北極亭日乗 |
平成十七年八月 |
平成十七年八月三十一日(水曜)曇 月曜日より28度台の暑さ続きて、今日も最高28.8度。昨年は八月上旬に真夏日続きて閉口せしが、今年は下旬に至りての暑さ。例年なれば既に秋の気配兆しおる頃なるに、未だ此の暑さ続くは矢張り地球温暖化の為せる処か。オホーツク海にて熱帯に棲みおる筈の魚取れしと聞きしが、海流にも異変起きおるのやも知れぬ。人間は身勝手にて、暑くなれば冬恋し、寒くなれば夏恋しと言ふも、減張利きし四季在ればこその言。此の地球環境守り行かねば、我等の存在も危ふき事肝に銘ぜねばならぬ。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 町内の銭湯定休日なれば何時もの如くシャワー浴びるのみにて済まさふと思ひたれど、サウナにて汗出さねば肌に下着纏ひ付くやふにて不快、汗出し切りて旨き麦酒呑みたき思ひも有りて已む無くスーパー銭湯へ出掛く。定休の折は此れ迄、隣接街区の銭湯へ足延ばしおりたれども、其の銭湯もスーパー銭湯開業に因り入浴客減りて経営立ち行かず六月末にて廃業したれば、気乗りせぬも近くに他に銭湯も無し、已む無く出掛けしなり。 入浴券は券売機にて購入、番台ならぬカウンターに券差し出し入場。「いらっしゃいませ。ごゆっくり、どうぞ」の対応はあれど通り一遍にて事務的。町内の顔見知り相手の銭湯なれば、「今日も暑ひですねぇ」とか「暫く見へなかったけど、元気だった?」とか声掛け呉れるが極普通の事なれど、近隣街区からも集客する不特定多数相手のスーパー銭湯にては、さふも行かぬらし。 初めより大勢の入浴客想定せる造りと設備等なれば、町内の銭湯と比較するが間違ひ。温泉ホテルの浴場並みの広さと湯船の数、其の上露天風呂も設けてあっては最早「銭湯」とは言ひ難し。混み合ふも厭はぬ、心通はす挨拶も要らぬと謂ふ御仁なれば、迷はずスーパー銭湯へ出掛けるが宜しからふ。不特定多数、見知らぬ面々で混み合ふが嫌な我は敬遠したし。 何時も通りの回数・時間、サウナにて汗出したる後、体洗ひて冷水に浸かれば昼間の暑さ忘れて爽快。脱衣場にて身繕ひ為し、休憩場にて一服す。飲み物自販機の他、生麦酒・軽食等販売せるコーナー有りて、生麦酒の食券買ひて注文したれば、眼前のサーバーより麦酒注ぎ入れ呉れたり。小ジョッキ一杯三百七十円、ちと高けれど缶麦酒にては味はへぬ旨さなればと奮発せしなり。 麦酒一杯にてはほろ酔ひとは行かず、「早々に戻りて麦酒呑まん」と自転車そろり漕ぎて戻る。女房我が顔見るなり、「如何でした?」と聞く故、「湯上がりに生麦酒呑めるは申し分無けれど、人多きは寛ぎ難し。行かんで済むなれば出掛けたふは無ひ。暑さも此れが最後、年内に再度行く事は無からふさ」と答へ、「人込み気にならぬ御前さんなれば、気に入るやも知れぬ。一度行ってみたら」と続けやふとして、不意に口噤みたり。 ☆ ☆ 三十日。第四十四回衆院選告示さる。曇天乍暑き一日にてありたれば、立候補者各位汗だくの第一声と成りしか。時折我が町内近くの幹線路走り行く街宣車、拡声機にて何やら叫びおるらしも内容聞き取れず、とんと意味不明。通り一、二本中に入りたれば、候補者名如何に連呼したとて誰の名やら分かり申さず、毎度の事乍「御苦労なこったぁーねぇー」と思ふばかりなり。 小泉政権の継続か、将又民主党を軸にせる新政権と交代か。民主は政権交代へ千載一遇の好機と気勢上げおるも、果たしてそふか。縦しんば好機とあっても、幾人の有権者が「民主党に政権担当能力有り」とするか……。晩酌の酒にて眠気催しおれば、ややこしげなる事共考へるは億劫、頭のすっきり晴れ渡りたる時(霞かかりたる此の惚け頭、恐らく晴れる事は無からふが)考へみずばなるまひ。はてさて投票日迄に間に合ふかや。 道内立候補者は五十三人。小選挙区三十八人、比例単独十五人。注目したきは郵政法案反対票の十区・山下貴文と東京都青ヶ島村よりの刺客・飯島夕雁の戦、新党大地結成しての鈴木宗男の当落。二〇〇三年十一月の前回総選挙、八議席(小選挙区五、比例三)にて道内第一党の座を民主に譲りし自民、十一議席(小選挙区七、比例四)獲得為して道内第一党と成りし民主、今回選挙にて如何変はるか。比例の公明・丸谷佳織、社民・山内恵子、大地・鈴木宗男が揃ひて当選と成らば……。 ★ ★ 三十一日、札幌ドーム。コンサドーレ対湘南ベルマーレ戦は、2−0でコンサ勝利。通算成績12勝9敗7分け。勝ち点3増やし43、順位暫定四位は変わらず。 |
平成十七年八月二十八日(日曜)曇 通夜に備へ三時過ぎ銭湯へ出掛く。若女将番台に座り居りて、顔合はすは久々なれば懇ろに挨拶交はせり。普段出掛くるは四時半頃にて、其の時刻には番台交代為して若女将の姿既に無く、今日は久々に会ふた故、互に「御元気でしたか」と尋ね合ふも尤もなり。「早ひですね。今日は」と言ふに由り、我「六時より友人の通夜なれば……」と答へ、若女将「其れはまあ……」と顔曇らせり。一時間にて帰宅す。 四時四十五分、昨夜打ち合はせし通り迎へに来し友の車にて手稲区の斎場へ向かふ。五時四十五分斎場着。ロビーにて集ひ来たりし友人知己と暫し語らへば、誰もが皆「仲間内ぢゃあ、彼が一番長生きすると思ひおりたに……」と表情に憂愁の色濃く滲ませ、口重し。病に倒れしは昨年十月のことにて、住ひ近くに在る者は知りて見舞ひたと言ふも一人二人、殆どの者は知らず、我同様昨夜の突然の訃報に驚きしなりと。 式は創価学会友人葬とて、我には初体験の事なり。僧侶の出席無く、学会信者の一人が仏前にて読経主導、参列者席に散らばりたる数多の信者唱和せり。式場に妙法蓮華経溢れ、声明の如く和声響き渡りて耳に心地良し。読経、焼香終了後、別の信者出で来て、「創価学会のみが日蓮上人の教へを守り伝へており、友人葬こそが上人の教へであり最高の葬儀なのだ」と宣伝めいたる事共喋りて終はりたり。日蓮さんの言葉「法華経は一代聖教の骨髄なり。自我偈は二十八品のたましひなり」をふと思ひ出せり。 「近々集まり酒酌もふ」と約し友人等夫々に家路に就き、我も亦友の車にて戻りしなり。車中友曰く、「御経短ひ代はりと謂ふ訳でもあるまひが、焼香中延々と唱へられし御題目『南無妙法蓮華経』には閉口せり」と。我応へて「日蓮宗は『南無妙法蓮華経」の御題目こそ末法の衆生を救ふ教へであるとせるが宗旨。学会が其の流れ汲むなれば、万遍の御題目唱へるは当然。『南無阿弥陀仏』と変はりはしまひ」と言ふたれば、「そんなもんかも知れぬな……」と肯きつ、「しかし、日蓮は浄土宗を邪教として激しく攻撃した故、ナムミョウとナマンダブの間には相当の違ひ在るやふにも思へるなぁ」と笑ひたり。 八時過ぎ我が家着。友に礼言ひ、近き日の再会約し見送る。着替へ終へて晩酌始めしが八時半、通夜の事妻に話しつ酒呑めば不味く、早々に切り上ぐ。御題目気に掛かり姉崎正治著『法華経の行者日蓮』探し出し拾ひ読みしおりたれば、「法華初心成仏鈔」の文、目に留まりたり。 《凡そ妙法蓮華経とは、我等衆生(人間)の仏性と、梵王帝釈等(天)の仏性と、舎利弗、目連等(声聞弟子)の仏性と、文殊、弥勒等(菩薩)の仏性と、三世の諸仏のさとりの妙法と、一体不二なる理を、妙法蓮華経と名づけたる也。故に一度妙法蓮華経と唱ふれば、一切の仏、一切の法、一切の菩薩、一切の声聞……乃至地極、餓鬼、畜生、修羅、人天、一切衆生の心中の仏性を、唯ひとこえに喚び顕はし奉る功徳無量無辺也。我が己心の妙法蓮華経を本尊とあがめ奉りて、我が己心中の仏性、南無妙法蓮華経とよび、呼ばれて、顕れ給ふ処を、仏とは云ふ也。譬へば籠の中の鳥なけば空とぶ鳥のよばれて集るが如し、空とぶ鳥の集れば籠の中の鳥も出でんとするが如し。口に妙法をよび奉れば、我身の仏性もよばれて必ず顕れ給ふ。梵王帝釈の仏性は呼ばれて我等を守り給ふ。仏菩薩の仏性は呼ばれて悦び給ふ。されば……三世の諸仏も、妙法蓮華経の五字を以て仏に成り給ひし也。三世の諸仏のの出世の本懐、一切衆生皆成仏道の妙法と云ふは是れ也。是等の趣を能く能く心得て、仏に成る道には、我慢偏執の心なく、南無妙法蓮華経と唱へ奉るべき者也。》 「妙法蓮華経如来寿量品 自我偈」を記し、友の死を悼む。 自我得仏来 所経諸劫数 無量百千万 億載阿僧祇 常説法教化 無数億衆生 ☆ ☆ 二十七日。今日も坦々とせる一日にて記すべき特段の事無ければ、日乗は休みと思ひおりたに、午後八時半頃友人より仲間の訃報齎らされ、間を置かずOB会連絡網にても告知されしなり。通夜明晩六時より、告別式明後日午前九時より、場所は手稲区の斎場の由。つい先程、朋友より「明日四時半、車にて迎へに行く」旨の電話連絡有りて、足は確保せり。妻に喪服の用意頼みし後、急遽日乗認めおるなり。 電話にて朋友とも話せし事乍、仲間の急な訃報に先ず驚き、「あの丈夫な奴が何で亦」の思ひ即座に湧き出で、陽に焼けた精悍な顔脳裏に浮かび来て、生前の事共に思ひ巡らせり。口は悪ひが憎めぬ奴にて、笑顔絶やさずよく冗談言ふておった。箸にも棒にも掛からぬと語り合ふた先輩生き長らへ、彼が先に逝くとは……。人の生死、人智の埒外の事とは申せ、斯くも急な訃報聞けば天に向かひて「理不尽な」と叫びたき思ひなり。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 序に記し置く。駒大苫小牧野球部長が部員に暴力を振るひおりた問題につき、高野連は臨時審議委員会を開き次の通り決定せり。1)野球部長を期限付きの謹慎処分とす 2)監督を含む野球部を警告処分とす 3)全国優勝は有効とす 4)秋季道大会や国体への参加を認める 日本学生野球憲章に照らしても、此れ迄の処分事例からしても、審議委員会の決定は妥当。馬鹿な大人共のために傷付きし野球部員、他の生徒等の事考ふれば当然の措置なり。 ☆ ☆ 二十五日。ニセコ町長・逢坂誠二氏、衆院選比例道ブロックに民主党より単独一位候補として立候補する旨、表明せり。民主党北海道・鉢呂吉雄代表の出馬要請に応へしと。前回知事選の折、「町長の任期を全ふする」とて民主党の出馬要請断りしが、国政への出馬とあらば任期途中も気にならぬかや。前回知事選にては当落は五分五分、絶対当選の保証無かりしが、今回は比例単独一位にて当選は確実。我「打算的」と見るも、道民各位の眼に如何映りしか。 ☆ ☆ 二十二日。昨日よりの雨、朝方激しく降り頻りて、外見遣れば物置入口に溜まりし雨水、中へ流れ込みさふな気配。此れは一大事と五時過ぎ、雨合羽に身を固め、物置入口前より排水溝掘りて雨水流し遣りたり。十五分程で戻り合羽脱ぎみれば、既に防水効果失せおりしかシャツ、ズボンに雨水染み透りて濡れおり、脱ぎみれば下着も幾分湿りて全て着替へる羽目とは成れり。直に雨脚衰へ、物置前の雨水引きて排水溝無用の状態、七時前には雨上がりて、「なんじゃひナ」と天仰ぎたり。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 昨日、連覇の優勝旗手に凱旋せし駒大苫小牧高校野球部の部長が三年生部員に暴力振るひおりた由、妻より聞く。「優勝取り消しに成っちゃふんですかねェ」と言ふから、「馬鹿な教師が起こした不祥事ぞ。選手たちには何の責任も無ひ。高野連が優勝取り消し処分なんぞせば、全国民が黙ってはおらん。浅はかな未熟教師の尻拭ひをば生徒にさせるなんぞ言語道断。彼らの優勝には何一つ汚点は無ひ」と一気に喋りて、我自身が納得しおりたり。 二十三日追記。報道に拠るに、二十七歳の野球部部長が六月二日と甲子園開幕翌日の八月七日に同じ部員に対し、平手打ちやスリッパで殴る暴力を振るったとして、同高校が二十二日付にて部長を当面の間、謹慎処分とせし旨発表せり――と謂ふ事らし。指導的注意に素直に従はず反抗的態度とりし部員も反省すべきなれど、指導に従はねば鉄拳制裁の暴力以って従はせんとする部長、事態把握し乍高野連に報告せなんだ校長の責任重し。高野連の処分、どふ出るか。 ★ ★ 二十六日、笠松運動公園陸上競技場。コンサドーレ対水戸ホーリーホック戦は、0−1でコンサ三連勝ならず。通算成績11勝9敗7分け。勝ち点40、順位は暫定四位。。 |
平成十七年八月二十一日(日曜)雨 昨夕よりの雨降り続くも時折止み、其の間隙突きて夕食用のミニトマト、シシトウ、ササゲ収穫す。三日続けての雨にて水遣りせんで済みおるは大助かりなれど、明朝迄雨残るとの予報聞けば些かうんざり。早ふ晴れて呉れろと願ふのみ。 今夕、連覇果たせし我等が駒大苫小牧ナイン、深紅の優勝旗手に凱旋せり。天晴れ選手諸君、感動した、謂ふ事無し、大したもんだ、立派だ、嬉しい、気分すっきり、笑ひが止まらぬ、全く愉快だ――。此の若者が住む北海道なれば前途洋洋、先は明るひと思へて来る。去年の優勝のみにて他に冥土の土産は要らぬと思ひおりたに、も一つ貰ふてしもたわ。凱旋模様映しおるテレビ観つ、妻「凄ひ子供達、親御さんが羨ましひですね」と静かに言ひて後は黙せり。我も頷きてテレビに見入りたり。 ☆ ☆ 二十日。駒大苫小牧、「夏」連覇果たせり。京都外大西を5−3にて破りたり。連覇は五十七年ぶりの快挙。素晴らしき哉、我等が球児。天晴れなる哉、駒苫ナイン。感動だ! 正真正銘の感動だ!! テレビ観おりて涙溢れ来たれり。 ☆ ☆ 十八日。鈴木宗男・元衆院議員、地域新党「新党大地」結成せるを発表。立候補予定者は本人を含め三人にて、本人の出馬が小選挙区か比例選かにつきては明らかにせず。斡旋収賄罪にて控訴中にて、有罪判決確定せば失職となる身なれば此の出馬、有権者如何見るか。前回参院選にての得票約四十八万票考慮せば、比例選への立候補以外勝算皆無。動向注視。 ☆ ☆ 十五日。六十回目の終戦記念日を迎ふ。首相談話冒頭に「私は、終戦六十年を迎えるに当たり、改めて今私たちが享受している平和と繁栄は、戦争によって心ならずも命を落とされた多くの方々の尊い犠牲の上にあることに思いを致し、二度と我が国が戦争への道を歩んではならないとの決意を新たにするものであります」と有るを読みて、「なれば何故」の思ひ強し。 有事関連七法成立、国際貢献の名の下に為す自衛隊の海外派兵、そして喧しひ改憲論議……どれも皆、我が国が戦争への道を歩んでおる証左ではあるまひか。『憲法を変えて戦争へ行こう という世の中にしないための18人の発言』(岩波書店刊)、首相並びに改憲論者の方々は読まれただらふか。世界に誇る平和憲法・戦争放棄の条文を抹殺する事が、戦後六十年を生き来た我々の責務と言ふかや。小泉さんよ、斯様な事では靖国の御霊に申し訳が立たぬだらふよ。 ★ ★ 二十日、山形県総合運動公園陸上競技場。コンサドーレ対モンテディオ山形戦は、雷雨悪天の為中止。試合日程は未定。次節二十六日、対水戸ホーリーホック戦(笠松運動公園陸上競技場)。 |
平成十七年八月十四日(日曜)曇 真夏日と成らぬも最高気温28.7度にて、蒸し暑き一日でありき。先月三十日より連日暑さ続きて、麦酒消費量眼に見へて増へおると女房殿零すこと頻りなり。かふ暑さ続けば食欲も減退、普段の食し方にては余り食べれぬ故、勢ひ麦酒で流し込むが如き食し方に相成り、麦酒の消費量増へるも道理。斯くなる上は発泡酒への切り替へも已む無きか。「質か、量か。どっち」と言はれても中々に決め難き事なれば、半々とするが良きか。 何かの本にて読みし記憶有るが、地球温暖化傾向をスーパーコンピュータにてシミュレーションしたれば、世紀末の夏平均気温4.2度(研究者により1.4−5.8度の幅有るらし)上昇して真夏日日数は倍に成ると謂ふ。さすれば六月、十月にも30度超す日々続く事も考へられ、減張利きし日本の四季の移ろひ眺められぬやふに成るやも知れぬ。我が暑がり屋故言ふのでは無ひ。地球温暖化食ひ止めねば、人類は生き延びられぬ。何処かで聞ひた科白じゃないが、「放って置くと大変な事に成りますよ」。 ☆ ☆ 十三日。墓参り済ませり。真夏日二日続き、今日も真夏日の予報なれば午前中に参るがよからふと、十時に妻と家出たれど既に気温上昇中。地下鉄降りて墓地まで歩き、石段二箇所上りて墓に着きし時は汗だくにて、暫し息整へる有様なり。墓洗ひ清め、花・供物供へ蝋燭灯し、線香燻らせ「なまんだぶ、なまんだぶ」と合掌念仏申せば、逝きし者等の笑声冥界より聞こへ来る心地して、懐かしさ込み上げ気安らぎゆくを感ず。 若き頃は死など意識する事も無く、墓前にて掌合はするは亡き人への供養とのみ思ひ居たに、齢重ねたる今は生者必滅の理噛み締め、己が死を思ふ。墓参り為して「何時かは俺も墓の下」と、普段意識せぬ己が死を意識し出したは何時の頃か。身内親類縁者ぽつりぽつりと身罷り、友人知己も亦露と消へ行く様に成りてやふやふだったやも知れぬ。軈て墓参りの度に「Memento mori」と己に言ひ聞かせ、今はもふ己が死を意識するは日常茶飯事と成れり。 御参り済みて時確かむれば十一時半。少々早けれど、混み合ふ前が良からふと墓参の度に立ち寄る食事処にて昼餉とす。例年なれば先ず麦酒注文為して「御疲れさん」と喉潤すが恒例なれど、今日は時刻も早く、帰りの暑さ考へて遠慮せり。親類縁者の法要年日の事共話し、暫く逢はぬ人々の事共話しつ食事終へ、寄り道せず戻りたり。我が家着二時半、着替へて座せば互ひに「御疲れさま」「御疲れさん」と労ひの言葉。墓参り滞り無く終了せり。 ☆ ☆ 九日。衆院解散せり。二〇〇三年十月以来、一年十か月ぶりの解散にて、八月三十日公示、九月十一日投票。自民党は衆院採決にて反対票投じし三十七人を非公認とし、対立候補擁立を決定。反対勢力の一掃目指す構へにて、小泉首相「自民、公明両党で過半数を取れなかったら退陣する」と明言せり。 今回の衆院解散、小泉首相は「郵政解散」と名付けしと。解散に反対、罷免の島村宜伸・前農相は「にわか解散、驚き解散。まさかの解散でした」。反対票投じし自見庄三郎・元郵政相は「解散にはまったく合理性がない。殿乱心、『自爆解散』だ」。森前首相は「ぱーっと上がって選挙があって、案外何も変わらないというようなことになれば、花火みたいなもので『花火解散』」。民主党・岡田代表は「日本刷新解散」、社民党・福島党首は「八つ当たり解散、わがまま解散」と名付けおる由。 ☆ ☆ 八日。参院本会議は郵政民営化関連六法案を一括採決、賛成百八、反対百二十五。野党各党の反対に加へ自民の二十二人が反対、八人が欠席・棄権せり。小泉内閣が最重要課題とせし同法案否決に因り、小泉首相は衆院解散断行を表明。今回選挙を郵政民営化の是非につき国民の信を問ふ選挙と位置づけ、自民党臨時役員会にて「反対派は公認せぬ。全選挙区に候補擁立」と明言、事実上の自民分裂選挙突入は避けられぬ情勢なり。 銭湯サウナ室、同法案参院否決の話にて持ち切りなり。面々の意見、大方は「郵政民営化には賛成。なれど小泉流は強引に過ぎ、十分に国民の理解得た上で遣るべき」「自民党員であり乍、衆院通過法案に反対するのは筋違ひ」。中に一人、「民営化には絶対反対。国が遣らねばならぬ事」と主張せる者在りたり。我語らず、面々の主張「なるほど」と相槌打ちつつ聞きしなり。政治談議、政権交代に迄及び、汗流しつ口角泡を飛ばしおりたり。 ★ ★ 十三日、札幌厚別公園競技場。コンサドーレ対ベガルタ仙台戦は、2−1で勝ってコンサ連勝。通算成績11勝8敗7分け、勝ち点40。順位押し上げ三位。 |
平成十七年八月七日(日曜)曇 午前中晴れにて、日向に居れば肌刺す夏の陽射し厳し。午後より曇りて一雨来さふな雲行きと成りたれど降らず、気温昨日を上回りて些か蒸し暑き夕にてありき。夏祭り最終日の商店街にては種々の催事行はれ人々参集して大ひに賑はひたり。普段閑散として道行き交う人も疎らなる商店街に、何処に隠れ居たかやと思へる程の人々集まり来たりて、商店街年に一度の殷賑ぶり。街路埋め尽くす人…人…人…を眺めおりて思ふは、日々此の十分の一、否百分の一でも買ひ物に出で来呉れれば商店街の繁盛間違ひ無からふと謂ふ事。年中祭り催して人集めする訳にも行かぬだらうし、妙案有るや。 銭湯より戻りて、頂戴せし麦酒券残りおるとて妻と二人出掛く。涼求め来たるか、街路の即席ビアガーデン昨夕にも増しての人出。既に座す場も無き込みやふなれば、一杯ずつ立ち飲みにて済まし早々に退散す。戻りて夕餉、晩酌少々。酒酌みつ、ふと思ふ。「さて今日一日、何を為せしか」。菜園の水遣り、食料買ひ出しの女房の御供、玄関前の水撒き、靴磨き二足……後は飯喰らひ、銭湯へ出掛け、酒呑みおるだけ。無為に日送りたか? なんの、我にせば忙しなくも充実の一日。「何を為せしか」何ぞと大仰な問ひ発するが笑止、老ひの身に過ぎ行く時間なれば無為なるは無し。唯生きて在るを感謝せばよし。 ☆ ☆ 六日。昨日の札幌、曇天なれど31.6度の真夏日にて、家に座し居りても額に汗滲み来る暑さに閉口せり。今日は曇り時々晴れの天気にて27度超なれど、昨日に比し随分と凌ぎ易く感じたり。報じられたるを聞けば、道内各地で記録的猛暑と成りたる由。十勝・池田町にては此の夏道内最高の35.7度、登別にては1977年統計開始以来最高の31.8度を記録。室蘭も31.8度にて十七年ぶりの真夏日と成りしと。テレビニュースに映りし小樽、石狩の海水浴場の混雑ぶり尋常ならず、将に芋の子洗ふが如き光景に見へたり。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 今日明日両日、我が商店街の夏祭り。女房殿、商店街懇意の店より麦酒券頂戴しおりたれば、早めに湯浴み済ませ出掛けんとて四時前に銭湯へ赴けば、既に聞こし召したる客脱衣場に一人二人、御機嫌にて「もふ満員で、座る処なんぞ無ひよ」「暑ひから麦酒が旨くて……此れからもっと人増へるんでなひかひ」の言。サウナに入れば、常連の御歴々集ひて皆々「此れより出掛けみん」と話しおる最中にて、我が顔見るなり「行ったかひ?」。 戻りて夕六時、女房殿と出掛けみれば、銭湯にて聞きし通り成る程の人出。此処数年は天気に恵まれず気温も低めにて、恒例の路上ビアガーデンも賑はひ今ひとつの感在りたれど、今年は持って来ひの天気。賑はふも道理と辺り見回せば座る場所無く、容易に空きさうも無きやふなれば立ち飲み已む無しと麦酒購ひて口にせば、何と眼前の席二つ空きて「ややっ、有り難し」と着座せり。 小容器なれば一杯目は三分と持たず呑み干し買ひに行きて、幾度も席立つは面倒なりと三杯纏め購ふ。二杯目呑みつつ辺り見回せど知ったる顔見当たらず、銭湯の面々も何処に陣取りしか皆目分からぬ混雑ぶり。人込みの中探し回るも無粋、顔合はせれば「先ず座れ!」と成り、座れば同伴の女房忘れ、時忘れて宴会に成るは必定。女房殿も「早々に呑んで戻りませふ」と言ふ故、「呑兵衛危ふきに近寄らず」と晩酌の肴に屋台の焼き鳥購ひ帰還せり。 ★ ★ 二日、札幌ドーム。コンサドーレ対横浜FC戦は、1−2でコンサ今季初の逆転負けを喫す。通算成績9勝8敗7分け、勝ち点34。順位五位に落ちる。 開始早々のゴール。今日は大量得点で圧勝……と思ったが、其の後悪し。始まったばかりで守りに入るやふでは勝てぬ。1点取ったれば2点目、2点取ったれば3点目奪ひに行く果敢な攻撃無きは何故か。パスも満足に回せぬ面々が九十分間相手を交し続けるなど無理な話。コンサにとって「攻撃は最大の防御」であるを忘れてしもふては、如何格下相手にても勝てぬ。先制リードの試合は確実に勝ち点3に結び付ける戦ひ方身に着けよ。 ★ ★ 六日、群馬県立敷島公園サッカー場。コンサドーレ対ザスパ草津戦は、2−1でコンサ四試合ぶりの勝利。通算成績10勝8敗7分け、勝ち点3加へ37。順位一つ上げて四位。 |