トム・クランシー
　　出演　ベン・アフレック/モーガン・フリーマン/ジェームス・クロムウェル/リーブ・シュライバー

ベン・アフレックのジャック・ライアンがまったく切れ者に見えない・・・というのはまぁ若返ったついでにライアンを駆け出しのCIAアナリストと位置付ける設定もあることだし大目に見よう。
設定と言えば、先に映画化された"ジャック・ライアン"シリーズとは設定上関連しないのでなんだかつじつまが合ってないかんじなのは仕方ない・・・って言われてもなぁ。
まぁハリソン・フォードのライアンだってちょっと違う気がしたし、そもそも原作シリーズはとんでもないことになっているのであまり気にしないことにするか！
ということであればなかなか面白いです、ストーリーもそこそこカッチリしているし、プロットは今風に修正して新鮮だし、サスペンス演出も盛り上がる、見せ場はけっこう派手で良し。
なんてったってボルチモア壊滅！ロシア攻撃機のミサイル攻撃で米空母大破！アメリカ・ロシアが交戦状態に突入！
原作が古いので全体に米ソ冷戦時代のテイストが漂っているのがやや違和感ですが、米ソ冷戦って枠組みは軍事サスペンス物語にはもってこいのおいしいネタだからなぁ。
地理的に場面転換するとき、衛星からの真俯瞰映像からはいるのが演出としてカッコよかった。

月のひつじ (2000/豪)　The Dish
　　監督　ロブ・シッチ
　　脚本・製作　サント・シラウロ、トム・グレイスナー
　　　　　　　　ジェーン・ケネディ、ロブ・シッチ
　　編集　ジル・ビルコック
　　音楽　エドモンド・コイ
　　出演　サム・ニール/ケヴィン・ハリントン/トム・ロング/パトリック・ウォーバートン

アポロ11号の月着陸をテレビ生中継したオーストラリアのパークス天文台の実話を元に、小さな街の人々を暖かくほのぼのと描く。
月へ向かうアポロ宇宙船を地上から追跡し交信するためには、地球の自転に合わせて複数の観測所が交替でモニターしなければならない。
南半球で選ばれたのは、牧羊地に囲まれたオーストラリアの片田舎パークスのパラボラアンテナ施設。
メインイベントである月着陸のテレビ生中継を担い、突然全世界から脚光を浴びて心躍るパークスの人々の姿を眺めつつ、数名の天文台職員たちの四苦八苦を描く。
NASAから出向した堅物の科学者との軋轢、純朴で引っ込み思案な若い天文台職員の恋、そして天文台所長の一世一代の決断をやさしくやさしく描いていく。
アメリカの世紀の大事業であるアポロ計画となると力のこもった演出に行きがちなところを、オーストラリアの片田舎に視点を移しておだやかなヒューマンドラマとして描いた秀作である。
パトリック・ウォーバートンがNASAの科学者を嫌味なく演じていい味を出している。

オースティンパワーズ　ゴールドメンバー (2002/米)　Austin Powers in Goldmember
　　監督　ジェイ・ローチ
　　脚本　マイク・マイヤーズ/マイケル・マクリース
　　美術　ラスティ・スミス
　　音楽　ジョージ・S・クリントン/クインシー・ジョーンズ
　　出演　マイク・マイヤーズ/ビヨンセ・ノウルズ/セス・グリーン/マイケル・ケイン

冒頭とラストに出てくる「オースティンの活躍をハリウッドスターで映画化したという設定の劇中映画 (言葉で説明するとえらくややこしいな)」より面白いところが本編に皆無というのはいかがなものか？
っていうかホントはもうネタ尽きてるだろ！
オースティンのキャラとあまり接点がない70年代ソウルという題材にしても、サブキャラに注がれる愛情のウエイトバランスにしても、「オースティンパワーズ」の枠組み内でやる必然はなく、たぶんそのせいで不発に終わっているのが残念と言えば残念。
僕としてはわざわざデジタルでリアルに再現された「間違った日本の風景」がツボ。

メン・イン・ブラック２ (2002/米)　Men in Black II
製作総指揮スティーブン・スピルバーグ
監督バリー・ソネンフェルド
脚本バリー・ファナロ/ロバート・ゴードン
出演トミー・リー・ジョーンズ/ウィル・スミス/ララ・フリン・ボイル/リップ・トーン

地球に来訪する数百のエーリアンを監視し管理する秘密組織MIBという設定でありながらＳＦ方面にはまったく行かず、ひたすらデタラメなネタに突っ走るわりかしオフビートなコメディシリーズ第二弾。
悪役エーリアンの魅力は前作に及ばないものの、引退した相棒Ｋが記憶を取り戻す過程のトミー・リー・ジョーンズのボケっぷりと、これまた昔の勘を取り戻したＫのタフガイぶりで前作よりずっと面白くなっている。
トミー・リー・ジョーンズ、オイシ過ぎ。
二作目という事で設定上のお約束も説明抜きにおさえられてテンポもアップ、そんなの居たっけ？的なキャラもタメグチで喋ればたぶん居たんだろうなと思えて不思議と好感度もアップ。
前作のユルさ加減にトホホだった人でも再挑戦してみる価値はあり。

＞＞ メン・イン・ブラック２　2002 08/09

リターナー (2002/日本)　Returner
　　監督・VFX　山崎貴
　　VFXディレクター　渋谷紀世子
　　VFXプロダクション　白組
　　制作　ＲＯＢＯＴ
　　出演　金城武/鈴木杏/岸谷五朗/樹木希林/川合千春

ドラえもんの最終回をベースにした時間ＳＦ「ジュブナイル」でなかなかいいトコ見せた山崎貴が挑むＳＦアクション。
・・・いやちょっと気負いすぎたかな？
いいところは結構あるけれども。
岸谷五朗が相当ブチキレたヤクザを熱演するけど、ヤクザって宇宙人の技術とか手に入れようとするかな？
ていうか異星技術の利用価値が理解できるならブチキレてはいないよな～などなどと無理矢理っぽいこじつけがいろいろ目立ってしまう。
「ジュブナイル」ではかゆいところに手が届く感じのバランス感覚を見せただけに、どうしちゃったんだろうと思わせて残念。
子供をあっさり撃ち殺してしまうヤクザ溝口の方向でものすごくハードコアにふるか、過酷な未来からやってきたミリに衣裳を見立てるシーンのようなお気楽ノリでライトＳＦにふるか、どっちかだったらよかったかも。
鈴木杏の熱演もいまひとつ着地点を見つけ損なってふるわず。

バイオハザード (2002/米･独･英)　Resident Evil
　　監督　ポール･アンダーソン
　　製作　ポール･アンダーソン/ジェレミー･ボルト
　　　　　バーンド･エイシンガー/サミュエル･ハディダ
　　出演　ミラ･ジョヴォヴィッチ/ミシェル･ロドリゲス/エリック･メビウス

原作ゲームのイメージを適度に散りばめながらもオリジナルストーリーを用意し、一本の映画としてのクオリティをしっかり持っているなかなかの傑作。
ミラ･ジョヴォヴィッチ演じる主人公アリスが記憶を無くしていたり、アリスが目覚める屋敷のシーンがそこだけ幻想的に撮られていたりと物語の導入部で適度に観客をケムに巻くのは、ひたすら殺して逃げまくるだけではもはや何の新味もない"ゾンビ映画"というジャンルを蘇生させるための巧妙な仕掛けである。
アリスの記憶喪失は神経ガスによる一時的なもので、その記憶の断片が蘇るごとに隠された真実が現れ、少しづつ物語をドライブするという脚本上のテクニックが、死体を蘇生させるＴ-ウィルスにまつわる陰謀と、迫り来るゾンビの群の恐怖とを立体的に組み合わせて従来とはひと味違うストーリーを構築している。
他にも撮影を主導した独･英スタッフが映像に独自のスタイルを生み出していること、ＳＦ系専門監督ポール･アンダーソンが本作に限らず温めていたであろう"ゾンビ演出ネタ"の数々、アクションも脱ぎっぷりも威勢のいいジョヴォヴィッチの魅力などなどがこの映画に多くの見所を与えている。
ゲームの映画化＝いい加減というイメージが足を引っ張るなら、いっそ邦題「レジデントイビル」でも良かったのでは？と思わせながらも、本作がゲームシリーズのストーリーに繋がる驚愕のラスト！
予告編の「ゾンビ犬に三角蹴り」でバカ映画を予感した人(オレもだけど)アレにもちゃんと理由が有るんだよ～。
ミシェル・ロドリゲスを筆頭に特殊部隊チームの面々もなかなかカッコよく、密室脱出型ＳＦホラー好きなひとにはお薦め。

ジェイソンＸ (2001/米)　Jason X
　　製作総指揮　ショーン・Ｓ・カニンガム
　　監督　ジム・アイザック
　　出演　ケイン・ホッダー/レクサ・ドイグ/リサ・ライダー

ホッケーマスクの不死身の殺人鬼ジェイソンが暴れ回る「１３日の金曜日」シリーズの第１０作。
「Ｘ」は"エックス"じゃなくて"テン"なので注意。実は「１３日の金曜日」って最初のヤツしか観たことないけど、これまでの経緯はだいたい想像つくので問題なかった。
ひとつも観てない人でも多分だいじょうぶ。
今度のジェイソンは宇宙で未来！
近未来、連続殺人鬼ジェイソン・ボーヒーズがついに拘禁され、クリスタル湖研究所(笑)で極低温冷凍される。
更に４００年後、荒廃した未来のクリスタル湖にやってくるのはやっぱり浮かれた未来の学生さんたちだった(笑)
よせばいいのに冷凍ジェイソンを宇宙船に持ち帰った一行は復活したジェイソンに殺されまくるハメに。
今回のジェイソンは宇宙海兵隊、女性戦闘アンドロイドとも戦い、最後には未来テクで再生強化されたパワーアップジェイソンになるぞ！！
ディビッド・クローネンバーグがまたまたキチガイ博士を嬉々として演じていたり、女性アンドロイドKAY-EM14を演じるリサ・ライダーがなかなかキュートだったりと細かいサービスいっぱいでけっこう楽しい。
ラストは驚愕の「必殺!!暗黒流れ星(from炎の転校生)」
いや～マンガ文化ってこんなところまで浸透してたんですね(違うって)

サイン (2002/米)　Signs
　　製作総指揮　キャスリーン･ケネディ
　　製作　フランク･マーシャル/サム･マーサー/M･ナイト･シャマラン
　　監督・脚本　M･ナイト･シャマラン
　　出演　メル･ギブソン/ホアキン･フェニックス/ローリー・カルキン/アビゲイル・ブレスリン

ミステリーサークルはUFOの着陸の目印に宇宙人がつけたものなんだ！
宇宙人は手から煙を出して人間を眠らせるとUFOに連れ帰って食糧にするんだ！
宇宙人の弱点は水なんだ！
フランス料理の店でお好み焼き定食を食わされたような映画・・・というはなしも良く聞きますが、シャマランの手口の巧妙さっていうのはそうしたミスリーディングを誘うプロット自体にあるのではなくて、本人からしてカケラもマジメに考えてなどいない中学生レベルのヨタ話を一流のドラマのように演出してしまえるところなのではないかな？
ブルース・ウィリス、メル・ギブソンっていうマッチョな俳優を使いながらあんなトーンの演出ができることからもシャマランの手腕は本物だとわかるのでは。
だっていつものメルギブならあんなひょろひょろ宇宙人なんか片手でブッとばしてるよ。

スパイキッズ２　失われた夢の島 (2002/米)　Spy Kids 2: Island of Lost Dreams
　　製作　エリザベス・アベラン/ロバート・ロドリゲス
　　監督・脚本・撮影・美術　ロバート・ロドリゲス
　　出演　アントニオ・バンデラス/カーラ・グギノ/アレクサ・ヴェガ/スティーブ・ブシェミ

カルメン＆ジュニの姉弟コンビが様々なスパイツールを駆使して活躍する世界最小のスパイムービー第二弾。
前作はかなり好きだったんだけども今回はさらにさらに子供向けになってしまってちょっとついてけなかったなぁ。
登場する新型ツールのアイデアやキテレツな悪役キャラにクリーチャーなどなど、前作をはるかに越えるガジェット満載映画なのですが、前作で意識した客層をさらに低年齢に振り向けた結果、ほんとうにおもちゃ箱をひっくりかえしたような状態になってます。
ひとことで言えばアニメっぽい、しかもアメリカのカートゥーンのように様々なアイデアが次々と連続していくあの感じ。
作品がそもそも子供達を楽しませるために意図されているのでそれは正解なのですが、僕は前作の子供が大人の世界(つまりスパイの世界ね) のカッコ良さを真似してみる感じが好きだったので、こうなっちゃうとちょっと辛い。
それでもロバート・ロドリゲスのガジェット至上主義的なアイデアの連射はやはりスゴイものがある。
冒頭の遊園地の超過激絶叫マシンから各種新型ツール、新型潜水艦、ライバルスパイキッズはもちろんスパイ老人も登場、磁石人間軍団vsスパイキッズ部隊、ハリーハウゼンへのオマージュを盛り込んだ合成生物などなどなど(Mr.フループも再登場するよ)
要素が多すぎて観ていて忙しいよ～、大人の観客としてはひっくりかえしたオモチャも多少は片づけたいと思ってしまうのですね。
ちなみにブシェミ出てますがフツーの役です。

トリプルＸ (2002/米)　XXX
　　監督　ロブ・コーエン
　　脚本　リッチ・ウィルクス
　　撮影　ディーン・セムラーAM,ACS,ASC
　　出演　ヴィン・ディーゼル/サミュエル・Ｌ・ジャクソン/アーシア・アルジェント

「ザンダーゾーンへようこそ！」
アメリカ国家安全保障局(NSA)がおくる新世紀のエージェント"ザンダー・ケイジ"はエクストリーム・スポーツの天才！
スカイダイブ、モトクロス、スノボ、スケボ、フリークライムその他諸々の技をひととおり駆使してテロリスト集団"アナーキー99"と闘うぞ！
本物のエクストリームアクション＋完璧なデジタル合成でアクションシーンはスゴイ！！(ホントです)
脚本はユルユルですが気にならない！もう全編見せ場しか無いような体裁になってます！
無意味な見せ場がストーリーを粉砕するロブ・コーエン演出の幸せな到達点、ついに彼の時代が来たのかも！！
モトクロスバイクがパンケーキで有刺鉄線をかいくぐるシーンに痺れた！
テロリストの秘密兵器「エイハブ」(全自動無人水中翼船、全世界破滅毒ガスミサイル搭載！)のバカスーパーなデザインがアニメ的カッコよさで痺れた！
アーシア・アルジェントの下腹の天使の入れ墨(自前)に痺れた！
次回作「トリプルＸスクウェア」がはやく見てぇ！

es (2001/独)　Das Experiment
　　監督　オリバー・ヒルツェヴィゲル
　　脚本　マリオ・ジョルダーノ
　　撮影　ライナー・クラウスマン
　　出演　モーリッツ・ブライプトロイ/クリスチャン・ベッケル/マレン・エッゲルト

無作為に集めた被験者たちを「囚人」と「看守」の２グループに分け、看守グループに囚人グループを監視監督させる。
看守グループは囚人たちに冷淡な態度をとるようになり、しだいに乱暴に扱う行動さえ見られるようになる。
囚人グループもまた卑屈で感情に乏しい状態に陥っていく。
社会的に割り当てられた「役割」が人間の行動に影響を与えることを実証するこの実際の社会心理学の実験を題材にした映画。
正直このワンアイデアでどこまで行けるのか不安もあったが、後半に登場する隔離ボックスからの脱出とか、看守グループが暴走して実験全体を乗っ取ってしまうあたりから映画的に派手なクライマックスに向かっていってけっこう盛り上がる。
ドイツ映画らしいちょっとした"安さ"を伴ったホラーっぽいサスペンスの手法が、よりリアリズム演出を取り入れた "サイコホラー"なるジャンルに既に馴染んだいまの我々からするとちょっと古っぽい。
そのあたり、徹底した心理スリラーを期待したひとから厳しく評価されるところだけど、でもドイツ映画だよ(笑)
ホントの所、映画が焦点を当てているのは、社会的役割に左右される普遍的人間の行動ではなくて、さらにその先で"普遍的"とされる人間が隠し持っている欲望の怖さ。
これは社会心理学ではなくて心理学の分野、集団心理でなくて個人の問題。
そうしたいくぶんユルイ作りも、謳い文句の的はずれも判ってる上でそういうふうに宣伝する配給会社って社会悪だよね、ギャガさんよ～。

ハリー・ポッターと秘密の部屋 (2002/米)　Harry Potter and the Chamber of Secrets
　　監督　クリス・コロンバス
　　原作　Ｊ・Ｋ・ローリング
　　出演　ダニエル・ラドクリフ / ルパート・グリント / エマ・ワトソン

やれやれ、なんなんだこれは？
前作は「ハリポ」世界の紹介編でもあり、まあこんなものかという気もしていたし、今回はストーリー的にも深度が増してくるハズと思っていたがこれなら前作の方が面白い。
今回ストーリーの核になる「秘密の部屋」の謎解きと、ハリー君のダークな側面の描写に期待していたが、正直、前半に圧縮されたおもしろエピソードの羅列の部分のほうがまだ楽しめた。
やっぱり「ハリポ」ってジュブナイルなんだよなと改めて確認。
なんかいろいろ深読みして書いた「賢者の石」の映画評がバカみたいだわ。
ツッコミどころは山ほどあるけどどうでもいいや。
ただあまりの展開に気を失いそうになったところをひとつだけ。
まんまネタバラしだけどクライマックスのバシリスクとの戦い、その眼に見つめられるだけで死に至るというバシリスクとどう闘うんだ？ハリー君！
・・・なんて思っていたんだけど、校長の飼ってるトリが必殺剣くわえてやってきたうえにバシリスクの眼を突っついて潰しちゃうんだよ。
アホか！

火山高 (2001/韓国)　Volcano High
　　製作　キム・ジェウォン
　　監督　キム・テギュン
　　脚本　キム・テギュン/チョン・アンチョル/パク・ホンス/ホ・キュン
　　出演　チャン・ヒョク/シン・ミナ/キム・スロ

"火山高"は高校の名。
それを手に入れるとなんかいいことがある(なんだったか忘れた)という秘伝の書「師備忘録」を巡って教師と生徒が戦いを繰り広げる学園戦国スーパーバトル！
一見脈絡無くあっちこっち飛ぶストーリー展開に見てるうちワケわからなくなりますが実は複雑なことは何も起こってません。
学校の廊下や教室を舞台にマトリックスばりのワイヤーワーク+デジタルVFXで繰り広げられるスーパーバトルも売り文句ほどの新味はなく、そのマンガそのままのバカバカしさがちょっといいかな～くらい。
特筆すべきはキャラクターでしょうね、ムダに混沌とするストーリーのなかで無意味にキャラだけ立ってます！
"氷の宝石"の異名を持つ剣道部主将ユ・チェイは女だてらに詰め襟で竹刀を構え、荒くれ者チャン・リャンは巨体で長髪にして三枚目を演じて主役を喰い、学園No.1のソン・ハンニムは陰謀で拘禁されても冷静に主人公ギョンスを支えて陰の主役をはる。
教師側には全てを見通しながらもおとぼけ続ける校長チャン・オジャ、典型的な陰謀オヤジの教頭チョン・ハクサ、そしてそれぞれが得意の技を操る学園鎮圧教師五人衆。
マンガそのままにデフォルメされたキャラが集まってどうなるのか！と思いきや別にどうともならず話はフツー以下(笑)
火山高という黒雲渦巻く荒野にキャラだけがバラバラと屹立している！そんな印象の映画。でもそれだけでもちょっと面白い気がするのが不思議。これがキャラ萌えというやつか！
少なくともユ・チェイはいいよ！ユ・チェイは！

2003 01/05

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