ホームズ闘病記 本文へジャンプ
 

2004年1月28日
 ホームズが一昨日夜から呼吸が荒く苦しそうです。それに目やにが酷く抱いた感じ発熱もしているようです。体重も減っているようです。明日仕事が休みなので、病院に連れて行こうと思ったのですが、余りに辛そうなので今朝一番で病院に連れて行きました。やはり体重は減り3.65キロ、熱も39.9度ありました。人間だと39度近い熱だそうです。先生が聴診器で体のあちらこちらを聞いていました。胸の音が余りよくないとの事でレントゲンを撮る事になりました。その結果、肺の下三分の一くらいが白くなっていました。それも気管支炎や肺炎とは違う影のようです。気管支炎や肺炎よりも影が濃いのです。それが腫瘍であるかその他の物であるかは分りません。とりあえず今日は熱を下げる為、抗生物質と栄養剤の注射をしました。明日また通院します。

1月29日
 ホームズは昨日の注射が効いたのか、呼吸は少し楽になったようです。病院で熱を測ると38.9度まで下がってました。今日は院長先生とお話をしたのですが、肺の影はガンの可能性が高いとの事。私が見ても明らかに異常のある写真です。もう1箇所白い影が出ている所がありました。腎臓です。ただこれはガンとは違うようです。何らかの理由で石灰化が起こっているのかも知れませんとの事でした。肺の影ももしかすると石灰化した物かも知れないそうです。もし体の色んな部分に石灰化が起こっているとすると、ホルモン異常が考えられるそうですが、猫にはまず無い病気だそうです。念のため食事をしない時に一度血液検査をする予定です。血液検査によってカルシウムの値が異常であればこの病気も考えられます。
 転移の可能性は高いのですが、ただ先生が触診をしたところ体の何処にも異常がないようなのです。あれほど広範囲に影が出ているからには、リンパに転移していてもおかしくないはずなのに、リンパの腫れも認められません。手術した耳も綺麗なままですし、内臓器官の腫れも認められません。胸膜に針を刺し細胞を取り出して検査する事は現時点ではリスクが大きいので止める事になりました。
 昨日見てくださった先生が注射の前に聴診器で胸の音を聞いた所、前日は呼吸音と共にゴロゴロと言う音が聞こえていたそうですが、今日はその音が小さくなっていたそうなので抗生物質が効果を表し効いているようです。
 明日もう1度病院に行き、何事も無ければ2週間後くらいにレントゲンを撮り、今回の影の変化を見ます。次に影が消えていれば今回は風邪から来た物なのですが。
 ホームズのガンは局所転移の物で、まさか肺に来るとは思っていませんでした。それは先生も同じ考えのようです。

1月30日
通院3日目。今日も抗生物質と栄養剤の注射。体調は徐々に良くなっているようです。右肺に影が多いので右側を触られるのを嫌います。注射は今日で終了。明日からは注射と同じ飲み薬になります。5日間服用した後、血液検査を行います。
 大分呼吸が楽になったのか、今日帰宅すると食器棚の上に乗っていました。昨日までは動きも鈍く高い所も上がれませんでした。ポワロを追い駆けたくても体が辛かったらしく、ニャーと鳴くだけで苛める事はしませんでした。このまま回復してくれると良いなぁ。

2月1日
 ホームズはまだ呼吸は少し早く何時もの状態には戻っていませんが、それでも大分良くなって来ました。最初の二日間は全く鳴く事も無く殆どじっとしていましたが、昨日から動きも活発になり食欲も段々と戻ってきています。金曜日の体重は3.68キロと少し回復したのですが、今日抱いた感じではまた少し体重が増えているようです。熱もすっかり下がり38.5度と平熱になりました。
 追い駆けたくてしょうがなかったポワロを、昨日は追い駆けていました。本調子にはまだまだですが、先週の中頃の事を思うと本当にホッとしました。先生に最初「顔つきが暗いね」と言われていたのですが、目にも力が戻り元気な顔に戻りつつあります。
 
2月4日
 ホームズは相変わらず息遣いが荒いです。最初の頃よりも多少良くなっているものの、薬を飲んでいるにも関わらず、横ばい状態。今週に入って咳もするようになりました。
 今日病院に行きました。体重はまた減って3.48キロ。体温は上がって39.4度。触診後、レントゲンと血液検査をしました。レントゲンの状態は前回と全く変らず。血液検査の結果は腎臓、肝臓には異常なし。ただし総たんぱく質、CPK、カルシウムが通常より数値が高く、A/G比が低い。A/G比と言うのは総たんぱく質のアルブミンとグロブリンの比率を言い、この比率が通常よりも低い方が良くないそうです。この場合一番疑われるのが肝機能障害。ただ他の数値が正常値なのでホームズの場合は当てはまりません。
 血液検査の数値が異常なものは全て腫瘍を疑うものであり、レントゲンの結果も抗生物質を投与しているにも関わらず、改善が見られない事からこちらも腫瘍を疑う結果です。前回よりも多少呼吸は落ち着いたけれども食べているにもかかわらず体重が減少している事、咳と言う他の症状が出てきた事、血液検査とレントゲンの結果など、全てを考えるとやはり肺がんの可能性が高くなって来ました。先生が調べた所、耳垢腺腫瘍から肺がんへの転移は犬に1例しかなかったそうです。
 これからの事を先生とお話ししました。ホームズは発症してから2年以上闘病しています。その間、通院も随分しましたし、薬の服用も数ヶ月していました。その頃は通院も薬の服用もそんなに嫌がっていなかったのですが今回は通院はおろか薬を飲む事でさえ嫌がって暴れます。これ以上の治療はホームズにとって苦痛でしかない、そう思いました。先生にこれ以上の治療はしない事、痛みや苦しさだけを取り除く対処療法にしたいと伝えました。先生もホームズに効果的な方法がないか探して見ますと仰って下さいました。今日から抗生物質とステロイドを服用します。ステロイドが効果を表せば状態は少し安定してくれると思います。また、呼吸困難に陥った時は病院から酸素吸入器も貸していただけるそうです。
 本当に肺がんであればホームズの残された時間は後1ヶ月。それを聞いたとき涙がこぼれました。

2月5日
 ホームズの咳の回数が増えてきました。ゴホゴホゴホと咳き込んでいます。ただ、状態はまだそんなに悪くないようで、高い所に登ったりもしています。昨日病院で食べてくれるならこれが良いからと貰ったヒルズのa/d缶を、少しづつですが食べています。ホームズが進んで食べてくれるので、明日病院で購入してこようと思っています。
 家族と話し合い、みんなのスケジュール調整をして、家に誰もいないことが無いようにしました。大学院の娘は卒研の発表が終わったので、時間が許す限り家にいてくれるそうですし、バイトをしている娘はなるべく夜の時間にバイトを入れてくれるそうです。もし何かあって娘から連絡が入っても私の職場からは車で十数分で自宅に戻れます。
 ホームズは苦しいながらも穏やかです。今朝、リビングで日向ぼっこをしながら庭を見ているホームズを見ていたら、「ママ、ホームズは2年以上も頑張ったからもう良いよね。後はこのおうちで好きに暮らしたいよ。好きなものを食べて、好きな所で寝て。」と言っているような気がしました。

2月6日
 今朝、仕事に行く前に病院にホームズのご飯を購入しに行きました。ステロイドも1日早く飲ませたので1日分出して貰いました。今ホームズが飲んでいるステロイドはアガサと同じ物。でも、服用は1日2錠です。それと注射と同じ成分の抗生物質。先生が薬を飲むのを嫌がるので1日1回の服用にしてくれました。ステロイドの効果か食欲は出ています。が、呼吸は相変わらず苦しそう。それでもまだ横になって寝られるので良いのかも知れません。こうすけ達もホームズの不調が分るのか、傍に寄ろうとしません。
 ホームズは8年前の丁度今頃我が家に来ました。近くのペットショップにいたホームズは、私が行く度何時も寝ている子でした。ある日曜日、ペットショップを除くとホームズの居たケージにSALEの張り紙があり、それまでの3分の1の金額になっていました。家に帰り家族に頼み込み、主人と娘達が閉店間際のペットショップに行き、ホームズを連れて帰りました。主人達がホームズを買った直後、別の家族が来たそうです。我が家に来たホームズは最初からラディを怖がりもせず、威嚇もしませんでした。ペットショップで寝ている所ばかりを見ていた私は、大人しい猫と思っていたのになかなかの元気ものでした。
 ホームズにとって一番可哀相だなと思ったのは、多頭飼い向きの猫ではなかったのに、こうすけ、アガサ、ポワロと次々と小さい子が増えていった事です。
 元々鳴く事の少ないホームズでしたが、発症後は鳴き声を聞いていません。声を出すのも苦しいのだと思います。日曜日に病院に行きます。

2月7日
 ホームズは夜よりも朝の方が気分が良いようです。今朝も自分で2階から降りてきてリビングでご飯を食べました。でも、体力が落ちてきているのか、段々と高い所に登らないようになりました。今はa/d缶の療養食ですが、乳製品の好きなホームズはテーブルにおいてあったバターの蓋を舐めていました。何時もなら直ぐ取り上げるのですが、今日は好きにさせていました。
 ホームズの治療を中止した事は決して諦めからではありません。ホームズが治療や投薬をとても嫌がって暴れる事で、彼の気持ちを考え止めた事もありますが、ホームズの嫌がる姿を見てステロイドの投薬が中止になった時のアガサを思い出した事もあります。あの時の本当にリラックスして嬉しそうなアガサの姿を思い出し、ホームズにとって辛い事は止めようと思いました。そしてホームズの家にいる時の穏やかな表情。それも治療を中止しようと思った一因です。苦しい筈なのにホームズの顔を見ると私の方が癒されるような穏やかな表情です。

2月8日
 朝起きるとリビングに娘とホームズがいました。昨日の夜娘が寝ようとした所、ホームズが咳き込んで苦しそうだったのでそのまま朝まで一緒にいたそうです。最近呼吸が苦しいのと咳き込むので余り寝られなくなっているようです。今日は余り体調が良くなく、呼吸をする度に聞こえるゴホッゴホッと言う音が少し離れていても聞こえました。ジャンプする力もなくなって来たようで、椅子の上から降りるのもそっと降りています。
 病院に行きました。院長先生と副院長先生、それぞれが触診してくださいました。ステロイドが思うような効果を上げてくれないので、呼吸器系に作用する鎮静剤に変更する事にしました。最初はこの錠剤が生産中止になっている為、他の薬にする予定でしたが、病院に残っていた錠剤がありそれを全部出していただく事にしました。夜、寝る前に飲むと少しは楽に寝られるでしょうとの事でした。
 ホームズの耳垢腺腫瘍は転移も早く、転移してからも苦しむ子が多いそうです。その中で肺に転移したとは言え良い状態が2年2ヶ月続いたホームズは良い方だと思いますよ、と先生が仰っていましたが、私もそう思います。
 もしかしたらお借りするかもしれない酸素吸入器に付いてもお聞きしました。酸素テントを張ってその中に酸素を送り込む形式のものだそうです。部屋を温かくして適度な湿度も必要と教えてもらいました。食事は好きな物を何でも食べさせて下さいと言われました。
 副院長先生は女医さんですが、何時も冷静で適切なお話をして下さいます。何時も行くと色々とお話ししてくださる先生が、今日は一言も話さず涙を拭っていました。ホームズはこんな先生方に見ていただいて本当に幸せだったと思います。病院に行くのは多分今日が最後になるでしょう。8日分の薬が終わっても、別の薬を出して貰いに私だけが行くと思います。

2月9日
 今朝明け方まだ暗いうち、ホームズの呼吸をする時のゴホッゴホッと言う音で目が覚めました。朝までその状態で、苦しそうに息をしていました。夕方帰宅し、今日一日見てくれた娘に聞くと、その状態は昼間も続いていたようです。階段も登る事が出来なくなりました。それでも私が帰宅した後にご飯を上げると食べてくれました。今はa/d缶を1日に4分の1~5分の1程度しか食べません。それでもまだ食べてくれるだけ良い。お水も飲んでいます。夜に入ってからは少し楽になったらしく、呼吸音も小さくなりました。息苦しさの為、うつらうつらする程度で殆ど眠れないのが可哀相ですが昨日病院から出していただいた薬は効いている様で、咳は殆ど出なくなりました。
 転移した肺以外、ホームズは何処も悪くありません。もし転移が無かったら。。。今でもそう思います。

2月10日
 昨日の夜からホームズは安定しています。呼吸音も小さくて時々様子を見ないと心配なくらいです。久しぶりにまあるくなって寝ています。階段も上がるのは抱っこしていますが、降りてくるのは一人で降りて来ます。時々咳をする以外はとても穏やかです。息をするたびピクピクしていた鼻も、動きが小さいです。ただ、ご飯は余り食べてくれません。
 今日はまみさんが会いに来てくれました。本当に調子が良かったらしく、テーブルの足にズリズリしていました。これは発症後初めての事。前に一度、まみさんのお膝に乗せて貰ったのを覚えていたのかしら?歩く足取りはおぼつかないけれど、リビングを歩いていました。まみさんが帰る時も玄関までお見送りをしました。こんな日のホームズを見ていると、このまま回復するんじゃないかしらと思うほどです。
 実は日曜日の夜から月曜日の夕方にかけて、本当に具合が悪そうでもうダメかも知れないと思っていたのです。まみさんが来てくれてもこんなホームズに会ったら悲しむだろうなぁと。元気なホームズに会って貰って良かった。

2月11日
 相変わらず小康状態です。ただ、ご飯を殆ど食べてくれません。昼間家にいた娘が色々と食べてくれそうな物を出したのですが、バターをほんの少し舐めただけ。私が帰宅してからも食べたそうにするので目の前に出すのだけれど何も食べてくれません。お水を少し飲むだけです。それでも咳を時々する以外は、呼吸もさほど苦しそうではありません。
 体を触るのは可哀相なので今は頭を撫でるだけ。気持ち良さそうに目を瞑ります。抱っこをするのも2階に行く時だけです。

2月12日
 今朝5時を過ぎた頃、何かの気配を感じて目を覚ましました。私の頭の横にホームズが座っていました。掛け布団を上げると中に入ってきてそのまま眠りました。ホームズが来て私の布団の中で寝るのは初めての事です。ホームズの体は冷たく、寒かったのでしょう。握ったホームズの手は殆ど骨と皮。この数日、食事らしい食事をとっていないので無理もありません。でも、お布団の中で段々と温かくなっていくホームズは、確かに生きています。ホームズの細くなった手は悲しいけれど、ホームズは頑張っています。
 今日は昼間、余り調子が良くなく数分おきに咳をしていたようです。苦しい息の中、ご飯を食べたそうにすると娘がホームズが食べそうな物を差し出しましたが、殆ど食べてくれなかったそうです。ただ、お水だけは飲んでくれます。私の帰宅後、猫缶を少しと、ドライフードを食べてくれました。

2月13日
 ホームズは今、私の横で寝ています。呼吸は相変わらずです。今日も1日余り良くなかったようです。もう薬を飲ませるのを止めようかと娘と話していたのですが、さっき咳き込みが酷く飲ませました。今は落ち着いているようです。
 闘病記を始めた時、数ヶ月で終わると思っていました。それが2回の手術を経て頑張ってくれました。去年9月に闘病記を更新した時、無事3年が経ち闘病記を終われるものと思っていました。今回の転移は本当に思っても見ない事でした。
 ホームズを交代で昼間見てくれている娘達は相当に辛いようです。二人ともホームズを見る度泣いています。でも、辛くても結果がどんな結果であろうとも、今のホームズを見ている事がホームズに対する私達の愛情と思っています。そしてどんなに辛くてもこの家にいる事がホームズの望みだと思っています。