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建設記録とレイアウト製作上のエピソードやテクニックなど Let's BGM(汽車)

Fブロック「暇崎運転所」の製作
★★当初の予定にはなかった運転所の概要★★
  Fブロックは、いわゆるヤードなのですが、当初のブランニングではこれほどの規模のものを作る予定はありませんでした。部屋を周回する形のレイアウトでは、運転や鑑賞のスペースは、もちろんレイアウトに囲まれた部屋の中央になります。ここにゆとりがないと、狭くて支障がでたり、時には近寄って鑑賞できないことにもなりかねません。本線からの引込線は作ってあるものの、列車を線路上で乗せ換えるための線が一本繋げられればいいと考えていました。ところが人間の欲望にはキリがなく、複々線の本線をいろんな列車が走るのが当レイアウトのコンセプトのひとつなら、その列車たちを簡単に交換できるようにしたくなってきたのです。たまたま余っていた材料の中に細長いベニヤ板があり、それを利用すれば10線程度の留置線が確保できますので、思い切って角材等を購入してベースを作り上げました。この時には、真ん中のスペースが多少狭くなっても、大人数が入るわけではないのでなんとかなるだろうという安易な考えが、頭の中を占めていたのでした。また、さらに欲望が湧いてきて、コンテナの積み降しができるぐらいの貨物駅を作れないかと検討もしてみました。しかしさすがにそれを作ってしまうと、留置できる列車の数が少なくなってしまいます。結局それを諦めて、代わりに頭に浮かんだのが、旅客用の駅を作ることでした。計画段階では諦めた電化された行き止まりの支線(しかも単線)を無理やりに盛り込んでみたかったことから、元々はこの運転所で働く職員の通勤用の仮設ホームしかなかったところに地元住民の要望で駅を開設したという設定にして、最も奥の線に4輌がぎりぎりいっぱいに止まれる1面だけのホームと小さな駅舎を配置しました。
 このブロックの位置はAブロックの向日水駅に近い位置になってしまいますが、シーナリー的に繋がってはいません。間には5センチぐらいの隙間があります。やや見た目は苦しいですが、ブロック式のレイアウトの利点?で、離れた全く別の土地とみなしています。なお、ここの駅と運転所の名称は、JR京都線の山崎からとって暇崎(ひまざき)としました。
 ヤードの線路配置は、ほぼ中央に入出区線があり、それから左右に分岐して駅を含めて11本の線路が広がっています。そして、最も奥の駅からと最も手前の線からは、引上線が逆方向に伸びています。奥のほうは、機関区をイメージした車庫に、屋根上機器点検台やディーゼル用の給油施設を配してあります。それらと入出区線との間を利用して、運転所の事務所棟や信号所建物・詰め所・照明塔などを設置しました。手前側は、業務用車輌の留置線風にして、EL・DLも留められます。ここの線路は、ベースと平行の線ばかりでは変化に乏しいので、斜めに3線を引きました。中央の留置線は、最も長い線で10輌編成まで留置でき、入口と反対側には車輌の洗浄用の台が数本あって、その手前には自動の洗浄機も設置してあります。
 ヤードの線路にもユニトラックを使用していますが、ちょっと困った問題が発生していました。実際のヤードを見ると線路間はほとんどバラストや土などで埋まっており、道床や犬走りなどはありません。ユニトラックの特徴である立派?な道床を並べると、すべての線路間をバラストで埋めなければならず、大変な労力と出費が必要となります。そこで撒くバラストの節約手段として、隣同士の道床の高さの途中ぐらいにボール紙を渡して貼り、地面のかさ上げを図りました。これでバラストの量は少なくて済むうえ、職員用の通路もこの上に貼り付ければ簡単にできて、一石二鳥です。



★★運転所施設のストラクチャー構成★★
  このブロックでは留置本数を稼ぐためベースボードの幅いっぱいに線路を敷いてありますので、ストラクチャー類は鉄道に関する建造物しかありません。当時はグリーンマックスのキット以外に使える製品は少なく、いろんなレイアウトでよく見かける建物ばかりになってしまっていますが、若干の加工や小工作をしたアクセサリーもあります。
 まず、奥の車庫部分では、グリーマックスの電車庫を使用して最奥に配置。その横(手前)にある屋上機器点検台は、歩道橋キットの余剰パーツで製作しました。さらに手前の給油設備も余情パーツからそれらしくまとめています。ここにはトミー(TOMIX)の初期製品の香港製貨車タキから取り外した銀色のタンクを置いてみました。実際にはこのような地上タンクはほとんどなくて、地下に貯蔵が普通なのですが、どこかにありそうな雰囲気になっていてアクセントとして効いています。車庫と進入線の間には、入口側に照明装置をダミーにしたTOMIXのヤード照明塔を設置。設置といっても、最も背の高いストラクチャーなので、収納を考えて着脱式にしてあります。続いてのヤード内のボイントや信号を掌る信号所建物は、あえて建物の不揃い感を出すため、グリーンマックスの木造のものを選択。さらにその奥に、同じくグリーンマックスのコンクリート造りの管理事務所棟や詰所を続けてならべてみました。
 駅のホームはKATOの対向式で、先端には乗務員の休憩所を兼ねた詰所を置き、反対側の駅舎は同じくKATOの地上駅舎を使用しています。この対向式のホームはどこかで使ってみたかったアイテムでしたが、複線の区間に置くと列車が隠れる範囲が広くなり、また複々線がメインの本線では使いづらいものでしたので、ちょうど良かったと思っています。
 留置線の一部には、グリークマックスの洗車・点検作業台を数本入れています。また、少し位置的には無理がありましたが、洗車装置も設置しました。そして各線の先端にある車止めは、この先ですぐに敷地が終わるという想定で、頑丈そうなコンクリート製の箱型をつけてみました。実物でも、大きさは別にしてコンクリート製が設置されている場合が多いようです。
 ここでのストラクチャー製作での最大の難関?は架線柱でした。製作当時は複々線などの多数の線路をまたぐ架線柱はTOMIX製しかなく、これではKATOのユニトラックを使用しているため線路間隔が合わないので、柱がうまく線路の間にきません。また既製品は素材が接着剤の効きにくいものなので加工もままならず、悩みました。結局、プラ用接着剤の使えるグリーンマックスの複線用を切り継ぎ加工しましたが、細い部品なのでなかなかきれいにできず不満が残っているうえ、破損もたびたび発生しています。今では各メーカーからいろいろな製品が発売されていますので、そのうちいいものが見つかれば交換することを考えています。



★★その他Fブロックについての補足★★
  最初に述べましたように、Fブロックのベースボードは自作なのですが、その一部に実験的なことをしています。今までの線路敷設は、ベースのベニヤ板に接着剤や釘で直接固定する方法をとってきましたが、なんとなく列車の走行音が大きいような気がしていました。固定式線路やフレキシブルレールを直にベースに留めているわけではなくユニトラックを使用していますので、うるさいという程度ではありませんが、なんとなくベースボードの内側で反響しているような感じがありました。そこでなにか緩衝材になるものを線路とベースの間に挟み込んで固定しようと思い、適当なものがないかと考えてみたわけです。そのとき偶然に、勤務先で机の上に敷いているビニール製のマットが古くなってきて交換・廃棄されることになりました。みなさんも見られたことがあると思いますが、透明のマットでその下にスケジュール表や電話番号などよく見るもののリストなどをはさみこんで使用するものです。適度な硬さがありながら押さえると少しへこむような弾力性があり、吸音・吸振になりそうなので、廃棄されるものを1枚もらって帰り、試してみました。このプロックはベース全面に線路が並びますので、ベースと同じ寸法に切ったマットをボード周辺と中心部数か所に接着剤を塗って貼り付けし、その上から線路を釘で固定していきました。結果としては、少し音が小さくなった程度ですが効果は有ったわけですので、硬めの発泡スチロールなど、材料を研究していけばさらに効果が期待できると思いました。
 またこれはこのブロックだけでなく全般に言えることですが、小さなストラクチャーやアクセサリー類の配置によるムード作りが、やはり大事であることを再認識しました。機関区や運転所のシーンなら、点検台・洗浄台・職員用歩経路などから油脂類のドラム缶・ホース・安全を促す掲示物や看板などまで、鉄道に関するものはもちろん、憩いのための花壇あるいは駐車場といった直接関係がなくとも現場にはありそうなものを作りこんでいくことで、実感的になっていくのではないでしょうか。昨今は実際に機関区・車輛基地を見学できる機会も増えました。車輛を見る・撮影するのもいいですが、そういった部分も見て写真に収めてくるのもレイアウト・ジオラマ作りには役立つでしょう。また模型化資料的な写真集も出ていますので、それらをじっくりと観察していけば、参考になると思います。
 さて、これで各ブロックの詳細の話はおわりです。次回からは、今までに書くのを忘れていたことや、全般的な反省点などを記して、まとめに入っていきます。
 


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