Chick Tack 英語5文型  >  メール・マガジン『英語の文法と語法』  >  31号〜40号目次  >  038

第38号 may と might の推量・可能性

 Subject: 英語の文法と語法 038
    Date: Fri, 22 Dec 2006 06:50:00 +0900 (JST)
    From: Chick Tack
      To: Readers

=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
┛┛
┛┛   英 語 の 文 法 と 語 法    No.038    20061222
┛┛  ……………………………………………  ……………  ………………
┛┛   Chick Tack http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html
┛┛┛
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


             ● 第 38 号 ●

………………
 Contents  (1)may と might 1 〜 現在と過去の推量 〜

       (2)high と tall  〜 物理的な高さについて 〜

       (3)sooner or later「遅かれ早かれ」

       (4)第37号の(2)の例文(e)について

       (5)第37号訂正:リンクURL


………………………………………………………………………………………………
(1)may と might 1
……………………………

  may や might が、〔可能性〕や〔推量〕を表す用法について調べてみる。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・may+V原形; might+V原形「〜かもしれない」
    ・may not+V原形; might not+V原形
                   「〜ではないかもしれない」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  (a) You may be wrong. =You might be wrong.
    「君が間違っているかもしれない」
   =Perhaps you are wrong.
   =It is possible that you are wrong.

  「〜かもしれない」と表記してある本が多いので、それらに従った。「〜の
 可能性がある」と訳してもいいかもしれない。

  通常、可能性が50%程度と考えられるときに使われるようだ。

  may, might どちらも使える。没記事でやや詳しく書いている。違いをお知 
 りになりたい方は、ご覧ください。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/031-040/egu038kd.html#1


  (b) You may not be wrong. =You might not be wrong.
    「君は間違っていないかもしれない」
   =Perhaps you aren't wrong.
   =It is possible that you are not wrong.

  (b)は(a)の否定だから、間違っていない確率50%、間違っている確率50%とな
 り、(a)も(b)も同じ可能性となる。しかし、使う状況はやはり違ってくるはず
 だ。

  mayn't は、使わない。否定形は may not と離す。(b)の場合、not は may
 を否定しているのではなく、be wrong の方を否定している。“not be wrong”
 が may の状態であることを示すため、may と not は離す必要があるのだろう
 か。


  (c) You can't be wrong.「あなたは間違っているはずがない」

  (a)の否定としては、こちらも考えられる。can't[cannot]については、前回
 第37号で紹介している。
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/031-040/egu033.html#1
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/031-040/egu037.html#1
                   リンクURL 1行削除1行追加(2006/12/24)

  こちらになると、確率は0%に近くなる。「可能性(can)がない(not)」と考え
 るから can't, cannot とくっついているのか。それとも、can not 自体が使
 われないという理由からか。
  can not がないことについては、第31号(1)で、ご覧になられたし。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/031-040/egu031.html#1


      ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・may+have+過去分詞; might+have+過去分詞
                    「〜だったかもしれない」
    ・may not+have+過去分詞; might not+have+過去分詞
                 「〜ではなかったかもしれない」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  (d) He may have thought so. =He might have thought so.
    「彼はそう考えたのかもしれない」
   =Perhaps he thought so.
   =It is possible that he thought so.

  上記の形で、〔過去〕のことに関する〔推量〕を表すことができる。単に  
 He might think so. と may を過去形の might にしても過去の推量とはなら
 ない。「彼はそう考えているかもしれない」と(a)の例文のように〔現在〕の
 ことに関する推量になってしまう。


  (e) He may not have known it. =He might not have known it.
    「彼はそのことを知らなかったのかもしれない」

  〔否定〕は(e)のようになる。また、第33号で紹介した can't では、(f)
 のような意味になる。

  (f) He can't have known it.「彼はそのことを知っていたはずがない」
   =He couldn't have known it.

  第34号(1)の(a)(b)を中心に述べたように、〔肯定〕の could は、 
 may, might と同じ意味で使うことができる。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/031-040/egu034.html#1

  今号の(1)(a)=You could be wrong.
          「あなたは間違っているかもしれない」
  今号の(1)(d)=He could have thought so.
          「彼はそう考えたのかもしれない」

  しかし、〔否定〕の couldn't は、may not, might not とは、意味が違っ
 てくる。「はずがない」「できなかった」という意味になってしまう。


      ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛

  (g) He may not have been driving the car then.
   =He might not have been driving the car then.
    「彼はそのとき、その車を運転していなかったのかもしれない」
   =It is possible that he wasn't driving the car then.

  このように〔進行形〕に may, might がつくことがある。かなり複雑な形に
 なってしまうが、理解してもらえると思う。

    He wasn't driving the car then.
                 not を was から取って may にくっつける。
 (×)He (may not) was driving the car then.
       過去のことなので、may not の後ろを“have 過去分詞”にする。
    He may not have been driving the car then. 完成。

  (h) He may not be driving the car now.
   =He might not be driving the car now.
    「彼は今、その車を運転していないのかもしれない」
   =It is possible that he isn't driving the car now.

  〔現在進行形〕を推量すると、(h) のようになる。


      ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛

  この部分については、簡単に触れている参考書が多い。試験で問うには難し
 い部分かもしれない。

  過去形が現在形の仕事を侵食するというのは、英語の助動詞の世界では、伝
 統のようになっている。may も might に仕事を取られて行くのだろう。


………………………………………………………………………………………………
(2)high と tall       〜 物理的な高さについて 〜
…………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    「(物理的に)高い」
    ・tall 人・動物・木・植物が「高い」ときにはこちらを使う。
    ・high 一番高い部分が、地面から遠く離れていることを言う
     ために使われる。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  (a) How tall are you?「身長はどれくらいあるのですか」
  (×)How high are you?
  (“Practical English Usage 3rd Edition”by Michael Swan
    第246項目 high and tall 1)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#peu

  (b) Most of the tall trees had been cut down.
    「高い木のほとんどは、切られてしまっていた」
  (“Longman Dictionary of Common Errors”by N D Turton & J B Heaton
    high の解説文中の例文)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dce


  人間や木が高いことは、high ではなく、tall で表す。ただし、測量・測定
 した結果などを表すとき、物の場合 high が好まれる。

  (c) I'm 1m 93 tall.
   「私は1メートル93(センチメートル)の背の高さがある」

  (d) That tree is about 30m high.「あの木は約30メートルの高さがある」
   ((c)(d)とも(a)と同じ書籍の 第246項目 high and tall 2 の例文)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#peu

  人間の背の高さについては、通常 tall を使う。


      ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛

  山については、どちらも使えるように『ライトハウス和英辞典初版(1984)』
 に記載されていたが、実際の例文では、tall の例は見つけられなかった。

  (e) This is the highest mountain in Japan.
    「これは日本で一番高い山です」
    (“Longman Dictionary of Contemporary English”high-1)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ldce

  (f) The sun was on the point of sinking out of sight behind the
   high mountains.
   「太陽は、高い山々の後ろに隠れて視界から消え、まさに沈もうとしてい
    ました」(“Heidi” by Johanna Spyri の英訳本より)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/words100/referw01.html#heidi


      ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛

  建物・塔については、どちらの使用例も見られた。ただし、“Longman   
 Dictionary of Contemporary English”high-1 の欄に「“tall buildings”
 であって“high buildings”ではない」との記述あり。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ldce

  さらに同辞書 big の〔語選択〕の欄などによると、tall は、細長くて、地
 面から連続しててっぺんまで高さの測れるものに使う。連続していなくてもよ
 いのが high。単に地上からの高度をいう。

  (g) That shelf is too high for me to reach.
      「あの棚は高すぎて、私には手が届かない」
  (“Practical English Usage 3rd Edition”by Michael Swan
    第246項目 high and tall 3)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#peu

  棚や天井、空の雲など、地面から連続していないものには、tall は使わな
 い。


  (h) What's that tall[high] tower? -- That's the Tokyo Tower.
   「あの高い塔は何ですか」「東京タワーです」《語法》tall の方が普通
  (『研究社ライトハウス和英辞典初版』小島義郎・竹林滋編「高い」より)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lhje

  建物・塔は、このようにどちらも書かれている辞書が多い。ジーニアスには、
 上から見ているのが high で、見上げているのが tall とあった。
  (『ジーニアス英和辞典第3版』大修館 high形容詞-1)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej


………………………………………………………………………………………………
(3)sooner or later
……………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・sooner or later「遅かれ早かれ」「いつかは」「早晩」
            =eventually
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  (a) Sooner or later we'll have to answer that letter.
   「遅かれ早かれ、私たちはあの手紙に返事を書かなければいけなくなる
    だろう」
  (“The American Heritage dictionary of Idioms”by Christine Ammer)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ahi


  (b) An evil mind will show in evil action, sooner or later.
   「邪悪な心は、いずれは、邪悪な行動となってたち現れる」
  (“Aesop's Fables A New Revised Version From Original Sources”
   ‘The Wolf and the Shepherd’by Aesop イソップ寓話の英訳本の一つ)

  (c) One by one, sooner or later, all the rest of us must follow.
    「早晩、一人ずつ、残っている私たちもみんな、彼女のあとを追わなけ
     ればいけないんだわ」
   (“Anne of the Island”by Lucy Maud Montgomery)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#island

   友人の Ruby が亡くなって、葬儀参列を終え、帰る道で Anne が Diana 
  に語った言葉。「あとを追う」とは「死ぬ」ということ。


………………………………………………………………………………………………
(4)第37号の(2)の例文(e)について
……………………………………………………

  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/031-040/egu037.html#2
  表題にある英文について、三木さんよりご意見をいただいた。三木さんには、
 いつもこのメールマガジンを暖かく見守っていただき、貴重なご意見をいただ
 いている。

  とてもわかりやすいので、そのまま紹介させていただく。

 ============三木さんからのメール====================================

>   (e) I always get on ***the bus at ***Ginza after shopping.
>     「買い物のあと、いつも銀座からバスに乗ります」
>   (『必修慣用語法中心 新英語表現ハンドブック』文評 P6)
>    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#naiee

  普通、Ginzaは、the Ginza (district) in Tokyoと言いますね。
  in Tokyoは、なくてもよいと思いますがGinzaにtheが付いていないのは
  変だと思います。

  また、通勤の時に使うバスなら、take the busと定冠詞がつきますが「買い
  物のあと」だけでは、決まった時間と言うことにはならず、変ですね。

  また、get onと言うのは、バスに「物理的に乗り込む行為」をさしますね。
  ここは、交通手段を意味しますので、get onではなく,take a taxi, take 
  a busと言うのが普通だろうと思います。

    I got on the bus at the Ginza after shopping.と言うように過去形なら、
  問題ないと思います。 

 ========================================引用終わり==================

  Ginza については、〔地名〕だから、このままでもいいのではないかと考え、
 手持ちの資料で調べてみたが、the Ginza 有利の証拠が多数見つかった。the 
 Ginza とある実例まであった。

  このメルマガが続いていれば、いずれは〔冠詞〕についても取り上げなけれ
 ばいけない。ここは、やや簡単に。

  (a) I always take the eight o'clock bus to school.
      「私はいつも8時のバスに乗って学校へ行っている」

  このように、いつも乗るバスが決まっている場合は、定冠詞 the を使う。
 だが、遊びに行ったり買い物に出かけたりするときや、その帰り道に利用する
 バスは、たまたまやってくるバスだ。こういうものには定冠詞 the は使わず
 〔不定冠詞〕a, an を利用する。

  三木さんにつくっていただいた英文の

  (b) I got on the bus at the Ginza after shopping.

  の場合は、「買い物のあと、私が(過去に)実際に乗った特定のバス」なの
 で、the が使える。


      ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛

  よく考えずに例文を載せてしまった。三木さんにつくっていただいた英文に
 先ほど(b)と記号をつけた。前号の(e)の例文を、この(b)に差し替えて皆さん
 の学習に役立てて欲しい。

  (b)の拙訳=「私は買い物のあと、銀座から(その)バスに乗った」


………………………………………………………………………………………………
(5)第37号の訂正
……………………………

  第37号の(2)の例文(f)のすぐ上のリンクURLに誤りがあった。ごめ
 んなさい。訂正させていただく。

  誤:http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ldce

  正:http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dce


………………………………………………………………………………………………
 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
………………

────────────────────────────────────
□このメールマガジンは、以下のメルマガ・スタンドから配信されています。
 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/
 ・メルマガ天国:http://melten.com/サービス終了
 ・めろんぱん :http://www.melonpan.netサービス終了
 ・カプライト :http://kapu.biglobe.ne.jp/サービス終了
 当メールマガジンは、無料でお読みいただけます。

□このメールマガジンの登録・解除は、下記のページからお願いします。
 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/m/0000190027.html
 ・メルマガ天国:http://melten.com/m/22981.htmlサービス終了
 ・めろんぱん :http://www.melonpan.net/mag.php?009453サービス終了
 ・カプライト :http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/11748.htmlサービス終了

□バックナンバーは、下記のページのリンクからご覧ください。
 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/edu/index.html

∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋
 <(` )    Chick Tack
   (   )   E-Mail Address : mit_desde1994@ hotmail.com
    / |    魔笛を観に行こう: http://tatsuku.web.fc2.com/
  ∋  ∈   Chick Tack 英語5文型: http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/
 発行者の学習塾:http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/mit/index.html
∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋
メール・アドレスは、コピーして、あて先欄に貼り付けてから、@ と hotmail
の間の半角スペースを削除してください。面倒かけます。

 ┛ Chick Tack のおすすめ英語教材・無料サービスなどの紹介ページ ┛
 ┛ http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/recommend.html    ┛
 ┛                                ┛
      ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛  ┛ ┛


● あとがき

  私の住む地域では、お葬式があると、自治会の同じ組の者は手伝いに出るこ
 とになっている。私の組は十数軒で1組をつくっている。

  昨日、忌明けを知らせるハガキが届いた家で、またお葬式を出すことになっ
 た。今日はまた手伝いに出なければいけない。

  昔に比べると、仕事の内容も格段に軽くなっているそうだが、いまだに続い
 ている。江戸時代の五人組のなごりだろうか。

  近所の者でも、こんなときくらいしか顔を合わせることがなくなった昨今、
 仕事を休んで静かに座って話すのも悪くない。

  この慣習は、意外に長く生き残るのかも知れない。


・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・
        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2006
・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・

前回 第37号 に戻る    この号の目次へ    次回 第39号 に進む
今号には未掲載記事があります。その記事はこちらのファイル

Chick Tack 英語5文型  >  メールマガジン『英語の文法と語法』  >  31号〜40号目次  >  038