原始布(げんしふ)空首布(くうしゅふ)


    原始布

     商(殷)時代から戦国時代にかけて、農具の(すき)から変化したものが布幣(ふへい)と呼ばれ、初期のものは農具に極めて近似しており、貨幣と農具の両面を持ったもので原始布と呼ばれています。

     原始布には、大型、中型、小型の三種類に分類されます。

    大型原始布:商(殷)時代に流通し、多くは無文。農具として使用できる大きさと構造になっている。

    中型原始布:西周時代に流通した。形状は、大型原始布に類似しているが軽くて小型化されている。

    小型原始布:西周晩期に流通した。中型原始布よりも更に軽量化、簡素化され、面背に一筋の縦線が

           ある。また、簡単な面文も登場する。

    原始布1

     中国で発掘され、最近まで実際の工具として使用
    されていたとの事です。

     画像の原始布は、最近まで使用していた為、
    下部を鋭利に削っています。

    (大変貴重な物です。)

    小型原始布

    原始布2 原始布3

    小型原始布(2)

    小型原始布(3)

    空首布

     空首布は原始布が変化したもので、春秋時代から戦国時代に、「周」、「晋」、「鄭」、「衛」などで盛んに作られました。空首布の首(柄)の部分が中空となっている形状に基づく呼称で、中空部に黄色の泥が入っています。

    空首布の各部の名称

    首部の詳細

    原始布に比べ小型となっており、時代が進んでいく程、小型化されていった様です。
    空首布はその形状から下記の三種類に大別されます。

分類、呼称

特徴

鋳造された年代

鋳造、流通地域

平肩(へいけん)空首布

肩が平らなもの

春秋早期から戦国中期

周、鄭

斜肩(しゃけん)空首布

肩が斜めに下がるもの

春秋晩期から戦国中期

周、晋

聳肩(しょうけん)空首布

肩が斜めに上がり足が長いもの

春秋中期から戦国中期

晋、衛

平肩空首布 斜肩空首布 聳肩空首布

平肩空首布

斜肩空首布

聳肩空首布

     空首布の多くは、面、背に地名や数字などの象形文字が鋳出されており、無文、不能読を含め、300種類以上の種類が確認されています。その後、首の部分が薄く、平らな平首布に変化していきます。


貝貨 秤量貨幣 銅貝 平首布 刀幣  圜銭、古圓法

半両銭 五銖銭