建設記録とレイアウト製作上のエピソードやテクニックなど | Let's BGM(汽車)⇒ |
Bブロック「市街地〜郊外」の製作 |
★★線路配置とシーナリーの構成★★ Aブロックが一応完成の域に達して、ここからはBブロックの「市街地から郊外へ」の製作に移ります。基本的な製作方法は、どのブロックも大差はありませんので、各ブロックごとの特徴的な部分と、製作技法・エピソードを中心に進めていきます。 このBブロックのメインテーマは、駅を出た列車が市街地の中を走り、徐々に郊外へと進んでいくというシーンのつながりといえます。また、向日水駅を出発または進入する内側線と駅をアンダーパスする外側線、さらに暇崎運転所への引込み線や旧線が、複雑に交錯する線路配置も、特徴となります。各線路の高さですが、駅のレベルがベースから約75o、暇崎運転所の引込み線のレベルは0o。その間の本線は、4線が併走する築堤部分が50oですから、内側線が75oから50oへ、外側線が25oから50oへ、引き込み線は25oから0oへの勾配です。交錯する高架線路はユニトラックですが、それを支える橋脚はTOMIX製品も使用しました。複雑なるがゆえ、市販の支柱では間に合わず、自作したビームと組み合わせて、各社入り交じり状態?です。そして、複々線4線が同一レベルになったところで、引込み線と道路1本をまたいで、そこからは築堤上を走行となります。さらに進むと、幅の広い国道を鉄橋で超え、今度は逆に線路両側の地形が高くなってきて、切り通しの中に進入して行きます。これでは沿線の風景が市街地から郊外へあっという間に変わっていくようですが、スペース的にはこれが精一杯でした。ただアンダーパスする2本の道路が、うまく切り替わりのアクセントとなりました。Aブロックでも同様ですが、道路というのは、配置次第でシーナリーやストラクチャーの繋ぎ役として重宝かつ重要だと、私は思っています。 市街地部分は、向日水駅へ続く道路に沿ってビルが立ち並び、その道路から1本裏となる通りには、小さめのビルを並べて表通りとの差をつけました。本線の奥側は旧線の高架に沿って道路が1本走り、旧線の高架下は、店舗や工場の一部にしてあります。旧線のほうは、このあたりは本線から離れていますが、築堤のとりかかり部分で本線と並びます。ここでは変化をつけるため、線路の高さを本線より高くしてみました。築堤の奥はさらに小高い丘になっており、最も奥には公団住宅のような団地があります。余談ですが、これはJR近畿の社宅という設定になっています。 複々線の本線が最も「売り」の当レイアウトですが、4本の線路が併走するのは、この築堤からDブロックの長岡昨日駅までの部分しかありません。本当は4線が都会のビル群の中を縫うように走る光景も表現したかったのですが、駅の下を通過させるという、特殊な線路配置を採用したため、かないませんでした。よく考えたらそんな大都会を再現するというのも不自然ですし、このスペースではとうてい無理ですので、すっぱりとあきらめました。何度も言いますが、レイアウト作りというのは、こういったあきらめと妥協の必要な作業です。 |
★★街並みづくりとストラクチャー★★ ベース手前の街並みは、ビルが立ち並ぶビジネス街のように設定しました。駅前から来る道路が交わるT字路の交差点の角には、1階が今は無き?S和銀行で2階以上がスポーツ用品の量販店となっている大きめのビルを置き、駅から離れるに従い、背の低い小さめのビルというパターンを基準に配置しています。使用したストラクチャーはTOMIXの完成品やGMのキットの組み立てですが、ほとんどは部分塗装などで手を加えてあります。今ではこうしたビル類も種類が増えていますので、もっと変化に富んだ構成ができるでしょう。これらのビルの裏側には、狭い道路が走っています。この道路に面して、両側にはビルが正面入口を向けて立っているのが普通の街の景観だと思いますが、いかんせんスペースが狭く背中合わせにビルが立てられません。仕方がないので普段見えない側はビル裏の壁が並んだ状態になってしまい、ここだけ見るとまるで倉庫街のようです。もちろんこちらから見えるほうは正面を向けています。そして裏通りのイメージを出すため、歩道も狭くして、その歩道に乗り上げるように路上駐車している自動車などを置いてみました。駅から来るメインの道路は、最後は広い国道に突き当たりますが、途中で暇崎運転所への引込線と踏切で交差します。踏み切りを過ぎるとすぐに交差点がありますので渋滞の名所?となっており、これを解消するために道路のアンダーパス化が計画され、用地を確保し工事を待つばかりという設定で、その看板も立っています。 本線と旧線の間にも道路が通っています。この道路は、本線側が鉄道用地で何もなく、反対側は旧線の高架になります。高架ならびに高架下の店舗はGM製キットを使用。すべてをそれで埋め尽くすのは芸が無いので、駐車場や町工場にもしています。また旧線の更に奥側は近郊の工場地帯と想定しましたので、GM製の車輌修理工場のキットを利用して、ロウレリーフで工場の一部を表現しています。のこぎり型の屋根が続くこの建物は、ひと昔前の工場によくあった形で、個人的にお気に入りのストラクチャーです。また、ベースの最も右奥のコーナーには、駅の反対側の繁華街に続く道ということで、商店や商業ビルなどを配置してあります。あまり目立ちませんが、線路間の小スペースは、変電所や運送会社などで、ひっそり?と埋めました。 踏切の先の交差点は、角に郵便局を置き、そこから奥へ続く道沿いには飲食店や商店などの背の低い建物を並べています。そして国道との三叉路の角は、ガソリンスタンドにしてみました。私の仕事柄ぜひ取り入れたいストラクチャーでしたが、当時は今のような既製品がなく、商店のキットや完成品を加工・組み合わせして自作しました。実物の知識はあってもそれを忠実に模型化するのは難しいですが、ちょっと凝って作りこんであります。そして、のちに発売されたワーキングビークルのタンクローリーから、同じマークの石油会社のものをネットオークションで落札購入し乗せています。 左手奥のコーナー部分は丘の上になり、当初は樹木で覆われたようにするつもりでしたが、変化に乏しいのでGMの公団住宅のキットを組んで、線路の見渡せる高台に乗せ、JR近畿の社宅にしました。さらにアクセントとして、丘の中腹には野立て看板がいくつか立っています。 |
★★築堤・丘・山のシーナリー製作と背景板★★ 今まではコンクリートとアスファルトに囲まれた部分が中心の工作でしたが、ここからは、草・木をはじめとした自然のシーナリーの製作になっていきます。まず、築堤部分ですが、高架橋から切り替わる部分は道路が下を通りますので、コンクリート壁を板材で作って立てました。そしてそこからは手前側(見えるほう)に築堤の法面が続きます。当初は発泡スチロールのブロックを切り出して作るつもりでしたが、途中まで線路がカーブしているため、滑らかな曲線を切り出すのは難しく感じました。そこで考えた結果、ダンボール紙で法面を縦に切った断面図のような三角形の板を多数作り、路盤の肩部分に接するように地表に立てていきました。この固定には木工用接着剤を使用しています。カーブ内側が手前になりますので、三角の板が円の中心方向を指すように立てていくと、きれいなカーブがでます。この板の間隔は、カーブで2〜3cmぐらい、直線部で5〜6cmです。そしてこの上から植毛マットを貼っていきました。マットは路盤の肩にかかるところから地表の部分まで、帯状に切ったものを貼りつめていきます。これで芝生のような法面が出来上がりますので、あとはフォーリッジを線路際や法面につけて茂らせて?あります。一方、奥側のさらに一段高い部分を走る旧線との間にも、法面があります。こちらはダンボールの板を地表から立てるわけにはいきませんでしたので、今度は帯状に切ったダンボール紙を上の段から下の段まで、傾斜をつけて橋渡しをするように何本も貼っていきます。そしてその上から植毛マットという工程です。 旧線の奥は、丘または山になります。ここでは発泡スチロールを使用しました。家電製品の梱包に使用されたものをこまめにとり置いてありましたので、適当な大きさのものを探して削りだして、背景板に沿わせるように貼り付けました。社宅の立っている部分は水平レベルが必要ですので、箱状のものでストラクチャーの基礎を作った後、周りを同じ方法で斜面にしていきます。そしてこれらが固着してから、キッチンペーパーを石膏プラスターに浸したものを上から数枚重ねて貼って、強度と一体性をもたせたあと、緑の塗料で下地を塗り、フォーリッジクラスターを張り詰めて低木の茂みを表現しています。このあたりの手法については、次のブロックの項で詳述する予定です。 次のCブロックへ続く側で手前になるほうは、線路よりもやや高い丘です。ここも発泡スチロールのブロックを削りだして基礎の面を作り、後は同様ですが、草木の茂みにはライケンも使ってみました。 背景についてですが、Aプロック同様、市街地部分には写真をカラーコピーしたもののコラージュと青空です。一部PECOの工場や山並みをの絵を使ったりしているところがありますが、やはり不似合いで、いいものがあったら取り替えるつもりのまま、現在に至っております。ところで、このブロックでは、2本の道路が直接背景にぶつかって、さらに奥へ延びていくようになっています。この背景部分の処理をどうしようかとかなり悩みました。絵心があれば絵を描いて済ますのでしょうが私にはそんなものがなく、考えたうえで、背景の建造物同様に写真を加工したコラージュでいくことにしました。当時の勤務先近くの都市部の裏通りに、交通量の少ない日曜に出向き、道幅・車線数・周囲の建物などイメージに合うのを探し、いくつかの道路や四つ角の真中に立って、先に延びている道路を何枚か写真に撮ってきました。これをカラーコピーで絵画調に加工し、背景板の道路の接する部分に道路の幅やセンターラインを合わせて貼りました。一見その先(背景の奥)へ道路が延びている様に見え、まずまずの効果が出せたと思います。貼り付けたコピーと背景画のつなぎ目は、手前に街路樹・看板などを立てたり、青空に使用した塗料をぼかして塗って、カモフラージュしてあります。 |
★★Bブロックの仕上げとその他★★ ベースに向かって左端は、次の郊外(というより山すそ)ブロックに続きますが、築堤からのつながりの部分に谷のようなスペースがあり、底にあたるところを片側2車線の国道が走っています。この国道はトンネルで山の中へと消えていきます。そして国道を跨ぐ橋は、本線がプレートガーダーで、旧線がワーレントラスにしてみました。ブレートガーダー橋は、当時は単線用しかありませんでしたので、片側の側板を切り取り複線に改造しました。そして外回り線と内回り線で色を変えてあります。ワーレントラスのほうは、かなり昔に「いつかはレイアウトを作るときに使えるだろう」と購入し置いてあったアトラス製で、色はベージュに塗装。プレートガーダーに較べてスパンが半分しかありませんので、道路の中央分離帯にレンガ積みの橋脚を立てて繋ぎました。 それからこれは、Bブロックに限ったことではありませんが、街中のシーンを彩るアクセサリー類について述べてみたいと思います。市街地のビルや建物が立ち並んだシーンの表現には、それら以外に重要な要素が多数あります。道路を走る自動車・歩く人や自転車、さらに自動販売機や路上に置かれた看板・ゴミ箱、そして電柱や標識などなど…。ちょっと家の周りを見渡しただけで、いくらでも見つけることができます。ゴーストタウンでいいのであれば、何も必要でなくなるでしょうが、活気ある街並み・人間がそこで働いたり通行したりする、生き生きした情景をつくりたいのなら、絶対に欠かせないものです。各模型メーカーから、それらのアクセサリーがふんだんに発売されるようになりましたので、並べるだけでもいいのですが、ここで一考してみたいと思います。たとえば信号が必要ではない小さな交差点に立派な信号機がついていたり、こんなところに置いても誰も見ないだろうというような建物の陰にある看板、そしてこんな立地では客が来ないだろうなという場所にある商店など、不自然な配置ではリアリティが半減してしまいます。実際に街中をよく観察してみると、すべてそこは「意味がある場所」だということがわかるはずです。その法則?を無視してしまうと「不自然な町」ができてしまうのではないでしょうか。レイアウトの製作でよく見られるように、ここが空いているから建物を立てようというケースは、実際には絶対にないはずです。人が歩いているのにも目的があり、商店がオープンするのも採算がとれるからです。交通標識もそこに必要だから立っている訳です。建物などの大きなストラクチャー以外にも、すべてそこにある意味を考えて、配置してみてください。そして人形を置く場合は、商店から出てくる人・道端で立ち話する人・仲良しグループで学校帰りの学生や子供などなど、その人に何らかのストーリーを持たせるのがよいと思います。何度も言うようですが、それらを作るためには、実際の街の情景をよく観察することが大切です。鉄道に関係ないものには金をかけないというのも分からなくはないですが、リアリティを望むのならば重要なアイテムです。 また、鉄道に関するアクセサリーについても同じです。信号機や架線柱、キロポストや勾配標など、さまざまなアクセサリーを適当に並べるのでなく、必要な場所だからという条件でやってみてください。この場合は、そういった方面の鉄道に関する知識を勉強する必要がでてくるかもしれません。いろんな書物を読んだり、最近ではインターネットもありますので、自分で調べてみましょう。もちろんこれらも、実際の線路際や高い場所から見下ろせるところに行って観察するのがベストです。 余談になりますが、広告看板についてです。ご存じの通り、広告は常に最新の情報を伝える・広めるものです。ということは時の流れとともに変わっていくはずです。私は、製作当時に最新の製品の広告を看板にするのを、あえて避けました。企業や商品の広告でも、社名ロゴやスタンダードっぽいものにしてあります。そうしておけば、時代が替わっても違和感は少ないと思ったからです。(もちろんその当時からなくなってしまったモノや企業はあります)。常に最新の広告を入れ替えた掲示してやろうというガッツのある?方には、馬の耳になんとかかもしれません。 さて、次は、Cブロックの郊外の風景に入っていきます。 |
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