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簡単SF用語集


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ハードSF

科学性を重視し、論理的であることを基調とするSFのこと。科学・技術考証を厳密に守るタイプのものは特にハードコアSFと呼ばれることもある。
SFの裾野が広がり、SFはもはやSicence Fictionだけではない、といわれるようになった頃(Speculative Fiction、Sicence Fantasy、などと様々な提唱がされた)、本来のSFはこれである、との意味を密かに込めて(?)使われるようになった。
SFの入門として好適なジャンルだが、SF御三家やラリー・ニーヴンのような作品群にくらべると、最新の理論がとりいれられた現在の作品には、やや読むのに努力を要するものもある(^^;;


パラライザー(麻酔銃)

現実の麻酔銃とちがって、超音波や麻痺光線などで神経を麻痺させ、活動停止させてしまうSFの武器。通常は相手の行動を止めるだけだが、強度によって狂わせたり殺してしまえたりする。似た種類の武器として神経鞭があるが、物理的な接触をともなうという点が異なる。


パンゲア大陸

ウェゲナーの大陸移動説では、古生代末期に巨大な大陸があり、これが1億8000万年前に分離して北半球のローレシア、南半球のゴンドワナとなり、さらに分かれて五大陸となって、現在のような配置ができたとされている。この原初大陸をパンゲアという。超古代の舞台として登場する。


反重力

重力をコントロールするのは人類の夢のひとつである。初期のSFでは、重力に対して斥力をもつ反重力物質を使って重力をコントロールする、といったアイデアが見られたが、これは実際に存在したとしても扱うのに矛盾がある。
そこでいまでは斥力を意味せず、重力そのものをゼロやマイナスにしたりしてコントロールするアイデアが盛んになっている。これはもしかして、理論的段階にとどまっている重力子(グラヴィトン)が発見されたならばあり得るかもしれず、あったとしたらまったく新しい時代がやって来るだろう。


反物質

物質は電子・陽子・中性子をはじめとする、さまざまな粒子から構成されているが、それらの粒子に対して電気的、磁気的に正反対の性質を持つ反粒子が、すべて存在することがわかっている。真空にエネルギーを集中すれば、正粒子と反粒子が対生成する事も確認されており、ならば反物質も理論上同じだけ存在しうるはずだが、なぜか自然界には見つかっていない。これを説明するのにさまざまな理論が展開されてはいるが、まだ解明されてはいない。
正粒子と反粒子が反応すれば100%のエネルギー解放が行われるため、制御できれば究極のエネルギー源として期待できる。


ヒートガン(熱線銃)

いわゆる熱線銃。熱線を放射して相手を焼き殺したり、戦車でもどろどろに溶かして破壊する、といったかんじだが、レーザーとさほど変わらないため、レイガンとの区別はあいまいだったりする。


ヒューマノイド

もともとは「人間に似たもの」という意味の言葉。人間型の姿をした宇宙人や、外観を人に似せたロボットなどをさすが、ロボットにはアンドロイドという言い方もあり、そちらのほうが主流。


ファースト・コンタクト

自分たち以外の高等生物に出くわしたことのない知的生命どうしは、どうやって意思を通じたり、お互いを理解し合えばいいのだろう?
これを、大宇宙の中で初めて出会うという出来事を通じ、どう行動するべきか考えようという、宇宙SFのテーマのひとつ。 バリエーションとして、ある日突然宇宙からの来訪者がやってくる、というパターンのものもある。


物質転移機

未来SFによく登場する、物質を一瞬のうちに他の場所に移動させる装置。一番多いのは、物質構造を分子・原子レベルまで分解し、送信された情報をもとにもとの形に組み立てるというもの。 しかし最近は「どこでもドア」のような小型ワープ装置に、その座をうばわれかかっている(笑)


弗素生命体

SFではさまざまな環境で存在しうる生命体を描くことがあるが、その中でも弗素を基にした弗化シリコン型生命体は、弗素の化学反応が酸素より激しいところから、地球型の生物より活動力が高く、知的進化も早いと考えられている。が、同時に宇宙に存在する弗素は酸素より少ないため、そうした弗素生命体は地球人より存在する率が低いだろう。
これとタイプは違うが、イワン・エフレーモフの「宇宙翔けるもの」は、やはり知的な弗素人とのファースト・コンタクトを感動的に描いていて名作。


ブラックホール

事象の地平面(シュヴァルツシルト障壁)によって囲まれ、巨大な重力のため光さえも脱出できない特異な時空点のこと。特異点が点状のシュワルツシルドブラックホールが一般的なイメージだが、回転していて特異点がリング状のカーブラックホールなどもあるそうである。
宇宙におけるブラックホールは、太陽よりも質量の大きい星が終わりを迎え、重力崩壊することによってできると考えられている。また、現在宇宙においてどの銀河系の中心にも超巨大なブラックホールが存在すると考えられているが、これは銀河形成と密接な関わりがあるのではないかとの推定もなされている。
一般にブラックホールは、周囲の物質を吸収して成長・巨大化するものと思われているが(ブラックホールどうしが合体しても巨大化する)、太陽より少ない質量のミニブラックホール&マイクロブラックホールでは、潮汐力によるエネルギー放出が上回るため、消滅してしまう。そのため宇宙創成のビッグバンによって生み出されたかもしれない、仮想的なミニブラックホールは存在しないのである。
ブラックホールはその特異性により、見ることはできないが、ブラックホールのまわりに存在する物質のふるまいや輻射エネルギーにより感知することは可能であり、特に巨星との連星系で生じる降着円盤はブラックホールの存在を知る有力な手がかりとされている。
SFにおいて、正面からブラックホールを扱うにはそれなりの理解が必要なため、安易な小道具として使われるものを除けば、このテーマの傑作はハードSFに多く、フレデリック・ポールの「ゲイトウェイ2/蒼き事象の水平線の彼方」などが代表作である。


フランンシュタイン症候群

自分が肉体的や精神的に、他の人々と大きく異なっていることに嫌悪や劣等感を抱くこと。メアリー・シェリーの作品「フランケンシュタイン」に由来している。フランケンシュタインとは作中に登場する人造人間のことではなく、創り出した人造人間に破滅させられる創り手の名なのだが、いつのまにか怪物の名として定着してしまった。
SFにおいてフランケンシュタインシュタインコンプレックス(正しい心理学用語ではないらしい)は、創造主を破滅させる創造物に対する恐怖・嫌悪感としても表現される。特にロボットもので、アイザック・アシモフが有名な【ロボット三原則】を登場させた作中背景には、このフランケンシュタインシュタインコンプレックスが潜んでいるのである。


並行世界(パラレルワールド)

我々と同じ三次元世界ではあるが、この世界と隣りあいながらも隔てられている別宇宙のことを並行世界(パラレルワールド)という。たとえていうならば無限に広がる布があり、そのうちの縦糸1本を我々の世界とするならば、並行世界は無限に隣り合う他の縦糸である。
エベレットが唱えた量子論の多世界解釈からくるアイデアの並行世界では、我々の世界のありとあらゆる変化が世界の分岐をもたらすのであるから、引き起こす変化が大きければ大きいほど異なる世界となりうる。つまり変化の小さい世界ほど近く、大きい世界ほど遠く隔てられるわけだ。縦糸の上下を時間として考えたとき、横糸は三次元の薄い壁をやぶる選択肢ともいえる。
SFで並行世界が舞台となるものの多くは、時間冒険SFか異世界冒険SFである。前者ではタイムパラドックスを回避する結果として並行世界が舞台になるのであり、後者では単に主人公が現実の世界ではありえない冒険をくりひろげるための舞台を、作り出すための手段にすぎない。剣と魔法が存在するような異世界冒険SFと異世界ファンタジーとの違いは、せいぜい主人公がこの世界に居たか居ないかの違いぐらいかも。ただしキース・ロバーツの「パヴァーヌ」のように、もしあの時ちがう選択がなされたならば、世界はどうなっていただろう・・・というような【 I f ・・】ものの傑作も書かれている。


ベム(BEM)

Bug Eyed Monstar の略。日本語に訳せば「昆虫みたいな大目玉の怪物」といったところ。初期のSFでヒーローを襲い、表紙でヒロインを半裸にひんむく存在として(笑)欠かせないモンスター達の総称。名前の由来は姿形から文字どおり来ており、知性のある存在としての宇宙人とはややあつかいが異なる。
スペースオペラ華やかなりし頃花形として活躍した彼らが、科学考証に耐えられないものとして近年めったに登場しなくなったのは、いささかさみしい限り。


放浪星

ほとんどの天体は、一見どこからともなく来るように見える彗星のようなものでも、固有の運動をしており、秩序にしたがった公転運動(規模は違うが)をおこなっている。こうした天体が何らかの原因で(互いの接近による潮汐作用、衝突、太陽異変、etc)、それまでの軌道をはずれ、宇宙を漂流するようになったものを放浪星(惑星の場合は放浪惑星)と呼んでいる。
現実には隕石クラスがせいぜいで、惑星以上の規模の天体では仮説的存在にしか過ぎないが、SFでは破滅の日をもたらす存在としてよく登場する。登場する以上、ロシュの限界あたりはきっちりしてほしいかも。


ホワイトホール

宇宙の初めから存在する、粒子の地平面(物質粒子の放出しかない一方通行の面)によって囲まれた、物質を放射する時空特異点を囲むある有限な空間のこと。物質の放射とともにしだいに小さくなっていき、そのエネルギー(質量)を完全に失ったとき消滅するといわれている。
重力崩壊の逆過程として存在が考えられているホワイトホールは、ブラックホールよりさらに理論的な存在であり、裸の特異点であるためその消滅時期などは予測できないそうである。
このホワイトホールと物質を吸い込み続けるブラックホールをワームホール(宇宙の虫食い穴)が結ぶという説もあるが、このあたりにくると現実の科学理論でありながらもはやSFの領域に近く、SFとして負けてはいられない(?)。



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