白い古書、ぞっき本も、時を経て読むと面白いものです。 |
今月の一冊は、これ! |
復元図の一枚 |
ビョールン・ランドストローム著 夏の季節、思いは……照り付ける太陽、灼けるような砂浜、そして大海原。沖行く船は何処へ……。海は私を未知の国へといざない、夢と冒険、ロマンを喚起させてくれます。世界を股に掛ける船乗りは、私の憧れの職業の一つでした。書棚の隅にひとまとめにしてあった帆船関係の本の一冊です。 この本が出た1976年はアメリカ建国200年記念祭の年で、帆船パレードに参加する各国の帆船がニューヨークに集結。日本からは日本丸が参加し、パレードの様子はテレビでも放映されて帆船ブームとなりました。元来、海好き船好きですし、帆船の美しさは例え様もないもので、テレビを観て文句なく惚れ込んでいました。しかし、馬鹿な話ですがその時分、私は帆船の歴史、構造など何一つ知らなかったのです。そんな自分に呆れ、慌てて勉強を始めるために買った本がこれでした。海の色・濃紺のベルベット地を使った装丁も気に入っての購入だったと記憶しています。当時、石原裕次郎監修など全く気に掛けておりませんでしたが、今になって「へぇー」の思いです。 内容は、著者が専門とする「地中海を含む西洋諸国の帆船」に絞り、各種船型をカラー図版、線描画を掲載して解説しています。解説は船型に関する記述のみですが、カラー図版、線描画共に美しい仕上がりで、図を見るだけでも楽しめます。目次はエジプトの船から始まり、古典期の商船、古典期の軍艦、中世のラティーン帆、北ヨーロッパの中世期船、全装帆船、カラヴェル船、ガリオン船、ガレー船とガレアス船、17世紀における北ヨーロッパの帆船、18世紀の船、19世紀の戦艦、最後の帆船――で終わっています。
ついでに、帆船模型の本を四冊。下写真左から、『世界の帆船模型』(朝日新聞社、1978年)『帆船 GUIDE BOOK』(江崎書店、1980年)『帆船模型』(桃園書房、1980年)『帆船模型―製作テクニック―』(海文堂、1980年)です。
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