「ダウントン・アビー・シーズン2」に学ぶ英語表現 第3話

Which comes as no surprise.

それは驚くには当たらない。それは意外なことではない。

LADY SYBIL: Of course, but I don't know if we can make that an absolute rule. ISOBEL CRAWLEY: If the world were logical, I would rather agree with you.
VIOLET, DOWAGER COUNTESS OF GRANTHAM: Which comes as no surprise.
ISOBEL CRAWLEY: You would not, I imagine.
VIOLET, DOWAGER COUNTESS OF GRANTHAM: You imagine right. What these men will need is rest and relaxation. Will that be achieved by mixing ranks and putting everyone on edge?

(ダウントン・アビーの館を将校用の療養施設として利用することになった。人間は皆平等の考えを持っているシビル嬢は、将校のみの収容に疑問を呈している)
シビル嬢:もちろんよ。でも、そのことを絶対的な規則にすることができるなんて分からないわ。 イザベル・クローリー:もし世界が論理的であったならば、あなたに賛成だわ。
前伯爵夫人・ヴァイオレット:別に驚くことではないわ。
イザベル:あなたは賛成なさらないと思いますわ。
ヴァイオレット:ご想像の通りよ。これらの人たちが欲しいのは、休息と寛いだ雰囲気だわ。階級の違った人をごちゃ混ぜにして、みんなを不安な状態にするなんて。それで休養と寛ぎが得られるかしら。

I don't know if we can make that an absolute rule.「私たちはそれを絶対的な規則とすることができるかどうか、私は知らない」という構文。make O C「OをCにする」と解釈できる。
「将校専用」とした軍や院長などの決定に、シビル嬢は異を唱えている。

would rather do something は「むしろ〜したい」という、よく使われる表現。

Which comes as no surprise.「前述のことは、驚きが全くない状態でやってくる」が逐語訳。which は関係代名詞の継続用法[非制限用法]。通常は先行詞の後ろにコンマを置いて続けるが、先行詞は他人の言葉なので、いきなり文頭から出てきている。クローリー夫人が「シビルの考えに賛成する」というのを指していると考えるのが妥当。「将校専用と決めたこと」ではないと思う。離れているし。

You would not, I imagine. は I imagine that you would rather not agree with her. の省略と倒置と考えられる。「あなたは彼女に賛成したいとは思わないと思うのだけれど」くらいの内容。

You imagine right.「あなたは正しく想像している」→「あなたの考えは当たっている」→「おっしゃる通り」。

What these men will need is rest and relaxation.「これらの人が必要とするだろうことは、休息と寛ぎです」。what は先行詞を含む関係代名詞。The Beatles の All you need is love.「あなたに必要な全ては愛です」→「あなたに必要なのは愛だけ」と同じ構文。These men will need the thing.+ The thing is rest and relaxation.

Will that be achieved by mixing ranks and putting everyone on edge?「複数の階級を混ぜることと、全ての人を不安な状態に置くことによって、それは達成されるでしょうか」。能動態の平叙文にすると Mixing ranks and putting everyone on edge will achieve that.「複数の階級を一緒に収容し、患者を不安定にすることは、休息と安らぎを与えるという目的を達成させるでしょう」。明らかに反語表現。that は先ほどの文の what の内容。on edge は「端にいる状態」「刃の上にいる状態」→「いらいらして」「不安で」。「

chug along

汽車などがシュシュポッポッと音を立てて進む。経済などが堅実に発展する

MR CARSON: I'd like to thank you all for your work this morning.
ETHEL: It's so strange to see the rooms converted into dormitories.
ANNA: But good. It was wrong for our life to chug along as if the war were only happening to other people.
DAISY: How will it be, though? Are we all working for Mrs Crawley now?
O'BRIEN: We are not.
MR CARSON: I'm sure the chain of command will be sorted out soon.
O'BRIEN: Or there'll be blood on the stairs.
MR CARSON: Thank you, Miss O'Brien.

カーソン執事:今朝は皆、ご苦労さんでした。
女中エセル:部屋が病室の大部屋に変わるのを見るのは、とても変な感じがするわ。
女中頭アンナ:でも、いいことよ。戦争がまるで他人様のできごとであるかのように、私たちの生活が続いていくのは間違っていたんだわ。
厨房小間使いデイジー:でも、これからどうなって行くのかしら? 私たちは皆、クローリー夫人の指示に従って仕事をすることになるの?
侍女オブライエン:そんな事にはならないわ。
カーソン:指示系統は、まもなくきちんと決まるはずだ。
オブライエン:早く決まらないと、階段で血を見ることになるわ。
カーソン:どうも、オブライエンさん。

I'd like to thank you all for your work this morning.「あなたたちの今朝の仕事に対し、あなたたち皆に私は感謝したいと思う」。館内の多くの部屋を将校の病気療養用の部屋に模様替えしたことの労をねぎらっている。

It's so strange to see the rooms converted into dormitories.「複数の部屋がドミトリーに変換されるのを見ることは、とても奇妙です」。it は形式主語で、to see... が本当の主語。“see something p.p.”で「何かが〜されるのを見る」

But good. It was wrong for our life to chug along as if the war were only happening to other people.「でも、良いです。戦争が、あたかも他の人々に対してだけ行なわれていることのように、私たちの生活がシュシュポッポッと進んでいくのは間違っていました」。貴族の館内だけで生活していれば、戦争など起こっていないかのようであるのだろう。何らかの形で国に貢献したいと思うのは、また、思わされているのは、日本だけではなかったようだ。

How will it be, though? Are we all working for Mrs Crawley now?「でも、状況はどのようになるのでしょうか。今、私たちは皆、クローリー夫人のために働いているのですか」。“work for O”で、「〜で働く」という表現。He works for a law firm.(LDOCE)「彼は法律事務所で働いている」「彼は弁護士事務所で仕事をしている」。

We are not.は、We are not working for Mrs Crawley now.「私たちはクローリー夫人のために働いているわけではない」の部分省略。

I'm sure the chain of command will be sorted out soon.「命令の鎖はまもなく整理されて出てくるだろうと、私は確信している」。the chain of command は「命令系統」「指令系統」。sort out は「手配する」「準備する」「整理する」「解決する」。この文では受け身で使われている。

Or there'll be blood on the stairs.「そうしないと、階段で血が存在することになるでしょう」。or は「命令系統が決められるか」それとも「流血の事態になるか」のどちらかという意味の接続詞。命令文の後に使われる or のように「そうしないと」「さもないと」と訳すと分かりやすい。the'll be blood は「流血騒動になる」と半分冗談で言っている。毒舌家オブライエンらしい一言。on the stairs は「階段上で」なのだが、この時代の英語で、above stairs「階段の上で」→「上の階の部屋で」→「ご主人の部屋で」→「主人たちの間で」という表現がある。on the stairs もそれに準じているのだと思う。階段で誰かがつき落とされるということではないと考える。もちろん、below stairs は「階下で」「地下の部屋で」→「使用人の部屋で」→「召使の間で」などと使われた。

Thank you, Miss O'Brien. オブライエンの毒舌に執事カーソンは、このように対応することにしているようだ。この Thank you には、「もう、そこまでにしておけ」という意味が込められている。

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gobble

むさぼり食う。ガツガツ食べる。

VIOLET, DOWAGER COUNTESS OF GRANTHAM: Well, I'm going up to London to stay with Rosamund for a day or two. I think we'll have Lavinia for tea.
LADY MARY: You sound as if you're going to gobble her up.
VIOLET: Hahaha! If only we could.

ヴァイオレット前伯爵夫人:そうねー。私はロンドンに行って、ロザムンドの家に1日か2日滞在するつもりなの。ラヴィニアをお茶に招待しようと思っているの。
メアリー嬢:まるで彼女をガツガツ食べちゃいそうな勢いね。
ヴァイオレット:ハッハッハッ! そうできればいいんだけど。

Well, I'm going up to London to stay with Rosamund for a day or two.「そうですね。私は1日か2日間ロザムンドの家に滞在するためにロンドンへ上るつもりです」。go up to London で「ロンドンまで行く」という意味だが、ひょっとすると up という語に「上京する」という意味を持たせているのかもしれない。もちろん、首都ではない場所に行くときでも、go up to はよく使うのだが。stay with someone で「〜の家に滞在する」「〜のもとに滞在する」という意味。

I think we'll have Lavinia for tea.「私たちはお茶のためにラヴィニアを招待するでしょうと私は考える」。have someone で「招待する」という意味になることがある。for tea もあるし、ここはその使い方だろう。「お茶(会)に招待する」という意味。

You sound as if you're going to gobble her up.「あなたはまるで、あなたが彼女をむさぼって食い尽くすつもりのように聞こえます」。You sound as if... で「あなたはまるで……と言っているかのように聞こえる」という意味にしたいのだろう。gobble は「むさぼり食う」「ガツガツ食べる」「かき込む」という意味。よく後ろに副詞の up や down を伴う。ここから意味が拡張して、gobble something up や gobble up something で「(金などを)どんどん使う」「(企業などを)買収する」という意味になることもある。

ヴァイオレットの前言 have Lavinia for tea の have は「招待する」よりも「食べる」「飲む」の意味の方がポピュラー。無理やり解釈すれば「ラヴィニアをお茶のときに食べてしまう」ともとれる。それを踏まえての発言であろう。これは日本語訳では出せない。

If only we could.「もし私たちができさえすればいいのですが」。仮定法で習う if only...「……でありさえすれば」「せめて……であれば」。これからのことについて言う場合は could や would がよく使われる。could の後ろは gobble her up の省略。

メアリーが心を寄せるマシューの婚約者ラヴィニアがいなくなれば、メアリーや祖母ヴァイオレットにとっては好都合。

It's doing nothing that's the enemy.

何もしないことこそが敵。何もしないでいることが最悪。

イーディスは小作人ドレイクの農場へ手伝いに行っていた。ドレイクとイーディスの接近に危惧を感じたドレイクの妻は、以後の手伝いを断わってきた。

LADY EDITH: It did suit me. I enjoyed it. But now I feel like a spare part.
LADY SYBIL: Trust me, you have a talent that none of the rest of us have. Just find out what it is and use it. It's doing nothing that's the enemy.

二女イーディス:本当に私に合っていたわ。楽しかったもの。でも今じゃ、予備の部品の気分なの。
三女シビル:私の言うことを信じて。お姉さんには、私たちの他のだれもが持っていない才能があるのよ。それが何かを自分で見つけて活用してみて。何もしないのが一番いけないわ。

It did suit me. I enjoyed it.「それは本当に私に合っていました。私はそれを楽しみました」。It suited me. の動詞を強調するために did を使った。ここでは did を「本当に」と訳した。suit は「似合う」「ぴったりである」「最適である」「は好都合である」。

But now I feel like a spare part.「しかし今、私は予備部品の一つであるかのように感じている」。妹や他の人々がやることを見つけ、積極的に生き生きと働いているのを見て、自分だけ役立たずだという無力感を味わっている。与えられた活躍の場を楽しんでいたが、丁重ながら突然断わられた。「スペア部品の気分」は彼女の気持ちをうまく表している。「いくらでも交換できる歯車の一つ」というのは日本のドラマでよく使われる。

Trust me, you have a talent that none of the rest of us have. Just find out what it is and use it.「私を信用しなさい。あなたは私たちの残りの誰一人持っていない才能を持っている。それが何なのか見つけ出してみて。そして、その才能を使ってみて」。that は a talent を先行詞とする関係代名詞。what は先行詞を含む関係代名詞。it は「イーディスが持っている才能」。

It's doing nothing that's the enemy.何もしないことこそが、敵です」。It〜that...の強調構文と考えられる。強調していない文は、Doing nothing is the enemy.「何もしないことが敵です」。日本語で倒置して「あなたの敵は何もしないことです」「一番ダメなのは何もしないことです」のように訳しても良いと思う。

強調構文の作り方だが、強調したい部分を it is と that の間に挟み込む。この場合は主語の doing nothing を間に入れて It is doing nothing that となり、あとは残ったものを続ける。今回残ったのは is the enemy。全体で It is doing nothing that is the enemy.。ここでは「こそ」で強調したつもり。意訳では他語句と合わせて「一番いけない」としておいた。

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