石の森 第 119 号  10 11 ページ   /2004.1

 深い底

西岡 彩乃


頭の中から闇が広がる
悩む準備もできていないのに
どうしたらいいのだろう 今夜もまた
真っ暗な宙に投げ出される

ずっと高いところに星がある
新たな気持ちでいられるはずの明日が
でも まだまだ遠いから
それとは逆に 下に落ちていく

黒く広い海があって
その中心に向かって落ちていく
それまでにケリをつけなくては
どうなってしまうかわからない

早く夜が明けて
次の日へ移れたらいい
そう思っていたら 陽が差した
眠っていたのか
朝は来た

光りに照らされて
まだ少しずつ 落ち続けている
下に広がるのは 海ではなくて
どこまでも広がる森だった
思わぬところに行き着いて
ただ夜明けを待ったことを悔む

森の底へつき刺さる
それは初めての感覚
ケリはつかないまま
新たな一日をむかえてしまった


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