=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━ ┛┛ ┛┛ 英語の文法と語法 No.163 20100911 Chick Tack ┛┛ ………………………… …………… ……………… …………… ┛┛ http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html ┛┛┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 第163号 ● ……………… Contents 準備・意欲・傾向の形容詞の後のto不定詞 ……………… (1)準備・意欲・傾向を示す形容詞のうしろで (2)未来指向 (3)for someone to do something (4)be anxious about... ……………………………………………………………………………………………… (1)準備・意欲・傾向を示す形容詞のうしろで …………………………………………………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・〔to不定詞〕が準備・意欲・傾向を示す形容詞のうしろで 使われることがある。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (a) We are anxious to see our new grandson. (“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd”) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud 「私たちは、新しい孫息子に会うのを切望している」 “主語+be動詞+形容詞+to不定詞”の型で使われる〔形容詞〕は様々あり、 分類方法も人により多少違う。また、境界をあちらに引く人もいれば、こち らに引く人もいる。今回は江川泰一郎著『英文法解説(改訂三版)』金子書 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#newguide 房 §71.A に記されている〔準備〕〔意欲〕〔傾向〕などを示す〔形容 詞〕を取り上げ、そこに挙げられている〔形容詞〕を使っている例文を探し てみた。記されている〔形容詞〕は次のようなものである。 anxious, apt, curious, determined, eager, free, impatient inclined, keen, liable, prepared, ready, unwilling, willing 第160号(1)第161号(1)で紹介した〔形容詞〕とは異なり、it を〔主 語〕とした構文には書き換えられない。 (×)It is anxious for us to see our new grandson. It が She か何かならば、別の意味で文が成り立つ可能性はある。今号(3) を参照されたい。 anxious は、eager や keen に近い。anxious は「思い通りになるかどうか 不安な気持ち」が入る。keen は、しばしばイギリス英語にみられる。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/161-180/egu163.html#supple1 これらの〔形容詞〕は〔意欲〕という言葉が当てはまるか。 (b) Babies are apt to put objects into their mouths. (“Oxford ADVANCED LEARNER'S Dictionary 7th edition”) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html#oald 「赤ちゃんというのは、口の中に物を入れたがるものだ」 「赤ちゃんは、口の中に物を入れる傾向がある」 apt は「(〜する)傾向がある」「〜しがち」「〜しそう」という〔傾向〕 を表している。安藤貞雄著『現代英文法講義』開拓社 では、apt は第160号 で紹介した用法に分類されている。〔形容詞〕が〔to不定詞〕によって〔範 囲〕を〔限定〕されている用法だ。 likely は〔特定〕の状況で「〜しそう」「〜になりそう」というものだが、 apt は、そのものが本来持っている〔特性〕〔特質〕〔天性〕といったもの を表すことが多い。likely は次号掲載予定。 liable は「危険なこと」「望ましくないこと」が起こる傾向について使う。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/161-180/egu163.html#supple2 (c) I'm determined to get this piece of work finished today. (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”) 「私は、今日この仕事を終えてしまおう、と堅く心に決めている」 「私は、今日この仕事を仕上げてもらおう、と堅く心に決めている」 “get 目的語 過去分詞”は「目的語を(誰かに)〜してもらう」「目的語 を〜される」「目的語をしてしまう」という3つの意味がある。 (d) In a few seconds the bony hands that had fastened on my throat loosened their hold, and I was free to breathe once more. (“Famous Modern Ghost Stories”Edited by Emily Dorothy Scarborough) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#fmgs 「2・3秒後、私のノドを絞めつけていた骨ばった手は、力を弱め、私は もう一度自由に呼吸をすることができた」 “be free to不定詞”で「自由に〜できる」という意味になる。 (e) I'm half inclined to believe you. (“Oxford Collocations Dictionary for Students of English”Diana Lea) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ocdse 「私は、半分あなたを信じたい気持になった」 ジーニアスでは〔形容詞〕ではなく〔受動態〕の構文として出ていた。 (f) Since the princess did not seem prepared to do anything for herself, Tayu changed her into presentable clothes and otherwise got her ready. (The Tale of Genji より「末摘花」、Edward George Seidensticker) 「姫君はご自分で何かを進んで準備なさるご様子もなかったので、大輔 (たゆう)は人前に出せるような服に着替えさせ、その他の点でも姫の準 備を整えた」 “be prepared to不定詞”で「進んで〜する」「〜する覚悟がある」「〜す る心構えがある」という意味になる。今回はbe動詞の代わりに seem を使っ ている。 ……………………………………………………………………………………………… (2)未来指向 …………………… (a) And we are ready to lead once more. (“Inaugural Address”by President Barack Hussein Obama) 「そして、私たち(アメリカ合衆国国民)はもう一度(世界を)率いる 準備ができている」 “be ready to不定詞”は「〜する準備ができている」「喜んで〜する」と いう意味になる。 準備・意欲を示す〔形容詞〕のうしろの〔to不定詞〕は、実現するかしない かは別にして、これからの行動を表すことが多い。〔to不定詞〕の本来の性 質を示す〔未来指向〕なのである。 「率いる」ことができるかどうかはわからないが、「これから率いる」つも りなのである。 ……………………………………………………………………………………………… (3)for someone to do something ……………………………………………… (a) I am willing to amuse you, if I can. (“Jane Eyre” by Charlotte Bronte) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#eyre 「もし私にできるのならば、喜んであなたを楽しませますよ」 「私でよければ、喜んであなたのお相手をしますよ」 ジーニアスの be willing to の〔語法〕欄には、「be ready to と違い、 自分から積極的にしたいというのではなく、特に反対する理由もないので同 調の態度をとるときに用いる」とある。 (b) Apparently John and Gabriel are willing for us to use their garden.(“Cambridge Advanced Learner's Dictionary 2nd edition”) 「どうやら、ジョンとガブリエルは、私たちに快く庭を使わせてくれるよ うだ」 willing, anxious, eager, impatient の後ろには“for someone to do something”を置くこともできる。この場合〔to不定詞〕は〔文の主語〕の 動作ではなくなる。「主語は(forの後ろの)人が何かをする」ことを望ん だり、望まなかったりするのだ。 (c) You would not be so anxious for us to cut off our tails, if you had not already lost yours.(AEsop, THE FOX WITHOUT A TAIL from “Childhood's Favorites and Fairy Stories”) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer03.html#cffs 「もし君がすでに尻尾を失っているということがなければ、私たちに尻尾 を切り落とせとそんなに熱心に勧めることはないだろう」 「自分に尻尾がないから、僕たちにも尻尾を切り落とせ、と熱心に言うん だろ」 if節が〔仮定法過去完了〕、帰結節が〔仮定法過去〕になっている。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/061-070/egu068.html#1 「昔〜しなかったら、今〜しないだろう」 ……………………………………………………………………………………………… (4)be anxious about... ………………………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・be anxious about...「……を心配している」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (a) Mrs. Morel was rather anxious about his health. (“Sons and Lovers” by David Herbert Lawrence) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#sons 「モレル夫人は彼の健康をかなり心配していた」 (1)で紹介した anxious は「切望する」という意味の他に「心配する」 という意味にもなる。「心配する」という意味の方が先に使われたようだ。 「切望する」は18世紀になってから。 (b) I'm becoming very anxious about my son. (“Oxford Collocations Dictionary for Students of English”Diana Lea) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ocdse 「私は、息子のことがとても心配になってきている」 “be anxious about”としているが、〔be動詞〕の部分は become や feel が来ることもある。 become が〔進行形〕になっているのは、第2号の(1)の後半の使い方。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/001-010/egu002.html (c) I was anxious that the boy might get lost on the way. 「その子が途中で道に迷うのではないかと心配だった」 (研究社『ルミナス英和辞典第2版』竹林滋;小島義郎;東信行;赤須薫編) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lej be anxious that...という構文も可能である。 ……………………………………………………………………………………………… 参考文献 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html ……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html ──────────────────────────────────── □このメールマガジンは、以下のメルマガ・スタンドから配信されています。 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/ ・めろんぱん :http://www.melonpan.net ・メルマ! :http://melma.com/ 当メールマガジンは、無料でお読みいただけます。 □このメールマガジンの登録・解除は、下記のページからお願いします。 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/m/0000190027.html ・めろんぱん :http://www.melonpan.net/mag.php?009453 ・メルマ! :http://www.melma.com/backnumber_175104/ □バックナンバーは、下記のページのリンクからご覧ください。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html ∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋ <(` ) Chick Tack ( ) E-Mail Address : mit_desde1994@ hotmail.com / | 魔笛を観に行こう: http://tatsuku.web.fc2.com/ ∋ ∈ Chick Tack 英語5文型: http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/ 愛知哲仁 の ギリシア哲学への招待状:http://philos.fc2web.com/ ∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋ メール・アドレスは、コピーして、あて先欄に貼り付けてから、@ と hotmail の間の半角スペースを削除してください。面倒かけます。 ┛ Chick Tack のおすすめ英語教材・無料サービスなどの紹介ページ ┛ ┛ http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/recommend.html ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ● あとがき 金曜日に稲刈りをしました。雲ひとつないのは秋の空ですが、気温が真夏です。 こんな中で刈り取りをしようとは……。しかし、今年の酷暑で鍛えられた体は、 これでも耐えられるのです。 稲刈り機が近付くと、無数のウンカかヨコバイが湧き出てきます。それを食べ るキリギリスかバッタの類、またトンボたちも飛んでいます。バッタやトンボ を食べるカマキリまで出現し、稲の上は大賑わいです。 それらの昆虫類を狙って、ツバメが飛び交い、カラスが田んぼに降りて待ち受 けます。 招いていないけれど、この饗宴の主催者は人間でした。 ・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・ (c) Matsumiya Institute of Thinking 2010 ・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・ |
But I was eager to get back to my charge.
The Hound of the Baskervilles, by A. Conan Doyle
「しかし、私は私の責任(問題の話題)に立ち戻りたいと思った」
get back to...で「……に戻る」。
There was one woman who had been very keen to look after me, and chum up with me generally ― a Mrs. Vandemeyer.
The Secret Adversary, by Agatha Christie
「一生懸命私の面倒を見て、概して私と親しくしてくれようとしてくれた一人の女性がいました。ヴァンデマイヤー夫人という名の人です」
keen to look...and (keen to) chum...
I was so curious to know, that I made up my mind to have it out with Mr. Peggotty.
David Copperfield, by Charles Dickens
「私はとても知りたいと思ったので、ペゴッティさんと徹底的に話し合おうと決心した」
make up one's mind は「決心する」。have it out with...で「…ととことん話し合う」「…と話し合いで決着をつける」。
I was very impatient to be at home.
Robinson Crusoe, by Daniel Defoe
「私は無性に家にいたい[帰りたい]と思った」
impatient は「我慢できない」「イライラしている」という意味だが、〔to不定詞〕を従え「しきりに〜したがる」「〜するのを待ち遠しく思う」という意味になる。
Everyone is liable to make mistakes.
The AMERICAN HERITAGE Children's Dictionary, Houghton Mifflin
「だれもが間違いを犯す傾向にある」「だれしも間違えることはあるものだ」
欠点や天性のために「悪いことを犯しがち」というときに使う。
I'd like her to help but she's unwilling to.
The BBI Combinatory Dictionary of English 3rd, John Benjamins Pub.
私は彼女に助けてもらいたいと思っている。でも彼女は気が進まないようだ。
最後の to は to help の〔代不定詞〕。“be unwilling to不定詞”は「〜する気がしない」「〜したがらない」。