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京極夏彦の世界感想高遠弘美氏編

エノミユを書こうと思ったとき、美由紀の容貌について
同年代の中では背が高いというよりほかは記憶がなかった。
美由紀のシーンをざっとだが読み返してみたのだが、やはり見つからなかった。
顔の造作についてそう詳しいことは書いてないだろうが、髪型ぐらい、と思ったのだが
それもなかった。

それは美由紀が生き延びるための必然だったんだ。
そういえば碧のみならず、小夜子も夕子も髪の描写はあったし、妙にそれは印象に残っている。

エノミユ同人さんの描かれる美由紀ちゃんの髪型というのは不思議に概ね一致している。
おさげ髪というのも見たことがあるけれど。
(とても素敵な絵で大変気に入っています)

そしてそれはきっと正解なんですね。
どうかこれからも美由紀ちゃんが髪を長く伸ばしたり
おさげ髪をほどいたりしませんように…。

色素欠乏

どこに書いたか忘れましたが
榎さんの色素の薄さは突然変異みたいなものではないかと。
両親とも、少なくとも髪は黒いらしいことがわかったので。

総一郎さんがどうなのかわからないけど
突然変異だから視えるのでは、と思ったので、
薄いのは榎さんだけのほうがいいななどと思ってはいるのですが。

アルビノというほどではないんだろうけど、
アルビノだと視覚に異常のある人が多いということなので、
やはり遺伝というより軽い色素欠乏症みたいなものなんじゃないかな。

wikiの以下の記述が面白かった。

「小説や映画などの様々なフィクションにおいて、アルビノやアルビノに似た白い容姿の人物が特殊な存在として登場することがある。彼らは主に脇役として、しばしば重要な役を演じる。彼らの容姿ゆえに、作品中でも特別な意味を持つ登場人物と位置づけられることが多いようである。」

立ち位置

以前、まとまりのない文章で、中禅寺と榎木津の立ち位置だけ、木場も含めた他の人と違うということを書いたのですが、
ほかならぬ絡新婦の中で象徴的に端的に京極堂がこう言ってました。

「まあ木場修に限らず、今この席に集まった皆さんは--僕や榎木津を除いて--それぞれ杉浦さんに負けぬ劇的な物語を持っている筈だ」

ということなんですよね。

もちろん、邪魅では榎さんはこれに当て嵌まらないし、
塗仏と、そして魍魎も、中禅寺はこれに当たらないと思いますが。
シリーズ全体としてはそういうことなんだと思います。

京極夏彦の世界感想川崎賢子氏編前編

いや~、進まない進まない。
今度こそさっぱり意味が解らない。
ジェンダーの話なのに。
私だって女性なのに(笑)。

字数の関係もあるんだろうけどね。

私はフェミニストだと思ってるんですよ。
自分自身のいろんな経験もあるし、言いたいことは山ほどあるけど、その点については控えておきます。

でも、構えてそんな「論」などは勉強したことがないからさっぱり理解できない。
改めて字面を見てみれば、「女性解放」ってなんだ?
何から解放するんだ。そしてそれは本当に可能なのか?
どんな意味のあることなのだ?

女権拡張のほうがまだ想像ができる。
だけど多分私は女権拡張論者ではないような気がする。
それに近いとは思うけれど。
だから中禅寺とは微妙に齟齬をきたすだろう。
川崎氏の論によれば葵は女権拡張論者である。
私が葵という人物には非常に好感を抱きつつも、彼女の論旨にはどうも100%首肯しにくいものを感じていたのはそのせいかもしれない。

いずれにしても、彼女がセックスとしては完全な女性でありえなかったために
女性解放ではなく女権拡張を追求しなければならなかったという辺りがどうにも理解できない。

しなくてもべつにいいんじゃないかとも思うけど(笑)。

ただ、私は女権拡張論者ではないけれど、中禅寺言うところの、女権の時代はなくとも日本には母系の理があったこと、それを大和言葉(日本語、ではない)が証明しているということは
一応大学で国文学だの国語学だのを学んでいた身としては、葵のように、その前提が切り崩されたとは感じず、ごく当然のこととして受けとめていた。
だから多分、女性の神性というものについても、中禅寺の言うところと川崎氏の言うところとはちょっと違っているのではないかという気がする。

男尊女卑の思想が陰陽五行と共に入ってきた(中禅寺言)ということで、川崎氏は陰陽師たる中禅寺の「ジェンダーも微妙」と評しているが、
彼はあくまで憑物落としのために相手に合わせて弁をふるうだけであって、
相手が葵とは別の考えのフェミニストであったなら、あるいはフェミニストでなかったなら、また別の論旨を持ち出すだけのことだろう。
そしておそらく彼は、厳密に陰陽道を伝えるなんてことには使命感を持ってないと思う。
だからそんなことはどうでもいいんじゃないだろうか。


ところで、実はフェミニズムについても、私は榎木津に期待を寄せているのだ。
おそらくは彼のフェミニズムが私の感性と一番近いのではないかと思うから。
可愛い女の子を可愛いと言って何が悪い。
そして可愛いのは何も女性の専売特許じゃないぞ。
便所の蓋はともかく(笑)老人でも動物でも物でも、可愛いものは可愛いでいいじゃないか。
だけど、女性を力でもって、しかも性的関心の対象として支配しようなんてことは我慢できないぞ。
もちろんその女性がそれを望むなら他人がどうこう言うことではないんだろうけれど。

つまり他人に(親にも)生き方や価値観を押しつけられることなく、強制されることなく、自分が生きたいように生きられることが理想なのであって
望むなら外で働かなくたって、貞淑な妻、子供のために尽くす母であってもいいじゃないか。
逆に結婚しなくても子供も生まなくてもいいじゃないか。
自分が女性だと思うなら堂々と女性だと名乗ればいいじゃないか。
どっちだって。
好きに生きれば。
榎さんはそんな生き方を体現してるように思うから。
そして美由紀を「解放」してくれた榎さんは、女性の(私の?)そんな気持ちをわかってくれると思うから。

ちなみに、私の先輩には性同一性障害の方がいます。
ジェンダーにしろセックスにしろ、本人の「脳」が選んだ生き方を選べるのが一番いいと思っています。

あれ、結局結構語ってる(笑)。

いいから自分の話をしろ

なんかねえ、前にも同じようなこと書いたような気もするけどなんだかんだ言って中禅寺は自分の話をしてますよ。
魍魎からしてますよ。
鳥ちゃん、その場にいたんじゃなかったかね?
鉄鼠でも結構しゃべってたような気がしますよ。

そういう意味で、ほんっっっとに自分の話をしないのは榎さんなんですよ。
中禅寺、関口、木場、そして榎木津の4人の中で
一番自分の話をしてないのは榎さんなんですよ。

せっかくの榎さん主役の百器徒然もああいう方向だしね(笑)。

榎さんはちゃんと他の3人のこと気遣ってますよ。
それを言葉にも行動にも表してるんですよ。

邪魅では関くんも中禅寺も思いやってくれてるんですけどね。
私が求めているのはそういう特定の事件についてじゃなくて…。
ただまあ、本人は求めてないんじゃないかと思えるのでどうもならないかなとは思うんですが。

人の記憶を再構成して視てしまう厄介な男だと、姑獲鳥で中禅寺は言いました。
一番厄介なのは本人じゃないかと思うわけで…。

定期的に切なくなってはこんなことを不満に思ってしまう。