「ダウントン・アビー・シーズン1」に学ぶ英語表現 第2話 |
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目次
1.for good or ill for good or ill善かれ悪しかれ。良くも悪くも
TAYLOR: Here we are, ma'am. Crawley House. テイラー:到着です、奥様。こちらがクローリー・ハウスです。 マシュー・クローリー:良いことなのか、悪いことなのか。 Here we are.「ここに、私たちはいます」が逐語訳。目的地に到着したときに使う。もちろん「私たちはここにいる」という意味でも使える。 ma'am「奥様」「王女様」「先生」などに話すときに添える呼びかけ。使用人が主家の女性に使う。一般的に自分よりも年上ならば ma'am を使うことが多く、年下ならば Miss。madam よりもカジュアルな表現。 For good or ill.「良いことのためか、悪いことのためか」「良いこと交換、または、悪いことと交換」くらいか。辞書には「良かれ悪(あ)しかれ」「良くも悪くも」と書かれている。「しかたがない」という意味も発生するようだ。NHKの吹き替えでは「とにかく着いた」と言っていた。 グランサム伯爵家の所領と爵位の相続順位1位と2位の人物が同時に亡くなった。タイタニック号に乗っていたという設定だ。3位のマシューが、急遽呼ばれ、用意された家に到着したのだ。マシューは事務弁護士をしていて父親は医者だった。中流階級である。マシューは、現状にまずまず満足していたようだ。伯爵家を相続することに乗り気ではないようだ。そのため、「この土地に来た事が、果たして良いことなのか、それとも、悪いことなのか分からない」と感じているのだと思う。その状況での発言であると思われる。 push in割り込む。じゃまする。口をはさむ
ISOBEL CRAWLEY: Won't you stay and have some tea?
イザベル・クローリー:お茶でも召し上がっていらっしゃらない? Won't you stay and have some tea?「留まって、いくらかお茶を飲みませんか」が逐語訳。普通に使われる勧誘表現。 You're far too busy.「あなたたちは遙かに忙し過ぎる」「あなたたちは遙かにあまりにも忙しい」が逐語訳。very は比較級を強めることができない。far や much が使われる。これらは比較級ではない形容詞や副詞を強めることができる。この場合 far は too を強めている。too でも過度なのだが、それよりも過度に「忙しい」。much よりも far の方が口語的。 And I wouldn't want to push in.「そして、私は割り込みたいとは思うことはないでしょう」が逐語訳。push in は「列などに割り込む」だが、実は少し前に、母親のイザベルと話していたマシューが、Well, they're clearly going to push one of the daughters at me.「それはね、伯爵家は明らかに、娘の誰か一人を僕に押し付けるつもりなんだ」と push を使った表現で嫌がっているのだ。それを部屋のすぐ外で聞いていたメアリーが、push in を使って文字っているのだ。「おじゃましたくないから」では、その隠れた皮肉は表せない。 この後、マシューは戸外までメアリーを追いかけ、自分の発言は「冗談だ」と言い訳をしている。それに対し、メアリーは、相続に伴う引っ越しから何もかもが冗談だと強烈な口撃を見舞っている。 heck as like違う。全く〜ではない。とんでもない
WILLIAM: Are we to treat him as the heir? MISS O'BRIEN: Are we heck as like. A doctor's son from Manchester? Humph. He'll be lucky if he gets a civil word out of me.
ウィリアム:僕たちは、あの人に次期伯爵として接しないといけないかな? Are we to treat him as the heir?「私たちは彼を、その相続人として取り扱う方向にあるのですか」が逐語訳。to-不定詞は、「動詞の方に向かう」と解釈した。be動詞の補語として働いている。名詞的用法ならば「〜すること」なのだが、これは高校の文法で習う「義務」「命令」「運命」「予定」「可能」の使い方。主語ではなく第三者の意思が働いていることを表しているという。使用人たちが自分で後継者・相続人として接することを決めるのではなく、あくまで主家の家族や法律が決めることなのだろう。ここでの him は マシューのこと。 Are we heck as like. A doctor's son from Manchester?「私たちは決してそのようにするべきですか、マンチェスター出身の医者の息子に対し?」くらいか。逐語訳は難しい。heck は hell の婉曲語なので、割り込ませただけか。イングランド北中部の古風な俗語方言で heck as like で、no や not, never を表すという。heck を eck としたり 'eck と表記するようだ。 Are we heck as like. で No, we aren't. くらいに思えばよい。Am I heck as like? ならば No, I'm not,、Did she heck as like? ならば No, she didn't. と意味を取ればよい。 He'll be lucky if he gets a civil word out of me.「私から一語の丁寧な言葉を手に入れれば、彼は幸運であるでしょう」が逐語訳。out of...は「……から」。civil は「丁寧な」「礼儀正しい」という意味もある。使用人は主人の家族に丁寧な言葉遣いをしなければならない。civil が貴族に対し、一般市民=使用人という発想から出てきた意味かもしれない。 We're all lucky if we get a civil word out of you.「もしあなたから一語の丁寧な言葉を手に入れたなら、私たちは皆幸運です」が逐語訳。常に辛辣で毒々しい言葉を発しているオブライエンに対する、強烈な皮肉。アンナの皮肉はオブライエンの中で増幅し、さらなる不適切発言を産んでいく。 selectively deaf選択的難聴。聞こえないふり。都合の悪いことには耳をふさいで
MRS PATMORE: Daisy, did you hear me call, or have you gone selectively deaf?!
パットモア:デイジー、私が呼んでるのが聞こえなかったのかい? それとも、聞こえないふりをしているのかい?! Daisy, did you hear me call, or have you gone selectively deaf?!「デイジー、私が呼ぶのが聞こえましたか、それとも、あなたは選択的難聴になったのですか」が逐語訳。hear me call は、“知覚動詞+目的語+原形不定詞”で、意味は「目的語が原形不定するのを知覚動詞する」。go は become や get のように「〜になる」という使い方。辞書で見つけたわけではないが、selectively deaf「選択的難聴の」→「都合の悪いことは聞こえないふりをする様子の」なのだと思う。 Then might I remind you we are preparing dinner for your future employer,「それでは、私はあなたに、私たちがあなたの未来の雇い主のために夕食を準備しているということを思い出させてもよろしいですか」が逐語訳。May I remind you...? や Let me remind you.... は、警告や批判を始めるときに使う文句。may が might になっているので、少し和らいでいるが、これはわざと丁寧に言っているので、かえって怖い。「未来の雇い主」はクローリー家の人々か。 and if it goes wrong, I'll be telling them why!「そして、もしそれがうまくいかないならば、私はどうしてそうなったかという理由を彼らに告げていることでしょう[告げるつもりです]」が逐語訳。go は先ほども書いたように「〜になる」のだが、日本語でも「間違った方に進む」とか「うまく行かない」と言うから、go を使う気持は分かる。why は、間接疑問か関係副詞。いずれにしても以降は省略してある。 意訳では「夕食がまずかったら」と訳したが、「夕食が遅れたら」かもしれない。多分両方を含んでいるのだと思う。 full of oneself自分の事ばかり考えて。自己中心的で。高慢な。うぬぼれて。良い気になって。調子に乗って
CORA, COUNTESS OF GRANTHAM: We'll bring him 'round, you'll see. We're trying to find lawyer who'll take it on. So, what are they like?
グランサム伯爵夫人コーラ:私たちで彼の意見を変えてみせるわ。まあ、見ていなさい。その件を引き受けてくれる弁護士を探しているところなの。それで、あの人たちはどんな人なのかしら? We'll bring him 'round, you'll see.「私たちは彼を運んでクルリと回転させるでしょう。あなたは見るでしょう」くらいか、少しわざとらしいが。bring someone around で「人の意見を変えさせる」という意味になる。You'll see. は決まり文句。「まあ、見ていて」や「楽しみにしていてね」「期待してて」という意味で使われる。 伯爵家の相続人のクローリー家が、ダウントンにやって来た。伯爵夫人と前伯爵夫人は、マシュー・クローリーには、伯爵家を譲りたくない。相続させようとしている伯爵の気持を変えさせようと画策している。 We're trying to find lawyer who'll take it on.「私たちはそれを引き受けるだろう弁護士を見つけることを試みている」が逐語訳。take on は「(仕事や依頼などを)引き受ける」という意味。who は関係代名詞。 So, what are they like?「それで、彼らは何のようなものですか」が逐語訳。like は前置詞で「〜のような」。like what で「どんなもの?」となる。what は疑問詞なので、前に行く。 She's nice enough, but he's...very full of himself.「彼女は十分ナイスです。でも、彼は……とても彼自身でいっぱいです」が逐語訳。enough は後ろから nice を修飾している。「十分に」なのだが、必要な程度にということなので、「全面的に nice」「かなり nice」というわけではない。むしろ「まあまあ nice」「そこそこ nice」に近い。 full of himeself は「彼自身でいっぱい」→「心の中彼自身の事で満たされている」→「他人に関心がなく自己中心的」→「わがままな」「傲慢な」「うぬぼれの強い」くらいが連想される。 Why do you say that?「どうしてあなたはそれを言うのですか」が逐語訳。「どうしてそんな事を言うのか」→「どうしてそう言い切れるのか」「どうしてそう思うのか」くらい。 Let's go down and you can decide for yourself.「降りて行きましょう。そして[そうすれば]、あなたはあなた自身で決定することができます」が逐語訳。人物評は自分でということ。 be lost without someone〜がいないと困ってしまう。〜なしでは立ち行かない
ROBERT, EARL OF GRANTHAM: This is Carson. We'd all be lost without him. Mama, may I present Matthew Crawley and Mrs Crawley, my mother, Lady Grantham. グランサム伯爵ロバート:こちらはカーソンです。我々は彼がいないと全く何もできないのです。母上、マシュー・クローリーとクローリー夫人をご紹介します。(こちらは)私の母のグランサム夫人です。 We'd all be lost without him.「私たちは、彼なしでは全く道に迷ってしまうことだろう」が逐語訳。 bring and buy sale慈善のための持ち寄りバザー。チャリティ・バザー
ISOBEL CRAWLEY: I'd love to be involved in some way.
イザベル・クローリー:ぜひ、何かのお役に立ちたいわ。 I'd love to be involved in some way.「私は何かの方法で巻き込まれることを愛することでしょう」が逐語訳。would like to の like を love に替えたもの。「ぜひ〜したい」と訳されることが多い。be involved は「含まれる」「巻き込まれる」という意味になる。「トラブルに巻き込まれる」という悪い場面でも使うが、ここでは「積極的に関与したい・関わっていきたい」という前向きな意味で使っている。「何らかの形で関わっていきたい意向」を伝えている。 Well, you could always help with the bring and buy sale next month.「そうですね、あなたは来月のその持ってきて売る売り出しで、いつも手伝うことができるでしょう」が逐語訳。always は「いつも」「常に」という意味が基本だが、来月のバザーに「いつも」とはおかしい。ただ、準備はいつからでもできる。always は、can や could と組み合わさって、「その気になったらいつでも言ってよ」や「いつからでも参加できるよ」というような感覚で使える。ここでは「チャリティー・バザーの手伝いなら、問題なく手伝えるから、やってみれば?」と勧めている。 先に意味を言ってしまったが、bring and buy sale は、「慈善事業で行う持ち寄りバザー」。イギリス英語で使われる。辞書では bring-and-buy sale と出ていることが多い。動詞が使われていることで戸惑うかもしれないが、全体で名詞(句)。意味はほぼそのままで「持ってきて売るセール」なので、「バザー」と分かる。 That would be most appreciated.「それは最も感謝されるでしょう」が逐語訳。「大変ありがたい」を丁寧に述べた表現。話し手が感謝するのではなく、「あなたのその行為がとても感謝されるでしょう」という持って回った表現で、距離が遠いと感じることもあるか。
時間ができれば追加する。 |
Chick Tack 英語5文型 ・ おすすめ英会話教材など ・・ お薦めテレビドラマ ・・ Downton Abbey season1-1 ・・ Downton Abbey season1-3 ・・ Downton Abbey 2-1 ・・ Downton Abbey 2-2 ・・ Downton Abbey 2-3 ・・ Downton Abbey 2-4 ・・ 英文法参考書など ・・ DVD・ホームアローン ・・ DVD・アマデウス ・・ 聞き流すだけ英語 |