蛇は嫌いです。大嫌いです。
あの得体の知れないニュルニュルとした形を見ただけで嫌になります。
ところが生憎四国は蛇の多い土地柄。
おまけにマムシのような毒を持つ蛇が結構おります。
初めて四国を歩いたときは随分蛇を見ました。
焼山寺越えの時は一日で何匹もの蛇を見ました。
お天気も良く蛇も活動しやすかったのでしょうが、あれでいっぺんに山道を歩くのが嫌になりました。
その後もあちこちで遭遇しました。
山道は恐る恐るの感じで歩きますし、石垣の多い道は顔をのぞかせていないかとキョロキョロしながらです。
ある時は2m位前を蛇がすーっと通りすぎて足がすくんでしまいました。
蛇は震動を感知するとか言うことを読んだことがあるので、蛇よけのつもりで蛇のいそうなところではなるべくお杖をどんどん突いて歩くようにしました。
そして今回。
蛇に対する気持ちが随分変わりました。
嫌いなことには変わりありません。
でも前回一度も蛇に噛みつかれたとかいう経験はしておりませんので、踏んづけなければいいんじゃないか、とぐろを巻いた蛇でなければいいんじゃないか、どうせ2mも3mも飛んできて噛みつけるわけではないから離れているんなら大丈夫だろうとか、そんなことで自分を納得させながら歩きました。
しかしそれよりなにより、お大師さんが悪いようにはしないだろうという安心感が一番でした。
そして蛇のいそうなところではあまり周りをキョロキョロすまいと心に決めました。
横にいたって飛んで来はしないだろうし。
ただ真っ直ぐ自分の歩く少し先を見つめて歩くようにしました。
するとどうでしょう、蛇をほとんど見なくなりました。
通算約20日で蛇を見たのは2度。
前回とは雲泥の差です。
蛇に会わないこつはこれだ、あえて見たくないものは見ない。
この心構えだ。
それから又少し考えました。
人の欠点も同じ事かも知れないなー。
見なくてもいい欠点を探しているからやたらと見つかるのではないか。
その人の欠点が自分の生活や仕事に直接的に係わるものなら欠点が見えても仕方ないとしても、あまり関係ない遠くの人の欠点を見過ぎてはいないだろうか。
見ようとしなければ見えないんだよねきっと。
そんな反省が頭の中をぐるぐると巡っておりました。
ところで今回かなりびっくりした蛇との遭遇がありました。
この写真を見てください。
小さくて見づらいかも知れません。
よーく見てください。
そうなんです、蛇が事もあろうに歩道の真ん中でとぐろを巻いておりました。
気が付いたのは3m位手前だったでしょうか。
この時ばかりは本当に飛び上がりました。
歩道から降りて恐る恐る横を歩く姿が奇異に見えたのでしょう。
通り過ぎる車のドライバーが怪訝な顔をしておりました。
蛇のいる先に回り込んでから、こんなことはまさに千載一遇。
写真を撮っておこうっと。
しかし相手はとぐろを巻いた蛇。
こわーい。
それでも恐る恐る4,5mまで近づいて精一杯望遠で撮ったのがこの写真です。
この経験をしたからといって蛇に対する怖さは逆戻りしませんでした。
相変わらず淡々と前だけを見据えて歩きました。
その後は蛇を見ておりません。
結構いたのかも知れませんが。
(2006.5)
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