<いろいろな人の手紙>
ググッと最後に込み上げてくる作品です。
この作品のタイトル“手紙”。これは兄から弟に届く手紙に由来しています。
なぜ兄弟が手紙でやり取りしているのか…そして物語ではいくつもの“手紙”が登場します。
作品の中で弟はコトあるごとに苦しみます。お金、音楽という夢、恋愛、仕事…
いつも成功を掴みかけたとき必ず壁が立ちはだかります。
一生付きまとってくる“壁”です。
そしていつもどおり壁にぶつかり、『またか…』と自暴自棄になりかけたとき“一人の人物”と出会います。
辛辣な人物なのですが、本質的なアドバイスを投げ掛けてくれる人物です。
またちょうどこの頃。“兄と弟のものではない手紙”にスポットが当たります。
この手紙が弟を後押しし、次第に気持ちも変化していくわけですが…
そして。終盤には“思いがけぬ手紙の存在”も明らかになります。
これが身の詰まるような手紙でして…そしてググッとくるラストです。
東野圭吾 手紙
個人的には東野作品の中でもかなり好きなラストです。
また。作品の中では“ホントの友人”と呼べる人物がいい味を出しています。
この人物が作品の中で一番魅力的な人物かもです。
ちなみに。作品ではジョンレノンのイマジンがちょいちょい出てきます。
これを聞いてから読むと、また違った感慨が味わえるかもしれません。