北極亭日乗 |
平成十八年一月 |
平成十八年一月二十九日(日曜)曇時々雪 昨日も降り今日も降りせば我為す事第一に雪掻きの他に有りや。自然と調和して生きるが我等の義務なれば、天よりの便り有り難く頂戴して唯黙々と始末するのみ。除雪に然程の時掛からねど、掻き集め積み上げし雪をば運ぶに手間掛かりて今日も二時間強。ひと運びひと運び毎に雪山小さく成り行くを励みに作業せば何時かは必ずや終はる仕事なれば、何やかや申すは狭量。課せられたる仕事際限無く続きて先の目途立たねば蟻地獄に嵌りた思ひして、軈て仕事への意欲萎へ行くを考ふれば、高々二時間の仕事「屁でも無ひ」か。 雪運び中の午前十時頃、テレビ修理屋来宅せり。依頼せば即座に来て直し呉れるものと思ひ、二十六日午前中電話にて修理方申し入れたれば「最短三日御待ち頂く事に成りますが……」と言ふ。「三日後は日曜日なれど営業せるか?」と問ひたれば「営業しおる」との事。「今少し早よふ来られぬか」と受付人に注文付けたれど埒明かず、結局今日の修理とは成りぬ。車より降り来たった修理人に「三日も待たねばならぬ程込み合ひおるか」と訊ひたれば、確かに込みおれど受付件数に比して修理人の数少なきが原因と答へたり。 効率・利益優先の人減らしが第一にて、客へのサービスは二の次と云ふ企業論理の構図此処にも如実に現れおるも哀し。雪運び途中故、故障の状況話して後は妻に託せり。三十分程して「終りました」と帰る車見送りつつ、〈三日待って三十分。病院の診察と同じ様なものか〉と思ひたり。作業終へて家に入り、妻に「費用如何程掛かりたか」と問ふたれば、黙って“修理票”渡し呉れたり。『技術料9500 出張料2100 消費税580 ご請求額12180』。こんなものかと思ふたり、随分と高ひ技術料と思ふたり。早速に妻へ支払ひ終ふ。 ☆ ☆ 二十七日。排雪屋未だ参上仕らず、昨日午前中に掻きし分と今日の分をば裏へ運び遣るに二時間要したり。今冬は除雪排雪の苦労、日乗に記さぬで済む筈でありしに、現実は例年と変はらぬ労働量と成るやも知れぬ状況。全身の筋肉疲労も既に限界近く、足腰腕の痛みも湯浴みにては治らぬ程。大袈裟乍、「排雪屋来ぬなれば我遣らねば」の決意新たに取り組みしなり。と言ふても二時間の作業中々に厳しく、「旨ひ酒、旨ひ酒」掛け声に奮闘したれば、今宵の酒も誠に旨く頂戴致し筋肉痛も和らぐ酔ひ心地にて、此れより床に就かんとす。 ☆ ☆ 二十四日。昨夜来の雪積りて朝一番に除雪せり。昼間は晴れたれど時々降ったり止んだりの雪、夕刻には結構積りたれば銭湯へ行く前に掻き集め積み上ぐ。排雪屋来てより早や十日過ぎたれば、玄関脇の雪山二つ既に可也大きく成りて限界間近。女房殿は例により「そろそろ来る頃ですから」と言ひおれど来る気配とんと無ければ、後一降り二降りせば裏へ運び遣らねばなるまひ。「来なんだれば私が運ぶ」と言ひおりたに、其の気配微塵も見せぬも面白し。 朝餉済ませて後、奈井江町の開業医・方波見康雄氏の著作『生老病死を支える―地域ケアの新しい試み―』(岩波新書)を捲る。開業医医療に真摯に取り組み来たった八十歳の氏の滋味掬すべき一言一句が我が琴線に触れて、心中深く染み渡りくる思ひの一書なり。氏は自分の様な開業医は何処にでもおると書くが、我が周囲に氏の如き開業医は見当たらぬ。氏を家庭医に持つ奈井江の人々が羨まし。此の書、医療に携はる者の必読書にして教科書、更に我等老人には「老いを生きるということ」を知るための必読書にして教科書にてもあり。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 新書一気に読み終へて気分良ければとて、昼餉の後、久々に録画し置きし映画観んとて居間のテレビの電源入れたれど数秒せぬうちに電源切断。数度繰り返したれど同じ状態故、取扱説明書引っ張り出して該当項目探し読みたれば「購入せる店に相談せよ」。つまりは「故障故、修理屋に頼め」と言ふ事なり。女房殿に「テレビ故障らし。修理屋呼び呉れろ」と頼みたれば、「滅多に観ぬテレビが故障なんて。当分の間、此方の小さひので我慢して」と言ふ。「何れにしろ直さねばならんなら、早ひ方が……」と言ひかけて黙せり。 費用の算段思へば、ほれ早よふ、はひはひとは行かぬが年金生活者の在りやふ。勝手気儘に金出し呉れろと言ひたとて有る訳も無き金、出る訳も無きに我が懐具合慮らなんだは唯々不覚と言ふべきか。ちょひと出掛けくるから金呉れろ、彼是買はねばならぬ故金呉れろと貰ひた我儘恥ずかし。己の欲しき物も我慢して家計の遣り繰り算段に頭悩ましおりた妻の心中思へば申し訳無く、我が不明恥じるばかりなり。然り乍ら、ビデオ機器接続しおるは居間のテレビなれば、故障直らねば観る事叶わず。我が小遣ひより工面せねばならぬか。 我が小遣ひと言ふたとて然程有る訳も無けれど、先週貰ひて使ふたは岩波新書六冊買ふたのみなれば修理代くらひは賄へやふ。壊れて役に立たぬテレビ置きおりても邪魔に思へるばかり、あの映画観たしと思ひて観れぬも癪に障るなれば、早々に修理するが賢明なるやふに思へるなり。明日朝一番に、「修理代我支払ふ故、早々に直し貰らおふぞ」と女房殿に言はねばなるまひ。銭無ければ無きやふに暮らすまでの事にて愚痴りはせぬが、其れにしても我等日々贅沢するで無し、質素に控へめに暮らしおるに何で家計窮屈に成るかや。 ☆ ☆ 二十三日。氷点下10度にでもなれば寒ふて寒ふて外出は極力避ける我には、氷点下30度の寒さ如何なものか想像できぬなり。報道に拠るに、北海道上空に強ひ寒気入りて道北地方を中心に厳しき寒さと成り、和寒町にて氷点下30.7度、中頓別町にて同30.6度、歌登町にても同30.0度記録せしと。当地にての最低気温も昨日の氷点下12.0度に続き同12.3度と、久々の二桁台と成れり。朝起きる頃には流石に室温下がりおりて、暖房に火入れてより小一時間もせねば隅々迄暖まらぬ寒さなり。斯様なる日は外に出る気にも成らぬに、雪掻きの為午前午後の二回と夕刻銭湯へ出掛くる為已む無く外へ出でたり。 |
平成十八年一月二十二日(日曜)晴 年寄りの無精見苦しと女房殿より苦言ありて散髪へ出掛く。年明けて初の散髪なれば、先ずは主と挨拶為す。散髪椅子に座せば話題早速に雪の話。来客の合間縫ひての除雪なれば思ふやふに捗らず、皆に迷惑掛けおると恐縮すること頻りなり。我も除雪、雪運びの難儀さ語りて「斯くの如く降りたれば雪掻き追ひ付かぬも已む無き事。我等年寄りには最早手に負へ申さず」と慰めり。主も既に諦めおるか、「幾ら降っても出来るだけしか出来ませんからなぁ」。 話題変はる。「小泉首相や経済閣僚連が景気は回復しておると言ふたとて、さっぱり実感出来ませんわ。うちに来るのは近所の商店の親爺ばかりで、大会社の社長が如何思ふかは知りませんがね、やっぱ皆『不景気だぁ、不景気だぁ』ばっかしで景気の良ひ話なんざ終ぞ聞ひた事無し。株の誤発注に絡んで何十億も儲けた若者が居ったでしょ? あんな事起きるのは景気が良ひからですかねぇ」と問はれても我返答のしやふ無く、「如何成りおるものか……」。 散髪鋏操りつ雪祭りの話。「今年の人出は如何でしょうかねぇ。真駒内は地下鉄駅の真ん前で便利だったのにねぇ。さとらんどじゃ交通の便は悪ひし、吹きっ晒しの野っ原ですよ。出掛けやふって人は少なひでしょ? 其れにしても自衛隊の協力縮小、会場も貸せなひてのは……。出す必要の無ひ人員を海外へ派遣しておき乍人手が無ひと言ふたり、訓練に支障来たすからと敷地使用させぬのはとんでもなひ話。戦争の練習なんざ遣って貰ひたくなひやね」 主言ふに、世の中騒々しく老人には不可解なる事ばかり起こりて、何でだ何故だと考へる暇も有らばこそ、次から次に押し寄せ来るはたまらぬと。確かに我等年寄りには時の流れ速ふて追ひ掛けるも困難、今浦島に成りても不思議無き状況ではある。然れど我等に時の流れ追ふ必要在りや、今浦島に成るを恐るる必要在りや。無きなり。己が内の時の流れに身を置きて生きるが本来なれば、外界の時の流れに拘泥せぬが良し。我、主に「のんびり参らふ」と言ひたり。 整髪終りて我が肩揉み解し乍、主「私も歳だから、そろそろ廃業してのんびりしやふかと時々考へるですがね、何もせんで三度の飯食らふ自分の姿思ふと気色悪く成って踏ん切りが付かんのですわ。性分なのか、親の代から身に着ひた貧乏性なのか、鋏の使へる内は死ぬ迄のんびり出来さふも無ひですなぁ。まあ、此の爺が両目閉じるまで刈らせて下さひよ」と言ふて笑ひたれば、我も笑ひて「無為徒食の年金生活者には耳の痛ひ話。反省せねば」と応じたり。 ☆ ☆ 二十一日。昼餉済ませて百円店へ出掛く。CDケース十個買ひて、大袋両手に提げて戻り来。百円店の商品知り尽くすは困難、其の数幾百幾千有るものか見当もつかず、終日眺め回りても商品悉く手にして知り尽くすは不可能なる数。一年程も通へば概略把握出来るやも知れぬと考へつ戻りたり。唯、有れば便利と思へる品も多けれど、暮らしに全く不要にて資源の無駄遣ひしおるだけと思はれる品も亦多し。〈有用ならざれば唯の塵芥、高々百円の小物なればと言ふて無用の物際限なく作るは愚か。厳に慎むべき〉とも考へつ戻りたり。 ★ ★ 2006年コンサドーレ札幌の陣容
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平成十八年一月十五日(日曜)曇 此の一週間、思考停止。何も考へたふ無く、何もしたふ無く、唯々食らひ呑み眠るのみ。在るが儘なれば敢へて変へる積り無く過ごし来たり。近頃は簡単なる足し算引き算も即答ならず、四桁の計算なれば筆記せねばならぬ状態慮るに、アルツハイマー或は認知症初期症状出現しおるやふにも思へるなり。我も愈々、最期の在り方真剣に考へる時期に有るのやも知れぬ――。何ぞと考へみるも愚か。変化自在、融通無碍の心忘れてならじ。 ☆ ☆ 十三日。朝十時回りて排雪屋来たり。漸く二回目。八日に雪運びし後、九、十一、十二日と雪降りて掻き集め置きし分と、残し置きし片側の分合はせば結構な量。やふやふ来たか有り難しの思ひ。雪運搬車両一台の上、雪捨て場混雑して待ち時間長きとて作業中々に進捗せず、隣近所四軒の排雪終りたは三時過ぎなり。運びし量、六台分。一軒十回二万円、一回につき四軒で八千円。燃料高騰の折、六往復して採算割れせぬのか他人事乍気になる処なり。 ☆ ☆ 十二日。今朝も起き抜けに除雪せり。よく降って呉れる、と感心しつつ雪掻く己も滑稽か? 朝早ふに雪掻きても其の後幾ら降るやも知れず、終日外に居て雪掻き続ける訳にも行かぬなれば、夕暮れ前に一度掻き遣る方が妥当且効率的作業方法やも知れぬ等と考へつ一汗。今日も気力萎へおりて何も為す気起きず、ごろ寝しおりて「少し動きなさひ!」と女房殿に喝入れられる有様なれど致し方無し。紋別にて流氷初日観測せり。平年より十日早しとぞ。 ☆ ☆ 十一日。昨夜よりの雪、朝には二十糎程も積りおりたれば起き抜けに雪掻きす。九日も降りて掻き寄せ置きし故、又もや小山できて、我が家の玄関先すっきり片付くこと無き状況なり。午前七時前なれば冷気頬刺して寝惚け眼も吹き飛び、洗顔せずして覚醒せり。朝早ふに清冽なる外気に触れたる為か、一度家に入れば二度と出る気せず、何も為す気せず、窓辺よりぼんやりと街路眺めてはごろ寝し、猫共寝るをみては横臥して一日を終ふ。此れも好日か? |
平成十八年一月八日(日曜)雪 昨日は昼頃より雪舞ひ始め時に激しく降りて、夕刻には三十糎程も積りたれば捨て置くこともならず、夕餉前に雪掻きて玄関脇に積み上げたれど、其の後も降りては止み止みては降りの状態続きしか、今朝起きみれば昨夕掻きし痕跡既に無く所々に吹き溜まりて玄関口塞ぎおりたり。小降りなれど未だ止みおらず、「やれやれ難儀な事よ、止んだれば掻かねばなるまひて」と思ひたも束の間、隣近所の家々皆雪掻き始めたる様子。「なれば」と我も外に出でり。 「結構積りましたなぁ」「いやぁ、よく降りますなぁ」と挨拶交はし、後は皆々黙々と雪掻くのみ。掻き集めて昨夕の一山分と合はせたれば玄関口片側に雪堆積の余裕少なく、反対側も既に満杯状態。そろそろ排雪屋に来て貰はねば始末に負へぬ、と思ふても何時来るかは決まっておらず、彼方様次第。此の儘で二、三日降られたれば裏へ運ばねばならぬ事態に至るは必定。然すれば雪山の大きゅふ成る前に運び置くが賢明やも知れぬと思はれ、今季せんでよき筈の雪運びせり。一時間半要して片側の雪運び終へたり。 腰っ骨拳で叩きつ家に入れば十時回りおりたり。台所に立ちし妻に「何時来るやも知れぬ故、裏に運びたり」と言ふたれば、「明日にも来るやも知れぬに」との返事。訊きみれば、隣家の奥方が電話にて問ひ合はせし処、十日前後に伺ふ予定と答へたる由。「予定は予定。間違ひ無く来ると云ふ保証は無からふし、今度降られたらば家の前に置く場所も無き故、早めに始末せしだけの事。片側は未だ残しおる故、来るなれば有り難ひ」と茶持ち来た妻に言へば、「家の前は間口一間掻けば十分。こまめに掻く必要も無し」と言へり。 我が老体気遣ひて「無理せずとも」の思ひらしも、一冬雪掻かずに済む訳も無く、溜まりに溜まってから為すよりは日々こまめに為すが楽。「排雪屋、未だ来ぬか」と気を揉むよりは、僅かずつでも裏に運び遣るが増しに思へるなり。何よりなは、体動かせし後の湯浴みの心地よき事、晩酌の旨き事、眠り深く夜半に目覚めぬ事。今はもふ腕と言はず足腰と言はず全身痛み出しおれど、使はねば衰へ行くばかりの老体なれば、時に刺激与へ遣るも必要。排雪屋来て呉れたれば大助かり、来なんだれば其れも亦よしと思ひおるなり。 ☆ ☆ 三日。十一時、女房殿は初詣へ、我は朝風呂へ出掛けんと一緒に家出でり。八時よりの朝風呂なれば今頃は空ひておらふと思ひたに、なんと平日上回る客にて込み合ひおりたり。御隠居連は既に帰りたか姿無く、馴染みの顔も三人ばかりにて殆どが見慣れぬ客ばかり。遠くより来る訳も無ければ、皆々銭湯近くに住み居るか? 此れだけの客、平日も通ひ呉れれば銭湯経営安定して、主も「赤字にて頭痛し」と苦労する事も無からふに等と考へつ湯に浸かりたり。 サウナにて汗流し水風呂に浸かりて暫し休息し、再びサウナへ。繰り返すこと五度ばかし、体内の酒気悉く抜け出でたるの感。喉も渇ききたれば昼餉に麦酒呑まずばなるまひと上がれば、時早正午回りて半近し。戻れば、女房殿昼餉の用意為して待ちおりたり。訊けば今日にても参拝する者多く、結構な人出なりしと。御神籤は如何にと問ひたれば、「御神籤引く歳でも無ひでしょ」と笑ひたり。確かに我等、吉と出やふが凶と出やふが意に介さぬ年齢ではある。 麦酒呑み、雑煮、御節の昼餉済ましてテレビ眺めおれば、やがて眠気催し来たりて暫し微睡みたり。後は猫共撫で遣り、彼方らでごろり此方でごろりしおれば早夕餉の時刻。女房殿御手製の鱈昆布〆肴に燗酒二合程酌めば、ほろほろほろりの酔ひの中。食事終りて肘枕、気怠き体横にせば早々に夢心地なり。世に何事起きおるかは知らねど、我が家は今日も平穏無事にて候。有り難や有り難や、申し分無き好日賜りたを感謝し、明日も亦斯く在るを願って合掌す。 ☆ ☆ 二日。午後五時、従弟一家来訪、年初の挨拶為して久々に盃酌み交はせり。景気回復の兆し見へず商売なかなかに厳しと話す従弟なれど、何事にも前向きに取り組む奴故、「細々とでも潰れなひやふに続けて行けば、何時か景気も良くなるんだから」と表情は頗る明るく、盃重ねるにつれ駄洒落連発して我と妻とを笑はせ呉れたり。「今春高校受験の長女、中学へ進級の長男抱へおる身なれば呉々も体を厭へよ」と言葉掛けて、先程九時前に帰るを見送りたり。毎日が独酌ばかりにて気心の知れた気の置けなひ奴と呑むは久方ぶりなれば、些か呑み過ぎたれども気分良好。賑やかなるひと時齎し呉れた従弟一家に感謝したし。心地良く眠れそうなれば、いざ寝床へ!! ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 全国高校サッカー選手権大会2回戦。我が代表・北海は大津(熊本)と対戦、0−4で敗退せり。報道に拠るに、前半攻めるも相手の守り堅く一進一退の攻防、後半積極的に攻撃を展開するもオウンゴールで失点、其の後ペースが乱れ3失点、反撃できぬ儘力尽きたる由。 5試合無失点で出場決めた北海なれば、3回戦迄は行くだらふと思ひおりたれど、優勝候補の一角にしてJリーグ内定選手四人を擁する大津が相手では厳しきか。負けはしたれど前半一進一体の攻防繰り広げ、後半も積極的に攻めたとあらば立派な戦ひぶりなり。オウンゴールは災難、3失点は授業料替りと思ふて献上したのやも知れぬ。今年は此れで良しとせむ。 |
平成十八年一月一日(日曜)雪 年取りの宴、一年の締め括りなれば少々度過ごしたとてよからふさと呑んだ勢ひ、昨夜十一時半過ぎ、妻の止めるも聞かず独り初詣へ出掛けたが悪し。快復しつつありし風邪、目覚むれば喉痛く鼻水垂れ来たりて悪化の兆候なり。屠蘇祝ひ、御節突つきつ頻りに席立ちて洟かみたれば、妻「それ、見た事か」の眼差しにて睨みおりたり。些かばつ悪く、「風邪押して詣でたれば、今年の運勢は大大吉にて、御利益あるは間違ひ無からふよ」と言ふたれど、妻「新年早々、馬鹿馬鹿しひ御話。神様も呆れてます」と言ひて厨へ立ちたり。 昨夜、初詣時には雪降りおらなんだれども、其の後早朝にでも降りしか朝には幾分積もりおり、来客予定無けれど玄関前だけは雪掻き為したれど、終日降ったり止んだりの状況に加へ、妻の「訪れる客も無ければ、元日くらひは降るに任せましょ。熱でも出たら大変ですし」の言ありて以後引き籠もりたり。夕餉前、五時頃窓辺より眺むれば車の轍深く残りおりたれば結構積りしか。現在時刻午後九時十七分、窓外小雪ぱらつく程度なるも朝迄降り続けば可也の積雪と成らふ故、明日は雪掻き雪運びせねばなるまひ。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 年頭に当たり我が存念記し置かん――何ぞと仰々しく構へたとて、我が脳味噌大晦日と変はり無く思考回路彼方此方にて断線不通気味なれば、考ふる事大方は支離滅裂。時に、何を考へおりたかさへ覚束無き状態に陥る有様故、記し置く程の年頭所感など我に在ろふ筈無し。此の齢に至りては最早覚悟決めて為す一事無く、ああするこふするの存念既に無用なり。正月酒に酔ひ、洟啜り乍思ふことは唯一つ「在るが儘に」。 命在る内は「有り難や、有り難や」と生き、命尽きる時は合掌為して「有り難や、有り難や」と生終ふるまでの事なれば、我が身より虚飾剥ぎ取りて「在るが儘」なるが一番なり。森羅万象悉く在るやふにして在るものなれば、我も亦在るが儘が自然なり。生老病死が人の一生であるならば、其を乗り越へんと四苦八苦する必要無く、在るが儘に受け入れて「此れぞ人」」と思へば煩ふ事も無かろふ。然れば、「死ぬ迄生きる」も良し、「生きて死する」も「死して生きる」も亦良きなり。我が心、在るが儘、融通無碍で居たし。 |