小ネタ集
2011年春時点のプリンタ
〜エプソンとキャノンのプリンタを比較〜
(2011年5月22日公開)

プリンタ比較の記事は、新製品が数多く発表される「年末」と「春」の2回に掲載しています。
古い記事も過去の情報として利用できると考え、新製品を掲載したものは、新たな記事として掲載していますので、現在この記事は既に古くなっている可能性があります。
プリンタ比較を参考にされる方は、プリンター徹底比較の一覧ページより、最新のものをご覧ください。



 2010年9月、エプソンとキャノンからプリンタの新機種が多数発表された。毎年恒例の年賀状の時期に合わせた新製品発表である。この時、大多数の機種が入れ替わり、そしてさらに2011年に入って3月、旧機種のまま残っていた機種にも新機種が発表された。そこで、新機種の全体的な傾向、そして両メーカーの傾向を検証した上で、複合機、FAX機能付き複合機、単機能プリンタ、コンパクトプリンタの4種類を価格帯別に比較していく。各比較は、独立したページとして用意してあるので、下記のリンクから飛んで頂きたい。

今年の両社のプリンタの傾向は?

 ここのところ、印刷画質やスキャン性能などは十分な域に達したためか毎年の変化が少なくなってきていたが、今年もエプソン、キャノン共に変化はない。最上位機種を見るとエプソンが6色構成で1.5plインク滴のAdvanced MSDTで解像度が5760×1440dpi、キャノンも6色構成で1plインク滴の3サイズドロップレットで解像度が9600×2400dpiとなっており、下位機種ほど色数が少なくなり、インク滴が大きくなっていく。スキャナも最高が4800dpiで、エプソンは全機種がCIS方式、キャノンは最上位のみCCD方式でフィルムスキャン対応というのも変化がない。また、下位モデルの底上げもほとんど行われておらず、複合機で見るとエプソンが4色構成で4plのインク滴で解像度が5760×1440dpi、キャノンが4色構成で2plのインク滴で解像度が4800×1200dpiである。これも1年前と変わってない。
 ただし今回は各社デザインと操作性に重点を置いている。エプソンは従来より上位機種を中心に前面給紙のみのすっきりしたデザインとし、本体サイズも小型化、本体カラーも工夫することでパソコンの周辺機器らしさを減らし、リビング合うデザインとしてきた。今回もそれを継続しつつ操作性を向上させている。従来はFAX付きとFAX無し複合機のそれぞれ最上位機種のみであった「静電式タッチパネル」と「操作可能なボタンだけ光る」という操作パネルを、FAX無し複合機では上位から2番目と3番目の機種まで拡大、FAX付き複合機も新たに追加された中位機種を含む2機種に拡大している。そこで、操作のわかりやすさの向上と、一見してボタンが無いという点でより周辺機器らしさが減らす事に成功している(ただし液晶部分までタッチパネルなのはFAX付き複合機2機種とFAX無し複合機の最上位機種のみ)。また前面に操作パネルを集約し、液晶ディスプレイと操作パネルごと角度調整ができる機能もFAX付き複合機2機種とFAX無し複合機上位3機種から、FAX無し複合機でさらに下位2機種まで拡大し、液晶ディスプレイの内蔵しない最下位機種を除いて、すべてこの方式となった。
 一方キャノンは、去年まではどうしてもプリンタらしいデザインであったが、2010年末以降のモデルでは色をシルバーから鏡面仕上げのブラックとし、家電ライクなカラーとなった。これは継続販売の機種を除き、2010年末以降のモデルは下位機種まで全てこのカラーとなっている。また、従来はボタンとホイールが並び、使用しないときは液晶ディスプレイ面を閉じてふたをする方式だったが、2010年末以降のモデルでは、エプソンと同じ静電式のセンサーによるボタンと、使用できるボタンのみLEDで光るという方式がとられている。本体カラーとセンサー式のボタンのおかげで、だいぶリビングにもマッチしやすいデザインとなっている。また、使えないボタンは光っていないので、操作もわかりやすくなっている。ただしこのデザインは上位2モデルで、中位2モデルは従来のホイール+ボタン方式、下位2モデルはボタンのみとなっている。またFAX付き複合機は3機種ともボタン式であるが、中位機種では、FAX機能使用時とそれ以外でボタンの内容が切り替わるようになっており、ボタン数の削減とわかりやすさを手に入れている。
 そのほか、両メーカーに共通することとして、2010年末以降に発売された機種で無線LANに対応している機種は、軒並みIEEE802.11nに新たに対応している事が挙げられる。これで無線LAN接続時にも画像データのプリントやスキャンが高速に行える様になるだろう。ただし両メーカーともLAN接続機能を搭載した機種がより下位機種に広がったという訳ではない。
 機種としては、エプソンはFAX付き複合機が3機種、複合機が6機種、A4単機能機が4機種、A3ノビ単機能機が4機種、コンパクト機が3機種となる。一方キャノンはFAX付き複合機が3機種、複合機が6機種、A4単機能機が2機種、A3ノビ以上の単機能機が5機種、モバイル機が1機種となる。2010年春と比べるとエプソンはFAX付き複合機が1機種増え、キャノンはA3ノビ以上の単機能機が1機種増えた形となる。エプソンはFAX付き複合機の1機種が2010年末、残る2機種が2011年春に、複合機の4機種が2010年末、1機種が2011年春に新機種に切り替わっている。これにより全機種が新機種になっている。コンパクト機も3機種中2機種が2010年末の新機種である。一方単機能機はA4対応機とA3ノビ対応機のそれぞれ1機種みが新機種で、A4対応機の残り3機種とA3ノビ対応機残り3機種は継続販売となる。エプソンは完全に複合機とコンパクト機がラインナップの中心となっている。一方のキャノンも、FAX付き複合機の最上位機種は継続販売だが、残る2機種は2011年春にモデルチェンジしている。複合機も6機種中5機種は2010年末の新モデル、残る1機種も2011年春に新機種へ移行した。一方のA4単機能機は2機種中1機種は新機種になっているものの大きな変化はなく、A3ノビ以上の単機能機は元々あった4機種は継続販売で、1機種追加されているだけである。モバイル機も継続販売とこちらも複合機がラインナップの中心である。
 エプソン、キャノン共におもしろいのは、複合機の上位から2番目の機種、つまり一番の売れ筋の機種の本体カラーが2色展開になっていることである。これまでコンパクトプリンタではカラーバリエーションがあったが、複合機は各機種1色であった。両メーカーとも、機種によって本体カラーが異なる事はあったが、同じ機種で本体カラーが選べるのは珍しいと言える。ちなみにエプソンはラインナップの上位機種の本体カラーがブラックで下位機種がホワイトだが、EP-803Aに限っては上位機種ながらホワイトモデルが選べる形に、キャノンは2010年末以降の新機種では本体カラーは全てブラックになっているが、PIXUS MG6130に限っては昨年までの本体カラーであるシルバーが選択できるようになっている。

今年のエプソンのプリンタの傾向は?

 それでは、最新ののエプソンのラインナップはちょうど1年前となる去年の春と比べてどのようになっているか、まずは見てみよう。

2010年末以前の機種2010年末以降の機種
FAX機能付き複合機EP-901FEP-903F2010年9月15日発売
  PX-673F2011年2月9日発売
PX-602FPX-603F2011年2月9日発売
複合機EP-902AEP-903A2010年9月15日発売
EP-802AEP-803A2010年9月15日発売
EP-702AEP-703A2010年9月15日発売
PX-502APX-503A2010年9月15日発売
PX-402APX-403A2011年2月9日発売
A4単機能プリンタPX-G930PX-G930継続販売
EP-302EP-302継続販売
PX-201PX-2032010年9月15日発売
PX-101PX-101継続販売
A3ノビ単機能プリンタPX-5600PX-5V2011年2月24日発売
PX-G5300PX-G5300継続販売
PM-G4500PM-G4500継続販売
PX-1001PX-1001継続販売
コンパクトプリンタE-800E-8102010年9月15日発売
E-600E-600継続販売
E-330SE-3402010年9月15日発売

 エプソンのラインナップ全体では、前述のような操作パネル関係の変更点や、無線LANのIEEE802.11nの対応以外に大きな変化として、オプション扱いだった自動両面印刷機能が標準搭載となった事が挙げられる。これまでは複合機のEP-902AとEP-802A、FAX付き複合機のEP-901Fの3機種のみが対応で、しかもオプションの自動両面印刷ユニットが必要であったが、2011年春時点では、複合機のEP-903A、EP-803Aに加え下位モデルのEP-503A、FAX付き複合機のEP-903F、PX-673F、PX603F、単機能機のPX-203の5機種が対応しており、しかもEP-803A以外は標準搭載となっている。また、EP-903F、EP-903A、EP-803A、EP-703Aの染料インク搭載の複合機では、従来のインクに加えて小容量インクが選べるようになっているのがおもしろいところである。印刷コストは標準タイプと比べると30%ほど高くなるが、たまにしか印刷しない人は、インクを使い切る前にインクが固まってしまったりと使用できなくなることがあるため、そういった人には小容量インクは便利である。注意点として、2010年モデルより従来の機種が備えていた、メモリカードからのダイレクト印刷時に動画から1シーンまたは複数のシーンを写真として印刷する「動画から印刷」機能、およびコピー時に16枚の用紙に分割して印刷し、後でくっつけることで、大きなポスターを作る「ポスター16」機能が今回より省かれている。また、オプションのBluetoothアダプタが、2010年末モデルからは非対応となっており、対応しているのはそれより以前に発売されてある程度上位機種である、E-600のみとなる。これらは注意が必要である。
 まずは複合機のラインナップを見てみよう。最上位機種のEP-903Aは従来よりタッチパネルを採用していることから、ラインナップ中、もっとも変化が少ない機種ともいえる。印刷画質やスピードスキャン機能などはEP-902Aから変わっていない。それでも、無線LANのIEEE802.11nの対応や自動両面印刷の標準対応などが行われている。また、従来より外付けHDDやUSBメモリに写真をバックアップしたり、それらから印刷できたが、今回からネットワークでつながっているパソコンからデータの共有ができるようになった。つまり簡易的なネットワークハードディスクとして使用できるわけである。写真データを入れておけばEP-903A単体でバックアップやダイレクトに印刷が行え、さらにパソコンから写真を見て楽しめるわけである。このように確実に機能アップしている。EP-803Aは操作パネルがボタン式から、使用できるボタンだけLEDが光る静電式のタッチパネルに変更され、操作性がアップしている。またホワイトモデルが用意されているのも特徴だ。一方プリント画質やスピード、その他の機能や、スキャナの機能は前モデルEP-802Aから変化していない。自動両面印刷もオプションのままである。EP-903A同様、無線LANがIEEE802.11nに対応しているが、外部機器共有機能は備えていない。EP-703Aも前モデルEP-702Aと比べると操作パネルが変更されている。しかし、プリンタ、スキャナ、ダイレクト印刷機能に変更はなく、EP-703Aは無線LAN接続機能が非搭載であることから、操作面の変更がほとんどとなる。PX-503Aは前モデルからもっとも大きく変わった機種だろう。前モデルのPX-502Aは、本体上面の左寄りに操作パネルが並んでいるデザインだったが、PX-503Aでは本体カラーこそ下位モデルのホワイトとなっているが、デザインはむしろEP-703AやEP-803Aに近くなった。前面に液晶ディスプレイと操作パネルを配し、操作パネルごと角度調整が可能である。また、EP-903AやEP-803Aのような2段トレイにはなっていないが、前面給紙に対応しているなど、かなりスペックアップしている。また、普通紙のみだが自動両面印刷にも標準で対応している。だだし印刷画質やスピード、スキャナの機能、ダイレクト印刷の機能は変更されていない。無線LANがIEEE802.11n対応になったくらいだろう。外見や操作性の変化ほどハード面は変化していない。PX-403Aは他の複合機より遅れて登場した新機種ではあるが、前モデルのPX-402Aから機能面での違いは見られない。インクカートリッジが46番から62番に変更されているが、耐光性45年、耐オゾン性30年、アルバム保存200年という点は同様で、違いは分からない。
 続いてFAX付き複合機である。上位モデルのEP-903FはEP-903AにFAX機能をプラスした製品であり、それ以外に違いはない。ただ、昨年末に複合機のEP-901Aは新機種のEP-902Aに移行したのに対して、FAX付き複合機の上位モデルはEP-901AにFAX機能をプラスしたEP-901Fが継続販売となっていたため、一気に2世代の進化となる。そのため、EP-901Fと比べると、外部機器共有機能の搭載やIEEE802.11nへの対応以外に、他機種は昨年対応していた「オートフォトファイン!EX」への「ノイズ除去・美肌補正」機能の追加や「ナチュラルフェイス」機能に体も細く見せる「スリム補正」機能の搭載、また手書き合成シートの文字飾りが追加され、最大100枚まで一度に印刷できるようになった他、従来はコピー時にしか使用できなかった塗り絵機能がメモリカードからも可能になった点も進化した点となる。FAX付き複合機の下位モデルPX-603Fは前モデルPX-602Fからプリント機能やスキャナ解像度に変更点はないが、背面給紙から前面給紙へと変更され、給紙可能枚数もA4普通紙で100枚から250枚へと増えたことで、ビジネス用途にも使いやすくなった。またスキャナのADFが、上位機種も備えていない両面スキャンに対応した。そのほか操作パネルのボタン配置も変更されている。そして中位機種のPX-673Fが追加されているが、基本的な機能はPX-603Fに準ずる。ただトレイが2段となり、しかもEP-903FやEP-903A、EP-803Aのようなトレイ内部で2段になっているのではなく、PX-603Fのトレイがもう一段付いた形となる。そのため両トレイともA4サイズまで対応で、A4普通紙が合計で500枚までセットできる。そのほか操作パネルが、上位機種のEP-903Fと同じ、液晶ディスプレイを含む全体がタッチパネルの物になっている。
 A3ノビ対応機は下位3機種は継続販売で、最上位機種PX-5Vだけが新機種である。インク構成やノズル数などは同じだが、インク滴が3plから2plになり粒状感が軽減されている他、2種類のブラックが排他利用なのは同じながら、同時にセットできるようになり交換の手間が無くなっている。またUSB2.0×2に加えて有線・無線LAN接続にも対応した。また前面に単機能機種としては珍しい2.5型の液晶ディスプレイを内蔵しているため、ネットワークの設定や各種メンテナンス作業が行いやすくなっているなど、随所で機能が向上している。
 A4対応機もPX-203を除いて継続販売である。一方、新機種が発売されたPX-203は大きな変化を見せている。機能的には複合機のPX-503Aのプリント機能そのままといったイメージである。そのため、前モデルPX-201と比べると、給紙が背面から前面に変更され、普通紙のみだが自動両面印刷にも対応している。また無線LANもIEEE802.11nに対応した。本体カラーもブラックからホワイトに変更されている。PX-201と比べると印刷画質やスピードに変化はないものの、大きくスペックアップした機種と言えるだろう。
 コンパクトプリンタは大きな変化はないものの、3機種中2機種が新機種へと移行している。E-810はE-800とハード面は同一となる。一方ソフトウェア面は細かな点で強化されている。例えば写真を複数枚選ぶと、枚数に応じて自動的1枚にレイアウトされる「思い出の一枚アルバム印刷」機能が搭載された。写真に文字だけを入れて印刷できるため、写真川柳や俳句、メッセージフォトを作成できる他、スナップ写真に場所や思い出について書いておくことで、後で写真を見た時に楽しめるようにもできる。その他、スライドショーテーマなどの追加や、印刷プレビュー拡大機能の搭載、操作ガイドの拡充なども行われ、使い勝手も向上している。中位機種のE-600は継続販売となる。下位機種のE-340は、E-330Sとほぼ同一だが、天板の液晶モニタ用の窓が廃止されている。本体カラーがシルバーとピンクの2色展開となる。
 なお2010年末以降の新機種は対応OSが変更されており、Windowsの場合はEP-803A、EP-703A、PX-203を除く全機種がWindows 2000に非対応になり、Windows7/Vista/XPのみの対応となった。またEP-803A、EP-703A、PX-203についてはWindows 2000にも対応するが、EP-803AとEP-703Aの前機種ではWindows Me/98SE/98のも対応していたため、やはり対応OSは絞られている。Mac OSの場合、従来は10.3.9以降に対応していたが、新機種では10.4.11以降に変更されている。

今年のキャノンのプリンタの傾向は?

 今年のラインナップが去年と比べてどのようになっているか、まずは見てみよう。
2009年末の機種2010年末の機種
FAX機能付き複合機PIXUS MX7600PIXUS MX7600継続販売
PIXUS MP870PIXUS MX8832011年3月4日発売
PIXUS MX350PIXUS MX4202011年3月4日発売
複合機PIXUS MP990PIXUS MG81302010年9月9日発売
PIXUS MP640PIXUS MG61302010年9月9日発売
PIXUS MP560PIXUS MG52302010年9月9日発売
PIXUS MP550PIXUS MG51302010年9月9日発売
PIXUS MP490PIXUS MP4932011年3月4日発売
PIXUS MP270PIXUS MP2802010年10月下旬発売
単機能プリンタPIXUS iP4700PIXUS iP48302010年9月9日発売
PIXUS iP2700PIXUS iP2700継続販売
A3ノビ対応プリンタPIXUS Pro9500 MarkIIPIXUS Pro9500 MarkII継続販売
PIXUS Pro9000 MarkIIPIXUS Pro9000 MarkII継続販売
PIXUS iX7000PIXUS iX7000継続販売
  PIXUS iX65302011年4月7日発売
PIXUS iX5000PIXUS iX5000継続販売
モバイルプリンタPIXUS iP100PIXUS iP100継続販売

 キャノンの複合機は去年までPIXUS MPの後に3桁の数字という型番だったが、最大の990まで使用してしまったため、今年より4桁となる。またPIXUSの後のアルファベット2文字は、MPからMGへと変化している。4桁のうち上2桁がラインナップの上位・下位を表しており、下2桁は発売日によって同一のものがつけられている様である。2010年末モデルは下2桁は30である。ただし最下位機種のPIXUS MP280のみ従来の型番の法則に則っている。これは2010年末時点では下から2番目のPIXUS MP490が継続販売されており、仮にPIXUS MP280ではなくPIXUS MG2130のような4桁にすると、上位機種が490で下位機種が2130というような番号の大小に逆転現象が起きてしまうため、混乱を防ぐためではないかと思われる。その後、2011年春にはPIXUS MP490も新機種へと移行したが、機能面での変化がほとんど無いことから、3桁の型番のまま1の位を3としたPIXUS MP493することで、他機種同様「上から3桁目が3」という法則には載った形だ。一方の単機能プリンタは元々4桁の型番だったが、 新機種へと移行したPIXUS iP4830は、下2桁が30になり複合機と統一されている。
 それでは複合機から見てみよう。最上位機種PIXUS MG8130は前述のようにデザインや操作パネルが大きく変更されているがプリンタ部やスキャナ部、ダイレクト印刷部の機能は変更されていない。無線LANがIEEE802.11nに対応しているのが大きな変更点と言える。操作パネルは使用できるキーのLEDだけが光る「インテリジェントタッチシステム」を採用し操作性がアップしている一方、液晶パネルはPIXUS MP990の3.8型から3.5型へとやや小さくなっている。ただしメニュー内容を一新し、よりグラフィカルなアイコンを採用してるほか、フォントも変更し、文字サイズも若干大きくすることで視認性を高めているため、それほど小さくなったという印象はないだろう。PIXUS MG6130はもっとも変化が大きな機種である。もちろん本体デザインや「インテリジェントタッチシステム」の採用、液晶の表示内容の一新といった変更点もあるが、プリンタ部が特に強化されている。前機種のPIXUS MP640ではブラック2種(顔料と染料)にシアン、マゼンダ、イエローの5色構成で、下位モデルと同一であったが、PIXUS MG6130では上位機種と同じグレーインクを追加した6色構成となっている。ノズル数も同一であるため、プリント部に関してはPIXUS MG8130と同一になった。その他スキャナ部やダイレクト印刷部はPIXUS MP640から変化していない。無線LANはIEEE802.11nに対応している。PIXUS MG5230も前機種PIXUS MP560と比べるとプリンタ部が強化されている。インク構成は同一ながら、ノズル数が2368ノズルから4608ノズルに増えたことで、L版写真縁なし印刷が1枚33秒から、上位機種と同じ17秒に高速化されている。またCD/DVDレーベル印刷機能も搭載され上位機種と同等になった。その他の機能やプリント画質、スキャナ部やダイレクト印刷部の機能は変わっていない。デザインは上位機種と同じく変更されているものの、操作パネルはPIXUS MP560と同じ本体上面の右寄りに配置され、「インテリジェントタッチシステム」ではなくホイールとボタンの組み合わせとなる。液晶は2.0型から2.4型に大型化しているほか、上位機種と同じく表示内容が一新されているため、操作性はやや向上している。またIEEE802.11nの無線LANに対応している。PIXUS MG5130はPIXUS MP550からの変更点は大きくはないものの、本体デザインが変更されている。それに伴って、自動両面印刷機能を搭載した。一方でスキャナ解像度は2400dpiから1200dpiへとダウンしている。PIXUS MG5230とは異なり、こちらは印刷スピードもPIXUS MP550から変わっておらず、印刷画質や機能、スキャナ部やダイレクト印刷部の機能も、前述の自動両面印刷とスキャナ解像度以外は同一である。操作パネルはPIXUS MG5230と同じく上面右側にホイールとボタン式のものが搭載される。液晶パネルは2.4型に大型化し、表示内容も一新されている。PIXUS MP493は新機種へと移行したものの、PIXUS MP490と機能面での違いはなく、USBケーブルが付属しなくなった点と、後述の対応OSの変更がなされた程度である。PIXUS MP280は液晶パネルやメモリカードスロットを搭載しない機種である。前機種のPIXUS MP270と比べると本体カラーは上位機種と同じくブラックになっているが、デザインは同一で、機能面でも変化はない。印刷スピードがL版写真縁なしで38秒から37秒になっているが誤差程度のものである。
 FAX付き複合機は、最上位機種のPIXUS MX7600は継続販売だが、下位2機種に関しては、2011年3月に新機種へと移行している。PIXUS MX883はPIXUS MX870と本体デザインは同一だが、操作パネルが一新されている。ボタン式ではあるが、液晶右の4×4の16個のボタンに関しては、FAX機能使用時とそれ以外でボタンの内容が切り替わるようになっており、ボタン数自体が少なくなっている上に、使用できるキーが一目瞭然でわかりやすくなっている。ノズル数が増え、印刷速度もL版縁なしで33秒から17秒に高速化しており、液晶も2.5型から3.0型に大型化、無線LANも他機種同様IEEE802.11nに対応するなど強化点は多い。本体カラーがブラックになった点も、新機種に共通する点だ。一方、PIXUS MX870では豊富だったコピー機能が、FAX無しの複合機並みになっている点は注意が必要だ。下位機種のPIXUS MX420はPIXUS MX350から機能的な変化は少ない。プリントやスキャン機能は同等で、無線LANがIEEE802.11nに対応した一方、コピー機能はPIXUS MX883同様減っている。本体カラーもブラックに変更されている。
 A3ノビ以上に対応した単機能プリンタはこれまで販売されていた4機種は全て継続販売となるが、1機種追加され5機種になっている。追加されたPIXUS iX6530は型番も下2桁が30である点や本体カラーがブラックである点など、他の新機種の特徴を受け継いでいる。型番上は6000番台なので、PIXUS iX7000の下位、PIXUS iX5000の上位機種となる。インクは染料4色+顔料ブラックであり、PIXUS iX7000のような全色顔料ではないが、PIXUS iX5000とは異なり染料ブラックも搭載する。インク的が1plであり、ノズル数も多くL版写真1枚が30秒と比較的高速なので、写真印刷にも画質・速度ともに向いている。給紙は背面のみで、インタフェースもUSB2.0のみだが、余計な機能は付けず手軽な価格で高画質なA3プリントが行えるという位置づけだ。
 A4単機能プリンタは上位機種が2010年末に、下位機種が2010年頭に新機種へ移行している。上位機種PIXUS iP4830はPIXUS iP4700の後継機種だが、スペック面では大きな変更が無く、付属のソフトウェアの変更程度となっている。下位機種のPIXUS iP2700は前機種のPIXUS iP2600と比べて印刷画質や速度などの変更はないが、さらに高さを抑えたコンパクトデザインになっているほか、インタフェイスがUSB1.1からUSB2.0に変更されている。一方排紙トレイが省略されるなど、さらにコストダウンが計られている。
 なおエプソン同様、対応OSにも変更がある。従来はWindowsは7/Vista/XP/2000に対応、Mac OSは10.3.9以降に対応していたが、2010年末以降の新機種に関しては、Windows 2000が対応から外され、Mac OSも10.4.11以降に変更されている。

詳しく見てみよう

 各機種を詳しく見てみよう。価格帯別の比較、独立したページとして用意してあるので、下記のリンクから飛んで頂きたい。なお価格は、このページの作成時点(2011年5月上旬)に大手家電量販店数社の価格から、期間限定特価を除いた上で、最も多くの店舗で付けられている価格としている。

複合機(3万円前後の機種)
複合機(2万円前後の機種)
複合機(1万円台中盤の機種)
複合機(1万円台前半の機種)
複合機(1万円以下の機種)
FAX機能付き複合機(4万円台の機種)
FAX機能付き複合機(3万円以下の機種)
A3単機能プリンタ(8万円以上の機種)
A3単機能プリンタ(4〜5万円台の機種)
A3単機能プリンタ(3万円台の機種)
A3単機能プリンタ(2万円台の機種)
A4単機能プリンタ(1万円以上の機種)
A4単機能プリンタ(1万円以下の機種)
コンパクトプリンタ


(H.Intel)

今回の関連メーカー
エプソンホームページ http://www.epson.jp/
キャノンホームページ http://canon.jp/



エプソン(複合機)
EP-903A
EP-803A
EP-803AW
EP-703A
PX-503A
PX-403A
エプソン(FAX付複合機)
エプソン(A4単機能)
EP-903F
PX-673F
PX-603F
PX-G930
EP-302
PX-203
エプソン(A4単機能)
エプソン(A3単機能)
PX-101
PX-5V
PX-G5300
PM-G4500
PX-1001
エプソン(コンパクト)
E-810
E-600
E-340S
E-340P
キャノン(複合機)
PIXUS MG8130
PIXUS MG6130
PIXUS MG6130SL
PIXUS MG5230
PIXUS MG5130
PIXUS MP493
キャノン(複合機)
キャノン(FAX付複合機)
キャノン(A4単機能)
PIXUS MP280
PIXUS MX7600
PIXUS MX883
PIXUS MX420
PIXUS iP4830
PIXUS iP2700
キャノン(A3単機能)
キャノン(コンパクト)
PIXUS Pro9500 MarkII
PIXUS Pro9000 MarkII
PIXUS iX7000
PIXUS iX6530
PIXUS iX5000
PIXUS iP100