「ダウントン・アビー・シーズン2」に学ぶ英語表現 第2話

Penny for your thoughts.

何をぼんやり考えているのですか。

Daisy: Penny for your thoughts. Mrs Patmore: They're worth a great deal more than that, thank you very much.

デイジー:何をぼんやり考えていらっしゃるの? パットモアさん:深刻なことなんだよ。気遣ってくれてありがとう。

テーブルで手紙を読んで悩んでいる様子の料理長 Mrs Patmore を見て、台所小間使いの Daisy が言った言葉。

penny はポンドの下の貨幣単位。当時との比較はできないが、1セントや1円と同じようなもの。「あなたの考えに対して1ペニー」が逐語訳。

I'll give you a penny if you tell me your thoughts.
「もしあなたが私にあなたの考えを教えてくれたら、あなたに1ペニーあげるでしょう」
の部分省略と考えられている。

からかい気味に感じられる表現。「1ペニーあげるから言ってみな」という表現。

それに対し料理長は、「They=my thoughts は that=a penny よりもはるかに価値がある」と言っている。「1ペニーなんかよりも私の考えは遙かに高い価値がある」→「私の悩みは深刻だ」ということ。

オブライエンのおねだり

I was sure you'd have a good idea of what to do for the best.

(奥様は)何をなさるのが最善か、きっと良いお考えをお持ちだと思います。

伯爵夫人の侍女 O'Brien は、夫人に頼みごとをするとき、直接頼みはしない。伏線を引き誘導しながら、最後にこの決め台詞を放つ。

頼みごとをするときは、英語はよく過去形を使う。この過去形は、夫人との身分の違いを自覚し距離感を示すためなのかもしれない。

what to do for the best で、うまく夫人の自尊心をくすぐって、願い事を成就に導くように誘っている。

オブライエンは、ここで悪党仲間の元下僕 Thomas の Downton への帰還を画策している。衛生兵であった Thomas は、戦線を離脱するため、わざと敵に手を撃たせ負傷したのだった。

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take a bite out of someone[something]

一部を取り去る、削減する、損なう、味わう、噛みつく

Nevermind. Finish it now you've started, but don't blame me if Mr Carson takes a bite out of you.

気にしないで。始めたんだから、やってしまいなさい。でも、カーソンさんに叱られても、私の責任じゃないから。

伯爵の新従者 Lang が、召使いたちの食卓で何かを磨いている。O'Brien が、執事の Carson は食卓で研磨剤[洗浄剤]の臭いがするのを嫌うと伝える。そのあとで、さらに O'Brien が続けた言葉。Lang は作業をやめ、研磨剤[洗浄剤]のスクリュー式の蓋を閉めようとしている。

Finish it now you've started の now は now that の that の省略。接続詞としてはたらいでいる。「今はもう〜なのだから……」「〜した以上は……」。「今はもう始めてしまったのだから、それをやり終えなさい」が逐語訳。

take a bite out of you は「一噛みしてあなたから(肉の一部を)取る」「あなたの肉を食いちぎる」くらいの意味か。アメリカ英語の口語では、「(経費などを)削減する」というときによく使われる。

in someone's shoes

誰かの立場に立つ

Mr Molesley: Hello, Mr Lang. Everything all right?
Mr Lang: Why do you say that?
Mr Molesley: No reason. I only meant I hope you're enjoying yourself. I know I would be in your shoes.
O'Brien: You never tried for the job, did you?

モールズレー:こんにちは、ラングさん。調子はどうですか?
ラング:どうしてそんな事を聞く[言う]んだい。
モールズレー:別に。あなたが充実した仕事をしていると良いなと思っただけです。私があなたの立場だったら良かったとは思いますが。
オブライエン:あなたは(このお屋敷の従者に)応募しなかったじゃないの。

ダウントン・アビーの主人グランサム伯爵の従者ベイツが退職し、ラングが後任となった。モールズレーは伯爵後継者と目されるクローリー家の執事兼従者をしているが、館の規模は格段に違う。

be in your shoes で「あなたの靴の中」→「あなたの靴をはいている」→「あなたの立場に立っている」となる。I know I would be in your shoes. 全体をきちんと説明できる力はないが、would と過去形になっているので〔仮定法〕のにおいがする。「あなたの立場に立てたら良かったということは分かっている」というくらいの意味か。NHKは「うらやましくて」くらいを充てていた。

I wouldn't want to be in your shoes.「あなたの立場には立ちたくない」という表現は時々使われる。

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an invitation to talk some more

何か話すための口実

Ethel: Elizabeth and Her German Garden. Whatever's that about?
O'Brien: It's about an invitation to talk some more, that's what.

エセル;『エリザベスと彼女のドイツ庭園』だって。いったい何についての本なの?
オブライエン:もっと話をする口実を作るための本よ。それが目的よ。

モールズレーは、アンナに気があるようだ。ベイツと破局を迎えた今が狙い時だと考えているのだろう。本を渡すのを口実に会いに来たのだ。でも会えず、エセルに本を渡してくれるように頼んだ。本の題名が Elizabeth and Her German Garden。

Whatever は What のこと。強調している。

It's about an invitation to talk some more,は、エセルの about を受けて答えた文。ちゃんと about が使われている。「それはもうちょっと多く話すための招待状についての本です」が逐語訳。素直に考えると about がない方がすっきりするが、やはり掛け合いの妙を出すには about は効果的。

that's what の what は先行詞を含む関係代名詞。what のあとには、節を作れるような何らかの語句が省略されている。

take the edge off something

切れ味を悪くする。和らげる。鈍くする。

VIOLET: You be careful, Mary. Sir Richard mustn't think you're after him.
SYBIL: Isn't that the truth?
VIOLET: The truth is neither here nor there. It's the look of the thing that matters. Ask Rosamund. It'll take the edge off it.
ROBERT: Well, that'd be nice. Like before the war.

ヴァイオレット:あなた、気を付けなさい、メアリー。あなたがリチャード卿に熱を上げていると思わせちゃいけないわ。
シビル:そうじゃないの?
ヴァイオレット:事実はどうでもいいのよ。見た目が重要なのよ。ロザムンドに(一緒に来てくれるように)頼みましょう。緩衝材になってくれるわ。
ロバート:ああ、いいですね。戦争前のようだ。

You be careful, Mary. 命令文の前に you を置くと強い調子になる。

Sir Richard mustn't think you're after him.「あなたがリチャード卿のあとを追っかけていると、彼は考えてはいけない」が逐語訳。

Isn't that the truth?「そのこと(メアリーがリチャード卿を追っかけていること)は真実ではないのですか」が逐語訳。

The truth is neither here nor there.「その真実は、ここにもそこにもない」が逐語訳。neither A nor B「AもBも両方とも〜ない」が出てきた。

It's the look of the thing that matters. は The look of the thing matters.「その事の見え方が重要性を示す」を it〜that...で強調構文にしたのだと思う。事実はどうでもよくて見た目が大事ということだろう。Ledy なのだから、はしたない行為は避けられる。

It'll take the edge off it.「それがそれを和らげてくれる」。最初の it は、ロザムンドがリチャード卿をディナーに連れて来てくれること。最後の it は、メアリーがリチャード卿に来てほしいとあからさまに思っていること。take the edge off something は、「何かから鋭い刃を取り去る」→「(何かの勢いなどを)削ぐ」「緩和する」「鈍らせる」。

時間ができれば追加する。
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