|  
             10番から鴨島に行く途中でした。 
              前回も通った道だからと油断したのが失敗で途中で道を間違えてしまいました。 
               
              おかしいと気がついて所々で道を聞きながら歩きましたが結局少し回り道をして鴨島に着くことになりました。 
              鴨島に行く途中昼食が遅れていたので、どこかいいところはないかと探したのですが適当な食堂がなかなか見つかりません。 
              ようやく探し当てたのは、夜はスナックで昼は昼食を出しているようなお店でした。 
               
              店に入ると女将さんとお手伝いの人、それに常連らしい中年の女性が一人おりました。 
              道を間違えて歩いているところですから、ふだんあまりお遍路さんが入る店ではないようでした。 
              遍路が珍しいのかいろいろなことを聞かれ結構盛り上がりました。 
               
              そのうち、常連客の女性が突然「あんた、空海の道という唄を知っていますか」と言い出しました。 
              「知りませんけど」 
              「じゃ、家が近いからテープを持って来きますよ」 
              と言い置いて店を出ていきました。 
               
              10分くらい経ったところでくだんの女性はカセットテープを手に戻ってきました。 
              女将さんにカセットラジオを用意してもらいテープを流しました。  
               
              演歌「空海の道」とはこれか。 
              遍路に縁のない人にはどうって事のない唄だと思いますが、遍路にはいささか身につまされる唄でした。 
               
              一番札所 霊山寺 
              ここ振り出しに 四国路を 
              今日も行く行く お遍路さんが 
              千年有余の 今も尚 
              絶える事なき 空海の道 
              一人旅でも 同行二人 
              阿波の徳島 発心の道場 
               
              以下二番は土佐、三番は伊予、そして四番は讃岐と続きます。 
              (作詞:佐野晋  作曲:鈴木観音  編曲:柘植康久  唄:観月小夜)  
             感じ入って聞いていたら、その女性は「このテープあげるから」といって渡してくれました。 
              そっと定価を見たら1100円でした。 
              有難く頂戴しました。  
               
              こういう唄があるとは全く知りませんでした。 
              (その女性はこの歌の作詞にいささか関係したらしいのです) 
               
              おまけに「良かったら今晩家に泊めてあげてもいいよ」とまで言ってもらいました。 
              すでに宿の予約は入れてあったし、話では旧家の生まれの方ようでしたがさすがにそこまで甘える気にはなれず丁重にお断りしました。 
               
              あーあ、道に迷って又いい人に会っちゃたなー。 
              それにしてもそこで二時間もしゃべっておりました。  
               
              その後、立江寺から星の岩屋へ向かう途中、なんとこの「空海の道」のポスターを見ました。 
              いささか色落ちしていましたが、まさにあれです。 
               
              一度聞いてみませんか 空海の道 を。  
               
               
              (2004.10)  
           |