北極亭日乗 |
平成十六年十二月 |
平成十六年十二月三十一日(金曜)曇 今年の地球号の在り様『災』の一字なりとぞ。人間どもの余りの愚かさに呆れ果てた地球の身震ひに相違無かろふが、被害に遭ひしは皆々平和を希求し地道に暮らし居た善良無辜の民。天罰受けて然るべき者ども平気の平左なるは如何な事か。此の天の啓示を我等は如何受け止め、如何解釈せばよきか。 『方丈記』に曰く「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとゞまりたるためしなし。世中にある、人と栖と、又かくの如し」と。今は唯、万物流転の無常噛み締め、黙して現世を歩み行くの他無きか。栄へし幾多の古代文明天変地異にて滅び去りしを思へば、今年の『災』なぞ未だ増しと考へるべきか。 年明けてより大晦日の今日迄、何故、如何して、如何すれば、如何せよと……の連続にて、我が心中にては起こりし事々悉く未解決。人間の愚かさ弱さ、驕り昂ぶる地球文明の脆さ故と言ってしまへば事は簡単なれど、独り悟り切った風にて其れでは到底納得は出来ぬ。然れど深淵在るのみにて解決の糸口見へぬなり。然すれば、決着つけ得ぬ雑多な問題抱へ営々生き行くが人間と思ひ定めるの他無し。此れ諦めに非ず。思考停止させず答へ求め続け行くなれば断じて諦めに非ず。 朱儒の戯言百万遍繰り返したとて屁にもならぬ。なれど一年を締め括るに相応しき言の葉も思ひ浮かばず、木瓜の花咲き初めし我が脳細胞にては然程の事も考へられぬなれば筆を置くなり。只今午後三時二十分、此れより銭湯へ赴き帰り来たりて間置かず年取りの宴開始の予定なり。 ☆ ☆ 『災』の年、此の一年何が起こりおったか以下に記し置くなり。 ◆2004年道内二十大ニュース◆ ☆ ☆ 三十日。洗面場等に輪締め、玄関に注連飾り掲げたる後、御供へ飾らんとして裏白準備しおらぬに気付き妻に問へば、近所の商店街にては歳の市立たず、花屋にても松・榊・裏白の類扱ひおらぬ由。「なれば、注連飾り等は何処にて購ひしか」と問へば、「生協にて」の返事。暮れの風情、風物詩も此の街から消へ行きしとは情け無し。歳の市を知らぬ子供達が日本の文化を背負ひ守って行けやふか。可笑しな日本の姿が此処にも在る、の思ひ。 徒歩にて二十分程の所に在るスーパー前に歳の市立ちおると聞きし故、買ひ求め来よと宣ふ。「歳の市立たぬ商店街なんぞ、商店街と言へるかや。吝嗇な福引き大売り出しなどせんで、歳の市立てねば」と妻に言ふたとて詮無き事、億劫なれど致し方無く重ひ腰上げたり。雪道難儀してスーパーに辿り着きたれば、正月飾り所狭しと並べたる歳の市たった一軒商ひおりたり。店の主に売れ行き問はば、「さっぱりだね」の一言。確かに客は我一人、納得せり。 少々草臥れて戻り来て、一服もせず早々に片付けたり。三方に御供へ載せ種々飾りて床の間に置けば、早正月の気醸して室内改まりたり。此れにて我も仕事納め、後は何もせぬと決めたれども、馳走作らんと台所に立ちおる女房殿彼是注文出し続けるに由り、結局夕刻銭湯へ出掛くる迄何だかんだと動き回る仕儀と相成りぬ。晩酌の折「御苦労様」と女房殿労ひ呉れた故、骨折り損の草臥れ儲けには成らなんだとは云へ、大ひに疲れたは事実なり。年寄りの夜更かし万病の因、明日も早ければ早々に就寝せむ。 ☆ ☆ 津波報道。二十八日「津波死者2万人超す」、二十九日「津波死者 史上最悪5万超す」、三十日「津波死者10万人の見方」、三十一日「津波死者12万人」。日を追ひて犠牲者増へるなり。 ☆ ☆ 三十日。奈良市にて十一月十七日発生の小一女児誘拐殺人事件で、奈良西署捜査本部は毎日新聞販売所店員小林薫容疑者(三十六歳)を猥褻目的誘拐容疑にて逮捕せり。小林容疑者は一九八九年に大阪府箕面市内で、九一年には大阪市内で猥褻事件を起こし、共に強制猥褻罪にて有罪判決受けおる由。野犬を野放しにし置けば斯く成るは明々白々なるに、無策では……。二度ともなれば最早病気と見て、隔離治療するが相当と我は思慮するが……。 ☆ ☆ 二十七日。昨日は大掃除等にてテレビニュースも見ずに過ごしたれば今朝、新聞の「津波 死者7000人超」の見出しに驚きたり。我が国土をば立て続けに襲ひし風水害、地震では足りず、もふひと揺すりして津波引き起こし、今年を締め括ると言ふかや。 夕刊報道。「死者1万3000人超す」「M9.0に修正」
|
平成十六年十二月二十六日(日曜)曇一時雪 二十三日に雪隠二箇所大掃除に三時間、昨日は前日より降り積もりし雪の後始末に約五時間を要す重労働。先週にも増して体の節々痛みて今朝起きるが辛き状態の中、今日も二時間余客間の大掃除となれり。湯に浸かりおる間は痛み和らぎ心地良けれど、上がりて戻り来れば痛み元の儘にて変わらず。今はもふ疲労困憊、晩酌効きて何も為す気力無し。日乗早々に片付け、横になりたし。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 我らが星・コスモバルク、千葉・中山競馬場にて行われし第四十九回有馬記念に於ひて十五頭中十一着。GT初制覇の夢果せず年越す事に成れり。一年間走り続けて草臥れたか、先へ出る闘志見られなんだは残念なれど、勝敗は時の運、悔ひ無く走り切ったレースと思ひたし。銭湯にては五十嵐冬樹騎手の手綱捌きに非難在りたれども、我は立派な騎乗と讃へるなり。夢は来年に持ち越されたり。先ずは休養、然る後夢へ向かって疾駆せよ。 |
平成十六年十二月十九日(日曜)晴 本日完全休養日。此の三日間、働き過ぎなれば「何もせぬ完全休養日」宣言せしなり。妻も納得苦情出ず。銭湯以外外出せず。猫どもの背摩りつつごろ寝して意味も無くテレビ眺め、読み止しの雑誌捲りて過ごしたり。我が働きぶり次の通り。 十六日、台所(冷蔵庫、収納家具類移動の上清掃)、洗面場、居間大掃除。十七日、雪掻き雪捨て、玄関、階段・廊下、小洗面場大掃除。十八日、雪掻き雪捨て、自室大掃除。雪掻き、裏庭への雪捨ては両日共一時間強にて終わりしも連日故、体軋みて節々痛み閉口せり。大掃除は肘膝痛めおる妻何も手伝へず我一人の仕事なれば、兎小屋とは申せ此れ亦骨の折れる作業にて、昨日大掃除終わりて銭湯に出掛けたれど腰痛くサウナに五分と座し居れず、疲労蓄積せるが原因か倦怠感覚へて早々に引き揚げ来る有様なりき。 ◇……………◇ ◇……………◇ ◇……………◇ 午後九時より始まりしNHKの不祥事検証討論番組見おりたれど、三十分程にて見るを止めたり。「何故起きしか」の検証、待てど暮らせど始まらず何を検証する積もりか、隠蔽体質批判やら経営陣への批判相次ぐ中、海老沢会長「責任取って辞める」と一言も言はず、唯「御詫び申し上げます」ばかり。此れしきの内容の討論番組なれば流さぬが増し。電波使ふが勿体無ひ。 ☆ ☆ 国家公安委員会及び警察庁、道警は十七日、道監査委員の確認監査未終了の中、道警裏金問題にて三千四十八人の処分発表せり。芦刈勝治道警本部長申すには「責任を負ふ上位の者に重く行った」処分なれど、警察庁より出向のキャリア組は懲戒処分者九十七人中二人のみにて残りはノンキャリア組と言ふも頷けぬが、更に輪を掛けて頷けぬは当初裏金作りを全面否定して認めなんだ砦の親分・芦刈本部長が「訓戒」止まり。最も責任を負ふべきは誰か、道民は承知しおるぞや。 ☆ ☆ 北海道新幹線「新青森―新函館間」の来年度着工、二〇一五年開業が十六日の政府・与党検討委員会にて決定せり。「札幌延伸」未定なれど先ずは慶賀の至り。新函館より在来特急に乗り換へての札幌着なれば所要時間短縮効果然程期待出来ぬ故、札幌延伸の早期実現目指したし。道選出国会議員諸氏を筆頭に道内政財界挙げての運動強化望まれる処なり。我命在る内に乗れるとは思はぬが、延伸の筋道つきたるは確と見届けたき思ひなり。 ☆ ☆ 十四日午後二時五十六分、苫前町震度5強、羽幌町震度5弱の地震。揺れる度に「またか」と身構へる我も哀れにて悲し。人的被害怪我人少々なれど物的被害相当数在るらし。地球のしゃっくりに驚き居れば、今度は文部科学省「ゆとり教育」転換して授業時間増の検討に入りしと。 「学力低下」の国際調査結果に対処せると言ふが、「一貫性無き教育行政が教育現場を混乱に落とし入れ疲弊させたる元凶」の認識無き検討なれば無意味。第一に文部官僚の勝手気儘な政策が教育の荒廃を生み、学力低下を生み出した事を忘れてはならぬ。第二に「学力低下」は授業時間の長短の問題では無く「教育の質」の問題、つまりは教師の「質」の問題に帰結するを直視せねばならぬ。。闇雲に授業時間増やしたとて学力向上は望めぬを知るべし。 ☆ ☆ 十三日午後八時二十分頃、さいたま市緑区の「ドン・キホーテ浦和花月店」全焼にて三人焼死。同午後十時四十分頃、同市見沼区の「ドン・キホーテ大宮大和田店」の一部を焼く連続火災発生。捜査当局は、系列店舗狙ひし連続放火の可能性濃厚を示唆しおるなり。悪戯が大事に至りし事件に非ず、大事に至らしめるが目的の犯罪なれば許し難く、捕らへて極刑に処するが相当なり。 身を粉にして働くを厭ひ向上心皆無、己の思ひ通りに行かぬ鬱憤晴らしに放火に及びしか、或は働くを厭わず努力を惜しまず暮らし来たに失業の憂き目に遭ひて怒りの余り思考停止せる者の仕業か。将又、どん底より抜け出る見込み無き己の未来呪ひて社会に反逆の牙剥きし青少年の犯行か。中流意識消へて貧富の差如実になりつつあり、勝ち組負け組み選り分ける今の政治続けば同様放火増へるは必至。 ★ ★ 十九日、天皇杯準々決勝。香川県立丸亀競技場にてのコンサドーレ対ジュビロ磐田戦は、0−1でコンサ延長Vゴール負け。快進撃も此処迄、準決勝進出果せなんだは残念至極なり。然れども大会二連覇を狙ふ磐田相手に延長に持ち込む堂々の戦ひぶり天晴れにて、文句の付け様無し。 市原、大分を下したる試合、更に今回の磐田戦をば心に刻みて来季戦に臨めば大ひなる展望開けるは間違ひ無く、たとへ負けたとしても同様の戦ひぶりなれば我ら拍手惜しまず。何故ならば、見る者に感動与へるは確かなればなり。若き獅子達よ、暫しの休息の後、来季に向けて力強く始動せよ!! |
平成十六年十二月十二日(日曜)曇 なんやかや騒々しき事ばかりにて、心安らぐ話無きは寂し。事起きる度に怒りて「馬鹿たれ共」と言葉荒らげ来れども、今はもふ怒る気力も失せ気味にて空しさばかりが胸に込み上げくる思ひ。大晦日、今年の日乗締め括る迄の残されし日々、日乗閉じ置く事にせり。来週よりは大掃除、賀状書き等々女房殿に頼まれ言はれおる事共多ければ、日々三省して日乗開く余裕持ち得ず。師走風に煽られて齷齪日を過ごし、やれやれと晩酌二合もやれば居眠り始めて早々に床に就くが必定なれば、読み返す当て無き日乗書き記さずとも寝るが一番と心得て暫し閉じ置く事とせり。序でに新聞も読まず、テレビも観ずに済ませらるれば申し分無けれど、其れは出来そふも無く、矢張り怒りの日々が続くか……。 ☆ ☆ 政府は九日午後の臨時閣議にて、イラクへの自衛隊派遣一年間延長の為、イラク復興支援特別措置法に基づく基本計画変更を決定せり。派遣期間は二〇〇五年十二月十四日迄。小泉首相は記者会見にて「日本外交の基本は、日米同盟と国際協調を両立させることだ。開戦の経緯はともかく、国連は加盟国にそれぞれふさわしい支援を要請している。自衛隊の活動は日本の支援の一部だが、日本ふさわしい支援をしていくことが国際社会の一員としての日本の責務であり、国益にかなうと確信している」(04.12.10 読売)と述べたり。誰が為の国益なるや。氏の「確信」が「妄信」で無きを祈るのみ。 ☆ ☆ 予想されおりし事なれば驚く事も無からふが、案の定、持ち帰りし横田めぐみさんの遺骨はDNA鑑定の結果、別人のものと判明せり。八日夕の記者会見にて細田官房長官発表。北朝鮮に対し厳重に抗議すると共に、食糧支援の内、未実施の十二万五千トンの供与当面凍結の方針明らかにせり。日朝平壌宣言の精神を踏み躙る「調査虚偽」、当方の要求に真摯に対応せぬ北朝鮮の態度は許し難し。斯く成りては最早、経済制裁発動以外当方の怒り表す術無し。此処迄来れば緻密なる外交戦略など不必要、問答無用の制裁在るのみなり。
☆ ☆ 昨六日、寝入り端の午後十一時十五分頃地震。あれれと身起こすも、然程の揺れでもなければ其の侭寝付きたり。今朝、新聞にて震度5強、マグニチュード6.9の地震又も道東地方襲ひたるを知る。震源は根室半島南東沖にて、先月二十九日の釧路沖地震の余震らし。浜中、厚岸両町にては津波に備へ住民二百人余りが一時避難せるも津波の襲来無く、各地にても人命被害及び大なる物的被害無き模様なれば先ずは安堵せり。其れにしても新潟北越地震以来、揺れる度に「此方もか」と、どっきり胆を冷やすなり。 ★ ★ 十二日、天皇杯五回戦。熊本県総合運動公園陸上競技場にてのコンサドーレ対大分トリニータ戦は1−0でコンサが四回戦市原に続きJ1勢を連覇、天皇杯で初のベスト8進出。J2勢の8強入りは二大会ぶり五度目。 |
平成十六年十二月五日(日曜)雪 昨夜雨より変はりたる雪、終日降り続く。朝昼晩、三度玄関口の雪掻きす。一間程の通路確保して両脇に雪掻き分けたれば、其の高さ夕時には早くも一メートル超せり。午後九時回りたる今現在もはらはらと降り続きおれば、明朝には如何許り降り積もるやら。湿りて重きべた雪故、本日の雪掻き難渋したに明日もかと思へば些か難儀な事なり。いやいや、雪未だ序盤、弱音は吐くまひ。 午後八時頃、べた雪の影響に因り送電線切断され夕張市全域にて約九千四百戸停電せりと。復旧には明朝迄掛かる見込みと報じられおれば、電気で作動せる石油暖房機器使用の家々如何に対応せしか。暖取る手段無く寒さに震へおる人居るやも知れず。石炭、薪焚きおりた昔なれば幾晩停電したとて寒さに震へる事無かりしに、今は皆々石油暖房にて電気無ければ動かぬ機器多き故、困るなり。スウィッチ一つの便利さの裏に在る脆さ、夕張の人々実感しおるか。夕張の炭鉱閉山せなんだらルンペンストーブ赤々と燃へて、寒さに凍へる事も無かったらふに……。考へみれば可笑しき世に成りしなり。 可笑しと言へば、当地雪なるに関東にては「夏日」記録せる所在りしと。東京都青梅市26.2度、八王子市26.0度、埼玉県熊谷市26.3度、越谷市25.9度、千葉県我孫子市25.9度、群馬県伊勢崎市25.4度を記録。東京・大手町にても24.8度迄上昇、テレビニュース道行く半袖夏姿の人々の映像映しおりたり。比して当地の午後九時現在の積雪、帯広、標茶にて五十センチ超、札幌にても四十センチ超さんとする降りっぷり。如何な訳かは知らねども、夏冬同居の日本と言ふも珍しく此れ迄聞きし事無き気象現象なれば記し置くなり。 ☆ ☆ 番組制作費詐欺容疑にてNHK元チーフ・プロデューサーが逮捕された件につき、海老沢会長が四日夜七時のニュースで謝罪するを見たり。続発せる不祥事に対し視聴者の受信料不払ひ及び保留十一万三千件に達し、労組より退陣要求突き付けられおる状況下、NHKトップの謝罪が斯くも粗雑空疎とは。「あってはならなひ事」と言ふが、「あってはならなひ事」が何故起きたのかに就ひての説明皆無。「受信料が公金であるとゆふ意識を改めて職員に徹底させる」と言ふが、何ふ徹底させるか具体的方策語ること無し。斯様な謝罪放送流しおるやふでは視聴者の不信益々拡大、不払ひ更に増すも已むを得まひ。 ☆ ☆ 三日。三月より約十か月に亙り実施され来りたる道警特別監査の結果報告書、本日、道監査委員より高橋はるみ知事に提出されたり。此れ迄、定期監査にては道警の不正暴きしこと一度も無く、「馴れ合ひ監査」と道民の謗り受け来た監査委員でありしに、今回特別監査につきては非協力的な道警相手に真っ向勝負挑み、内部調査の信憑性に疑義在りとする監査内容報告せるを大ひに評価したし。続く確認監査にては「灰色部分」の一層の解明望むのみ。監査委員は、執行事実確認できぬものは執行事実無しと認定する意向らしも、当然なり。 道警裏金に絡む道費四費目(捜査用報償費、旅費、食糧費、交際費)の一九九八―二〇〇三年度執行分につひての特別監査にて、認定せる不正総額は四億九千八百八十三万円に上り、返還対象不正額は道警内部調査の二倍以上の四億四千九百五十万円。旅費につき内部調査は不適正執行総額二千五百三十五万円、二〇〇〇年度以降無しとせるも、監査結果は二〇〇〇年度以降も不正在りて総額は一億四百九十五万円。内部調査は署長ら幹部への闇手当無しとせるも、監査結果は「副署長らの一部は、署長や課長にあらかじめ現金を交付していた」等々、内部調査との食ひ違ひ大なるを道警は何と説明するや。 芦刈勝治本部長、中塚幸男総務部長共に「調査方法の違ひ」と云ひ、「監査結果の内容を精査し、内部調査との差異につき必要有らば補足調査する」と宣ふ。道警上層部は事の深刻重大なるを認識しおるのか、道民の不信と怒りを真摯に受け止めおるのか。他人事が如き対応、物言ひ等、悉く我が身の保身故を思はせて不快極まり無く、分別持ち合はせぬ輩の仕業と言ふの外無し。上意下達の階級組織の中に居て“我が身可愛や”の幹部の下で働く署員が哀れ。斯様な輩が何故に警察幹部と成り得たるか。類は友を呼ぶの譬へ在れば、製造元は警察庁にて、同様性根持ちたる輩尚ごまんと控へおるやも……。 道議会各会派は総務委員会、予算特別委員会にて道警追及の方針らしも、内部調査最終報告後の総務委質問の如く月並み在り来りの質問浴びせたとて追及には成らぬ。今回は追及に疎漏無きやふ確り勉強して臨むべし。と言ふて勉強為して臨みても単なる委員会質問に過ぎぬ故、狡智にたけた連中は難無く言ひ逃れるであらふ。矢張り残されおるは百条委員会。道議会に真相解明の意思有るなれば、早急に設置すべきなり。道警裏金追及に及び腰にて此れ迄、野党の設置要求提出される度に反対し来りたる自民党・道民会議には、特に強く要求したし。「特別監査、確認監査の結果を見てから考へる」等と悠長に構へおる時ではあるまひ。道警に対し、自民党には追及に及び腰に成らざるを得ぬ"借り"でも在るかや。疑はれても致し方無き状況ぞ。
☆ ☆ 三十日。日歯闇献金事件につき、衆院政治倫理審査会にて橋本元首相弁明。自らの記憶には無ひが、種々の客観的事実に照らし見て事実だらふと思ふ、と語りたり。道義的責任は認めたるも、「国際会議等、自分が果たさねばならぬ責任が頭をよぎる。政治家の責任の取り方にはいろんな考へ方が在る」として議員辞職の考へ無しとせり。 三年前の事も覚へおらぬやふな惚け振りなれば、最早政治家なんぞ務まらぬ。早々に引退するが身の為、我等国民の為と思はぬかや。と叱るも、惚けが本物であればの話。今回橋本氏の場合は、己に不利となれば突然記憶を失ふ"議員性健忘症"故、叱る気も起きずなり。無様な己が性根晒して尚、議員の地位にしがみつく妄執哀れにて涙禁じ得ず、憐憫の情催すこと限り無し。此が日本の政治屋、此の政治屋つくりしが我等国民。恥じ入るべきは何れなるや。 |