WINGWIN会報(41)
「風のデカマル」デビュー戦/04’春季競技会
我が家では、5年前に植木市で買った庭のヤマボウシが、今年初めてたくさんの白い花をつけている。同じ種類なのだろう、花弁はちょうどハナミズキに似て、梅雨空をぼんやりやり過ごしている姿がなんともファンタスティクである。これからが梅雨本番、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。水戸ブーメランクラブは、いよいよ今年も04’春季競技会からスタートです。水戸からの参加者は、細谷、海老沢、関根の常連組みです。会場であるさいたま市の天気予報では雨70%でした。雨でも決行ということが過去にもあったので、レインスーツに防水スプレーを施し、傘、靴やタオルも多めにバッグに詰め込み、雨天にもおさおさ怠りのないよう準備した。当日になってみると予報は大ハズレ!雨雲どころか朝から空は晴れ渡り、5月では気象台始まって以来の2番目の暑さだったらしい。その日、お隣の東京では最高気温31.7度だった。おまけに湿度も高かったので体感温度はもっとあったような気がする。先々週にも、まだ5月だというのに早くも大型台風が本土をかすめ、どうやら今年も異常気象らしい。選手たちも試合前には、もう、相当な水分の補給が強いられ、うんざり顔。そういうもとで大会が始められた。最初のMTA種目の途中から方向の違ういやな風が吹いてきて、案の定、次の種目オージーラウンドスタート時には時折かなりの強風が吹き始め、今日も風の一日かなと思われた。結果は関根個人総合第4位、海老沢第6位、細谷第14位とまずまずだった。クラブでは、日頃、研究改良してきたBooの秘作(強風用)が3本ある。その1本は「モドキ」(トリック/前年大会1位)、2本目は「R-3」(オージー/今大会1位)、3本目は「ウィンディデカマル」(AC.FC兼用)である。今日のAC.FCは思い切ってデカマルで挑戦してみようと思った。デカマルにはちょうどよい不安定な強風が吹いていたからだ。相棒の海老沢選手も初めからデカマルを握っていて、やはり自分と同じ気持ちなのだなと思った。デカマルはいままで出番がなく、きしくも今日がデビュー戦となった。
- 強風下デカマルの結果-
AC3位(26点)、FC4位(45秒) --海老沢 AC(6位)20点、FC3位(44秒) --関 根(1ドロップ)
デカマルはまだ発展途上である。改良の余地はまだまだあるものの今回はまずまずのデキだった。デカマルは元来細谷イナズマンU(彼のオリジナルオージー)からヒントを得てFCとして作ったものだが、めっぽう風に強く安定性がよいのが特徴だが、もう少しスピードが・・・という改良点はある。今回FC1位の村田さんのものや、続く治樹君のBooには及ばなかったものの、現在、ABS改良型デカマル(海老沢さん)も完成しているので、これからのバージョンアップデカマルがすごく楽しみです。
(04.5.30)
S.Kiyomaru
風対策ブーメラン考
フィールドでブーメランを投げる時、一番の難敵は風ではないかと思う。ブーマーのだれもがこの風には苦労するはずである。この曲者で厄介な風をいかに克服するかでブーメランの上達にも差がついてしまう。今回は、このブーマーにとっては永遠の課題、「風対策」を取り上げてみることにする。まず、「風対策」に関する私の基本理念は、@ブーメランを重くする。A目標よりも距離を出すようにする。B滞空時間は少なくする。C風に負けないチューニングをする。D投げ方を工夫する、です。まず@では、比較的重い材料で作る(重い順に、たぶん・・/ガラスエポキシ、FRP、PP、塩ビ、ベーク等)。また、重りやコイン(1セント硬貨や5円玉)を貼り付ける。Aでは、@の重くすることにより距離も伸びることになりますが削りを工夫することによっても距離を稼ぐことができます(斜面をなだらかに削る。裏トレーリングエッジを削り揚力を抑える)。Bは、翼に穴をあけたり、翼の回転を止めるため、表面のざらついたテープや輪ゴムを巻き付けたりする。もっと回転を止めたい場合には、さらに、翼にプラスティックテープなどで風止用フラップをつけてしまうのも効果絶大(私のダブリング用のインナーにも付いている)。さらにCの風に負けないチューニングでは、一般的なのは、翼の上反角を適度にマイナス(下に反らす)にします。また、翼の迎角をマイナス(時計回りに捻る)にする方法もある(捻りは回転との相関関係があるので、なるべく初心者の方はやらない方がよいと思います)。また、@ABC以外にも、風に強いBooの形があることも付け加えておきたい。たとえばオージーの頭の丸い二枚翼などは円回転をするので理論上風の抵抗を受けにくい。そして、最後のDの投げ方であるが、これがなかなか初心者、中級者あたりには難しい。上記のように抜かりなくブーメランを重くして風対策を行ったとしても、ブーメラン自体、重さに限度があるので(私の一番重いBooでも62g)、ある程度の風(風速4m〜以上)を超えてしまうと、たいがいのブーメランは風には太刀打ちできなくなってしまう。そこで、強風時には投げ方を工夫してそれに対応する方法がある。風を押さえ込んで投げる、いわゆる「山投げ」という投法である。どういう投げ方かというと、ブーメランを投げる時は、普通、目の高さが基本ですが、強風になると、それではBooは投げた地点よりもかなり後ろに戻されてしまうので、そこで、Booが風に負けないように投げなければなりません。風を押さえ込むように地面から30度〜40度仰角に投げ、下ろすのです。このとき体重は左かかとにある。MTAの時の体重のかけ方に似ています。風が強くなるほど上に向けて投げ、おろすようにする。ブーメランの軌道は、往路は山のような弧を描いて、復路はいったん下った坂道からもう一度小山を描いて、やがて失速しほぼ投げた地点に落ちてくる。ブーメランは調整などでは限界もあり、強風時には、この「山投げ」が絶対欠かせません。以上、私の風対策を論じてまいりましたが、これだけでは完璧ではないのです。最後にどうしても付加えなければならないことがあります。「このフィールドではどのような風が吹くのか?」というような風の「方向と質」の読みが不可欠です。いわゆる、「風の方向と質(くせ)」ですが、フィールドの地形や林、建物などの障害物などの周囲の環境により風の質(くせ)が変わってきます。同じフィールド内でも中央と周辺の林の近くでは風の質が異なるし、また、低空と上空でも風の流れが違ったりします。それから、下降気流のある場所や上昇気流が生じやすい場所もあります。MTAを投げてすごいタイムがよく出るような場所は上昇気流(上空で風がぶつかり合う)の発生しやすい場所です。街中ですと、建物が風上に大きく立ちはだかっているような所ではビルの乱流が発生し、絶えず風向きが変化します。くぼ地などでは、上空では風が吹いていても下では無風という場合もあります。また、スタジアムのようなすり鉢型のフィールドもあります。私の場合、風読みが一番むずかしかったのはこのすり鉢型スタジアム(新潟市営競技場)でした。強い風が上から吹き込み投げる地点と30m先では風見の風が逆向きという様に、どっちに投げてよいものか風に翻弄されてしまいました。はからずもオージーラウンドは8点でした。それから、強風下の農大グランドの大会で、好きな種目のトリック&ダブリングが0点ということもありました。ゴルフでは、グリーンのアンジュレーションを視覚で確認しながらパットの準備ができますが、環境の違う複雑な風を読みながら、それこそデータや経験に頼るほかないスポーツブーメランは本当に厄介なスポーツです。それだけに奥の深いスポーツなのだが・・・。ですから、可能ならば条件の異なるいろいろな環境で練習をして、さまざまな風をたくさん体感しておくのがよいと思います。そうして、「おー、今日もよい風がふいてるな。」と、いつも風と語り合えることができ、そう、あの風のナウシカのようになれたなら、ブーメランライフも最高潮に達するのだが・・・
S.Kiyomaru
小祝さんの風用トリック
ダブリングのインナー