「ダウントン・アビー・シーズン2」に学ぶ英語表現 第1話

bloody (well)

すごく・ひどく・絶対(〜ない)

We've bloody well lost enough of them for one day.

我々は一日でずいぶんたくさんの兵士を失った。

NHKの日本語セリフの該当部分は「これ以上死者を出せない」だった。

bloody は「血(まみれ)の」という形容詞が核となる意味なので、「戦闘でケガをして血を流したのかな」と解釈したが、そうではなかった。イギリス英語の口語表現で、程度を表す副詞の使い方のようだ。

very と同じように、形容詞や他の副詞の直前で用いられる副詞なので、動詞や文全体を修飾したいとき他の副詞が必要。よく well が用いられる。Bloody good!「最高じゃん!」などと使う。

名詞の前において形容詞としても使うことができる。Bloody hell!「ひどい地獄」→「くそっ!」「畜生!」「なんてこった!」。

将校となって第一次世界大戦のソンム川の戦いに参加した Matthew の発言。この直前にI want every wounded man taken down the line before it starts to get dark.と言っている。表題語句を含む例文の enough of them の them だが、直前の文で探せば every wounded man が目に着く。しかし、「けが人を失う」というのは考えられないから、状況を考慮して our soldiers くらいであろう。

well も「十分」と訳せるし enough は名詞で「十分な数」という意味。言った言葉をまともに日本語にしたら重複するような感じになってしまう。bloody well を挿入することで強調したかったのだ。日本語でよく不必要に使われる「超」と発想は同じ。

William's a good chap

ウィリアムはいい奴

William's a good chap, but he's not Bates when it comes to uniforms. I may not be a real soldier, but I think I ought to look like one.

ウィリアムはいいだが、軍服を着せてくれるのはベイツにかなわない。私は本物の兵士でないが、そう見えるようにきちんとしておきたい。

古くは chapman という語が「商人」「貿易商」という意味で使われていた。その man を削った語で、イギリス英語では「やつ」「男」「君(きみ)」という意味で使われる。アメリカ英語では fellow や boy が使われる。

Grantham伯爵の Robert と執事Carson との会話での伯爵の発言。William は、First Season では Thomas に次ぐ第2下僕であったが、Thoma は衛生兵として志願し戦場に出ている。従者の Bates は、母親の葬儀のためロンドンに出掛けている。William は不慣れな伯爵従者をしなければならない。

“when it comes to something”という表現は、「(状況が)〜のところにやってくるとき」→「〜となると」「状況が〜になると」。ここでは「制服になると」→「軍服を着せてくれる仕事をしてもらうと」。

“he's not Bates”という表現も大半の日本人には理解しにくい発想。「軍服を着せる段になると、ウィリアムはベイツではない」→「軍服を着せてくれるのはウィリアムよりベイツの方が上手い」となる。

one は a real soldier。

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jack-in-the-box

びっくり箱

How can that be? You were told you weren't wanted for active service. You can't jump in the army like a jack-in-the-box.

どうしてそうなるの? 従軍はしなくていいと言われているはずよ。びっくり箱みたいに軍隊に飛び込むことなんてできないわよ。

伯爵夫人の Cora の発言。伯爵が軍隊に現役復帰できるかも知れないと言った言葉に対して発せられた。

“How can that be?”は「それはどのようにして存在することができるのか」→「どうやったらそうなるの?」「どうしてそうなるの?」となる。

jack-in-the-box は、ピエロの頭などが、ばねなどによって飛び出してくる箱。「びっくり箱」。

cross that bridge when one comes to it

問題が起きたときにそれを処理する。そのときはそのときだ。

LADY EDITH: It doesn't seem to want to go.
BRANSON: I think it wants to if you ask it properly. That's better. You'll be putting me out of a job.
LADY EDITH: Won't the call up put you all out of your jobs?
BRANSON: I'll cross that bridge when I come to it.

(運転手のブランソンが、二女のエディスに運転を教えている。どうも上手に運転できないでいるようだ) エディス嬢: この車が言うことを聞いてくれないようなの。
ブランソン: ちゃんと操作すれば言うことを聞いてくれますよ。 ほら、上手になった。あなたは私の仕事を取り上げようになりますね。
エディス嬢: 召集令状が来たら、あなたの仕事はすっかりなくなってしまうのではなくて?
ブランソン: そうなったら、なったときのことです

“It doesn't seem to want to go.”は「それは行きたいと思っているようには見えない」が逐語訳。it は「運転中の車」のこと。「車が進みたいと思っているようには見えない」から「思う通りに動いてくれない」ことを表す。

“I think it wants to if you ask it properly.”は「もしあなたがこの車に適切に頼めば、この車は行きたいと思うようになると私は考える」が逐語訳。to の後ろは go が省略されている。

“You'll be putting me out of a job.”は will be putting と未来進行形になっている。未来に進行中の動作か未来に行われると確定している事項を表す。put me out of a job は「私を仕事から外に置く」→「私から仕事を取り上げる」「私を失業させる」という意味。全体では「あなたは私を仕事から外す状態にすることになるでしょう」。「お嬢さんはそのうち私を失業させるほど上手になる」ということ。

“Won't the call up put you all out of your jobs?”の主語は the call up。句動詞の call up は「招集する」という意味にもなる。それを名詞として利用したのだと思う。「軍からの招集」または「召集令状」と訳しても良いと思う。「軍からの招集は、あなたをすっかり仕事から外した状態に置くようになるのではないですか」が直訳。

“I'll cross that bridge when I come to it.”が表題が使ってある文。「私がそこに来たとき、私はその橋を渡ることにします」が直訳。確かには橋まで行かないことには渡れない。あれこれ考え杞憂(きゆう)しても始まらない。その事態になったら対処すればよいということ。少し示す内容は違うが、日本語にも「危ない橋を渡る」という表現がある。

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tuppence

2ペンス。two pence

Violet: Hot buttered toast with a countess, a tuppence a slice?

ヴァイオレット:伯爵夫人と一緒にホット・バタートースト(を食べる)のはどう? 1切れ2ペンスの寄付で。

チャリティーに出す品物の話をしている。前伯爵夫人のバイオレットがふざけて、伯爵夫人と一緒に軽食をとる特典を提案している。

pence は penny「ペニー」の複数形。当時は twopence と1語で表記するのが普通。現在では two-pence または two pence と離されることが多くなった。ペニーはセントや一円に近い通貨単位。tuppence は twopence のイギリス英語俗語。

a slice の a は「〜につき」「〜ごとに」。

how to suck eggs

卵のすすり方。とても簡単なことのやり方。

Mrs Hughes: Ethel, are you settling in?
Ethel: I would be if Anna would stop teaching me how to suck eggs. I was Head Housemaid in my last position.

ヒューズさん:エセル、(ここの仕事にも)慣れてきたかい?
エセル:誰でも出来る簡単なことを、くどくどと教えようとアンナがしなければですが。これでも私はメイド長だったんですから。

ファースト・シーズンで登場したメイド Gwen は、秘書の仕事に就くため館を去った。後任だと思うが Ethel が登場している。以前勤めていた屋敷では、2人いる女中のシニアの方だったようだ。

Ethel, are you settling in? 家政婦長が、もうダウントン・アビーに慣れたかと質問している。settle は「落ち着く」「定着する」という意味。

I would be if Anna would stop teaching me how to suck eggs.「もしアンナが私に卵の吸い方を教えることをやめるならば、私はこのお屋敷の仕事にも慣れて行くことでしょう」くらいが逐語訳か。would be の後ろには settling in が省略されている。

suck eggs は「卵を吸う」「卵をすする」だが、「うまく立ち回って甘い汁を吸う」という意味や「うまく取り入る」「やり口が卑怯」というような意味になることもある。「くたばれ」という表現になることも。今回は「卵を吸う」→「簡単なことをする」という意味で使っている。

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ease up

手を抜く。いい加減にやる。ほどほどにする。

Mrs Hughes: You have to ease up a bit or you'll give yourself a heart attack. There's a war on. Things cannot be the same when there's a war on.
Mr Carson: I do not agree. Keeping up standards is the only way to show the Germans that they will not beat us in the end.
Mrs Hughes: Well, give me some warning the next time we're expecting Germans at Downton, I'll see what I can do.

ヒューズ家政婦長:少し手を抜かないと、心臓発作を起こしてしまうわよ。戦争が続いているんだから。戦争中は、何でも同じわけには行かないわ。
カーソン執事:いや、そうじゃないね。いつも通りを貫くことが、結局は我々を倒せないとドイツ人たちに示す唯一の方法なんだ。
ヒューズ家政婦長:あら、じゃあ今度ドイツ人たちがダウントンにやって来るときは、私に教えて。私ができることを、そのとき考えるから。

戦争で男手も少ないので、執事自ら下僕のやる仕事をして、忙しく立ち働いている。2人の掛け合いがおもしろい。

You have to ease up a bit or you'll give yourself a heart attack.「あなたは少し手を抜かなければならない。そうしないと、あなたはあなた自身に心臓発作を与えるでしょう」という意味。

ease up は「手を抜く」の他に「和らぐ」「緩む」「緩める」「ゆっくり動かす」「席をつめる」「控える」「落ち着く」などの意味でも使われる。

Things cannot be the same when there's a war on.「戦争が on の状態で存在するときは、物事は同じであるはずがない」。on は副詞で「行われて」という意味。

Keeping up standards is the only way to show the Germans that they will not beat us in the end.「標準を守り続けることは、唯一の方法だ、最終的には私たちを打ち負かすことはないだろうと、ドイツ人たちに示すための」

第1次世界大戦では、イギリスはドイツ・オーストリア・イタリアが敵国。英兵の多くは、フランスなどでドイツ軍と対峙していたようだ。

Well, give me some warning the next time we're expecting Germans at Downton,「そうねー、私たちがダウントンでドイツ人たちが来るのを期待して待ちうける今度のときに、私にいくらかの警告を与えなさい」

the next time と we're の間には、関係副詞 when が隠れている。be expecting someone で「人がやって来るのを待つ」。

I'll see what I can do.「私が何をすることができるか、私は見ることでしょう」。多くの場合「できる限りのことはやってみる」と言いたいときに使う。実際には何もしないこともしばしばある。Let me see what I can do. も同じ意味。

時間ができれば追加する。
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