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第44号 needn't have 過去分詞

 Subject: 英語の文法と語法 044
    Date: Fri, 16 Feb 2007 06:50:00 +0900 (JST)
    From: Chick Tack
      To: Readers

=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英 語 の 文 法 と 語 法    No.044    20070216
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             ● 第 44 号 ●

………………
 Contents  (1)needn't have 過去分詞, didn't need to...

       (2)You're asking for it!

       (3)be of service to...「…の役に立つ」

       (4)第43号(1)の(h)の英文に関する記事の訂正


………………………………………………………………………………………………
(1)needn't have 過去分詞, didn't need to...
………………………………………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・needn't have 過去分詞「〜する必要はなかった(のに)」
      (そのときは知らなかったので、やってしまった)
    ・didn't need to不定詞「〜する必要はなかった」
      (そのときに知っていた)
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  (a) Brian needn't have sold his car. ヽ(;´Д`ヽ)(ノ;´Д`)ノ
    「ブライアンは、愛車を売る必要はなかったのに」
  (“English Grammar in Use 3rd Edition”by Raymond Murphy Unit 32
    Must mustn't needn't の Exercises 32.3.4 の解答の代名詞を名詞に)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#egu

  この文の前に、「ブライアンはお金に困って車を売った。2・3日後、運よ
 く宝くじに当たった」という状況説明がなされていた。

  “needn't have 過去分詞”は、「今になって思えば必要なかったのに、そ
 のときは必要だと思ってやってしまった」という意味になる。


  (b) Brian didn't need to sell his car.  へ(Д´ )ノ
    「ブライアンは、愛車を売る必要はなかった」

  例えば、「ブライアンはお金に困ったが、おばさんがお金を貸してくれるこ
 とになったので、売らなくてもよくなった」「そのことをブライアンは、よく
 承知している」というような状況では、“didn't need to不定詞”が使える。

  この場合、「実際に売らなかった場合」と「実際には、あえて売った場合」
 が考えられると言う。


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  (c) You needn't have washed all those dishes, you know - I'd have  
   done them myself when I got home.
   「あなたは、お皿を全部洗う必要はなかったのよ。あのね、家に帰ったと
    きに、私が自分で洗うつもりだったのに」
            洗っていたでしょうに(訂正2007年2月24日)
   (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary ONLINE”動詞need 5)
     http://dictionary.cambridge.org/

  必要ないとは知らずに、洗ってしまった。


  (d) I gave her some extra money - I know I didn't need to but I   
   thought it would be kind.
   「私は彼女に余分なお金をいくらかあげた。そうする必要はないことはわ
    かっていたわ。でも、その方が親切だろうと思って」
   (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary ONLINE”動詞need 4)
          http://dictionary.cambridge.org/

  必要はないと知りつつ、あげた。


  (e)“Did you ask Sophia to help?”“I didn't need to - I managed    
    perfectly well on my own.”
   「『ソフィアに助けを頼んだの?』『その必要はなかったの。何とか私だ
    けで上手にやり遂げられたの』」
   (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary ONLINE”動詞need 4)
          http://dictionary.cambridge.org/

  必要ないから、頼まなかった。


  第35回の(1)“could have 過去分詞”の記事でも触れているが、
 “助動詞の過去形+完了形”は、〔仮定法過去完了〕といわれる文の要件を満
 たしている。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/031-040/egu035.html#1

  “助動詞の過去形+完了形”では、実際に完了形の動作は行われなかった。
 (c)の“I'd have done them myself when I got home.”の 'd は、would ま
 たは should なので、have done them myself の動作も行われていない。
(削除2007年2月24日)

  “助動詞の過去形+not+完了形”は、実際に完了形の動作は行われた。
 “needn't have 過去分詞”の need は過去形ではないが、やはり過去分詞 
 の動作は行われている。

  助動詞の need には、過去形はない。


………………………………………………………………………………………………
(2)You're asking for it!    〜 2007年センター試験より 〜
……………………………………

  今週も今年のセンター試験の英語の問題を紹介する。第3問A問1。

 =======2007年大学入試センター試験英語より引用=======================

  次の英文を読み、“ ”内の語句の意味をそれぞれの文章から推測し、( )
 に最も適当なものを1〜4から一つ選べ。

  The Browns drove from Sapporo to Furano in a rental car.  While they
 were driving, the four children kept talking and screaming because  
 they were excited.  Their laughter, giggles, and constant shouting
 bothered Mr. Brown.  Several times, he asked them to be quiet.     
 However, they did not listen to their father.  Mr. Brown was becoming
 very angry, and finally he said to them, "You're asking for it!"

  In this situation, "You're asking for it!" means "(     )"

  1.Ask your brother if you want it!
  2.I'll pay you to be quiet!
  3.Let's ask for directions!
  4.This is the last warning!

 ========================================引用終わり==================

  keep doing, keep on doing で、「〜し続ける」
  pay O to do「Oに金を払って〜させる」
  ask for 〜「〜を求める」

  意味を見てみる。

  The Browns drove「ブラウン一家は車で行った」 from Sapporo to Furano 
 「札幌から富良野まで」in a rental car「レンタカーで」.
  While they were driving「彼らが車に乗っている間」, the four children 
 「4人の子供たちは」kept talking and screaming「しゃべってギャーギャー
 騒ぎっぱなしだった」 because they were excited「子供たちは興奮していた
 からだ」.  Their laughter, giggles, and constant shouting「彼らの大声
 の笑いやくすくす笑い、そして絶え間ない叫びが(子供たちは大声や小さな声
 で笑ったり、絶えず叫び声をあげるものだから)」bothered Mr. Brown「ブラ
 ウン氏を悩ませた(ブラウン氏は迷惑だった)」.  Several times「何度か」,
 he asked them to be quiet「彼は彼らに静かにするように頼んだ」.     
 However「しかしながら」, they did not listen to their father「彼らは父
 親の言うことを聞かなかった」.  Mr. Brown was becoming very angry「ブラ
 ウン氏はとても腹を立てそうになっていた(今にも我慢の限界に達そうとして
 いた)」, and finally「そして、とうとう」 he said to them「彼は彼らに
 言った」, "You're asking for it!"「???」

  In this situation「この状況では」, "You're asking for it!"「???は」
 means "(     )"「"(   )"という意味です」

  1.Ask your brother「おまえの兄に頼め[たずねろ]」 if you want it
 「もし、おまえがそれを欲しいなら」!

  2.I'll pay you to be quiet!「私はおまえたちに金をやって静かにさせ
 るぞ(おまえたち、金をやるから静かにしてくれ)」
  3.Let's ask for directions!「指示を求めよう(指示をあおごう)」
                「道順を訊ねよう」(訂正2007年2月24日)
  4.This is the last warning!「これは最後の警告だ」


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  “ask for it”が「自業自得である」というの(訂正2007年2月24日)意味を知らなくても解けるよう
 につくられている問題。知っていてかえって混乱した受験生もいるかも知れな
 い。

  話の流れから〔4〕と正解できる。怒り心頭に達してきているので、2は不
 自然。

  高1でも、わからない単語は、わずかだったのではないか。高2ならば充分
 解ける問題。場合によると、中3でも……。


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   通常、話し言葉で用いられ、be asking for it と進行形の例が多く見ら 
 れる。(削除2007年2月24日)it は「主語自らが求める悪い結果」を指していると考えられる。

  (a) You are asking for it.
   「あなた(たち)がそれを求めている」
   →「あなた(たち)自身が悪い結果を求めている(のだから)」
   →「自業自得だ」(削除2007年2月24日)


  “be asking for trouble”という表現もある。

  (b) Saying that to a feminist is just asking for trouble.
   (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English”4th edition
     ask-DEMAND)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ldce
   「フェミニストにそれを言うことは、ちょうどトラブルを求めていること
    です」
  →「フェミニストに向かってそんなことを言うのは、自ら災いを招いている
    のと同じことだ」

  主語は動名詞で始まる Saying that to a feminist「フェミニストにそれを
 言うこと」。こちらの asking は進行形を作る現在分詞ではなく、〔動名詞〕
 と考えた。


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  関連表現に、「無理な要求をする」「高望みをする」という意味の
 “ask for the moon”がある。

  (c) There's no point in crying for the moon.「高望みをしても無駄だ」
   (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English”4th edition moon)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ldce

  この表現は、19世紀中ごろに、“cry for the moon”“wish for the  
 moon”として現れたという。「月を欲しがること」は「無理な要求」であろう。
 もっとも、現在では月の土地は買えるというが……。

  この文の point は〔名詞〕で「目的」「効果」という意味。「全く効果が
 ない」ということで「むだだ」という意味が生じる。
 “There is no point (in) doing”で「〜しても無駄だ」と使われる。


………………………………………………………………………………………………
(3)be of service to...
…………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・be of service to...「…の役に立つ」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  (a) How can I be of service to you?
    「どうしたらあなたのお役に立てるかしら」
  (“The American Heritage dictionary of Idioms”by Christine Ammer)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ahi

  “of service to you”が、be動詞の〔補語〕となっている。〔主格補語〕
 である。I=of service to you。

  of importance=important となり、〔補語〕になる例を習った覚えがある
 が、その類ではないか。“of+名詞”=“形容詞”。


  (b) I have found the Zoological Gardens of service to many of my  
   patients.
    「私は、動物園が私の患者の多くに役立つことがわかった」
   (“The Way of All Flesh”『万人の道』by Samuel Butler)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#flesh

  “of service to many of my patients”が〔目的格補語〕になっている。
 the Zoological Gardens=of service to many of my patients。

  〔第5文型〕の文で、“S find O C”は、「SはOがCであることを見
 つける」→「SはOがCだとわかる」。第5文型については下記ページへ。
            http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/5thpat.html


  (c) Can I be of any service?「私でお役に立てるかしら」
   (“LONGMAN Dictionary of Contemporary English”4th edition)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ldce

  to 以降が省略される例も多くある。


………………………………………………………………………………………………
(4)第43号の訂正
……………………………

  第43号の(1)(h)下の英文について、三木さんよりご質問のお便りをいた
 だきました。該当部分の記事は下欄の通りでした。

  =================弊誌第43号(1)より==========================

  (h) Everybody needs to rest sometimes.     ○o。.(-。-)y-~~
   (×)Everybody needs rest sometimes.(rest は動詞とする)
   (×)Everybody need to rest sometimes.
         「誰でも時々は休憩する必要がある」

  =====================================終わり====================

  このうち、真ん中の英文(×)Everybody needs rest sometimes. はどこ 
 が間違っているのですか? というもの。


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  (×)Everybody needs rest sometimes. は、次のことを伝えたいために
 作った英文です。

 --------------------------------------------------------------------
  need は、〔助動詞〕と〔本動詞〕の2つの使い方がある。

  助動詞ならば、needs という形は存在しない。したがって“needs 動詞の
 原形”と続くことはない。

  本動詞ならば、needs という三人称単数現在形は存在する。でも本動詞なの
 で、後ろに動詞が続くならば〔to不定詞〕にしなければならない。
  --------------------------------------------------------------------

  このような内容も書こうかと思ったのですが、時間の制約もあり、また、読
 者の方に少し考えてもらおうかな、という考えもあったので、書かずにおきま
 した。

  後で見直したときに、rest を動詞ではなく〔名詞〕ととれば、needs は助
 動詞ではなく〔一般動詞〕として働きます。そうとられるかもしれない、と考
 え、「(rest は動詞とする)」の文句を加えました。

  しかし、三木さんのご指摘のように、Everybody needs rest sometimes.
 は、rest を needs の〔目的語〕の〔名詞〕とすれば、同じ内容を伝える
 「立派な英文」です。「(×)」をつけたのは間違いでした。

  多くの読者の方も混乱されたに違いありません。ご迷惑をおかけしました。
 また三木さんには、下欄のように実例もお探しいただきました。

   ==============三木さんのお便りより 一部引用=========

   「新編英和活用大辞典」にも、restをuncountableとして、
    You need rest.と言う例文が載っています。

   ================================引用終わり===========


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  この(4)を読んでいただいた読者の方は、私の意図もおわかりいただけた
 と思うので、第43号(1)(h)の英文のすぐ下の、

  ----------------------------------------------------------
  (×)Everybody needs rest sometimes.(rest は動詞とする)
  ----------------------------------------------------------

 は、行ごと削除して(考えて)ください。いつも、ご迷惑をおかけします。
                                                m(。_。;))m


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● あとがき

  今号の(4)で、三木さんに例示していただいた英文の出典は『新編英和活
 用大辞典』です。研究社発行のもので、図書番号は下記の通りです。

   ISBN-13: 978-4767410357 
   ASIN: 4767410355 

  2782ページの大形本です。単語の相性や実際の使い方を示すため38万例の実
 例があげられています。日本のこの種の辞書の決定版ではないでしょうか。

  値段の方も大形です。書籍版が消費税込みで16,800円します。古書でも1万
 円を切らないものがほとんどです。

  CD-ROM版もあるそうです。また、これを搭載している電子辞書もあるようで
 す。


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2007
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・

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