拝啓親友殿



『河合睦月さま


お久しぶりです。元気ですか?風邪などは引いていないですか?
おかげさまで僕は元気・・・とまではいかないものの、何とか頑張っています。
ニュースではだんだん温かくなるような話題になってはいますが、実際東京の春はどんなでしょうか?
ここ数年暖かくなっているので、汗ばむ陽気になっているのでしょうか?
僕のところは山奥なので、春とは程遠い気温です。
そっちにいたころは雪が降ったのが嬉しかったけど、こっちでは見飽きてしまうくらいです。雨が降らないから積もるしかないわけで、雪かきが結構大変です。
あぁ、でも、フキノトウが芽を出したので、もうそろそろ雪も融けてくるんじゃないか、そう思います。
春の来ない冬はない・・・とは言いますが、もう少し温かくなってほしいです。



えーと、本題に入りますね。親の仕事の都合で再びそっちのほうに帰ってくることになり、桜がきれいな学校に転入することになりました。
多分河合くんも知っている学校だと思います。
また新しいところに住むよりは、今まで住んでいたところのほうがということで、前に僕が住んでいたところとすぐ近くではないですけど、そんなに遠いというわけでもないです。自転車を使えばいけない距離ではないかな。
まぁ、住む予定の場所が以前と違うのは仕方ないですけどね。親も結構僕のために無理してみてくれたみたいですから。
とはいえ、新しい学校は、期待半分、不安半分です。
新しい生活にわくわくする一方で、僕みたいな人付き合いの苦手な人が上手くやっていけるかどうか、少し心配だったりもします。

でも、こればかりはなるようにしかならないですね
(苦笑)

本当だったらこんな手紙など出さずに、一度きたときに顔を見せるのが筋だったのかもしれませんが、こちらもいろいろと都合もあってすぐに帰ってしまったので、それは大目に見てやってください。
ただ、君が住んでいるところとは近いと思うので、機会があったら会うことがあるかも知れません。そのときはよろしく・・・と言っておくことにします。
まだまだ寒さが続きますので、お身体を大切になさってください。

左内弥生  』



                    8(最終話)


TOP   INDEX