石の森 第 119 号  10 11 ページ   /2004.1

 しみ

石 晴香


黄色いしみ 茶色いしみ
それは汚物のしみ
不潔になるから
私たちは新しいシーツを運んでくる

体の中にあるもの
自分の体の中にもあるもの
分かっているけれど。
シーツの四隅をつくる手が雑になる

呼んでる声
ナースコールの音
各モニターの警告音
頭の中はどこかへいってる
恥ずかしそうな患者さんの顔にも
気づけない

どこか曲がりくねったベッドを作り


急ぎ足で部屋を出ていく
汚染シーツを所定場所に積みあげ
石けんで手を洗う

またやってしまった・・・。
落ちない とれない 消せない
呼んでも叫んでも誰も取りかえてくれない
自分の中の黒いシミ


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