<推理小説を読みなれた人に…>
いわゆる名探偵モノ/推理小説の“裏”が覗ける作品です。
この本は名探偵:天下一と、それを疎ましく思う迷刑事のはなしですが、
この2人の関係が他の推理モノとはチョト違います。
というのは。ときどき2人が小説の世界を離れ“推理小説界に対する本音トーク”を展開します。
例えば。迷刑事は、
『私は名探偵の推理を邪魔しないようにワザと“犯人でない人”を疑う。
そうしないと小説が成立しないからだ。こんなヘンテコリンな役はツライ…』というようなことを嘆きます。
一方、探偵天下一も、
『密室やアリバイモノはもう勘弁してくれ…お決まりのセリフを言うのは恥ずかしい』
とグチります。
また。『読者は“犯人がわかった!”というが、そもそも読者は『コイツが犯人か?』と
数人を候補に疑いながら読んでいる。小説に出てくる登場人物は限られているのだから、
ある意味当たるのは当然だ…』と嘆きます。
つまり東野圭吾のグチや悩みを代弁させてる気が…これらをうまく事件と絡ませ、絶妙になってる感じです。
<名探偵の掟に出てくるはなし>
・プロローグ
・密室宣言
・意外な犯人
・屋敷を孤立させる理由
・最後の一言(ダイイングメッセージ )
・アリバイ宣言(時刻表トリック )
・花のOL湯けむり温泉殺人事件論(二時間ドラマにされるとき)
・切断の理由(バラバラ殺人)
・トリックの正体
・殺すなら今(童謡になぞらえた殺人)
・アンフェアの見本
・禁句
・凶器の話(殺人手段)
・エピローグ
・最後の選択
どれも推理小説によく出てくるキーワードですが、
特に面白かったのは“禁句”でした。かなり笑えます。
この作品に“推理小説モノ”を期待するとチョトがっかりかもです。
私の知り合いは“東野作品の2作目”にこれを読んで“なんだこりゃ?”と言ってました。
・
アマゾンのレビューでもそのような傾向が出ています。
たまの息抜きに…しかもある程度推理小説/東野作品を読んだ人におすすめです。
東野圭吾 名探偵の掟
ちなみに。この作品を調べているとき“フーダニット”と“ハウダニット”という言葉を知りました。
ミステリーの世界では常識化しているようですが…ハウダニットの代表作といえば古畑任三郎となるようです。