WINGWIN会報(34)
 「うららかな 春の日差しに いっせいに咲き競うチューリップ」短歌ではありません。
我が家のチューリップがもう、全部咲いてしまいました。皆さんは、いかがお過ごしですか。
クラブでは、昨年の暮れに久々におもだったクラブ会員が集まり、講師講習会を兼ねての忘年会を事務局でやりました。たまには、みんなで集まって、ブーメラン談義に花を咲かせるのもよいですね。
今年は、ソルトレイクオリンピックから始まり、夏には、ブーメランワールドカップがドイツで開催されますし、また、国内では、サッカーワールドカップ、高校総体(笠松競技場)とイベントがめじろおしです。クラブの方も、例年にも増してイベントやら講習会やらで忙しい年になりそうです。そういうわけなので、練習のほうがおろそかにな
ないように今年も頑張ろうともいます。ここのところ、風が強かったし、オフシーズンでもあったので練習よりもブーメランの製作のほうに力を入れていたのですが、講習会も近かったので、久しぶりに、いしかわ運動ひろばへ投げにいきました。この日は、たまたま風も弱く投げるのには絶好のコンディションでした。ひと月ぐらい投げていなかったので、ファーストキャッチを少し練習すると肩に違和感を感じましたが、投げるたびに少しづつ回復していったのでほっとしました。普段、私は、FCとMTAしか練習しません。MTA(滞空時間)は苦手意識があるので必ず練習します。MTAに関してはこれまでの経験から、特に三つのことに気をつけています。ひとつは、地面から60〜70度仰角に高く投げ上げること。ふたつ目はブーメランを地面に対して垂直に投げること。三つ目はスナップを最高に利かせて回転をかける、です。(他に投げるリズムなどもありますが)この日は、下のほうは風がやわらかかったので愛用のフラミンゴ(ベークライト)は使わずに、ほんとうに久々にヌーボー(2mmのフィンランド製航空ベニヤ)を取り出し投げてみました。上空は少し風が舞っていたようです。24、5秒出ていたので、まあまあかなあと思っていました。ヌーボーはベニヤ製ですので、ベークよりは高く上がらないのですが、ベークより軽いのでなかなか落ちてこない利点はあります。肩も回復していたので、4度目に、乾坤一擲「チャー、シュー、メン」(ワンタンメンでもよい。笑)で、思い切り投げました。ヌーボーはどんどん、どんどん上昇し「わ、これは、よい記録が出るかもしれない。」と最初の頃は思っていました。高度は、40mぐらいでしょうか。30秒経過しても落ちてきません。落ちるどころか、少し上昇したようです。ヌーボーは、1分経過したところで、投げた地点から30m水平移動したぐらいでほとんど定位置のところに浮いています。回転もちっとも落ちていませんそのうち、周りの人たちがそれを見て集まってきて、不思議そうにヌーボーの行方を目で追っていました。さらに1分、それから、ヌーボーはゆっくり移動をはじめ、グランドのフェンスを越えそうなところまでいってしまいました。フェンスの向こうは道路、そしてその向こうは五階建の市営アパート数棟。周りは住宅街。「どうしよう。ムムムム・・・・・」さっきまで、感無量の至福感に浸っていたのが「このままでは回収不能か」と、今度は、いっきに天国から地獄に突き落とされたような気持ちです。そのあたりから、上空の風向きが変わったようでヌーボーは、一時グランド内に戻され、また、ふたたび上昇して、またゆっくりグランドの外へ行こうとしています。しかたがないので、フェンスによじのぼって道路に降りようとしたがフェンスの下は石垣になっており危険なので降りるのを断念。でも、まだ時間はある。一時的にヌーボーを見失ってしまったので、グランドに引き返しヌーボーの位置を再確認してから、ぐるっと遠回りしてグランドを出、先回りして市営住宅の前あたにまで「ダッシュ」、100mは走ったか。もう、これ以上後にはさがれない背水の陣。空を見上げるとヌーボーはグランドを越えてテニスコートの上。このあたりからさすがにヌーボーも疲れたらしく、悠然と降りてくるではないか。いかにも満足そうに。このとき、私は、テニスコートと市営アパートの高いブロック塀の間の路地で祈るような気持ちで待ち構えていてのです。そうしているうちに、ヌーボーは、わたしめがけてゆっくり、ゆっくり降りてくるではないか。遊び疲れて迷子になった小犬が飼い主を見つけてほっとしたように。そして、とうとうわたしの懐の中におさまったのです。時間は、な、なんと3分25秒でした。
ヌーボー
材 料 2.5mm航空ベニヤ
翼 長 33cm
重 さ 約26g
設 計 高山哲夫氏
製 作 S.Kiyomaru
2002/3
S.Kiyomaru

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