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簡単SF用語集

  


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や・ら・わの部   総索引
 


ユートピア

ギリシア語の【どこにもないところ(国)】という意味から【理想郷(社会)】を指す。トマス・モアの小説「ユートピア」で広まった言葉。
ユートピア小説は当初希望あふれる理想社会を描いたものが多かったが、次第に機械文明の科学・技術至上主義がもつ危険性を説くアンチ・ユートピア小説のほうが多く書かれるようになっている。アンチ・ユートピアの代表的な作品としてはジョージ・オーウェルの「一九八四年」、オルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」などが有名。
SFにおいて描写される明るい未来社会はユートピア像といえなくもないが、アンチ・ユートピアの影響は色濃く、未来=100%バラ色の図式はむしろ少ない。しかし絶望的であっても未来を信じ、明日に向かって前進するタイプのSFは、いつまでもなくならないでいてほしいものだ。


U・F・O

Unidentified Flying Objects(未確認飛行物体) の略称。世界各地で報告されている、現代技術あるいは自然現象では説明のつかない不思議な飛行物体の事。これをユーフォーと発音するのは日本だけのことで、他国ではユーエフオー、あるいは「空飛ぶ円盤(flying saucer)」と呼ばれている。
普通UFOは肯定論では宇宙人の乗り物であるとされ、膨大な数の報告がなされているが、にもかかわらず未だに確たる証拠がなく、その実在は疑問視されている。 が、しかし否定論でいう、UFOは飛行機、気球、明るい星、火球、レーダー誤動作や錯覚などからくる誤認だとしても、これまたすべてが説明されているわけではない(増えつづける膨大な報告においつかないせいでもあるが)。
決着がつかないまま、いまだに目撃例は増えつづけているUFO。肯定論者の中にはアダムスキーのように宇宙人とのコンタクトを主張する、UFO信者とでもいうグループもいるが、これらの報告はむしろ心理学で研究すべき対象かもしれない。
SFでは正体が判明するまでの名称としては使われるが、宇宙人の乗り物として登場する以上、当然だが未確認飛行物体ではなくなった時点で名乗れなくなる(笑)。それではイージーすぎるためか、タイムマシン、異次元からの訪問者であるといったSFも珍しくはない。


ラム・スクープ船

通常の恒星間航行をするには莫大な燃料を必要とする。宇宙空間を飛びながら、同時に燃料補給をやってしまえるよう考え出された、原子力ロケット(核融合推進)。進行方向に強力な磁場を作って宇宙空間に存在する水素原子をとらえ、ラム圧(前進圧)により濃縮し、核融合の燃料とするのである。その性質上高速でないと作動しないため、燃料を得るには飛びつづけねばならず、修理などの停止や発着陸用には別方式の補助エンジンが必要となる。


レイガン(光線銃)

光線銃の事で、ブラスターとも呼ばれ、SFの武器としてもっともポピュラーかもしれない。身近に存在するものとしてはレーザーが有名。 これがエスカレートしていくと原子力のアトミック・ガン、プロトン・ガン、さらには太陽熱を利用するソル・ガンなどととめどもなく強力な武器になっていく。真空中での戦闘が多いスペース・オペラでの長距離戦闘には欠かせないかも。


錬金術 (アルケミー)

鉛や鉄などの卑金属から金や銀などの貴金属を作ろうとした術。アリストテレスの、物質は四元素(火・空気・水・土)と四性質(乾・湿・寒・温)からなりたつという説からはじまり、哲学的な側面よりも黄金を求める人々の欲望で技術的な側面が発達した。錬金術師たちが追い求めた賢者の石(黄金を作るために不可欠とされた触媒)は見つからなかったが、その過程からのちの化学(ケミストリー)の基礎が生まれ、発達したのである。
SFにおいて錬金術師たちは、あやしげな山師ではなく、知識人として扱われることが多い。 If・・ものSF、あるいはタイムトラベルものでの彼らはしばしばその時代の科学者の役割をあたえられる事さえある。SFにとってどことなく親近感を覚える要素があるのかも。


レムリア大陸

古代にアフリカからインドまでをつないでいたという仮説上の大陸。マダガスカルの特殊な生物圏を説明するため、レムール(キツネザルの一種)の分布状態をもとに提唱されたが、現在では否定されている。
アトランティス、ムー大陸とならんでヒロイックファンタジーの舞台などに取り上げられることが多い。


ローレシア大陸

大陸移動説でいう原初大陸パンゲアが、1億8000万年前になって分離したときの北半球側の大陸。ユーラメリカともいい、南半球のゴンドワナ大陸とともに超古代の舞台になる。
現在の北アメリカとユーラシアはこのローレシアが分かれたものといえる。


ロケット

推進機関としてのロケットエンジン、あるいはロケットエンジンを動力として飛ぶ飛行体のこと。現在地球の重力圏脱出ができるパワーをもつのは化学燃料ロケット。将来的には原子力ロケット、イオン・ロケット、プラズマ・ロケット、光子ロケットなどの開発が望まれる。
SFで宇宙船がロケットと呼ばれやすいのは、化学燃料からイオン、光子にいたるまで、噴射式の反動で推進力を得る方式が多いからで、ワープ航法をもちいる宇宙船はロケットとは呼ばない。


ロシュの限界

ある程度以上の質量をもった大きさの違う2つの天体が、大きいほうの天体の重力中心から、その半径の2.45倍の距離を越えて接近すれば、互いにおよぼす潮汐力によって、質量の小さいものが破壊されてしまう。この距離のことを、唱えた天文学者の名を取ってロシュの限界という。
ただし、あまりに大きさが違うような場合は当てはまらないので、人工衛星や土星の輪を構成する氷などはそれ以上破壊されたりはしないでいる。


ロスト・ワールド(失われた世界)

コナン・ドイルの有名な作品「ロスト・ワールド(失われた世界)」に代表される、秘境探検的冒険ものをロスト・ワールドものという。 別に発見される秘境は、恐竜とかの世界に限られたわけではなく、各種の古代遺跡や失われた種族、伝説などをもとにしたものでもそう呼ばれる。どちらかといえば、SFというより冒険小説に属すが、設定にしばしばSF風の味付けがなされるのである。


ロボット

現在では高度な産業用自動工作機械も産業用ロボットとよばれているが、本来人造人間、精密な自動人形などをさす言葉。
チェコスロバキアの劇作家カレル・チャペックが、戯曲「R・U・R」で登場させた人造人間に、チェコスロバキア語のrobota(働く、奉仕する)robotik(労働者)を合成して作り出した「ロボット」という名をあたえ、広まった。チャペックのロボットは生物学的な人造人間の系譜に属し、機械的な自動人形ではないが、創造主である人間を滅ぼしてしまうという文明批判によって大いに影響をあたえ、オートマンなどと呼ばれていた自動人形たちもすべてロボットとしてよばれるようになる。
ロボットのイメージは、古代ギリシアの昔から常に人間型ロボットのそれだが、SFにおいてはそれ以外の形式のロボットもめずらしくはない。宇宙人が人類と異なる姿をしていれば、そのロボットは宇宙人に似せて描かれる。また機能により特化した形態をもつほうがより自然とする機能ロボットは現代の産業ロボットに通ずるものであり、これをつきつめていけば、家自体が自動化され、都市そのものがコンピューター制御されていく未来はロボット化の未来ともいえる。


ロボット工学三原則

アイザック・アシモフによって考え出された、SFにおけるロボットの行動規範としてもっとも重要な三原則。三原則は
第一条、ロボットは人間に危害を加えてはならない。またその危険を看過することによって人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条、ロボットは人間から与えられた命令に服従しなければならない。ただし与えられた命令が第一条に反する場合はその限りではない。
第三条、ロボットは第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己を守らなければならない。
から成り立つ。
この三原則に反する行動をアシモフ作品のロボットたちはとれず、また無理にさせようとすれば故障してしまう。このことにより、ロボットはそれまでのあやしげな恐怖の対象ではなく、論理的な人間のパートナーとして認識されるようになった。もちろんアシモフの楽観的なスタイルを皆が採用しているわけではないが、悲観的であろうともロボットものなら避けてとおれないほどの影響をのちの作品に与えている。
またこの三原則は名編集者として名高いジョン・W・キャンベル・Jrの示唆によって創られているが、のちにアシモフは自らの作品群を統合する際、この三原則に優先する、
第零法則、ロボットは人類に危害を加えてはならない。またその危険を看過することによって人類に危害を及ぼしてはならない。
を生み出している。


ワープ

スペース・ワープ航法の略。リープ、ジャンプなどと呼ばれることもある。たとえていうなら、一枚の紙(平面)上にある任意の2つの点の最短距離は、通常なら直線であらわされゼロにはならないが、紙を空間的に折りたたんで重ねればゼロとなる。これと同じように空間(スペース)を四次元的にゆがめる(ワープ)ことができれば何百光年であろうと一瞬に移動できるという航法をさす。
ワープ航行の代表的なイメージとしてあるのは、 
1、
空間を切りひらいて超空間(亜空間)に飛び込み、そこから任意の目的地に向かってアクセスする。 
2、2点間を結ぶ亜空間通路をつくり、そこを通って目的地に到達する。
というものだが、このうちのならばワームホールによって可能かもしれないといわれている。


ワームホール

ブラックホールどうしをつなぎ、別の時空領域へと移動できる時空の虫食い穴。当初はアインシュタイン・ローゼン橋と呼ばれていた。一般的に、ブラックホールと仮想的なホワイトホールをワームホールが結ぶというイメージがあるが、これは厳密にはこのワームホールとはちがうらしい。
ワームホールの行き先はかならずしも同じ宇宙の別の場所とはかぎらず、別な宇宙の可能性もあり、タイムマシンとして使えなくもない。 が、安定しにくいワームホールをとてつもない潮汐力に耐えて通過したとしても、通常のシュワルツシルドブラックホールでは特別な方法を取らない限り脱出不可能といえるので、カーブラックホールのようなリング状特異点ならば可能かもしれないそうである(このあたりを理解したいかたはぜひ専門的なWebサイトに行かれることをお勧めします)。
SFでいうワープ航法の亜空間(超空間)を通るというイメージはこのワームホールならば可能かもしれず、またワームホールを使ってタイムトラベルする方法はカリフォルニア工科大学のキップ・ソーン博士の理論で具体的に言及されている(このあたりもぜひ専門的なWebサイトにどうぞ^^;;)。


ワイドスクリーンバロック

ブライアン・オールディスが「十億年の宴」で使った、ある種のSFをさしていう言葉。ジャンルというのでもなく、テーマとも関係のない、おそろしくアクのあるワイド・スクリーン・バロックは正直言って定義しづらい。が、読めばとほうもないスケールと、次から次へと繰り広げられるアイデアに圧倒され、茫然自失してしまうほどの力を持つワイド・スクリーン・バロックは、SFマニアの多くを魅了する(^^)。 もちろん論理を重んじるハードコアSFや、洗練された文体で小説的完成度をめざす文学派SFのファンには、ごたごたしてて悪趣味とさえいえるワイド・スクリーン・バロックはむかないかもしれないが・・・(^^;;
何がワイド・スクリーン・バロックで何がそうでないかは、おそらく個々の受け取り方によってかなりちがうと思われるので、間違いなくそうだと太鼓判を押されている代表作のタイトルを。バリントン・J・ベイリー「カエアンの聖衣」、アルフレッド・ベスター「分解された男」「虎よ、虎よ!」、クリス・ボイス「キャッチ・ワールド」。



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