「ダウントン・アビー・シーズン1」に学ぶ英語表現 第3話

目次

1.bleeding
2.all the more reason
3.get[be] above oneself
4.The bloom is off the rose
5.get to the bottom of something
6.That's rich
7.I hope to God

bleeding

やけに; とても; いまいましい

アンナとグウェンは、ダウントン・アビーのお屋敷の女中。アンナは女中頭(メイド長)。2人は同室で寝起きしている。お互い姉妹のように感じている。
2人の部屋のタンスの上に見慣れぬ大きな荷物がある。アンナはイスに乗って何なのかを確かめようとしていた。そこにグウェンも戻ってくる。
グウェンは何をしているのかとアンナにたずねる。気持よく暮らすため、タンスの上にもっと空間がとれないか見ていると答える。

ANNA: So, what's in it, then?
GWEN: What?
ANNA: The bleeding great packing case that weighs a ton, that's what.
GWEN: Can't you just leave it?
ANNA: No, I can't. And you'll tell me right now.

アンナ:それで、そこには何が入っているの?
グウェン:何のこと?
アンナ:あのひどく大きな荷物よ。1トンはするわね。それよ。
グウェン:そっとしておいてはくれないの?
アンナ:そういうわけにはいかないわ。さあ、今すぐ言いなさい。

So, what's in it, then?「それで、では、その中には何があるのですか」が逐語訳。

The bleeding great packing case that weighs a ton, that's what.「1トンの重さのあるその血の出ている巨大な荷物の箱、それが what のことです」くらいが逐語訳。

bleed は「出血する」という意味の動詞。現在分詞 bleeding は「出血している」という形容詞の使い方になっている。「血まみれの」と訳されることもある。しかしここでは、形容詞 great を強める副詞の働きをしていると考えられる。「とても」→「大きな」→「荷物」という関係である。

bleeding はイギリス英語の俗語で、形容詞「いまいましい」という意味がある。本来 bloody が俗語でこの意味を表すのだが、下品なため遠まわしに bleeding を使うことがあるのだ。

bloody は、やはり俗語で副詞「とても」「ひどく」「やけに」などの意味で形容詞や副詞などを強調することがある。これを形容詞のように少し和らげて言う表現が bleeding なのであろう。

great は large よりも感情の入った言葉で、big よりかたい語。

that は関係代名詞。weighs は「SはCの重さがある」という意味の不完全自動詞。重さ限定でS=Cの“=”の働きをしている。

Can't you just leave it?「あなたはそれをちょうど放しておくことはできないのですか」か。

just は否定疑問文の反語表現によく使われる。leave は「そのまま放っておく」だから。「そっとしておいて」「見逃してくれ」ということなのだろう。

No, I can't. And you'll tell me right now.「いいえ、このままにしておくことはできません。そしてあなたは正確に今、私に告げることになるでしょう」と訳しておきます。

Can't you...? に対する返事なので No, I can't。 英語というのはこういうところが律義。

you'll tell は実際には命令。「言いなさい」ということ。「あなたは当然言うことになるでしょう」という予言めいた言葉で強制している。

all the more reason

それならなおさら〜しないと。

Lord Branksome の息子の Evelyn Napier という人物が近くに来るので、ダウントンのお屋敷にも挨拶に寄るという。コーラ夫人はもっと積極的にもてなした方がいいと言う。娘のメアリーは、露骨にすると娘の誰かと娶せようとする下心が見えるのではと心配する。

CORA, COUNTESS OF GRANTHAM: I can't think what you mean. His mother's a friend of mine; she'll be pleased at the idea.
LADY MARY: Not very pleased. She's dead.
CORA: All the more reason, then. You can write a note, too, and put it in with mine.

グランサム伯爵夫人コーラ:あなたの言おうとしていることが分からないわ。彼の母親は私の友人の一人よ。彼女もきっと喜んでくれるわ。
メアリー嬢:そんなに喜ばないと思うわ。彼女、もう亡くなっているのよ。
コーラ:それじゃあ、なおさらご招待しなくちゃね。あなたも何か書いて。私のお手紙と一緒に封筒に入れるから。

I can't think what you mean.「私はあなたが意味していることを考えることができない」が逐語訳。what は先行詞を含む関係代名詞。what you mean で「あなたが言おうとしていること」。

His mother's a friend of mine.「彼の母親は私の友人の一人です」が逐語訳。

she'll be pleased at the idea.「彼女はその考えに喜ばされるでしょう」が逐語訳。→「彼女はその考えを喜ぶはずよ」。the idea は「狩り用の馬などを用意し、屋敷に滞在してもらう」という考え。

Not very pleased. She's dead.「とても喜ばされるということはない。彼女は新いる状態です」が逐語訳。あらあら、コーラさん、お亡くなりになってうことも知らないとは、a friend of mine も怪しい。

All the more reason, then.「それでは、もっと多量の理由の全て」。何やら意味が分からない。

“the 比較級”の後ろに for something や because-clause などの理由を表す言葉が来ると「その分だけますます比較級」「それだけいっそう比較級」という意味になる。文法的にも説明はつく。これに強調の all が置かれることがある。

管理人は文法的に説明できないのだが、reason はそのものズバリ「理由」という意味の名詞。従って理由を表す句・節をいちいち言うのが面倒なので置き換えたのではないか。そのため、「そういうことなら、なおさら〜でなければいけない」とか「それなら、なおさら〜しなければいけない」という意味になるのだと思う。

(We should do) all the more reason. ということか。

(That's[It's]) all the more reason. とくれば、一応文法的にも整合は取れる。that や it は、「彼の母親が死んでいること」を指す。その場合「彼の母親が死んでいることは、(招待する)強烈でさらなる理由となる」と逐語訳できる。こちらかも。

get[be] above oneself

のぼせ上がる。うぬぼれる。思い上がる。はしゃぐ。上機嫌になる

グウェンがメイドを辞めて秘書を目指しているとアンナに告げる。他の誰にも言っていないと言う。

ANNA: What did your parents say?
GWEN: Well, I can't tell them till I've got a job. Dad will think I'm a fool to leave a good place and Mum will say I'm getting above myself, but...but I don't believe that.
ANNA: Nor do I.

アンナ:あなたのご両親は何て言ったの?
グウェン:えー、勤め先が決まるまで、両親には言えないわ。父さんは紺にいい仕事を辞めるなんて、私をバカだとあきれるわ。母さんは思い上がるのもいい加減にしなさいと言うわ。でも、私はそうは思わないわ。
アンナ:ええ、私もそんな事は思わないわ。

逐語訳でいける文は触れない。また、以下の説明で、重文は短文に分け単語一部省略し、記号も改変した。

Dad will think I'm a fool to leave a good place.「良い地位を離れるということを理由に、私がバカ者であることを父さんは考えるでしょう」というのが逐語訳。that 省略の I'm 以降の名詞節が、think の目的語。

to leave a good place は I'm a fool と判断した原因・理由を表すto-不定詞の副詞的用法の一つ。

Mum will say I'm getting above myself.「私が私自身の上にいる状態になっていると私の母さんは言うでしょう」が逐語訳。

say の目的語が接続詞 that 省略の I'm 以降の名詞節。

be above myself「私自身の上方にいる」→「うぬぼれている」。get above myself「私自身の上方に上がる」→「うぬぼれる」。この文では現在進行形の形を取っている。

..., but...but I don't believe that.「しかし……しかし、私はあれを信じない」。that「そのこと」とは何だろう。直前の「うぬぼれている」とみるのが妥当だが、父の思いを想像した「いい職を棒に振るなんてバカだ」も入るのかもしれない。

Nor do I.「私も(そう)思わない」。I don't think so either.のこと。Nor で始めると倒置となる。

The bloom is off the rose.

全盛期を過ぎる。新鮮さを失う。業績が不振になる。

VIOLET, DOWAGER COUNTESS OF GRANTHAM: Cora is right. Mary won't take Matthew Crawley, so we'd better get her settled before the bloom is quite gone off the rose.

前グランサム伯爵夫人ヴァイオレット:コーラが正しいわ。メアリーがマシュー・クローリーを選ぼうとしないのだから、容姿が衰えてしまわないうちに誰かに嫁がせた方が得策よ。

Mary won't take Matthew Crawley, so we'd better get her settled before the bloom is quite gone off the rose.「メアリーはマシュー・クローリーをどうしても選択しようとはしない。それで、花盛りがバラを完全に離れてしまう前に、私たちは彼女に身を固めさせた方が良い」が逐語訳。

won't は「どうしても〜しようとしない」という用法か。

“get+人+過去分詞”で、「人に過去分詞してもらう」「人が過去分詞の状態になるようにする」。settle は「植民する」「整える」「設置する」Mary は「設置される」方なので、「片付けられる」→「身を固めさせられる」→「結婚させられる」となる。

bloom は「木の花」だが、今回は the bloom で「花期」や「花の盛り」のことだろう。「バラ色の人生」とか言うように「バラ」というのは幸福の象徴。「バラの花期」がその人の「最盛期」を表している。それを離れれば、下降線をたどる。容色などが衰えてくることを表している。

「花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせし間に」(小野小町)というように「花の盛りを過ぎる」という比喩は、わが国にもある。

「バラの木の花」が「バラの本体」を「離れて」落ちるということではないと思う。いろんな木の花の花期が重なりながら続くが、その中でバラの花期がやはり派手でいい時期だということだと思う。

完了形は“have+過去分詞”と習うのだが、“be+過去分詞”は昔、よく使われた。go などの自動詞では誤解されることが少ない(受動態と受け取られない)ので、現在でも使われる。

get to the bottom of something

真相を突き止める。

何か隠していることを目ざとく察知した侍女オブライエンは、グウェンがタイプライターを隠し持っていることを見つけ、カーソン執事やヒューズ家政婦長に告げ口する。事情を聞くためグウェンとアンナ女中頭を待っている。

MRS HUGHES: With all due respect, Mr Carson, Gwen is under my jurisdiction.
MR CARSON: Indeed she is, Mrs Hughes, and I have no intention of usurping your authority. I merely want to get to the bottom of it.

ヒューズ:失礼ですが、カーソンさん、グウェンは私の管轄下にあると思うのですが。
カーソン:もちろんそうですよ、ヒューズさん。あなたの権限を侵すつもりは全くありません。私は単に真相が知りたいだけなんです。

With all due respect「全ての当然払われるべき尊敬とともに」→「失礼ながら」「お言葉を返すようですが」「誠に申し訳にくいのですが」など、やんわりと反論するときの常套(じょうとう)句。

Gwen is under my jurisdiction.「グウェンは私の支配の下にいます」。これはほぼそのまま理解できる。

In deed she is.「実際彼女は(あなたの支配下に)います」。これは is の後ろに under your jurisdiction が略されているだけ。

I have no intention of usurping your authority.「私はあなたの権威を奪うことの意図は全く持っていない」。intention の後ろに「どんな意図か」を示すとき、“of 動名詞句”“to-不定詞句”“that節”が続く。intention の前に the, any, no がある時は“of 動名詞句”、所有格がある時は“to-不定詞句”が好まれる。

I merely want to get to the bottom of it.「私は単にその底部に到着することが欲しいだけ」。

merely want to do somthing は「単に〜したいだけ」。

get to somewhere で「〜にたどり着く」。the bottom は「何かの底の部分」だから、かき分けてたどり着く必要がある。当然途中のものも目に入ってくるので、全体も見ることになる。隠されている「底」も見ることができるのだ。

メールマガジン『どんな意味?この英語』774号の編集で、get down to brass tacks「真ちゅうのびょうまで下りて行く」→「核心を突く」「要点に迫る」「根本的なことを話す」を調べた。同じ考えが流れているのだろう。

That's rich.

それはおもしろい。自分のことを棚に上げて。どの口がそう言う。

妹のイーディスが遺産相続人のマシューを案内して周るという。教会に連れて行く約束を取り付けている。姉のメアリーは、妹の行動が気に入らない。

ANNA: Which churches will you show him?
LADY EDITH: I can't decide. Kirby, possibly, or perhaps Easingwold.
LADY MARY: You don't think you're being a bit obvious?
LADY EDITH: Coming from you, that's rich.

女中アンナ:どの教会をご案内するおつもりですか。
イーディス嬢:まだ決めてないの。ひょっとしたらカービィか、多分イージングウォルトくらいかな。
メアリー嬢:ちょっとずうずうしいとは思わないの?
イーディス:あなたからその言葉を聞くとは。どの口がそう言ってるの

Which churches will you show him?「あなたは彼にどの教会たちを見せるつもりですか」。

I can't decide.「私は決めることができません」。

Kirby, possibly, or perhaps Easingwold.「カービィ、ことによると、または、おそらく、イージングウォルト」。perhaps の方が possibly よりも可能性が高い。人により差はあるが、possibly は1〜3割、perhaps は3〜5割。maybe は5割〜7割、probably は8〜9割。

You don't think you're being a bit obvious?「あなたが少しあからさまの行動であるということをあなたは考えないの?」→「ちょっと見え見えだとは思わないの?」「下心が見え見えなのが分からないの?」。are being とbe動詞を進行形にしている。通常進行形にはしないbe動詞も、人間の一時的行動について述べる場合、進行形にすることがある。「そういう状態になるようにふるまっている。行動している」ということ。obvious は「明らかな」という意味で、「行動が明からさま」「下心が見え見え」の状態を表す。

Coming from you,「あなたから来ていること」「あなたから来ている状態」。I didn't think these words were coming from you. か I never dreamed of these words coming from you.くらいの内容か。「あなたからそれらの言葉を聞くとは夢にも思わなかった」ということ。

that's rich.「それは豊かです」→「それは複雑で多様性に富んでいる」→「おもしろい」「興味をそそられる」。本来、「どの口がそう言っているの?」という意味はないのだが、coming from you と一緒に使われると、全体で「あなたにも当てはまることなのに、それを棚に上げてよく言う。どういう思考回路を持っているのか興味が尽きない」という内容を伝えている。

I hope to God

(強意)。〜であれば良いのにと思う。

ANNA: I couldn't find her britches anywhere, so I asked Mr Bates and he looked among His Lordship's riding clothes. There they were. I only hope to God I've got everything.

アンナ:お嬢様の乗馬用ズボンがどこにも見当たらなかったの。それでベイツさんに伯爵の乗馬服のタンスを探してもらったわ。そしたら、そこにあったのよ。これで全部そろったと思うんだけど

I couldn't find her britches anywhere, so I asked Mr Bates and he looked among His Lordship's riding clothes.「私は彼女の乗馬用半ズボンをどこにも見つけることができなかった。それで、私はベイツさんに頼んだ。そして彼はご主人様の乗馬服の間を見た」が逐語訳。

britches は breeches とも。乗馬や宮廷ではく「半ズボン」のこと。ズボンは筒が2つあるので複数形になる。

Lordship は公爵を除く貴族や判事・主教に用いられる尊称。his や your; their という所有格を付けて呼びかけに使われる。ここでは呼びかけではないが、同様に用いられる。

There they were.「そこにそれらはあった」。They were there. なのだろうが、通常このように倒置される。Here it is.「はい、どうぞ」などと同じ感覚。

I only hope to God I've got everything.「私が>全てのものを持っていると私は神に対してただ希望するだけ」。→「私は全て持っているとひたすら神に望む」。

I hope to God that.... の構文で that が省略されできたのであろう。そこから、どんな文にでも I hope to God を加えると強意となる。「神様お願い」「〜でありますように」などを表すためであろう。hope の代わりに、swear「誓う」を使えば、「神にかけて固く誓う」となり、wish「願う」を使えば「強く願う」という意味になる。God を避けて I hope to goodness を使うと無難。

イギリス英語で have got は have のこと。I've got everythingで「私は全てを持っている」だが、ここでは「お嬢様の乗馬用の服装を全て揃えることができた」という意味。全体で「私が用意したお嬢様の乗馬服が、ちゃんと全部そろっていればいいのだが(何も忘れていないわよね)」くらい。

時間ができれば追加する。
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