いたずき
名前がないと、認識できないから
この姿に、病に、名前をつけて欲しい
人が、私という存在を通り過ぎるのは
私に名前があるから
この爪のはがれた足先を見て立ち止まるのは
この姿に名前がないから
人は体の先から壊れていく
爪が縦に横に割れて
そういう病なのである
名の付く前だから 皆は立ち止まる
この足はどういうことなのでしょうかね、と
外界に触れる数が多いほど
よくパクリと壊れる
知ってしまう、とは恐ろしいことで
それを避けるために
皆、名前で誤魔化している
認識できない
ゆえに知らない
子が生まれると
あわてて名前をつけて
爪先から 名に犯される
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